家の売買 - 不動産コミッションを考える(2)

2回に分けてお送りしている「不動産コミッションを考える」シリーズ、1回目は不動産コミッションの疑問点とそれに応答する形で登場した新型不動産サービスについてみてみました。今回は、それに対する市場の反応と、消費者としてできることについて考えて見ます。不動産ブローカー/エージェントに対し6%とか7%とかのコミッションを支払う従来型に対して疑問点が出始め、それとともにコミッションを一律$2,000などの定額制で課すもの、従来よりも低いパーセンテージにディスカウントしたもの、不動産取引にまつわるサービスのうち自分が必要なものだけ選択して委託することができるアラカルト対応のもの、買い手側のブローカーが自分のコミッションの一部を顧客にリベートで返還するタイプのものなど新型不動産サービスが登場しました。市場の反応はいかに・・

 

市場の反応は・・・

このような新型不動産サービスが登場しはじめて、実はすでに10年ほど経っています。しかしながら、新型サービスがすごい勢いで伸びを見せ、従来型コミッション制が消滅しつつある・・というような現象は実は起こっていません。トラベル予約に新風を吹き込んだExpediaやTravelocityが旅行業界を劇的に変えたのに比べると、不動産市場の変化はずっとスローだというのが多くの見方です。

その理由は、不動産売買が成り立つためにはふたりの不動産エージェントが協力せねばならないということにあるようです。旅行業界は、「買い手である消費者」と「売り手であるサービス提供者」という1対1の直接的な関係ですが、不動産業界の場合、買主と売り手の間に、それぞれの不動産ブローカー/エージェントという仲介者がはいるということがネックになり、なかなか「破壊」が起りにくいということのようです。不動産売買はそれをビジネスにしている人でない限り、一生涯のうちにそう何度もあるものではありません。そういう意味でなかなか「慣れ」がたまらず、つまり売り手・買主は素人です。売る・買うの最終的決断はもちろん売り手・買主にあるわけですが、どうしても経験のあるブローカー/エージェントの意見を頼りにします。

契約の成立にはブローカー/エージェント同士のコミュニケーションが必要です。先に書いたとおり、どんなに労力をつぎ込んでも契約が成立せねば利を得ることができないブローカーは、相手のブローカーとのやりやすさ、障害のなさ、従来どおりのやり方で通用するかどうかという点を重んじるでしょう。新型ブローカーは従来のブローカーとは違うビジネスのやり方をしたいたり、あるいは交渉自体を顧客がやる場合もあるわけで、新型ブローカーを使っている物件は従来型ブローカーにとっては「リスクの高い」ものであるわけです。従来型ブローカーは、新型ブローカーがリストしている物件がたとえ顧客の条件に合っていたとしても、リスク回避のあまり敢えて避けるかもしれません。このような理由で、新型ブローカーの進出は進んでいるものの、劇的なスピードで起こっているのではないようです。

 

少なくともできること・・

今度家を売るとき、買うとき、ぜひ新型ブローカーを使ってみようという方もいらっしゃるでしょう。反面で、やっぱり従来型のほうが安心できるという人もいらっしゃるでしょう。従来型を選ぶ場合、では6%なり7%なりの従来のコミッションを絶対支払わなければならないかというと、実はそうでもないようです。実のところ、6%なり7%なりのコミッションは単なる慣例上の目安であり、医療費でさえネゴがきくこのアメリカで、ネゴができないわけがありません。“Everything is negotiable.”とはよく言われるところ。最近では、新型ブローカーの登場で人々の意識が高まり、コミッションをネゴして下げることもよく試みられています。よって、新型ブローカーを使う勇気はいまいちなかったとしても、6%を鵜呑みにせずコスト削減の道はあるということです。

ネゴをするなら、できれば初めて不動産エージェントに会うインタビューで確認するのがよいようです。ブローカーとエージェントの契約によってはコミッションを下げることができない場合もあるようです。反対に、かなりフレキシブルに対応することができるエージェントもいるでしょう。いずれにせよ、ネゴはただの「安くして」というお願いではないので、「コレコレこういう理由でコミッションをちょっと下げてもらえませんか」というプロポーザルでなくてはなりません。ちょっと考えうる値下げの理由を考えて見ましょう。

 

家の値段が高い

ハイエンドの家はハイエンドの家なりのマーケティング・セールスの仕方があり、安い家よりはいろいろな意味でコスト高になることは十分考えられます。ある程度の差はいたしかたないものの、家一軒を売るのに$300,000x3%=$9,000と$1,500,000x3%=$45,000の手数料を差はあまりに大きすぎます。高い家ならば、1.5%でも十分な手数料かもしれません。パーセンテージで考えるのでなく、ドルの絶対額で十分なコミッションを確保するというスタンスで提案するのはどうでしょう。

 

