大陸横断の引越しBefore&After - 家の値段くらべ

2009年に東海岸から西海岸に引越しをした我が家。主人に転職の話があったのはその2年ほど前。ロサンゼルスと聞いただけで、家族全員渋い顔。子どもたちの反対理由はそれぞれですが、わたしは生活環境が180度変わることが怖かったんだと思います。もともと都会は苦手なほうだし、なにせ家があまりにも高いじゃないの!あんなとこ住むとこじゃない!というのがわたしの反応。結局、来ちゃいましたが。。。今回は、家の値段に焦点をおき、数的データを使って引越しBefore and Afterを比較してみます。

9年間住んだバージニア州のシャーロッツビルという街は、緑うつくしいカレッジ・タウンです。大きな町ではないけれど、そこそこカルチャーもあって安全で住みやすいところでした。郊外に行くとお金持ちがおおきなマンションやファームを持っているようなところで、女優のシシー・スペイセックや作家のジョン・グリシャムなんかも住んでいます。

そして今住んでいるカリフォルニア州のトーランスという街はロサンゼルス郡のサウスベイという地域にあって、中流クラスが多い比較的安全な街です。来る前は知らなかったけれど、ロサンゼルス郡はとても大きく、その中にたくさん市があって、トーランスもそのうちのひとつ。ここはロサンゼルスの郊外というのでしょう、ものすごい都会という雰囲気ではありません。日本人が多く、東京24区とも呼ばれています。

では、さっそく比較といきましょう。下のテーブルで左のコラムがシャーロッツビルで住んでいた我が家。現在の市場価格は$449,000。実際は、1年前にこれより少し低い額で売りました(これには長い苦労話がありますが、それはまた今度)。右のコラムは、それと同じくらいの値段で買えるトーランスの家です。そもそもこの価格帯で売りに出ている家自体そんなに多くない(もっと高い家が多い)のですが、とにかく売りに出ていた数件のうちの1件がこれ。田舎と都会の比較なので敷地面積は目をつぶるとしても、家の大きさは2分の1以下。そして気になるのは建築年。1990年対1926年ですよ!この家に限らず(それでも、1926年はなかなかレコードものとは思いますが)このあたりの家は古いのです。1950年から1960年ぐらいに建てられたものが最も多いような気がしますが。わたしより年寄りの家がふつうです。気候がいいし、台風もハリケーンもトルネードも来ないから長持ちするのでしょうね。でも、地震がきたらひとたまりもないような。。。

同じくらいの値段で買えそうな家くらべ

 Charlottesville, VATorrance, CA
市場価格 (Oct.2011, zillow.com)$449,000$484,500
ベットルーム/バスルーム4BR/3Bath3BR/2Bath
延床面積3,173 sq feet1,296 sq feet
敷地面積114,998 sq feet5,249 sq feet
建築年19901926

あなたならどうします。この現実(しかもこの現実は2010年の現実です。わたしたちが引越すかどうか頭を悩ましていたのは2007年から2008年のまだまだバブリーなときで、トーランスの家はもっと高かったのです…)を突きつけられたら引越しするでしょうか?

ま、我が家の個別ケースはこれくらいにしておいて、もうちょっとマクロな比較にうつりましょうか。下の表は、シャーロッツビルのあるアルバマーレ郡と現在のトーランスの比較表です。なぜ(シャーロッツビルでなく)アルバマーレ郡 vs トラーンス市の対照にしたかといいますと、シャローッツビル市というのはとても限られたインナーシティー地区で、ふつうは周辺地域を含めたグレーター・シャーロッツビル・エリア(ほぼアルバマーレ郡と同義)を「シャーロッツビル」と呼ぶからです。比較をするには規模的にもこの比較のほうが妥当だと判断しました。

家はどのくらいAffordableか(1) - 世帯収入と家の価格

 Albemarle County, VATorrance, CA
世帯収入メジアン
(2009,City-Data.com)
$63,474$74,550
家の価格メジアン
(2009,City-Data.com)
$337,700$619,300
家の価格÷メジアン世帯収入メジアン=Median Multipleとよぶ

