「ソーシャル・セキュリティーは決められたとおり、もらえればそれでよし」と安易に考えていませんか?受給についてのルールを把握し、受給するBenefitsの種類や受給開始のタイミングをうまくプラニングすることで、生涯に受けることができる受給額の合計には、何万ドルもの差がでてくる可能性があるのをご存知でしょうか?一生懸命働いて納めたソーシャル・セキュリティー・タックスですから、Benefitsを受ける立場になったときには、正しい理解できちんと利用していきたいですね。
では、受給額をできるだけ多くするにはどのような点に留意すればよいのでしょうか。
受給開始のタイミングを見計らう
ソーシャル・セキュリティーでは、各人のFull Retirement Age(生まれた年により決まり、65歳から67歳の間)というのが規定されており、各人がFull Retirement AgeでRetirement Benefitsの受給開始を始めたときに受給できる額をFull Benefits(満額)あるいは Basic Amount(基本額)と呼んでいます。 Retirement Benefitsを受け取ることができる最低年齢は62歳ですが、Full Retirement Age以前に受給を開始すると、受給額は減額され、満額あるいは基本額より少ない年金になります。また、反対にFull Retirement Ageを超えてさらに受給開始を遅らす(最高70歳まで)と、遅らした年数に応じて満額あるいは基本額に上乗せがされ、受給額が増やされます。この減額、増額は、永久的(死亡するまで)なものです(詳しくはこちらをお読みください)ので、受給開始のタイミングはよく考慮して決定することが必要です。
この点を考え合わせると、健康であり、平均寿命まで、あるいはそれを超えるまで生きるだろうと予想されるならば、できる限り受給を遅らしたほうが月々の受け取り額が多くなり、結果的に受け取る生涯年金の総額(死亡するまでの合計額)も多くなると考えられます。反対に、すでに大変な病気を抱えていて、残念ながら平均寿命までは生きられないと考えられる場合は、できるだけ早く受給を開始したほうがいいかもしれません。
Benefits算出方法を知る
受給できるRetirement Benefitsの額は、受給の開始時期により左右されるだけではありません。Benefits算出の計算には、過去35年の収入(35年以上働いた場合は、もっとも高いほうから35年分)の平均値が使われます。働いた年数が35年に満たない場合でも、割り算の分母は35ですから、収入のない年があればあるほど、Benefitsの額が引き下げられる結果になります。結果的に、できるだけ長く、できるだけ多く収入を得ることが、Benefitsの額を引き上げることになります。
たとえば、あと2年働けば働いた年数が合計35年になるというのであれば、あえて2年働き続けることで受けられるBenefitsの額を大きくすることができるわけです。
働き続けながらのBenefitsを受給すると…
Full Retirement Ageに達する前に、働き続けながらBenefits受給を開始すると、Benefitsが減額されることがあります。年々、労働収入(Earned Income)の限度額が決められ、この限度を超えた労働収入がある場合に、Benefitsの減額が起こります。実際には、限度額を超える収入2ドルにつき、Benefitsが1ドル減額されます(Full Retirement Ageを迎える年には、この額を超える収入3ドルにつき、Benefits1ドルの減額)。2010年と2011年の限度額は$14,160でした。たとえば、労働収入が$14,260であり、限度額の$100超であると、Benefitsが$50減額されるということです。案外の割合の減額ですね。なお、労働収入とは、文字通り労働による収入であり、投資の利益やレンタル収入などは含まれません。
Full Retirement Ageに達するまで待って受給を開始すると、いくら労働収入があってもBenefitsの減額はありません。
できれば、労働できるうちは受給を受けずFull Retirement Ageまで待つか、あるいはFull Retirement Age以前に受給を開始するのであれば労働収入を限度額以内に押さえることが得策です。
夫婦でのBenefits受給を計画的に行う
夫婦でのBenefitsの受給プラニングは、勤労者ひとりだけのプラニングに比べて複雑です。受給のタイミングと受けられるBenefitsの額をよく吟味し計画的に行うのとそうでないのでは、夫婦ふたりで受ける生涯年金総額は何万ドルもの差がでてくることもしばしばです。
夫婦ともに働いていた場合は、夫と妻のそれぞれの勤労者本人としてのRetirement Benefitsふたつと、それぞれが配偶者の立場で受けられる Spousal Benefitsふたつ、そして最終的にはどちらかが先立ったときの残された方が受けるSurvivors Benefitsひとつという5つのBenefitsの選択肢があることになります。この5つの選択を、どの順序でどのタイミングでどのように受けるかをコーディネートすることが必要になってきます。
配偶者として受けられるSpousal Benefits とSurvivors Benefitsについては、以前のブログに書きましたが、 このルールに基づき、夫婦の年齢、収入履歴、寿命予測などを考え合わせて受給計画をすすめます。
一般的には、夫婦のうち収入が低かったほうは、受給が可能になり次第受給を開始し、収入が高かったほうは70歳までRetirement Benefitsの受給を伸ばすというのが、ふたりの生涯受給額を大きくするする方法だと考えられています。
たとえば夫のほうが高収入であった4歳違いの夫婦の場合、妻は62歳になった時点で、自分の収入によるRetirement Benefitsか夫の収入による Spousal Benefitsのうち、高額のほうを受給し始めます。このとき夫は66歳のFull Retirement Ageです。妻がSpousal Benefitsを受給するためには、夫もこの時点で自分のRetirement Benefitsを申請する必要がありますが、申請後すぐ受給を一時停止(suspend)することができ、こうすることで夫のRetirement Benefitsは年に8%の率で増え続けます。夫が70歳になったとき、夫のRetirement Benefitsは受給できる最高額に達し、この時点で夫は受給をはじめます。その後夫が亡くなった時点で、妻はSurvivors Benefitsに切り替え、夫の受給していたRetirement Benefitsを受給できます。これにより、夫婦ともに寿命近くまで生きた場合、夫婦の生涯受給額はもっとも大きくなり、また同時に夫が先立ったとき、残された妻により高額な年金を確保することができます。
このようなプラニングを簡単にするカリキュレータをご紹介します。AARPの提供しているカリキュレータで、 夫婦の生年月日、年収などを入力すると、どのBenefitsをどのタイミングで受給するのがよいかを計算してくれます。たとえば下は、1964年生まれの夫と1968年生まれの妻で、現在の収入が夫$100,000、妻$40,000の場合の計算結果です。
以上、このブログ作成時点での法律にのっとり、概要をなるべくわかりやすくまとめました。それぞれの個別ケースで適用はもっと複雑になることはもちろんありますから、詳しくはソーシャル・セキュリティーのサイトで確認いただくとともに、ファイナンシャル・プラナーなどプロフェッショナルにご相談ください。
Related posts:
- ソーシャル・セキュリティー - 配偶者として受けられるBenefitsを知る
- ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(2) - Retirement Benefit
- ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(1) - 何がいくら貰えるの?
- ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(4) - Survivors Benefits
- ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(3) – Disability Benefits


