ファイナンシャルエイドを申請すると合格しにくくなるか

ファイナンシャルエイドを申請すると、それは授業料の支払い能力が低いことを意味するので、合格しづらくなるとする見方があります。たしかに大学も経営を保っていかねばなりませんから、授業料をできるだけたくさん確実に払ってくれそうな学生を、優先的に入学させたいと考えて当然ともいえます。エイド申請をすると合否に不利になるので、しないほうがいいと薦めている専門家もいますが、今日はそのあたりを考えてみたいと思います。大学が合否決定にあたって学生の財務状況を考慮するかしないかのポリシーは、大きく分けてふたつの種類があり、ひとつはNeed blind、もうひとつはNeed awareです。

 

Need blind and Need aware

Need blindとは、合否決定において家庭の経済状態、学費の支払い能力が一切考慮されないことを意味します。一方、Need awareとは、合否決定のプロセスにおいて、それらが考慮されることを意味します。Need awareをポリシーとしている大学では、成績やテストスコアやその他の合否に関与する条件とともに、支払い能力も考慮されるということです。つまりNeed awareを掲げている大学であれば、ファインシャルエイドに申請したかどうかということや、加えてそれ以外の家庭の経済状況が合否を左右するということです。

では、Need blindを掲げている大学であれば、どうなのでしょう。ふたつの考え方があって、ひとつは「真のNeed blindなどありえない。Need blindをうたっていても、実際は経済状態やファイナンシャルエイド申請状況が合否に関与することがありえる」とする派、もうひとつは「Need blindはNeed blind。関与はない」とする派です。

 

「Need blindでもエイド申請は合格に影響する」派の意見

たとえNeed blind大学であっても、大学は経営を守らねばならなりません。Need blindとはいえ、もし最終的にファイナンシャルニーズの高い家庭の学生ばかりが集まれば、授業料収入が思うように入らないどころか、ニーズを満たすための奨学金費用が膨れ上がり経営が成り立たなくなる可能性もある・・よってなんらかの形でファイナンシャルニーズの有無は考慮されるはずだ・・とする考え方です。

Need blindをうたっている大学で、極力そのポリシーにのっとり最終段階まで家庭の収入などは考慮しない大学でも、最後のところでもし支払い能力のある優秀な学生と支払い能力の低いが同様に優秀な学生がいた場合、前者を優遇するようなことが行われているという見方です。

エイド申請をするかしないかだけでなく、家庭の財務状況は常に合格に考慮され、エイドを申請しなくとも、学生の住所のZIP codeや、通った高校の人種・経済構成、学生の参加していたクラブや活動などから財務状況=授業料の支払い能力は容易に察しがつき、それらの情報は直接的でなくとも、間接的な感情レベルで合格・不合格に影響しているようだと、このグループの人々は主張します。

このような見方をするアドバイザーの中には、とにかくどうしても合格したい大学があるのなら、ファイナンシャルエイドは申請せず、アプリケーション・フォームにも「ファイナンシャルエイドは必要ですか」という問いに対してNOと答えることを進めている人もいます。

どうなんでしょうねえ。。今度は反対の意見の人をみてみましょう。

 

「Need blindならエイド申請は合格には(ほぼ)影響しない」派の意見

「ほぼ」というのがちょっとミソです。

事実、Need blindのポリシーを徹底している大学もあります。身近に、Need blindの大学で合否決定に関わっている人間がいますが、彼のいうには、合否を決めるのに関与する担当者には、財務上の情報を一切考慮してはならないことになっており、最近ではそれを徹底するために、学生の財務情報が合否決断の担当者には一切見えなくされたとのことです。見えなければ財務情報やエイド申請が合否に関与することは一切ありませんから、これは完全なるNeed blindです。オンラインで情報を読んでいると、他大学に勤務していた人の中にも、同様な意見を主張している人がいますから、Need blindを徹底している大学も確実に存在するというのは確かなようです。

