Muni (地方債)への投資

Muniってお聞きになったことありますか?正式にはMunicipal Bond、日本語にすると地方債というものです。地方債は、株投資よりもリスクの低い債券投資であるうえに、利回りが連邦税非課税となるうえ、あわよくば地方税もまぬがれられるという特典もあり、安全志向型&節税志向型の方に受け入れられやすい投資媒体です。だからといって、株はやめて全部地方債にしてしまおう・・というのはあまりにも短絡的な投資法です。今日は、Muniの活用のポイントを見ていきます。

Muniとは

Muniと呼ばれる地方債は、州や市などの地方政府が発行する債券で、学校や道路などの設備、病院、公的施設などの資金を集めるために発行されるものです。債券の返済期間は、数か月から20年、30年、まれにはそれより長いものもあります。通常、決められた利子が決められたインターバルで支払われ、返済期間の最後に元本が返済されるというのがふつうです。

Muniは、地方政府が債券を発行する時点で購入することもできますし、いったん発行された債券を他の投資者やブローカーから二次的に購入することもできます。債券の質を決める要素には、下のようなものがあります。

  • 期間:何年債か
  • クーポン:返済期間に一定間隔で支払われる固定利子
  • イールド:一定間隔で支払われる固定利子に加え、債券購入時に支払った投資額、債券を売るときあるいは債券決済時に受けとる回収額とを総合して計算した、利回り。クーポンは債券発行時に決められた固定利子であるのに対し、イールドは投資額・回収額も考慮にいれて計算された利回り。
  • クレジット・レイティング:発行地方政府の財政的信用度
  • 返済のための資金源: General Obligation Bond(地方政府の一般税収入から返済される。もっとも安全度の高い債券)、Revenue Bond(その債権発行による資金が使われた特定のプロジェクトからの収入から返済)、Assessment Bond(プロパティ税など、指定タイプの税収入から返済)
  • 優先度: Senior Debt(税収入のうちで優先順位が高く返済される債券)、Subordinate Debt(優先順位の高い債券の返済が確保されてから、返済される債券)

 

Muniの利点

利回りの非課税

Muniの注目される利点としては、まずは利子の非課税があげられます。連邦税は非課税。また、発行州や発行市に住んでいる場合は、収税、市税も非課税になります。この特典は、タックスブラケットの高い人、つまり高額所得者ほど有利に働きます。$100の利子を手にした場合、15%のタックスブラケットの人には$15の節税になりますが、33%のタックスブラケットの人には$33の節税となります。地方税も合わせれれば、これ以上の節税になります。

個別債に投資していれば、利子を定期的に受け取り、これらが非課税ということになります。一方、債券ファンドに投資しているのなら、非課税で受け取った利子はファンド内で再投資され、投資元本を効率的に増やしていく効果が得られます。いわば、401(k)やIRAの中で投資するのと同じ効果が得られるわけで、ポートフォリオ運用では、株式やREITなど利回りが通常は課税対象であるものは、401(k)やIRAを通して投資することで利回りの税遅延効果を活用しつつ、そもそも利回りが非課税であるMuni投資は401(k)やIRAの外で追加投資していくという方法がよく使われます(注: これはあくまで401(k)やIRAの最大投資限度まで株投資を行い、それを超えてまだ投資資金がある場合に、Muni投資を401(k)やIRA外で追加で行うということです。もしも投資したい額が401(k)やIRAの限度額内であるならば、それら口座のうちでMuniに投資することももちろん問題ありません。)

低リスク

債券は株に比べてリスクが低いという点もあります。株のように約束のない配当金やキャピタルゲインを待ち望む代わりに、定期的にいくらいくら支払いますという利率(クーポン率)が表示されているのと、期間の最後にはちゃんと全額返金しますという約束があるからです。債券の中でも、一般的には社債より、地方政府がバックにある地方債のほうが安全といえます。株式市場のアップダウンを避けたいのであれば、よい選択といえます。

換金しやすさ

また、お金が必要になったときには換金が簡単ということも利点です。一度発行された地方債は、市場で売り買いされているので、必要に応じて売ることができます。株式のように値動きが激しくないので、いつ換金してもある程度安定した売値を確保できるという利点もあります。

Muniの売り文句では以上の利点が強調されますが、その裏には注意しなければならない点もあります。

 

