リタイヤメントの現実を知る(2)

2回に分けてTransamerica Center for Retirement Studiesという非営利団体が定期的に行っている、リタイヤメントについてのアメリカ人の姿勢調査の結果を踏まえてレポートを書いています。先週前半で今回は後半です。

準備はできている?

既リタイヤメント組も50歳以上現役組も、リタイヤメント資金準備は十分だとするのは全体の15%~16%にとどまりました。既リタイヤメント組のファイナンシャル生活上のプライオリティは、第一が生活の帳尻を合わせること(42%)、医療費をカバーすること(37%)など切実なものが多い一方で、リタイヤメントの生活のために貯める続けることというのも20%ありました。寿命が90~95歳に伸びることが予想される今、リタイヤしてもその先の生活のために貯蓄をするという現実があるようです。

50歳現役組のリタイヤメント資金の積立残高の中央値は$135,000であり、これは決して高い数字ではありませんでした。シングルの中央値が$53,000、既婚者のそれが$225,000という開きがありました。既リタイヤ組ではシングルの中央値が$48,000、既婚者のそれが$177,000という開きがありました。

リタイヤメント資金の準備はアメリカでは多くの人にとって永遠の課題です。資金準備が十分だといえる人は、リタイヤする前の人でも、した後のひとでも多くはない現実が浮き上がってきます。リタイヤしてからも、ある程度切り詰めて寿命を全うするまでのことを考えつつ、貯蓄をしていく必要性を感じている人も5人に1人は存在するということです。前にも書いた通り、まだリタイヤするつもりでなくても仕事や職場の変化のために思ったよりも早くリタイアせざるを得ない場合も多いわけで、できるだけ早い時期から資金準備を着実にしておくことが大切です。

負債

これは驚くべきことですが、リタイヤメント後も25%がクレジットカード負債を返済し続けているということでした。クレジットカード負債やその他の消費者金融ローンの返済がやりくりのトッププライオリティとしているのが13%でした。21%はモーゲージも未完済でした。

老後はできれば負債はないのに越したことがありません。リタイヤメント資金があっても、そこから負債を返す、ましてやソーシャルセキュリティを使ってクレジットカード負債を返済するなどという図はできる限り避けるべきです。

モーゲージもないにこしたことはありません。家が完済されていることは、月々のやりくりを大きく楽にします。また、なんとなれば家を売ることで老後の生活資金の不足を補ったり、あるいは家を担保にリバースモーゲージを組むという策も増えます。ただ、モーゲージは必ず払いきって老後を迎えなければならないということもないかもしれません。あくまでケースバイケースで、投資とローンの返済のバランスはとっていく必要があります。しかしながら、カード負債や消費者ローンは論外です。これらは現役時代にもなるべくつくらないようコスト削減などのしくみをつくることと、やむを得ずできてしまった場合は、現役時代に完済すること、これは鉄則と言えます。

老後の収入はどこから?

既リタイヤ組の89%が、リタイヤ後の収入源としてソーシャルセキュリティを挙げています。50歳以上現役組では83%でした。ソーシャルセキュリティだけでは十分ではないとしながらも、大部分がソーシャルセキュリティを頼りにしている図が浮かび上がります。

既リタイヤ組でソーシャルセキュリティ年金の受給を始めた年齢の中央値は62歳でした。半部以上の人がソーシャルセキュリティを受給できる最年少で受給を始めていることになります。62歳での早期受給は、66歳なり67歳なりのFull Retirement Ageまで待つともらえる満額の20~30%減となるにもかかわらず、62歳から受給する人がこれほど多いのは少々驚きます。これも前回の内容にあったように、予定より早くリタイヤメントを迫られるケースが多いことと関係しているのかもしれません。もう少し待ては受給額が多くなる(ケースバイケースだが、ある程度長く生きる場合を考えれば、生涯年金受給額も増える)ときまで待つことができず、やむを得ず受給開始をする人もいるのかもしれません。反対に、その仕組みをよく知らないで、受給できるならもらえるうちにもらっておこうと気軽に開始する人もいるのかもしれません。いずれにせよ、ソーシャルセキュリティの受給はリタイヤメントプラニングの一部としてよく考える必要があります。

既リタイヤ組で、確定給付型(企業年金など)プログラムに参加しているのは46%、401(K)などの確定拠出型に参加しているのが55%であり、50歳以上現役組では、確定給付型に参加しているのが24%、確定拠出型は55%でした。この中で参加できる確定拠出型があるとレポートしているのは68%です。50歳を超えた層であっても、確定拠出型プログラムが利用できるのに、利用していないグループが13%もいることは残念なことです。

