カリフォルニアに愛想をつかす人々

ぬけるような青い空に緑のパームツリー。太陽がさんさんと降り注ぐビーチにゴージャスなコーストライン。なんとも開放的な空気に無限のレジャースポット。一年中Tシャツと短パン、サングラスの生活。どこの国の食べ物だろうがすぐ手に入る環境。確かにカリフォルニアはいいところです。でも、最近そんなカリフォルニを後に他州に移住する人が増えています。CoreLogicの調べによると、他州からカリフォルニアにやってきて家を買う世帯の3倍の数の世帯がカリフォルニアの家を売って他州に出ていくのだそうです。

 

夢の州カリフォルニアの生活はかなりお金のかかるものです。金銭的にもリーゾナルブで質のよい生活を目指して、州外へ移住する人は後をたちません。過去10年で5百万人の人がカリフォルニアを後にしたそうで、この傾向は加速しているとのことです。移住先は、テキサスを筆頭に、アリゾナやネバダなどです。平均額で話をすれば、カリフォルニアの家を$495,500で売り、より新しく大きな家を移住先で$315,000で買うというイメージだそうで。

 

家の値段

まず移住を決める要因であろうと想像される第一位は家の値段。家の値段はいわずもがな、カリフォルニアの中でも地域によって大きな差があります。Zillowによれば、カリフォルニアで最も所得の低いLake Countyでの2ベットルームの家の売値メジアン(高いほうから低いほうに並べたときの中央値)は$158,000、最も所得の高いSanta Clara Countyのそれは$641,000です。高いほうを見るときりがない数字です。カリフォルニアの家のびっくりするところは、高い家だからといって必ずしも「高そうな」家ではないこと。たとえば$1ミリオンの家をとった場合、他の場所ならかなりの広さにわりと新しい、あるいは多少古くてもきれいに改装した家で、キッチンやバスルームの水回りも美しい状態の家を想像するかもしれませんが、カリフォルニアの都市部ではそうではありません。古くて改装もしていないようなふつ~の(いってみればボロ)家が$1ミリオンということはよくあります。全米のもっとも高額な不動産市場トップ5のうち4つはカリフォルニアにあります。

レントはというと、myapartmentmap.comによれば、1ベットルームの平均レントで、アメリカ全国平均が$983に対しカリフォルニア平均は1.6倍の$1,596、2ベットルームで全国平均$1,204に対しカリフォルニア平均は1.7倍の$2,065、3ベットルームで全国平均$1,519に対しカリフォルニア平均は1.7倍の$2,657です。

生活コストの大きな割合を占める家の費用がこのように全国平均を大きく上回る割には、収入はそれに見合って高くはありません。収入の全国でのメジアン$53,000強であるのに対し、カリフォルニアのメジアンは$61,000強と、1.15倍にすぎません。収入の平均値(アベレージ)で見ても、全国平均は$28,000強、カリフォルニア平均は$30,000弱と1.07倍です。富裕層はこのような数字の世界とは無縁ですが、地道に稼いで地道に生活しているミドルクラスには、カリフォルニアは決して住みやすいところではないといえます。

 

税金

カリフォルニア州の所得税の最高税率は12.3%。スーパーリッチはこれにさらに1%の上乗せがあり、13.3%を払います。たとえば例を見てみましょう。年収$100,000でMarried Filing Jointlyの場合、カリフォルニアなら所得税は8%ですが、ネバダ、テキサスなら所得税はなし、アリゾナなら3.30%です。

消費税もばかになりません。ベース税率は7.5%ですが、ここにカウンティやシティがローカル税を加えます。平均では、ベースにローカル税を合わせた消費税トータルは8.48%。高いほうではロサンゼルスカウンティの中では合計10%ということもあります。これは全米でも最悪から10位で、ちなみに消費税一位はテネシーの9.46%で、反対に消費税がないのはオレゴン、ニューハンプシャー、モンタナはゼロ。

 

唯一税率が全国平均より低いのはプロパティタックス(固定資産税)で、カリフォルニア州平均が0.813%。全国平均は1.192%なので、0.4%弱低いですが、ただ、カリフォルニアの不動産はほかの地区に比べてそもそもべらぼうに高いので、結局不動産価値xプロパティタックス税率で決まる固定資産税の絶対額は決して全国平均以下ではないでしょう。

所得税、消費税、固定資産税を全部ひっくるめて、州民ひとりあたりが負担している州税平均値のデータがあります。Wallethubの調べで、Cost of Living(物価)のばらつきも考慮にいれたうえで、どの州がもっとも州税の負担が大きいかというとニューヨーク(メディアン収入世帯で年間$9,432負担)、コネティカット(メディアン収入世帯で$10,131負担)が一位と二位でした。その後ハワイがはいり、またロードアイランド、ニュージャージー、マサチューセッツなど東海岸都市が続き、カリフォルニアは実は33位(悪いほうから数えて)で、メディアン収入世帯で$6,803の負担でした。東海岸の州に比べると総合税負担は低いものの、移住先ととして人気があるネバダは$4.028、アリゾナは$4,874、テキサスは$5,122よりは大きい負担でした。

 

教育

カリフォルニアの学生ひとりあたりに捻出するコストは$9,220で、ニューヨークの$19,818、アラスカの$18,175、ワシントンDCの$17,953などと比べると半分ほどです。カリフォルニアのクラスサイズは先生ひとりにつき21.5人で全国平均の15人を大きく上回っています(2013年データ)。バーモントやニュージャージなどの10人強の2倍以上です。