Dual Agencyである

同じブローカー内で、売り手と買い手双方のエージェントいる場合(あるいは双方のエージェントが同一である場合も含む)をDual Agencyといいます。Dual Agencyは利害の対立関係にある双方を同一ブローカー(あるいはエージェント)が代理するわけで利害の相反があり、これを違法だとしている州もあります。合法な州でも、Disclosure(情報開示)の規則があります。利害の相反に関して注意が必要な反面、コミッションが全額同じブローカー内にとどまるという意味では、コミッションのネゴの可能性が高まります。Dual Agencyになった場合は、コミッションを下げてもらう余地があるか初めに確認しておくとよいでしょう。

 

すばやく売れる

在庫が少なく、競争の激しい不動産市場であれば、売りに出して1~2週間以内で服すオファーが入りすぐ売れるということも珍しくありません。すばやい売却は、必要なエージェントの仕事時間を減らしますから、コミッションが低くても当然ともいえます。ホットマーケットでのすばやい売却が予想されるのであれば、あらかじめ具体的にどのくらいの期間に売れた場合にどれくらいコミッションを減らすという条件を確認しておくとよいでしょう。

 

自分で家を見つける

オンラインサーチでオープンハウスを見つけ、自分で回って気に入った家を見つけオファーする場合、エージェントが物件をいくつも紹介し家まで案内し鍵をあけて家を見るのに付き合うという、ときには数ヶ月ときには一年近くかかる長い期間をスキップしてオファー段階に入ることを意味します。この時点でオファーからネゴ、クロージングまでを手伝ってくれるエージェントを見つける場合、「もう家は見つけたので、その後の部分をお願いしたいが、リベートとして戻してもらうことができるか」と聞いてみるのはよい案でしょう。不動産ブローカーの出すリベートは、アラバマ、アラスカ、カンザス、ルイジアナ、ミシシッピ、ミズーリ、オクラホマ、オレゴン、テネシー、アイオア、の10州では残念ながら違法ですが、その他の州では合法です。

 

自分でできることは自分でする

市場動向の分析、家の売値定め、写真撮影、フライヤー作り、買い手が家を見に来たとき鍵を開けて見せることなどの、本来ならばエージェントがやる仕事を部分的に引き受けることで、その分コミッションを下げてもらえないか聞いてみるのもよいでしょう。以前は、市場動向データや家の販売価格分析は、エージェントにコンタクトせねば入手ができませんでした。昨今では近隣の似たような条件の家がいくらで売れたかというデータは簡単にオンラインで入手できます。ですから、オンラインリサーチが不得意でなければ、自分で自分の家の値段を査定してこのくらいで売りたいというアイデアを固めることも十分可能です。また、デジタルフォトグラフィー技術が発達した今、素人の撮った写真もプロのとった写真とひけを取らないものになりつつあります。ちょっとしたソフトを使えば自分でもかなりクオリティのよいフライヤーを作ることも簡単でしょう。あからじめ何が自分でできるかを考え、エージェントとともに協力して働くというスタンスで提案してみるとよいでしょう。

 

Move upの場合

同じエリア内で家を売って、違う家に住み替えるとき、売却と購入に同じブローカー/エージェントを使うことでコミッションを下げてもらう提案をするのもありでしょう。同じ顧客に対して、売買のコミッションがダブルで入るわけですから、多少の流血も聞き入れてもらえる可能性が高いでしょう。

 

単に競争が激しい

不動産市場がホットで家のリスティング取りの競争が激しい場合には、ある程度コミッションを犠牲にしても顧客を獲得したいというエージェントもいるはずです。何人かインタビューし、サービスの質を確認するとともに、コミッションはいくらチャージするかの見積もりをとるとよいでしょう。

 

あくまで不動産エージェントは私たちのよき協力者であり助け手であるわけですから、本当に心から信頼できる有能なエージェントを選ぶことに焦点を当てるとともに、コミッションのネゴはビジネスライクに提案し、どのようなサービスが期待できるのかを確認して、お互いに気持ちのよい協力関係が築けるとよいですね。Good Luck!

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4 comments

  1. こんにちは。家を購入しようとここ数ヵ月物件を回っています。私たちの予算は州(NJ)の物件平均より低いので、中々希望に合う家を見つけられず、エージェントも何かにつけ予算の事を口にし、オファーも私たちの希望額よりいつも高くするよう助言されます。果たしてそれが正しい助言なのか、疑問を持ち始めて来ました。明日も物件を見に行き(気に入ってる家なので2回目の訪問)、その後恐らくオファーもする予定ですが、冬で市場が動きにくい中、少しでも自分達の納得のいく交渉にしたいと思っています。

    1. うまくいくといいですね!自分でも今はいろいろな情報が集められますから、自分たちで納得のいくオファーを出されればよいと思います。エージェントは顧客の利益を優先する”代理人”なわけですから、納得がいかないならエージェントのいうようにする必要はないと思います。

      1. うまくいきました!Sellerは物件を売りに出してからかなり経っていたので、カウンターオファーを打診されましたが、それでも私たちの提示した額よりのPurchase Priceになりました。家は1840年築なので、修理費を盛り込んだ203Kローンを組む予定です。まだスタートした所ですが、どのステップでも自分が(旦那ではなく)納得するよう努めますね!

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