処方箋を賢く買う

アメリカの医療費の高騰は近年に始まったものではなく、ずっと問題が叫ばれてきましたが、今医療サービスのみならず、処方箋コストの高騰が新たに問題となっています。2015年末に、Turingという薬品会社が、Daraprimというエイズ治療などに60年以上のもの間使われてきた薬を、一錠$13.50から一錠$750と、なんと55倍以上もの値上げをし、大問題にとりあげられたのを覚えておられる方もいらっしゃるでしょう。ブランド名のついた薬(ブランド薬)が高いのはよく知られたことですが、これに対して非ブランドであり比較的に安価とされるジェネリック薬であっても、最近では値段の上昇傾向が強いようです。2010年から2014年の間に、アメリカでもっともよく使われるトップ50位のジェネリック薬の平均価格は373%も上昇したというリサーチもあります(Kaiser Family Foundation調べ)。薬品業界では吸収合併が続き、現在では三大薬品会社がジェネリック市場の40%をコントロールしているのも大きな要因と言われています。そんな中、消費者である我々はどうすればよいのか。。。今日はその話です。

 

医療サービスを受けるだけでも、ネットワーク内だのネットワーク外だの、DeductibleだのCopayだの頭が狂いそうな面倒くささなのに、そのうえ薬のことまで!・・と叫びたくなりますが、でもこれがアメリカの現状です。自分の保険で、どの薬がどのようにカバーされるか、どういう買い方をすると節約できるか、どのような飲み方をするほうが安くあがるか。。。こんなことまで気を配らねばならない世界に私たちは生きています。

比較的健康なので今はあまり薬は飲まないで済んでいるという方でも、これから年老いて老後の生活になれば、だれでもある程度は薬に頼る部分が増えてきます。頭がまだ働くうちに、基本的なことを押さえておくとしましょうか。。

 

自分の保険をよく知っておく

我が家などおかげさまで健康なので、処方箋をもらって薬を購入するということ自体が今のところはあまりありません。たまに、処方箋をfillしなければならないと、すぐ近くのCVSに処方箋を持っていくか、あるいは、病院からCVSに電子処方を送ってもらい、保険がきいたあとのCopay$5とかを払っておしまいという感じです。ですので、医療サービスのほうの保険カバレッジはある程度頭に入っているものの、薬の保険カバレッジはあまり研究したことがありませんでした。薬がいくつかのtier(層)に分かれているのもなんとなく知っていましたが、tierのチャートなども見ることもありませんでした。

しかしながら、今後薬を飲むことが必要になったときには、このチャートやメールオーダーのしくみなども理解しておくことがどうやらとても重要なようです。

 

ブランド薬とジェネリック薬

ブランド薬とは、マーケティング上の商品名がつけられた、特許によってプロテクトされているもので、それを開発した会社しか作って売ることができない薬です。ジェネリック薬とは、処方量や形態、強さ、処方の仕方、質、効用、使用目的などにおいて、相当するブランド薬と同等である薬です。AdvilやMotrinはブランド薬ですが、IBUプロフェンはジェネリック薬ということになります。アメリカでは薬の特許は20年間有効とのことですが、実際は開発段階のクリニカル・トライアル以前から特許申請をするため、20年間のカウントはブランド薬が市場に出るはるか以前にはじまるそうで、結果的に実質的な特許期間は8年から12年くらいらしいです。その8年から12年が終わると、どの会社でもその薬を作ることができるようになり、それがジェネリック薬と呼ばれるものです。一般的に、競争激化のためジェネリック薬はブランド薬に比べて劇的に価格が低いものです。

保険会社もコストの安いジェネリック薬を使ってもらったほうがコスト削減になるので、多くの場合、下のような対照表を用意してその利用を促しています。下の図の場合は、左側がブランド薬、右側がそのジェネリック版あるいはブランド薬だけれどローコースト版ということになるようです。医者から処方箋をもらう時には、なるべくジェネリック薬を出してくれるようお願いするとともに、このようなチャートで自分で確認して、ピンポイントで「代わりにこの薬でもいいでしょうか?」と聞いてみるという姿勢も必要のようです。

drug name and generic

最近では、より高いブランド薬が保険でカバーされるためには、まずジェネリック薬、ブランド薬のローコスト版代替薬などを先に使ってみて、思った効果が表れなかったことを前提条件にする保険も多くみられるようです。低コストバージョンでは効果がなかった場合にのみ、はじめて高いブランド薬の処方のカバーが承認されるというしくみです。この場合は、医師と相談のうえ、システマティックに薬を試していき、効果を観察していくことが必要になります。

しかしながら、どうしてもブランド薬でなければならない場合もあるでしょう。私の友人がそうでしたが、ジェネリック薬に含まれる添加要素にアレルギー反応があって、どうしてもブランド薬でないと都合が悪いというような場合です。その場合は、保険会社によりまちまちでしょうか、”exception request”というような名前で呼ばれるリクエストを提出し、なぜ特定の薬でないと医療上問題があるかを説明し、特例を認めてもらうということもできます。また、もし一度denyされても、保険会社の内部審査や州の保険管轄部門などの外部審査が受けられるよう段階的にアピールすることもできますので、簡単にあきらめずできる手は打ってみることも必要です。