Muniの注意点

インフレに追いつかない

まずは、長期的に持つ場合、インフレに追いついていかない可能性があるということです。株式の場合は、インフレ率が上がって景気が上がり企業成績もよくなれば、その分配当金や株の値動きにもポジティブな影響があり、インフレに見合った利回りが予想できますが、債券の場合は、利率(クーポン率)が固定されているので、インフレに応じて利回りが上向きになるということはありません。債券ファンドには、Inflation Protected Bond Fundなどのように、インフレ対応が組み込まれたファンドに投資をすれば、このリスクは最小化されます。

非課税といえども

また「利回りの非課税」ということに飛びつくのは危険です。先に申し上げた通り非課税の効能は、ご自分のタックスブラケットによります。たとえば、非課税のMuniのクーポン率が4.1%で、似たようなリスクレベルの社債のそれ5.5%だったとしましょう。タックスブラケットが25%だったとすると、社債の課税後の利回りは5.5%x(1-0.25%)=4.125%となり、非課税のMuniの4.1%よりよい利回りになります。また、そもそも401(k)などの税遅延優遇があるアカウント内で持つならば、社債の利回りも税遅延ですから、敢えてMuniにする理由もなくなるかもしれません。非課税というベネフィットがどのくらいあるのかはよく吟味する必要があります。

市場金利の動きに影響される

また、市場の利子が上がると、債券の値段は下がるということについても注意が必要です。これば、ここ何年かの低金利市場で、そのうち将来的に債券の値段が劇的に下がることになるのではないかと危惧が叫ばれた理由です。たとえば4%のクーポン率の債券は、市場での金利が2%なら「好ましい」ものであり、債券自体の値打ちが上がりますが、市場の金利が上がって5%になったら、同じ4%のクーポン率は「好ましくない」ものになり債券の値段が下がります。値が下がること自体は、実際売らないのであれば気にする必要はありません。持ち続けて満期で全額返済を受ければ、その時々の債券の値がどうであったかは無意味だからです。ただ、途中で売らねばならないときは、その時々の市場価格での取引になりますから、そのときが金利が上がっているときであると、売ったときに損を抱えることになります。

イールドが大事

先に書いたように債券にはクーポン率とイールド率というふたつの利回り指標があります。クーポンは固定の利子であり、元金の何パーセントが利子として定期的に支払われるかの指標です。実際に定期的に受け取る額が知りたければクーポン率を見る必要がありますが、一方で、本当にこの投資がどれくらいの利回りを生んでいるのかを知りたければ、イールド率を見る必要があります。本当の利回りというのは、最初に投資した額、定期的に受け取る額、最後に回収する額の総合で決まるからです。このイールド率というのはなかなかわかりにくい概念でもあり、ここのところを押さえておかないと、「よい投資だと思っていたのに、本当はそうではなかった」ということにもなりかねません。

換金は考えているほど簡単ではないかも

また、Muniの売り買いには隠れた手数料があることも注意点です。この点は案外知られていいないようですが、Muniの売り買いの場合には、通常のトレーディング手数料に加えて、仲介で入るブローカー(時には数段階のブローカーが介することもある)の手数料が値段の中に含まれおり、これは、売る側が受け取る値段と買う側が払う値段との差となって現れます。売値と買値の間には1~2%の開きがあり、ひどいともっと大きいこともあります。この開きは、別途課せられるトーレーディング手数料とは違い、売値、買値の中に含まれており見えにくいので、注意していないと非常に高い手数料を払っているということにもなり、せっかくの節税効果も薄れがちになりかねません。Muniの換金には注意が必要です。

 

お勧めの使い方

安全で節税効果があるからといって、飛びついてMuniを買うのはお勧めしません。短中期的に固定利子収入が必要であるとか、すでに老後の生活に入っており投資よりも利子収入先行で考えたいとか、近々必要なお金(家のダウンペイメントなど)のために計画的にに低リスクで運用したいなどという場合ならば、まとまった額でのMuniの活用は理にかなうかもしれません。そのような具体的な要因がないのであれば、Muniをはじめとする債券は、バランスのとれたポートフォリオ全体の中の有意義な一部として、よく吟味されたパーセンテージで持つべきです。

低リスクではありますが、Muniへの投資には、債券の質の吟味、イールド率や換金時の注意など気を付けなければならない事項もあり、個別Muniを選ぶことに経験や自信がない方は、Vangaurdなどの低手数料のMuni債券ファンドを利用するほうが得策でしょう。

 

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