リタイヤメントと海外移住

「老後の海外移住」という言葉があります。これは日本に住む人が使う言葉で、日本よりも生活費の低く暮らしやすい国に移住してリタイヤメント後の生活を送ることをいうのですが、アメリカにも同じようなコンセプトがあります。雑誌などでも”Best countries to retire”というようなタイトルの記事を見かけたりします。医療費や税金負担が重いアメリカでは、一生懸命貯めたリタイヤメント資金を、大切に使って老後の人生を楽しむために、より条件のよい国に生活のベースを移す決心をする人も増えているようです。

 

何が大事な要素・・・?

アメリカはデータを集めて比較するのはお手のものですから、各国でのリタイヤメント生活についての詳細な情報を集めて数値化し、比較リストを作る団体やメディアなどもたくさんあります。そこで考慮される情報というのは、まずは不動産。住む場所は、買うならまとまった初期投資が必要ですし、レントするなら月々払い続けるコストで、生活の主要要素です。まずは、質の高い不動産がなるべく安く手に入るかが考慮されます。

また、移住者への特典も注目したいところ。国によってはリタイヤメント後の移住者を対象に、飛行機代、電気・ガス・水道などの公共料金、レストランやエンターテイメントなどの娯楽関係の代金、ひいては固定資産税にいたるまで割引優遇措置を提供しているところがあります。

加えて、日常の生活費コストも重要ですね。食費や交通費なども含めたコストです。

そして、溶け込みやすさという視点も考慮します。これは、その国の人が(今話しているのはアメリカ人向けのリタイヤメント移住ですので)英語をどのくらい理解するか、海外からの移住者に対して現地の人はポジティブに見ているか、アメリカやその他の国からの移住者コミュニティーが存在し、人間関係で豊かな生活が送れるかということも考慮されます。

そしてもちろん医療の質です。質のよい医療サービスが受けられるということだけでなく、医療保険のシステムが使いやすく信頼できるものかも考慮されます。老後は、治療であれ検査であれ、誰でも医療サービスが必要になるフェーズです。とくにアメリカでは医療や保険においては苦労している人が多いですから、この点は移住先を選ぶうえで大きなポイントとなるでしょう。

また、豊かなリタイヤメント生活を送るために質の高い生活があるかも考慮されています。娯楽やエンターテイメント、文化的なアクティビティの機会や自然を楽しむ機会が提供されているかを考えます。

そして最後は天候です。これは案外主観的な要素でもありますが、一般的に晴れが多く暑すぎもせず寒すぎもせずという万人が好む天候がよしとされます。

 

アメリカ人の移住先

このような指標を考えつつ、アメリカ人(といっても、千差万別で、どういう人をアメリカ人と呼ぶのかわかりませんが。。)にとってのリタイヤメントに適した国はどこかを考えた場合、リストにはいつも中央・南アメリカ大陸の国が目立ちます。やはり自分の国の近くから考慮するというのは基本のようで、アメリカにいる家族や親戚のある程度近くにいられること、何かの折でアメリカに帰るときも交通の便のよいことなどが評価されるわけですね。

1位にあがることが多いのがエクアドル。不動産の安さ、生活コスト、天候で高いポイントをゲットしています。また、経済もここ15年ほど順調に伸び、アメリア各地への直行便があるのも魅力です。

パナマは移住者への特典と生活の質で高いポイントをゲットしています。$1,000以上の生涯年金(ソーシャルセキュリティー年金など)をもらっていることを証明すれば年金者ビザを発行してもらえるそうで、そのビザを持っていれば、医療費や娯楽、レストランや飛行機代など20%~50%の割引が受けられるという、とってもおいしい特典を享受できるそうです。

メキシコやコロンビアなども、押しなべてよいレイティングを受けています。

その後、マレーシアやフィリピン、カンボジアなどの東南アジアの国々や、スペイン、イタリア、ポルトガルなどのヨーロッパ諸国が続きます。

 

日本人にとっての移住先

では日本人にとっての海外移住先はどこがいいのかいいますと、アメリカ人向けでトップだった中・南アメリカ諸国に先立って、もっとも身近なアジア諸国が並びます。ただ、日本の場合、アメリカほどデータによる比較がなく、どちらかというと「老後に住みたい国ベスト10」のような主観的なリストになることが多いようですが、ランキングはこんなかんじ・・・

一位はマレーシア。首都クアラルンプールは日系企業も多く、日系スーパーもあり、不都合のない生活ができ、その上消費税はなく生活費はおよそ日本の半分くらいで済むとのこと。医療の面でも安心でき、アメリカ版の比較指標ではマレーシアの医療サービスはトップクラスをマークしています。