確定給付型(企業年金)を収入源として挙げている層は、既リタイヤ組では42%である一方、50歳以上現役組では31%に低下しています。確定給付型の年金が消滅しつつある現状を物語っています。この数字は今後もどんどん低下していくでしょう。それに呼応する形で、50歳以上現役組では67%が401(k)や403(b)などの確定拠出型プログラムからの収入を当てにしています。加えて、39%の現役組はリタイヤメント後もなんからの仕事をし続け、そこからの収入も考慮にいれています。

注目すべきは50歳以上現役組の11%が、リタイヤ後も働き続ける仕事からの収入が、第一の収入源であると答えました。なんらかの理由でソーシャルセキュリティもあてにできず、かといって企業年金や401(k)もない、結果として働いて収入を得るしかないグループが存在することがわかります。

雇用主提供のプログラム以外には?

既リタイヤ組の68%、50歳以上現役組の64%が雇用主提供のリタイヤメントプログラム以外にも資金準備をした、あるいはしていると答えました。どのような投資プログラムや手段を使ったかについては、既リタイヤ組では62%がSaving Accounts、55%が持ち家、44%がIRA、39%が生命保険、24%がアニュイティと答えたのに対し、50歳以上現役組では、それぞれ65%、34%、54%、32%、18%でした。どちらもSaving Accountsが多いというのは少し驚きです。Saving Accountsを挙げる人は、あまり積極的にリタイヤメント準備をしていない人たちではないかと想像されます。50歳以上現役組ではIRAを挙げている人も増えています。

 

Transamerica Centerのレポートには、リサーチ結果を踏まえてのアドバイスが載っています。以下に列記します。

とにかく資金準備に励むこと

多くの人は必要な資金準備が進んでいない現状があるので、可能であるなら、今以上にもっと資金準備につとめること。

すでにリタイヤしている人であるなら、分相応な生活をすることにつとめ、余剰金は少しでも将来のために貯めておくこと。

負債を返済すること

とくにカード負債、消費者金融ローンなど高利子の負債はない状態でリタイヤメントに入ることを目指す。

先に書いた通り、これは鉄則です。

バジェット管理

月々のバジェットをつくり、無駄なコストを削減できないか、日ごろから工夫する。

まだ働いているときから、リタイヤメント後の生活をイメージしつつ、削減できることろは節約して、スリムな生活でリタイヤメントに入るのが理想です。

また、支出だけでなく、収入を増やすことを工夫するのも役立ちます。家の中のあまっている部屋を貸し出すなど、できることがあるかもしれません。

働き続けること

長く働きつづけられる限り働き続けることを考慮する。

寿命が延びたのに、一世代前と同じくらいの年齢でリタイヤするというのは現実的でなくなってきています。パートタイムやフレキシブルタイムなどの働き方を考慮するとともに、リタイヤメントが近づくにつれ、今後どのようなスキルを維持し使っていきかを考えておくことが賢明です。

バジェットと戦略を練っておく

不確定要素はあっても、必ずバジェットと戦略をもってリタイヤメントに臨むこと。

リタイヤメント後の生活をイメージして生活費の予想をつけておくこと、期待できる収入源を確認し、収支のバランスをみること、手持ちにあるリタイヤメント資金を考慮してどのくらい維持が可能かを予想しておくこと、病気になったとき、介護が必要になったときのバックアッププランも予想をつけておくことが必要です。

ソーシャルセキュリティの受給に賢くなる

ソーシャルセキュリティ年金の受給のしくみについて理解し、自分のケースの場合にはどのように受給をしたらよいかの戦略を持つこと。

できる限り、66歳なり67歳なりのFull Retirement Ageまで待つこと、さらにいえば、70歳のベネフィットの最大化時点まで待つことが賢明です(あくまでケースバイケースですが)。いずれにせよよく考えないで受給を開始することは、とりかえしのつかない状況を招くこともあるので気を付けます。

プランをつくりシェアする

必要に応じファイナンシャルプラナーを雇うなどしてプランをつくる。また、家族を交えてシェアし共通の理解をつくっておく。

リタイヤメント準備は多くの要素がかかわるので、ファイナンシャルプラナーの利用は役立ちます。また、老後は認知能力がだんだんと落ちていくことは必至なので、プランについては配偶者はもちろんのこと、子どもなどの家族にもシェアし、自分たちの意向や希望についてあらかじめ伝えておくことが、その後のスムーズな意思決定と行動に役立ちます。

あとは、多くの楽しみ、よろこび、アクティブな暮らし、健康的に老いることを目指し、リタイヤメント生活を送るのみです!

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4 responses to “リタイヤメントの現実を知る(2)”

  1. いつもブログを大変参考にさせて頂いています。
    今回のブログ、最後の部分、少しだけ切れていると思われるのですが。おしらせまで。

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