HMO歯科保険のナゾ – とある歯科医のレポートから

前回は、HMO歯科保険を使おうとしても、どうしても規定されているベネフィットのとおりの治療が受けられなかったことを書きました。そして、「規定されているのに使えないベネフィット」はずっと私の中にナゾとして残っていました。昨日、たまたまフロリダのとある歯科医がHMO歯科保険(DMOとも呼ばれる)について書いているレポートを見つけました。“Dental Insurance Secrets“と題されたこのレポート、Michael I Barrという歯科医が書いています。以下抜粋・要約。イタリックは私のコメントです。

 

_____________以下記事より_____________

HMOやDMOでは、保険会社と契約を結んでいる「プロバイダー(ネットワーク歯科医)」を選択することで、患者はディスカウントされた料金でサービスが受けら得るということになっているが、実際にはこのディスカウントされた料金よりずっと高い値段を払うことになる場合があり、それどころか、そもそも保険がない場合に払う値段より高い値段を払う結果になることもあり得る。 そのとおり!私の場合はまさにそうでした。

保険会社と歯科医の間で同意されたディスカウント料金は意味があるか?実際のところ、多くの歯科医はこのディスカウント料金でサービス提供をしていると利益にならない。ではそもそも、どうしてそんなディスカウント料金に同意をするのか? それが私のナゾ!

歯科医は保険会社のネットワークに参加することで、多くの新規患者を獲得することができる。  やっぱり!保険会社は歯科医のマーケティング会社ってこと?

保険会社のネットワークによる“宣伝効果”でやってきた新規患者に起こることは・・・

 

ディープクリーニング

Deep CleaningとかScaling and Root Planingと呼ばれもので、歯茎に歯周ポケット(4から5ミリ以上)や炎症がある場合にとられる措置。必要ならばやったほうがいいが、本当に必要かどうかがあいまいなまま提供されることがある。私(Michael Barr, DDS)の意見では、必要ではないのに、エキストラのクリーニング料金を徴収するために、ディープクリーニングがなされていることがあるように思う。  私の場合も、最初の歯科医に行ったときの、開口一番のリコメンデーションがディープクリーニングでした。それが本当に必要だったかどうかは、今となっては知る由もなく・・・

 

クラウン

フィリングで対処することが困難な場合に使われる。HMO/DMOプランではフィリングではあまりプロフィットにならない。クラウンはより高い料金が設定されているうえ、余分にエキストラの措置を加えてさらに料金をつりあげることが可能。クラウンが必要といわれた場合には、フィリングではどうしても対応できないのか確認することをお勧めする。

 

クラウンのエキストラ料金

保険なしのクラウンの値段は、$1,200以上であ るのに、たとえばHMO/DMOのベネフィット表には、クラウンは$600と明記してあったら喜ぶでしょう。ところが、処置が終わってお金を払う段になる と、トータル料金は$600どころがとても高い値段になっていることがある。

それは、クラウン自体の値段に、 precious metal, desensitizing, occlusal (bite) adjustments, local anesthesia, cord packing, temporary crown, porcelainなどの、さまざまエキストラ料金が加えられことが多いからである。保険なしでクラウンをしてもらう場合は、これらの料金はすでにクラウ ンの料金のなかに入っているのだが、HMO/DMO保険を使うとなったとたんこれらの料金はエキストラとして足し込まれることになる。結果としてベネ フィット表の規定の値段の2倍かそれ以上にまでトータルが増えることになる。

 

抜歯手術(Surgical Extractions)

抜 歯の仕方には2種類あって、ひとつはルーティンのnon-surgical extractions、もうひとつは手術によるsurgical extractions。前者のルーティンの抜歯は、HMO/DMOでは非常に利益が少ないので、本当に必要でないのに後者の抜歯手術が行われていると私 (Michael I Barr,DDS)は観察している。

 

部分麻酔

部 分麻酔の料金は通常、それを必要とする歯科医療措置の中に含まれているはずである。実際、American Dental Associationが発行しているコード表の中には、部分麻酔に対して個別の医療コードを指定していない。にもかかわらず、多くのHMO/DMO歯科 医は、部分麻酔に対して別料金をチャージしている ディープクリーニングのとき、部分麻酔一箇所につきいくらというチャージをされました。 

 

フィリングのエキストラ料金

フィ リングは、HMO/DMOのベネフィット表では、通常料金の50%レベルの低い料金で規定されているが、実際のところは、50%オフの料金では歯科医のオ フィスはビジネスが成り立たないのである。そのため、pulp caps, bonding, occlusal (bite) adjustments, anesthesiaなどのエキストラ料金を追加するのである。このうちpulp capについては、必要であればされるべき措置であるが、その必要性は疑わしい場合も多い。その他のbonding, occlusal (bite) adjustments, anesthesiaについては、フィリング措置の中にそもそも含まれているサービスであり、エキストラ料金として徴収されるべきものではない。  そう、これが私が悩んだ問題です。ベネフィット表にはえらい安い値段が羅列されているのに、その値段ではフィリングを入れてもらうことが不可能。。

