ほんとうに豊かなリタイヤメントを送るために

人生90年時代と言われる今日この頃、一生懸命働いて、一生懸命リタイヤメント資金をためて、さてリタイヤしたならば、豊かな暮らしを送りたいというのは誰もが望むところ。でも、「豊かなリタイヤメント生活」っていったいなんでしょうね?今日は、ハッピーリタイヤメントのために必要な三大要素を考えてみたいと思います。

 

まずは、やっぱりお金?

ハッピーリタイヤメントに必要なもの・・・ときたら、やっぱりお金が最初に思いつきますか?先立つものがなくては生活が成り立ちませんからね。十分なリタイヤメント資金があること、これはとても大切です。ただ、たくさんお金があればあるほどよいかというと、どうもそうではないようです。ある程度の資金レベルまでは、リタイヤメント資産の大きさに比例して幸福度も上がっていくのですが、ある程度まで達すると、それ以降は幸福度は少しずつ上がるものの、上がる程度がだんだんと小さくなっていくという結果があります。とあるリサーチでは、$550,000レベルあたりまでは、幸福度も金額に応じて高くなっていきますが、そのレベルを超えると幸福度の増加率がだんたんと小さくなっていくのだそうで。また違うリサーチでは、$3.5ミリオンレベルを超えると、幸福度は高まるどころか低下していくという結果も出ています。リタイヤメント後の安定した生活を確保するための資金ベースは大切であるが、ある程度を超えたところで「お金」の幸福度に与えるパワーは相対的に小さくなり、大きな資産があるようになるとかえって幸福度を下げるということなのでしょうか。

幸福度に与える影響はリタイヤメント資金の大きさばかりでなく、固定収入(ソーシャルセキュリティー、企業年金、アニュイティなど)のあるなしによっても変わるようです。401(k)やIRAなどを引き出して使うのではなくて、自動的に入ってくる固定収入を使うほうが、ハッピーリタイヤメントに繋がる影響が大きいということのようです。

反対に、自分でポートフォリオ管理や引き出し率の管理などをせねばならない投資を、リタイヤメント収入源にしている人ほど、心配や思い煩いが大きいという結果もあります。月々の生活費のうち固定収入でまかなえる部分が多い人のほうが、そうでない人に比べて心配が少ないということなのですね。考えてみれば、容易に想像がつく気がします。自分で投資アカウントから引き出しながら使うというのは、残高を気にしつつ、そのときの市場の状況を気にしつつですから、なんとなく気楽に使いづらい・・・でも、これが自動的に月々入ってくる年金なら(とくに生涯年金ならばなおさら)、両手を広げてありがたくもらい、自由に使える気がします。まだ、比較的若いうちはよいですが、だんだんと年を重ねていくと、どんなに投資管理の好きなひとでもだんだんと管理が面倒になるもの。そんななか固定収入は心強い味方です。

ということで、まとめると、ある程度安心できる資金ベースをつくること、生活費のうちある程度の部分は固定収入でまかなえるよう収入の受け取り方を工夫しておくこと、このふたつはハッピーリタイヤメントに必要であるということですが、同時にお金がたくさんあればあるほど、どんどんハッピーになっていくということでもないということですね。

 

健康であること!

お金があっても、生活をエンジョイするための健康がなければなんにもなりません。お金があっても旅行にも行けない、好きな趣味もできないとなれば、とても残念なおとです。

また実際、健康でないことは、エンジョイできないというだけではなく、実は非常にお金がかかることでもあります。アメリカにある程度暮らした方の中には、アメリカの健康保険制度や医療制度にはつくづく悩まされている方も多いでしょう。アメリカの場合、残念ながら「病気=お金がかかる」が顕著です。

ベビーブーマーがリタイヤメントを迎えるにあたって、「何が一番不安に感じるか」という質問に対して、一番多かった答えは、「医療費」がダントツ1位で、これは「リタイヤメント資金が十分でないこと」などの他要素を引き離しての1位でした。

今から食事にも気を配り、睡眠を十分とり、必要な健康診断は受けて、健康を維持しておくこと、実はこれがリタイヤメント後の生活をエンジョイする土台となり、また無駄に大きな医療費を抱えリタイヤメント資金を無駄に減らしてしまわない重要ポイントということですね。

 

人といっしょに生きること

お金がそこそこ心配ないだけあって、動ける体があって、次に必要なのは生きる楽しみ・生きる希望です(いやあ、実は、お金よりも健康よりも大切なのかもしれません)。日本語ではよく「生きがい」などと言われますが、朝起きたときわくわくすること、やるのが楽しみなこと、生きる活力につながること・・・そんなものがあることがハッピーリタイヤメントに不可欠です。

ハッピーリタイヤメントを送っている人というのは、3~4つくらいの定期的に行っているアクティビティがあって、適度に「忙しい」日々を送っているのだそうです。パートタイムの仕事、ボランティア、家庭菜園、資格取得、ダンス、コーラス、旅行、ゴルフなど好きで楽しめることなら何でもいいのですが、ただ、もっとも幸福度が高いのは、人とのかかわりを必要とする趣味やアクティビティをすることだそうです。ボランティアや旅行などのアクティビティをする人は幸福度が高く、読書や書き物では幸福度が低いというデータもあるそうです。つまり、人とできるもの、人とのかかわりが必要なもののほうが、ひとりでコツコツというものより幸福度を高くするということらしいです。