ただ、財務情報が「見える」場合、完全なるNeed blindはなかなか証明がむずかしいもの。たしかに、合格のボーダーラインの学生が二人いて、財務状況の差がある場合それを目にしてしまったら、エイドを出す必要がないほうを入学させたいというモティベーションが働くこともあるでしょう。それを暗黙の了解として許している大学もあるのではないかと想定する人々がいても無理はありません。ただ、もし影響があったとしても、おそらくかなり僅差のボーダーラインで競うような場合であり、確率的には低いとする見方で、それゆえ「ほぼ」影響しないという言い方になっています。

 

ファイナンシャルエイドが必要なら申請する

どちらの見方が正しいかは誰も知らないところです。実際のところはおそらく個々の大学によって差があり、どちらの見方かひとつがすべての大学に当てはまるということはないのだと思われます。白か黒ではなくて、さまざまな度合いのグレーも存在するというのが事実かもしれません。

それを踏まえてうえでお勧めするのは、ファイナンシャルニーズがあるならとにかく申請をするということです。実際、合格したいあまり「エイドは不要」と申請しておいて合格はしたものの、その後の授業料工面で困り多大なローンを抱えたというのでは元も子もありません。払えない大学に合格しても意味がありません。

また、混乱してはならないのは、Need blindとかNeed awareというのはあくまで合否決定の部分で関係する話であり、ファイナンシャルエイドがどのくらいもらえるかとはまったく別の次元のものということです。Need blindで100%ファインナンシャルニーズを満たすことをポリシーにしている大学では、低中収入層の学生は、真に成績などの能力的な条件だけで合否審査がされることと、いったん合格すればニーズを100%満たしてもらえるということが期待できます。一方、Need awareで100%ファイナンシャルニーズを満たすとしている大学では、いったん合格できればニーズを100%満たしてもらえることが期待できますが、しかしいながら合否の段階では低中収入層は不利になる可能性があります。ファイナンシャルニーズを100%満たさない大学であれば、Need blindであってもNeed awareであっても、満足のいくファイナンシャルエイドはもらえない確率が高いということです。よって、受験する大学選びには、Need blindかNeed awareかだけではなく、その大学がファイナンシャルニーズをどの程度満たしてくれるのかということも考慮に入れておくことが必要です。

たとえば、Need blindをうたっている大学で、ファイナシャルニーズの有無にかかわらず合格しても、ふたを開けてみたらニーズのうち50%の分しかエイドが出ないということもありえます。これはGappingと呼ばれるやり方で、Need blindで合否は決めますが、ニーズがあるからといってニーズのすべてをエイドでカバーしませんが、ギャプは自分で工面してください・・というやり方です。例をあげれば、授業料は$40,000で、ファイナンシャルニーズは$30,000あると判断しますが、$15,000だけエイドを出すので、ニーズを超えた授業料部分の$10,000と、ニーズのうちエイドでカバーしない$15,000の合計$25,000は自分で負担してね・・というような具合です。せっかくのNeed blindも金銭的に立ち行かないなら意味がありません。

反対に、Need awareでファイナンシャルニーズの有無は合否にある程度関係するものの、いったん合格すればある程度豊かにニーズを満たしてくれる大学もあります。GPAやテストスコアがその大学の合格者データの上位25%とか20%とかに入っていれば、多少ファイナンシャルニーズが高くとも合格することができ、優先的にファインシャルエイドや学費ディスカウントを受けられるという場合もあるでしょう。合格できそうかということだけでなく、その後の学費工面の現実性も視野に入れて受験することが望ましいです。

付け加えますが、アメリカからの学生(市民・グリーンカード保持者)にはNeed blindポリシーをとっていても、インターナショナルの学生にはNeed awareである大学がほとんどです。そのうえ、インターナショナル学生に対するファインシャルエイドは、非常に限られている場合が多いものです。しかしながら、インターナショナル学生に対してもNeed blindであり、その上アメリカからの学生とまったく同様に100%ファインシャルニーズを満たすポリシーの大学が6つあります。Massachusetts Institute of Technology (MIT)、Harvard University、Princeton University 、Yale University 、Dartmouth College 、Amherst Collegeです

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