 

歯科オフィス内の“スペシャリスト”

General Dentistは、どこまでの措置を自分で行い、どこからはスペシャリストにお願いするかを決める決定権がある。たとえばGeneral Dentistが、ルートカナルを自分でやることもできるし、スペシャリストにリファーすることもできる。ところが、Genera Dentistが自分でやった場合、HMO/DMO下ではルートカナルはほとんど利益が出ないうえ、エキストラ料金も追加しにくいのに対し、「スペシャリ スト」が同じ措置をするとずっとフレキシブルな値段設定が可能になる。そこで、General Dentistは自分できる処置でも、意図的にスペシャリストを自分のプラクティスに連れてきて、スペシャリストに措置をさせるということを行っている。

患者は、外のスペシャリストではなく、歯科オフィス内(in-house)のスペシャリストからの措置を進められた場合、自己負担の料金をきちんと確認したほうがよい。 ディープクリーニングの後、オフィス内のスペシャリストに診てもらうよう言われました。なんとなくウサン臭かったのと、なぜ診てもらうのかいまいちよくわからうそのままに。。。

 

チープヘルパー

HMO/DMOでは、フィリングを入れたり、型をとったり、噛み合わせの調整などに、きちんとトレーニングやライセンスを受けていないアシスタントを使うことに目をつむっている場合がある。歯科医側はこのようなチープ・ヘルパーを使いコスト削減しようとすることになる。アシスタントの質に疑問を持った場合は、トレーニングやライセンスがあるかを確認したほうがよい。  いたいた!子どものクリーニングのとき、あまりに雑でしかもすごく痛い(子どもが痛がっていた)歯科衛生士!(とそのとき思ったけど、英語がまったくしゃべれないし、あまりにも雑で説明もなし・・・あれはチープ・ヘルパーだったのか・・。二度とその人にはやってもらいたくないと子どもが言うので、名前を書き留め次回は避ける準備をしていましたが、その人は二度といませんでした。。。)

 

チープ・ラボ

最近では、クラウン、ブリッジ、入れ歯の製作が、第三世界にアウトソースされるのが増えている。場合によっては、衛星コントロールやクオリティー・チェックが甘いラボであったり、質のよくない、あるいは未知の素材を使われていることもありえる。利益率の高くないHMO/DMO歯科医は、このような低コスト・サービスを利用するインセンティブを持ちがちなので、自分の口に入るものがどこで製造されるのかを確認したほうがよい。

____________レポート終わり________________

このレポートを読んで、よくわかりました。HMO/DMO歯科保険は保険ではありません。客寄せ目的のテイのよい広告媒体です。私は我が家のHMO健康保険にはかなり満足しているので、歯科保険もHMOに期待していましたが、2年の苦悩の結果、HMO歯科保険は話がまったく別であることを知りました。。。日本の歯医者さんが恋しいです~。

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2 comments

  1. こんにちは。
    たくさん勉強になりますね。

    歯のことは、保険に頼るのはやめて、親しい信頼できる歯医者をつくる。に限ります。
    保険のことも、一番よく知っているのは歯医者。何でも相談できる、仲良し歯医者がいると何でも聞けるし、安心です。

    うちは、15年来の歯医者を浮気せずに使っていて、今朝も息子の矯正の保険のことで色々電話していました。保険会社、$4000の治療費のうち、MAXの$2,500を払うのかと思っていたら、そうではなくて、Reasonable and customaryの$3,000から、カバーされるのは60%。つまり、$1,800ということ!!予算組んでいた金額と違うので今月は大赤字になってしまいます。とほほ。

    前回、年齢のことを聞いていらっしゃいましたが、永久歯が全部生えたら普通はやりますね。
    ちょっと待ってみるという人もいるようですが、待ちすぎると矯正に時間がかかることもあるようです。

    8歳等のまだ永久歯が生えないうちにやるのは、今うちの次男がこれになりそうですが、
    前歯の生え方などから、確実にしたの歯や、他の歯への影響がある生え方をしている、要注意な場合にそうなるそうです。ただ8歳でやっても、また永久歯がそろったら、普通の矯正をしなくてはいけないそうです。だから2回の矯正。8歳でやっておけば、その二回目の程度が軽く、値段も時間も少なくなるそうです。本当だといいんですが。

    1. 私もそう思います。医者にしろ歯医者にしろ、いや家のコントラクターにせよ、保険エージェンにせよ、信頼できる人を持つ以上のことはないですね。それが難しいのですが。。でも歯はそれが特に必要のような気がします。保険は、あれやこれやでなるべく保険会社の負担が少なくなるように作られていますから、figure outするのが大変ですよね。。

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