安心老後への鍵は? - リタイヤメント資金が底をつかないように

ご自分のリタイヤメント準備に自信がありますか?アメリカではリタイヤメント準備とくれば、思い浮かべるのはインベストメントということばです。インベストメントとくれば、アセット・アロケーションというのがおきまりのコースですが、ボストン・カレッジのCenter for Retirement Researchの最近のレポートでは、「アセット・アロケーションは騒がれているほど重要ではない」という結論を発表しています。

ファイナンシャル・プラニングといえば、まずはインベストメントを思い浮かべる人は多く、多くの人が「何に投資するか」が非常に大切だと考えています。パーソナル・ファイナンスの雑誌などを手にとっても、どこの会社の株が伸びそうか、どのような投資商品に投資すべきか、アセット・アロケーションの最適な割り振り方はどうかなどの記事を非常に多く目にします。ワンランク上の投資成績を達成するために、Actively Managed Fund(ファンドマネージャーが、マーケットの機を見て、ファンドの中の株や債券などを頻繁に売り買いすることで、従来のインデックス・ファンド以上の利回りを狙うファンド)に投資をしたり、インベンストメント・アドバイザーを雇ったりするひともいます。そのようなサービスには余分な手数料が必要ですが、それをカバーしてあまる投資成績が得られると考えるからでしょう。

アセット・アロケーションは重要ではない?

しかし、今回のボストン・カレッジのリサーチによると、「アセット・アロケーションはそれほど重要ではない」、つまり何に投資してどのくらいの利回りを得るかよりもっと大切な要素が存在するということらしいです。

調査対象世帯が現状のリタイヤメン準備を維持した場合、62歳でリタイヤすれば74%が、67歳でリタイヤすれば47%が、寿命を全うする前にリタイヤメント資金が底をつくという結果でした。。

そこでリサーチャーは3つのシナリオを考えました。1) 理想的なアセット・アロケーションで、リスクなし6.5%の理想的なリターンを得続ける、2) リバース・モーゲージを組む、3) 現在のライフスタイルを見直し、節約するとともにリタイヤメントの積み立てを増やす の3つのシナリオです。それぞれのシナリオで67歳でリタイヤした場合、寿命を全うする前にリタイヤメント資金が底をつく世帯のパーセンテージを計算しました。

その結果は、1) 6.5%の利回りでは44%が底をつく、2) リバース・モーゲージでは36%が底をつく、3)節約+積み立て増額では41%が底をつくということでした。 この結果を踏まえ、同レポートは以下のようにまとめています。

  • ファイナンシャル・プラニングでは、株や債券などの最適なアロケーションを実行することが多くの利に繋がるとの前提にたち、アセット・アロケーションに焦点を当てることが多い。反面、リタイヤメントを遅らす、ライフスタイル改善による節約、リバース・モーゲージの利用などの代替策については、言及されることが少ない。
  • リタイヤメントを前にした典型的家庭での401(k)やIRAの残高は$100,000に満たないこともあり、典型的ケースではアセット・アロケーションは限られた効果しか生み出さない。ただし、高収入世帯では、アセット・アロケーションがそれより比較的大きな効果を生む可能性はある。富裕トップ10%グループではその重要度は高まるものの、一般的に言われているほどではない。アセット・アロケーションによる効果は、数ヶ月長く働くだけでリカバーできるほどの程度である。
  • アセット・アローケーションが騒がれているほど重要でないという結果を踏まえ、ファイナンシャル・アドバイアーは、できるだけ長く働くこと、ライフスタイル改善と節約、リバース・モーゲージなどを含む広いエリアを含めたプラニングを提供することが重要である。

 

安心リタイヤメントを決める要素

以前、「リタイヤメント資金 - いくら貯めれば大丈夫?」でもご紹介しましたが、リタイヤメント資金が十分であるか、底をつかないかを決める要素はアセット・アロケーションだけではありません。まとめると下のようになるかと思います。

今回のボストン・カレッジのリサーチは赤丸した要素に焦点をあてたわけです。たしかにアセット・アロケーションにばかり焦点をあてるのではなく、わたしたちはもっと広範囲の要素を総合的に見たほうがいいですね。ま、でもつまるところ、わたしたちにできるのは・・・

  • できるかぎりの積み立てをする
  • 積み立てはなるべく早くはじめる
  • できるだけ長く働く
  • ライフスタイルを見なおし、リタイヤ前も後も健全な消費生活をする
  • 健康を心がけ、医療費を削減する
  • 健全なアセット・アロケーションを実現する(上記リサーチのように、「アセット・アロケーションは重要ではない」とは思いません。やはりアセット・アロケーションは大切です。ただ、何に投資するかや、マーケットの機をみて投機的投資にばかり心を砕くのは、一部の人を除いてあまり有効ではないと思います。)
  • 投資の手数料をなるべく避ける・低く保つ
  • リバース・モーゲージや不動産収入など、積み立てたリタイヤメント資金以外のリソースもあわせ総合的にプランする

 

ま、長丁場ですから、あんまりキリキリしないで、でもやれるだけのことをやっていきたいですね!

 

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