アニュイティにする?ミューチュアルファンドにする?

 

ミューチュアルファドとは

ミューチュアルファンドとは、複数の投資家が資金を提供し共同で運用を行う、投資信託のことです。多くは運用を代理で行ってくれるファンドマネージャーがおり、マネージャーに手数料を払うことで、投資家はマネージメントを委託します。株式や債券などさまざまな投資媒体をプールしてファンドをつくり、投資家はファンドの損益を均等にシェアします。そのため「ミューチュアル(相互に)」という言葉が使われています。たとえばVanguard 500 Index Fundの例をとれば、Vanguardという金融会社が500 Index Fundというファンドをつくり、アメリカの大型株の500種類に投資するマネージメントをしています。投資家は自分ひとりで500株を買えるほど投資資金がなくても、このファンドのシェアを買うことで500株全部を持ったのと同じような効果を生み出せます。ミューチュアルファンドについてもっと知りたい方は下記の記事が参考になるかと思います。

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アニュイティとは

アニュイティとは、年々、月々など一定期間ごとに一定額が支払われるしくみのことで、保険商品です。アニュイティに入れたお金は、将来わたって、月ごと、年ごとの複数回の定額受け取りに変換されます。アニュイティにはいろいろな種類があって、受け取りのタイミングで分けると、アニュイティにお金を入金してからすぐに受け取りが始まるImmediate Annuityと、アニュイティにお金を積み立てる蓄積期間があり、蓄積期間ののちに受け取りが始まるDeferred Annuityに分かれます。また、運用の種類で分けると、積み立てられた資金に対して一定の固定利回りが適用され、契約時に定められた支給額を受け取るFixed Annuityと、積み立てる資金を利用し、契約者自身がミューチュアルファンドなどによって運用し、その投資パフォーマンスに応じて支給額が決まるVariable Annuityに分かれます。前述の最近よく売られているものはDeferred Variable Annuityです。

アニュイティ攻略法 - 失敗しない契約

アニュイティ…買うべき、買わないべき?

 

ミューチュアルファンドは投資するファンドそのもの、つまり投資の対象物です。直接金融機関に行ってミューチュアルファンドに投資することもできますし、401(k)やIRAの口座の中で投資することもできますし、あるいはアニュイティの契約の中で投資することもできます。一方、アニュイティというのは、あくまで投資をする際の器というかプログラムの種類、あるいは契約形態の名前です。ミューチュアルファンドが投資の対象物であるのに対し、アニュイティはプログラム。つまり、アニュイティは容器であって、ミューチュアルファンドは容器の中に入れるモノという理解になるかと思います。

よって、このブログのタイトルのように、アニュイティかミューチュアルファンドか・・と並列で並べるのは、実は本来おかしな話です。ただ、日常生活では並列で話されることが多く混乱して使われているケースも多いので、ここではその混乱を解決するために敢えてこのようなタイトルにしました。このブログでは、アニュイティと呼んでいるものはDeferred Variable Annuityを契約してミューチュアルファンドに投資することを念頭に置いており、ミューチュアルファンドと呼んでいるものはただなんの特別プログラムも契約せずただ単にミューチュアルファンドに投資する(401(k)やIRAなどでなく、ふつうの口座(=Taxable Accountといって課税対象アカウント)で投資する)場合を念頭に置き、この二つを比較することにします。

ではふたつを比較します。

 

税金面

ミューチュアルファンドは401(k)やIRAで投資した場合は、利回りは税遅延(引き出すときに課税。ただしRoth IRAは引き出す時も非課税)で運用され続けるものの、課税対象アカウントで投資した場合は、利回りが課税対象となります。この課税対象額は、投資するミューチュアルファンドの種類によっても変わってきます。たとえば地方債ファンドなどであれば、連邦税はもとより場合によっては州税も非課税ですし、株式ファンドでもインデックスファンドなどのそもそも売り買いをあまり行わない(ターンオーバーが低い)ものであれば、課税対象となるキャピタルゲインも小さく税金もそれほどナーバースにならなくてよい場合が多いです。反対に、投機的な売り買いを繰り返すアクティブファンドなどに投資するのであれば課税額が多くなることになります。

アニュイティは、その契約の中で何に投資するにしても、利回りはすべて連邦税が税遅延で成長します。このことは、特に401(k)やIRAなど税遅延プログラムは最大まで投資してしまったが、まだ手元に投資できる余剰金があり、しかも税ブラケットが高い高所得者層にとっては魅力です。州税については、州によって課すところがありますので注意します。

リタイヤメント後引き出しをする場合には、ミューチュアルファンドはファンドを売って現金化することでキャピタルゲインが発生し、キャピタルゲイン税がかかります。ただキャピタルゲイン税率は所得税率より低い(場合によってはゼロ)ので、その意味では有利です。一方、アニュイティは、ある時期に年金化(アニュイタイズ)が始まり月々一定額を受け取ることになりますが、税遅延で増えてきた利回り部分は所得税とみなされ所得税率で課税されます。所得税はキャピタルゲイン税率より高いですが、ただ老後で収入が減ったため所得税も低くなっているのであれば、それほど大きな問題ではない場合もあるかもしれません。あくまで個々人の状況に応じて最善を決めていく必要があります。

 

手数料

ミューチュアルファンドは、その中で投資する投資媒体を選んだり管理したりするファンドマネージャーへのファンド手数料がかかります。ファンドが投資する投資媒体と投資スタイルによってこの手数料は、0.10%以下から3%超まで幅広い差があります。Vanguardなどの低手数料会社のインデックスファンドなどであれば、0.20%以下であります。