こう考えると人間はひとりではなく、人といっしょに暮らすようにつくられているのだと思いに行き着きます。どんなにひとりが好きなひとでも、ひとりだけでは幸せには暮らせません。旅行に行って美しい夕陽を見ても、「きれいだねえ」と一緒に感動してくれる人がいるほうが喜びは何倍にもなります。一生懸命勉強して資格をとったとしても、「よくがんばったねえ」と一緒に喜んでくれる人がいなければさびしいものですし、せっかくとった資格も、人を助けるために使えるものでなければいったい何のためにとったのかということにもなります。そもそもひとりでご飯を食べることほどさみしいことはありません。反対に、たとえ白いご飯とお味噌汁だけの食事であっても、誰かと一緒に楽しく食べることができれば、その質素な食事こそが生きがいになることもあるでしょう。人は時間や感情を共有することで、生きがいを確かめるといっても過言ではない気がします。

共有は一方的なものでなく相互のものですから、あるときは受け入れ、あるときは我慢するということも必要になるでしょう。ハッピーリタイヤメントへの大切な準備は、受け入れあい、我慢しあい、ゆるしあえる、そんな人との関係をつくりあげておくことかもしれませんね。これは一朝一夕にはなりませんから、夫婦にせよ友だちにせよ、長い間をかけていろいろなことを乗り越え、人生の後半フェーズで、さまざまなことを共有できるよう培っておくことが大切ということなのでしょう。

生きがいは、実は健康とも密につながっており、あるリサーチでは、生きがいの無い人は生きがいのある人に比べ脳血管疾患や心疾患、循環器疾患などでの死亡リスクが高くなることがわかりました。高齢者が社会参加を続けると要介護状態になるのが33~40%抑制されるというデータもあります。こうしてみると、生きがいは健康に影響を与え、健康はお金にも影響を与えるということで、ハッピーリタイヤメントの三大要素である生きがい、健康、お金が密接に繋がっているのがわかります。

リタイヤメント準備はお金を貯めればいいというものではないのですね。健康に気を使い、自分の体をきちんとメンテナンスしておくこと、そして人との関係や自分と社会とのつながりに投資をしておくことが重要ということなのでしょう。

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8 responses to “ほんとうに豊かなリタイヤメントを送るために”

  1. アメリカ人の義父母が52歳・47歳でリタイヤし、たぶん彼らは自分で投資をして生活しています。それなりに豊かな生活をしていますが、ここのところ株価はイマイチなアメリカで、少々不安も出てきたようです。彼らは自分たちをものすごく信じているので、自分でやる、というチョイスを選んだのではないかと思いますが、彼らを見ていて、やっぱり老化したらだんだん大変になるし、そうなると401kを引き出して、ではなくて、アニュイティを選ぶのがいいのかなあ、とか思っています。

    ただ、アニュイティは銀行預金のように守られてはいないのですよね?そうなると、そこが倒産した場合、オシマイ、なんでしょうか?その辺がコワイなあ、と思うのです。

    とはいえ、まあ、うちは最速で12~3年、おそらく15年はリタイヤできないと思うので、まだまだ心配する段階でもないのですが。

    興味深い記事ありがとうございます。

    • そうですね、アニュイティは銀行預金のような保護はないので、その金融機関の健全性をみて選らぶ必要はありますね。義父母さんは、若くしてリタイヤできていいですね!

      • なるほど。とにかく健全性をよくみて考える必要がありますね。

        義父母は義父はフルタイムで働き、義母はパート、アパート4件(テナント8つ)経営して資金を貯めました。でも苦労も多く、それを見ていた夫は絶対にアパート経営は嫌だというのでうちは手を出しませんでしたが、アメリカではアパート経営は努力すればわりと手が届くもののような気がします。

        近くにいるアジア人の友達2人もやっていて、よくすすめられたのですが。。。ローンが終わると、資産と継続した収入が魅力ですね。

        • レンタル物件経営はきっと向き不向きがあるのでしょうね。得意な人にはとてもよい資産づくりと固定収入の方法になりえると思います。

  2. リタイヤメントにおける固定収入の話は実感しています。来年から夫がソーシャルセキュリティを受け取るので、本当にほっとしています。今までは、夫の年金はありますが、大部分をIRAから引き出していましたので、こう市場の変動が激しいと、思い煩いがないと言うわけにはいきません。

    健康と、人とのつながりの大切さもその通りだと思います。寿命もわからないし、将来の健康状態もわからないですから、将来に備えつつ、今の生活も大事に楽しむには、自分(達)の価値観に合わせて選択していくことが日々あります。最低限の生活では大変ですが、リタイヤメント後の生活は、まさに人生の総決算ですね。

    今年も、役に立つ、興味深い記事をありがとうございました。毎週楽しみにしています。

  3. 夫がリタイアして10年、私がリタイアして5年が過ぎました。
    年金生活ですから確かに贅沢はできませんが、朝起きた時に、「ああ、今日もまた生かされている。ありがたい!」と思って1日を始めるようにしています。
    そもそも、世界的に見たら、十分に食べられるだけでも恵まれていて、お金持ちですよね。
    さらに、こうして、たくさんの情報を送っていただけることに感謝しています。
    1テモテ6:6-7、その通りだと思います。

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