お次はタイです。タイも、同様に生活費の安さと日本の製品の手に入れやすさなどで住みやすい国とされています。タイはアメリカの指標でも生活の質で評価が高く、首都バンコクは日本並みの交通の便のよさ、チェンマイやパタヤ、プーケットなどは、それぞれの特色のあるリゾート生活が期待できます。

その後は、やはり同じような理由でフィリピンやインドネシアが続きます

 

アメリカ50州の中なら・・・

老後に国外に出て行くパワーはないが・・・という場合には、アメリカ国内でどの州がいいか・・という比較もあります。(まあいろいろな比較表がありますので、以下は一例ではありますが)

1位はワイオミング州。犯罪率の低さ、税金の安さ、気候のよさで高いポイントを得ています。2位はコロラド州で、気候と住民の満足度ではトップクラスのポイントです。3位はユタで、生活費の安さ、医療レベルと気候で高得点です。4位はアイダホ州、5位はバージニア州、その後はアイオワ州、モンタナ州、サウスダコタ州、アリゾナ州、ネブラスカ州と続き、大陸内部の比較的メトロポリタンではなく、どちらかというと北部寄りの州が多くなっています。

反対にワースト5位は、最下位からアーカンサス州、ニューヨーク州、アラスカ州、ウエストバージニア州、ルイジアナ州でした。これらの州は、生活費、住民の満足度、医療の質、税金、犯罪率、気候のどれにおいても押しなべてあまりよくない成績なので、総合的なランクも下げています。まあ、これは州レベルなので、ニューヨークのメトロポリンタンエリアと地方部をまとめて考えていいのかという意見もありますが。。

よく「いいところだ」とされがちなカリフォルニア州は、気候と住民の満足度では好成績ですが、それ以外のところが低すぎて全体的には31位という結果。医療サービスでは好成績のマサチューセッツ州は18位、住民の満足度では光り輝く1位のハワイ州は生活費が最下位の50位という両極端な成績で、総合では44位でした。

 

日本の都道府県なら・・

では、日本の都道府県ならというとどうでしょうか。以下は、データ比較というよりは「どこでリタイヤしたいか」という希望アンケートのようなものですが、1位は沖縄県、2位が東京都というのがよくあるパターンのようです。ゆったりリゾート派か、リタイヤしても文化と便利さを求める派かで分かれるようです。その後は、神奈川県、北海道、京都府、大阪府、静岡県などが入ります。

あなたはどこでリタイヤされるのでしょうか?

でも、きっとハッピーリタイヤメントに必要な要素は、これらの調査比較には反映されていないもっと大切なものがあるような気もします。それは次回、考えて見たいと思います。

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4 responses to “リタイヤメントと海外移住”

  1. 大変興味深い記事ですね。アメリカの人々が好む移住先と日本人に人気の移住先、それぞれなるほど、という感じですが、安全面はあまり重視されていないようですね。アメリカ国内の場合は犯罪率の低さが問われるようですが。
    わたしたち夫婦も東南アジアが好きなので、タイに住めたら、なんて思ったこともありますが、言葉の壁が大きくてちょっと躊躇してしまいます。今からタイ語を勉強するほどの気力・体力もないし。
    現在はハワイ在住なのですが、ハワイが総合で44位というのも納得です。美しい大自然と温暖な気候は最高ですが、生活費の負担が非常に大きいので、ゆとりの老後を実現するのは厳しいです。

    • わたしも東南アジア、いいなあなんて思ったりします。言葉については同感です。豊かな暮らしのためには、現地のひととも交わって時間を共有したいと思うものの、今から新しい言語に挑戦するエネルギーはないなあ。。と思います。

    • 今はさむーいさむーい中西部在住なので、ひたすら憧れるのはハワイです。子供たちがここに残っても、やっぱり行っちゃおうかな~って思います。理想は子供の近くと、ハワイと、東京に家が欲しいですが、それは無理なんですよねえ。

      となると、少し長めに働いて、資金を貯めて、ハワイかなあ。
      ハワイは大変ですよ~という声をよく聞くのですが、寒さで脳まで凍りそうな生活は高齢になったら耐え難いかな、、、と。

      • さむーいさむーい中西部とは、どちらですか?私も昔インディアナにおりました。南カリフォルニアの一年中同じ気候にどっぷりつかっていると、あつ~い夏とかさむ~い冬とかやっぱり人間には必要よ。などと思ったりしますが、でもそれは怖いもの知らずともいえます。。

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