一方でアニュイティは手数料の高さでは悪評があります。まず、アニュイティの中でミューチュアルファンドに投資するのであれば、上で述べたファンド手数料がかかりますが、場合によっては選択できるファンドが限られていたり、あるいは勧められたファンドがたまたま高手数料などということもあり、比較的高い手数料を払う場合もよくあります。これに加えて、アニュイティ口座の中でミューチュアルファンドを管理するための管理料と、アニュイティは保険商品ですから保険部分のコストもかかり、結果として幾層かの手数料がかかることになり、トータルの手数料は数パーセント以上になる場合も多いでしょう。

アニュイティはまたサレンダーチャージとかキャンセル料という手数料が設定されていることが多いです。たとえば「最初の7年間に解約する場合は、口座残高の7%がキャンセル料としてかかり、1年を減るごとに1%ずつ減少、8年目からは解約してもキャンセル料なし」というような具合です。安易に契約してしまった後で、解約しようとしたら多大なサレンダーチャージがかかることが分かり頭を抱えるケースも多いです。

 

年金の必要性

アニュイティとは日本語では年金と訳され、月々(あるいはそれ以外のインターバルで定期的)に決まった額を受け取れるようにすることを目的に契約をするものです。ソーシャルセキュリティだけでは心もとないので、月々死ぬまで定期的にもらえる年金をもう少し追加したいというニーズがあるなら、アニュイティはなかなか便利なものです。反対に、ソーシャルセキュリティや企業年金(Defined Benefit Plan)で十分月々の年金が受け取れるという方は、わざわざ高い手数料を払ってまでアニュイティで投資する必要性は低いでしょう。その場合は、ミューチュアルファンドで運用しておいて、必要に応じたタイミングで必要に応じた額を引き出すほうが理にかなっています。

 

保険部分

アニュイティは保険商品であり、死亡補償がついています/つけられます。死亡補償は、生命保険であるため、登録されたベネフィシャリー(遺族)に直接わたり(プロベートを通す必要なし)、非課税です。ミューチュアルファンド(課税対象口座での)は、TOD(Transfer on Death)登録が可能な州では、直接遺族にわたりますが、それ以外ではプロベートを通ることになります(Trustなどの処置がなければ)。

アニュイティの死亡補償は必要があれば持つべきですが、そうでなければ高い保険料/手数料を払ってまでつける意味はないでしょう。死亡補償のための料金がいくらなのかよくわからない場合もあり、知らないうちに実は高い料金が何らかの形でとられていたということもよくあります。

 

ライアビリティへの対応

多くの州で、生命保険商品の中の財産は訴訟でのライアビリティから保護されています。医師やビジネスオーナーなど、資産が大きい層、ライアビリティ訴訟の可能性が高い層においては、敢えてアニュイティをはじめその他の生命保険消費を使って財産を保護するということも行われています。

 

ファイナンシャルエイド

カレッジのファイナンシャルエイドを決めるFAFSAでは、リタイヤメント関連の財産は資産としてカウントされません。401(k)やIRAなどに加え、アニュイティもこの範疇に入り、FAFSAでは資産として考慮されません(私立大学などで使われるもう一つのファイナンシャルエイド算出システムであるCSS/Profileではカウントされます)。一方で、リタイヤメント関連以外の投資口座はFAFSAで(CSS/Profileでも)資産としてカウントされ、エイドを得る可能性(あるいは額)を下げます。課税対象のミューチュアルファンドはこの範疇です。

よって、収入面では十分ファイナンシャルエイドがもらえるレベルであるが、資産がちょっと高すぎるというような場合には、アニュイティに「資産を隠す」という方法が使われることがあります。

 

ということでどうする?

まずそもそも、アニュイティか課税対象のミューチュアルファンドかで迷う前に、401(k)やIRAなどの税遅延措置のあるプログラムを限度額まで活用していないのであれば、そちらを優先に投資を行うべきです。そのうえで、まだ余剰金がある場合は、アニュイティか課税対象のミューチュアルファンドを選択することになります(場合によっては他の選択肢もありですが)。

もうすぐカレッジに行くお子さんがいらっしゃり、FAFSA対策のため資産を減らしておきたいという場合にはアニュイティが理に適う場合もあるかもしれません。ただ、FAFSAでは資産よりまず収入が大きくモノをいいますので、収入が高すぎる場合には資産をどんなに減らしても歯が立たない場合もあります。安易にアニュイティを買う前に、そこのあたりをよくチェックすべきです。あるいは、高収入のプロフェッショナルの方で、ライアビリティ訴訟の対策をしておきたい場合などにではアニュイティに資産を移しておくことは意味があるかもしれません。

それ以外の場合は、アニュイティでなくても十分かもしれません。アニュイティはいつでも買えます。Deferred Variable Annuityを契約して資産形成をしていつか年金をもらえるように準備するというのはひとつの手ですが、当初はミューチュアルファンドで低手数料で運用しておき、将来的にアニュイティが必要になったらImmediate Annuityを契約して年金化することも可能です。まだ若くて手数料の高いアニュイティで運用する必要は特にない、保険部分や無駄な手数料を払いたくない場合には、アニュイティを購入するべき理由は小さいでしょう。低手数料のインデックスファンドを選び、できる限り税金も低く抑え運用するほうが理に適うでしょう。場合によってはTaxed Managed Fundという節税対策済のファンドを選ぶことで、節税に努めることもできます。いつでも契約できるアニュイティですが、いったん契約したら解約しにくいアニュイティです。契約は慎重に吟味し、納得の上行うことをお勧めします。

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