個人的な感想になりますが、バージニアからカリフォルニアに引っ越してきて、公立学校の質の差を非常に感じました。引っ越し先はカリフォルニアでも比較的よいとされる学校区ですが、それでも建物は掘っ立て小屋のようだし、図書室の本なども天国と地獄ほどの差、バージニアでは美術室や音楽室などすばらしい設備がありましたが、カリフォルニアではアートの先生などおらず、親がボランティアで教えます。GiftedやESOLなどのプログラムも雲泥の差です。もちろんスクールバスはなし。本当に同じ国かと思うほどでした。

アジア人が多い地区では親がお金を出して塾に通わせるので、学校のテストスコアはよく教育レベルは決して低いとはいいませんが、公立学校自体の教育の質は決して高いものではないように思います。反対にいえば、私立に通わせることができる富裕層や、公立でもそれ以外に塾に通わせたりチューターをつけたりできる経済力があるならよいが、そうでなければ公立学校だけの教育では決してすばらしい教育が確保できるとはいえません。そもそもお金がなければ、よい学校区の家を買うこともできないわけで、それはそれで別の問題でもあります。以下、アメリカの公立教育システムの質に関する調査の結果です。

Overall Rank State Total Score ‘School-System Quality’ Rank ‘School-System Safety’ Rank
1 Massachusetts 73.65 1 1
2 New Jersey 69.13 3 3
3 Connecticut 65.47 2 20
4 Vermont 64.75 5 9
5 Wisconsin 64.24 7 2
6 New Hampshire 63.12 4 25
7 Virginia 62.95 6 13
8 Maine 60.45 8 16
9 Delaware 59.76 16 5
10 Minnesota 59.60 10 19
11 Iowa 57.50 12 38
12 Indiana 57.38 9 41
13 Illinois 57.31 14 22
14 Florida 56.00 21 8
15 Nebraska 55.88 11 40
16 Maryland 55.68 13 36
17 Kentucky 55.50 15 30
18 Utah 55.01 27 4
19 North Carolina 54.57 24 11
20 Kansas 54.13 20 14
21 Texas 53.83 26 10
22 North Dakota 53.34 17 42
23 Colorado 53.06 18 49
24 Montana 52.99 19 32
25 New York 51.61 32 15
26 Washington 51.11 30 12
27 Oklahoma 51.09 36 7
28 Rhode Island 51.08 31 21
29 Wyoming 51.00 22 34
30 Pennsylvania 50.74 28 28
31 Ohio 50.65 25 44
32 Missouri 49.38 29 39
33 Idaho 47.16 34 31
34 Michigan 46.67 35 29
35 Georgia 46.17 39 23
36 Tennessee 45.84 33 43
37 South Carolina 45.72 40 18
38 Arkansas 45.65 23 50
39 Hawaii 45.44 42 6
40 California 45.34 38 35
41 South Dakota 43.55 37 48
42 Alabama 39.85 41 47
43 Oregon 39.65 43 46
44 Nevada 38.02 48 17
45 West Virginia 37.73 44 37
46 Mississippi 36.63 46 26
47 District of Columbia 35.10 50 24
48 Arizona 35.03 47 33
49 Alaska 34.36 45 45
50 New Mexico 33.30 51 27
51 Louisiana 30.33 49 51

 

Source: WalletHub

ほかにもスモッグ、地震、山火事、干ばつなど要因はいろいろあるでしょうが、とにもかくにも「夢のカリフォルニア」を後に他州へ旅立つ人かたくさんいるということです。

 

それでも、「あ~ここは天国。ここ以外の場所には絶対住めない~。。」という人もたくさんいるのも確かなことで、ある記事によると、そんなことをいう人は、1)どれだけお金がかかっても全然平気なスーパーリッチか、2)カリフォルニアしか知らないので他の場所にどのようなオプションがあるか全く無知なお人よしか、3)あるいは30年前の不動産が安い時に家を買ったのでモーゲージなし+低固定資産税でらくらくら暮らせている老人か、4)あるいはカリフォルニアを満喫するあまり金銭的なことには無頓着な若者か、どれかにあてはまるはずだ・・・と書いていましたが、うん、なんとなくうなづいてしまいます。。

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4 responses to “カリフォルニアに愛想をつかす人々”

  1. いつも楽しく読ませて頂いています。我が家にとってとてもホットな話題なので、ついコメントしています。南CAに住んでいますが、生活費の高さから他州への移住を考えている者です。家を買った友人も「モーゲージは収入の1/3を優に超えている」と言っています。日本食もあって(重要!)お天気もよくて、住むには最高の土地なんですが。。他州のZillowを見ては夫と「同じような家が南CAの半額!」なんて話していました。教育ランクについてはこの記事で初めて知りました。いつか子どもを持った時のことを考えると、身軽な今のうちに他州へ移って生活の基盤を作った方がいいのかも。。との思いがますます強くなりますね。

  2. こんにちは
    自分はカリフォルニアのソノマカウンティー、ペタルマに住んでます。サブプライム後の金利最低の時にコンドを購入しました。もちろんローンも払ってまして、固定資産税は年々少しづつ高くなってきてて、今日のお話を読んで、考えてしまいました。自分の配偶者は、地元暮らしが長く20年以上はペタルマから出たことがないので、コンドを探すときもペタルマでというのが第一条件でした。だから古い物件で色々手直しが必要なところが出てきたりしてますけど、愛着も出てきて、売ってしまうのもかなりの決断と思ったり。。。アメリカの方のように家を投資の一種として買ったのではなく、一般的な日本の方のように終の住処のような感じで買ったので、でもそういった将来の税金のこととか考えると、やっぱりもっと安いところに引っ越しした方がいいのかなとも思ったり。。。でも仕事のこともあるし。。なかなか難しいところですね。。。

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