マネー管理のミステイク その3

パーソナルファイナンスでありがちな問題点をまとめた「マネー管理のミステイク」シリーズを、4回に分けてお届けします。今、収支がキリキリでうまくお金が回っていないという場合もあれば、今はなんとかなっているが将来これでいいのか不安ということもあるでしょう。また、お金はないことはないが、管理はこのままでいいのか疑問がある方もあるでしょう。マネー管理はなんとかできていると思っているが、いったい見落としている点はないのかという心配もあるかもしれません。全24項目のチェックポイントを4回に分けてお届けします。

悪い負債を引きずること

負債にはいい負債と悪い負債があり、いい負債は条件のよい負債、反対に悪い負債は条件の悪い負債です。条件のいい・悪いを見極めるにはいろいろな要素がありますが、もっとも簡単な見分け方は利子を見ることです。往々にして利子が低い負債は、他の支払い条件も借り手に有利なものが多く、利子が高い負債は、他の条件も劣悪な場合が多いからです。ただし、この利子は「最初の12ヶ月ゼロ金利」などというようなキャンペーン的なものは除きます。あくまで長期的に固定(あるいは固定に近い)の金利を見ることです。

利子の高低は、他で投資をした場合に得られるであろう保守的な利回りと比べて判断するとよいでしょう。たとえば、IRAでインデックスファンドに投資しており、長期的にみてコンサバに見積もっても5%は利回りが得られるだろうと推測できるなら、4%で借りられるモーゲジローンは「よい負債」と判断できます。低い利子で借りて高い利回りを得ることができるからです。反対に、利子が21%のクレジットカードローンは劣悪な負債です。高い利子を払いつつ、それよりずっと低い利回りしか得られない投資をすることはばからしいことです。

これを基準に悪い負債は一切ないのが理想です。ただ人生いろいろありますから、たとえば一時的にホームエクイティローンを使い、金利が6%だというような場合もあるでしょう。このようなボーダーラインの場合はあせることはありませんが、できるだけ早く返済できるよう計画を持つのがよいでしょう。悪い負債のマネージメントを怠り、本来なら避けるべき利子を長く課せられ続けるほど残念なことはありません。長引かせれば長引かせるほど、その影響は大きくなり返済が大変になります。悪い負債はできるだけ早く駆逐することが鉄則です。

最低限のエステートプランを怠ること

大きな財産がないからといってエステートプランを怠ってはなりません。銀行口座やリタイヤメント口座、家などが、自分の死後もらってほしい人に渡ることと、渡るときに無駄な費用や時間がかからずスムーズに委譲されることのために、必要な準備をしておくことです。とくに未成年(Minor)のお子さんを持つ場合には、お子さんの後見人はだれかをきちんと指定しておかないと、その判断を裁判所に任せるようなことになりかねません。

また、自分が自分の健康について把握し、必要な医療措置についての判断がもはやできなくなったとき、だれに判断を代わってもらいたいのか、延命治療は望むのかなどについても指定しておくことが賢明です。同様に、自分で自分の金融財産を管理できなくなったとき代わりに管理してくれる人を指定しておかないと、自分のお金なのに自分の医療費が払えないというようなことにもなり、回りの家族が大変な状況に置かれることもあります。お金がある、ないにかかわらず最低限のエステートプラニングはしておくことが必要です。

必要な保険を持っていないこと

どんな保険がどのくらい必要かは、人それぞれ違います。人と比べてあの人と同じくらい保険を持っていればいいだろうとか、世間で人気のある保険を買っておけばいいだろうというのは間違いです。薦められるままに保険を買ったが、計算や吟味をきちんとしたわけではないので実は足りなかった、用を足さなかったということもよくあることです。

自動車保険などは、若いうちには保険料を節約したくて最低限の補償の保険を選ぶこともよくあるでしょう。しかし、結婚したり収入や財産が増え、守るべきものが増えてた場合には、補償もそれに応じて増やさねばなりません。医療保険も、有利そうに見えたHigh Deductibleプランを選んだが、実際に大病をした場合は十分な補償が得られず、大きな負債を抱えることになったというようなことでは困ります。

また、よく見過ごされる保険に所得保障保険があります。死亡した場合には生命保険が降りますが、怪我や病気などで一時的に働けなくなって月々の所得が完全に途絶えた場合、復活できるまでの間、蓄えだけで全部カバーできない場合もあります。考えすぎて思い煩いすぎるのはよくありませんが、ある程度のケースは想定して必要だと思われる保険はきちんと買っておくことです。

保険を買いすぎること

保険はなぜ必要かというとリスクがあるからです。一家の大黒柱が亡くなれば、残された家族は生活が成り立たないというリスクがあるので、そのリスクに対応するために生命保険を買います。もし残された家族には、祖父母から残された大きな財産があるので、大黒柱がなくなっても金銭的には心配がないというのであれば、リスクはないので生命保険は必要ありません。あるいは、一人暮らしで、その方が亡くなっても悲しむ人こそ多かれど、金銭的に困る人はいないというのであれば、これまた生命保険は要りません。また、子どもが小さかったころに必要だった生命保険は、子どもが自立し夫婦ふたりだけになったとき、もはや必要ないかもしれません。

ある保険ですでにカバーされているリスクを、再度カバーするために他の保険を買うことも必要ありません。よい医療保険を持っているので怪我などはきちんとカバーされるのに、自動車保険の医療カバレッジはつける必要がありません。保険はリスクマネージメントのツールです。マネージすべきリスクがないのに保険を買うことは、無駄遣いです。

投資アカウントをチェックしすぎること

リタイヤメントや学資などのための投資アカウント口座の残高をチェックしすぎることは危険です。あなたがデイトレーディングを専門にしており、つねに投資の売り買いをして利ざやを稼ぐことを目的にしておられるなら別ですが、普通の長期投資家であるならば、市場のニュースや経済動向などを追いすぎるのはかえって危険です。

株式市場は好調になったり不調になったり、値が上がったり下がったりを繰り返し、それを逐次追っていれば、気分もハッピーになったり不安になったり、もっと買おうと思ったり、売ってしまおうと思ったり、さまざまな精神作用を生み出します。この精神作用が危険なのです。買うべきでないのに買ってしまったり、売るべきでないのに売ってしまったりというミスにつながります。長期投資計画を練ってはじめた投資は、たまに適度にチェックするのがよいのです。

投資アカウントをまったくチェックしないこと

反対に、まったくチェックせず放ったらかしもいけません。当初の投資計画で掲げたゴールに着実に近づいているか、計画を作成したときに立てた前提は現実の状況とかけ離れていないか、投資の積み立てやリバランスは計画通りに進んでいるか、ファンドの手数料が上がったりしていないかなどを1年に1回くらいはチェックすることは必要です。

ただ、これも「ゆるやかになんとなく」チェックすることが必要です。そのときの市場の状況で残高も影響されるでしょうから、「だいたい計画どおりにいっている」という確認で十分です。計画の修正が必要と思われる場合は、どのように対応すればよいかをよく考えて行います。

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