 

Tierの把握

処方された薬が、自分の保険ポリシーではどのtierに属するのかということも確認しておきたいことです。上の表では一番左のコラムにtierが明記されています。このtierですが、少し間前までは1~2tierというポリシーが多かったものの、最近では3tier、4tier、場合によってはそれ以上に分かれるものも増え複雑化しています。一般的にtierが上がれ上がるほど高価な薬であり、それにつれ個人負担も増える仕組みになっています。

たとえば下のポリシーだと、tier1=つまりLevel1 drugは主にジェネリック薬であり、この場合はCopayが$5、tier2=つまりLevel2 drugは主にブランド薬であり、この場合はCopayが$25、tier3=Level3 drugは(高コストなので)できればあまり使ってほしくない薬であり、この場合はCopayが$40という設定になっています。このポリシーはHMOでCopayの設定だけですので、持ち出し金額の差は$5、$25、$40という差のみになりますが、これがCoinsuranceが設定してあるポリシーであれば、高いtierの薬のCoinsurance%は大きくなり、そのうえ薬の単価も上がるので、自分の負担コストは劇的に増えるということにもなります。こういうわけで自分の薬がどのtierなのかは、対照表と保険カバー表をにらんで確認することが賢明ということになります。

drug tier

 

自分から提案する姿勢

親切なお医者さんであれば患者にとってのコスト負担も考慮に入れて処方箋を出してくれることもありますが、それでもそれぞれの薬の値段までよく知らない多いでしょう。また、それぞれの個人が入ってる保険の処方箋のカバー状態などは知る由もありません。あくまで患者が自分の保険をよく知ったうえで、医師に提案をしていくという姿勢が必要になります。

また、5mgを処方されたなら、10mgのピルで買ってピルカッターで二つに割って飲むという方法もあるかもしれません。医師との相談のうえ、治療を犠牲にせずコスト削減をする方法をさぐってみましょう。場合によっては、いくつかのべつべつに処方された薬をひとつの薬にまとめるということも可能な場合があるようです。いかにコストを下げつつ、必要な薬を取り続けるかに工夫する余地ありです。

また、複数の医師からの複数の処方が重なり結果としてたくさんの薬を飲んでいるような場合は、定期的に薬のリストの見直しということも必要だそうです。複数の薬で効能の重なる部分があったり、同時にはとらないほうがいいものもあったりするそうなので、定期的に見直して、本当に必要なものをなるべくコスト上も効率的にとるということを目指します。

 

メールオーダーを利用

継続的に飲む薬は、メールオーダーを使うことも大きな節約方法のようです。上のポリシーででは継続的に飲む薬=maintenance drugについては一覧表が良いされており、この一覧表にあるものについては、90日分まで一度にオーダーできるしくみなっています。保険会社のサイトから直接提携薬局にオーダーを出すこともできるようにオンライン上の機能が用意されていたりもします。一度のCopayを払えば90日分まとめて入手できるので、長期的にコストを抑えることができるというしくみです。

 

オンラインで値段を調べる

どこで買っても同じ薬なら値段は同じ・・ということはありません。医療サービスの値段が病院によってまちまちなように、薬の値段も買う場所によってまちまちです。最近ではOneRX.comなど、自分の保険の情報と住所と処方箋を入力すると、保険がきく場合は保険後の値段、きかない場合はそのままの値段をリストアップしてくれるサービスもあります。Dosage(mg量)やQuantity(服用数)などを変更して値段のシュミレーションをしてみることもできます。安い薬局を見つけるだけでなく、医師と話すときに必要となる情報を得ることもできます。

drung price comparison

 

カナディアン・サイトには注意を

私はよく知りませんでしたが、昨今ではカナダのオンライン薬品サイトから薬を購入するのが流行っているそうです。理由は、アメリカに比べてカナダのほうが値段が安いうえ、どこか遠い国ではなく、お隣のカナダから購入と聞けばなんとなく安心できるということらしいのですが、これが実は案外危険だったりするようです。

実はそもそもアメリカの消費者はアメリカ以外の国から医薬品を買うことはLegalではないらしいのですが、そのあたりFDAもある程度目をつぶっているようで、実際オンラインで他国から薬を購入する人は増えています。ただし、値段が安いのはよいけれど、実は薬自体の質がよくない、あるいは有害な物質が入っているなどといった事例も発生しています。一見安心のように見られるカナディアン・サイトの中にも、詐欺的なサイトも多々あるようで、注意が必要です。

オンライン・サイトで医薬品を購入する場合には、www.LegitScript.comなどで確認をするなどして、慎重にすることが賢明なようです。

drung legitimaacy

たとえば、ちょっと検索するとすぐ出てくるwww.canadadrugs.comというサイトを調べてみると、これはRogue(不正)サイトと出てきます。お気を付けを。

 

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