5.228.31

びっくりするのは世帯収入メジアン(メジアンは、統計で、最低値から最高値まで順番に並べた場合の真ん中の数値)がアルバマーレ郡の$63,474に対し、トーランスでは$74,550とそんなにビッグな差がないのに、家の価格メジアンは$337,700対$619,300と非常に大きな差があることです。ここでAnnual Demographia International Housing Affordability Surveyという調査をご紹介します。これは、US, UK, Canada, Australia, Ireland and New Zealandの6カ国265都市をカバーする住宅のaffordability(「購入しやすさの目安」とでも訳しましょうか)についての調査で、ワールド・バンクや国連からも推薦を受けているといいますから、かなり信頼できるものと思われます。

5th Annual Demographia International Housing Affordability Survey

 家の価格メジアン÷世帯収入メジアン
= Median Multiple
Severely Unaffordable5.1 and more
Seriously Unaffordable4.1 - 5.0
Moderately Unaffordable3.1 - 4.0
Affordable3.0 or less

「収入の3倍が買える家の価格」(不動産バブルの間は死語だったけれども…)といいますが、この調査を見てもそれがおわかりいただけるでしょう。このMedian Multipleとよばれている家の価格メジアン÷世帯収入メジアンの数字が、3以下であれば「家がAffordable」であるということです。この数字は、アルバマーレ郡で5.22、トーランスで8.31ですから、どちらもSeverly Unaffordable、つまり非常に家が購入しにくいということですね。しかしながら、トーランスの8.31はかなりひどい。しかしこれが、バブルの頃は10近くまでいったわけなので、これでも下がったほうなのですが。家の値段ということだけに注目すれば、このうえなく住みにくいところということになります。

もうひとつだけ、Affordabiliyの計算サイトをご紹介しましょう。それは、Money.comのAffordabaility Calculatorです。このCalculatorを使い、それぞれの世帯収入メジアンで、どのくらいの家を購入することができるか計算してみました。

 Albemarle County, VATorrance, CA
下限値
(比較的無理なく購入できる家の値段)
$253,431$309,779
上限値
(かなり無理をして購入する家の値段)
$308,828$374,843

頭金は20%、モーゲージ利子は4%、プロパティー・タックスと家の保険はデフォルトででてきた$3,500と$481を使いました。こちらのCalculatorは、入力された収入に対し、モーゲージ・レンダー(住宅ローン会社)がどのくらいなら貸すかという借金サイドに焦点をあてて購入額を算出しています。下限値は、負債の額や月々の返済額がかなり安全なレベルに抑えられている場合で、比較的無理なく購入できる家の値段、反対に上限値は、これらの額が許容範囲ギリギリまでつり上げられた場合で、かなり無理をして購入する家の値段です。注目したいのは、トーランスでは、実際の家の価格のメジアンが、負債・返済許容範囲で買える価格帯の2倍近いということです。わたしの目にはこれはだた異常としか写らないのですが、でも今やその世界の中に自分は住んでいるわけでして、異常と日常の間をさまよって生活しているわけです。ところで、家は買ったかって?い~え。結局、どうやっても買えず(金銭的にも、精神的にも)、まだ借家住まいです。トホホ…

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2 comments

  1. こんにちは。私は以前Torranceに20年間住んでおりましたので、興味深く読ませていただきました。2009年にワシントン州に引越し、今住んでいる家は、もしTorranceにあったら$1ミリオン以上はすると思われる家を、$390Kで買いました。Torranceで所有していた家の売却価格の約60%の価格で、居住面積も敷地面積も2倍、築年は1953年から2004年と、格段に新しい家を購入でき、山や木や清流に囲まれ、四季がありと、Quality of Lifeも格段に向上した気がしますが、そちらに住んでいたときは、井の中の蛙というか、住めば都というか、こんな場所があることは考えてみなかったのですから、不思議です。これからも、読ませていただきます。 田口

    1. 本当にそうですね。うちはまだ、買う家を探しているのですが、そろそろ疲れてきました。どうしてもここTorranceのマーケットと自分たちの求めるものとの間に乖離があって、埋めがたいのです。都会に引っ越してきたので、あきらめねばならないことがたくさんあるのはわかっていますが、「狭くて、隣が近くて、古くて・・・」という家に、とてもそんなお金は出したくないと思ってしまうのです。カリフォルニアはいいところとみんな言いますが、Quality of Lifeという面では決して恵まれたところではないかもしれませんね。いつか私もまた緑にかこまれた芝生の美しいところに引っ越したいです。

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