アメリカ大学脱出 学費の低い国へ(1)

アメリカの大学費用が首を傾げたくなるようなレベルまで高騰してしまった昨今、質の良いよりリーゾナルブルな教育を求めてアメリカ国外に目を向ける学生や親も増えてきました。アメリカに比べて大学教育が低コストで受けられる国には注目が高まっています。同時に、最近のリサーチではおよそ40%の企業が、国際的に通用する人材がいなかったために、国際ビジネスの機会を逃したとレポートしており、今後も教育の国際化による人材の国際化のニーズは進むと考えられています。アメリカ国外に出ての大学教育の現状について、とくにファイナンシャル面にフォーカスを当てて2回に分けて調べていきたいと思います。

アメリカの大学から留学

最近では、Study Abroad Programを提供しているアメリカの大学も増えてきました。在学中の一部の期間、国外の大学に行って勉強をし、そこでとったクレジットは自分のアメリカの大学のクレジットと換算されるしくみをとっているようなプログラムです。問題の授業料ですが、アメリカ側の正規の授業料をそのまま払う必要がある場合もあるようです。行く国によっては、授業料だけでなく生活費もかなりの幅で違うのではないかと思うのですが、どこの国に行こうともアメリカ側の大学に収める金額は同一額という場合も多いようです。そうなると時には、コストの低い国に行った学生から徴収する授業料や寮費などは、実際のコストを上回って余る場合もでてくるかと思いますが、そんな場合はその余分は大学側へ入るということになります。大学によっては、そのような余剰金は、Study Abroad Programをモニターしたり将来に向けて改善するための費用とすると公言しているところもあります。確かに、大学を通して交換留学生として送り出すわけですから、ある意味でバックにはアメリカの大学がついているという安心感もあり、そのような余剰はそれなりに払ってしかるべきという考えもあります。

たとえば、Stanford大学のStudy Abroad Programですと、ドイツ、フランス、オーストラリア、中国、日本、イタリア、その他の国々へのプログラムがありますが、どの国に行っても、Quarter(3ヵ月)あたり$20,000超のコスト(授業料、寮費、食費、その他手数料含む)がかかります。一年間(というか9か月)行く換算にすれば$60,000で、結局Stanfordで学んだ場合とほぼ変わらない額になります。これをStanfordの後ろ盾があるから(最終的にはStanfordのクレジットになりStanfordの卒業証書がもらえるから)妥当な額だと思うか、いや自分でもう少し安くいけないかと考えるかは、主観的な判断かと思います。

ということで、アメリカで在籍している大学とそのプログラムにもよるかとは思いますが、アメリカ大学のStudy Abroad Programは必ずしもコスト削減にはならないケースも多いといえるようです。

 

各国のカレッジ費用

では、アメリカ以外の大学で学ぶとどのくらいの費用がかかるものなのでしょうか?これはもちろん公立、私立の差や住む場所で随分と値段に幅がでてきます。興味深い結果を見つけました。HSBC(香港上海銀行)が2014年9月に発表したリサーチですが、それによると各国のカレッジ費用は下記のようでした。ここでの費用は、各国の最も大きい公立大学のトップ10について調べたもので、留学生が払う費用がベースになっています。よって、アメリカの費用についても、留学生(In-state feeではなく)が払う費用です。アメリカで学生数で最も大きいとなると、フロリダやテキサス、中西部などの大学が多く、そのあたりの大学では、In-stateであればカレッジ費用合計は$20,000前後が多いかと思いますが、留学生での平均値が$36,000ということになります。いうまでもなく、アメリカでは行く大学によって大きな差が出ますのであしからず。もちろん私立などであれば、$65,000というレベルに膨れ上がりますし、公立であってもカリフォルニア大学であれば、たとえIn-stateでも$35,000レベルです。またアメリカの場合は、どのくらいファインシャルエイドやスカラシップがもらえるかでも実際に払う金額は違うので、単に目安ということでお考え下さい。

college cost by country

他国についてもこのようなバリエーションがあるかとは思いますが、おそらくアメリカほどの大きな差がある場合は少ないのではないかと(しっかりリサーチしたわけではありませんが)推測されます。

アメリカ人が好んで留学する英国は、実はカレッジ費用では決して安くなくほぼアメリカと同様レベルです。ただ、英国では3年でBachelorがとれることもあるようで、年数まで考えるとメリットがあるかもしれません。カナダは、積極的にコスト意識の高いアメリカ人学生に働きかけてきました。カナダの大学の中には、アメリカの高校からカウンセラーを招聘して、入学・留学のワークショップをしてマーケティング活動に力を入れているところもあります。しかしながら、カナダも決して安いとはいえないレベルで$30,000ほど。高めのアメリカの大学に行くのならコストメリットがあるかなという感じではあります。オーストリアはかえって非常に高額で、$42,000でした。これでは値段的にはあまりメリットはないかもしれませんね。

ちなみに、最後の列のQuality of Education Rankというのは、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、フランス、香港、インド、インドネシア、マレーシア、メキシコ、シンガポール、台湾、トルコ、英国の15か国の4,592組の親から集めた、各国の教育の質に対しての主観的なデータです。どういう理由からかは定かではありませんが、アメリカは1位となっていますね。興味深いです。

 

みんなどこの国に行っているの?

 

さて、アメリカから国外で大学に行くという場合、みんないったいどこの国に行っているのでしょうか?もっとも人気のある留学先は、英語がそのまま使えて言葉の心配がない英国がだんとつ1位、その次にカナダと続きます。この2国で全体の60%以上を占めます。その後、ドイツ、アイルランド、フランス、ニュージーランド、オーストラリアと続きます。ドイツとフランスを除いては、英語でなんとかなってしまう国ですね。自国の言語で留学というのは、ちょっと日本人には想像ができない世界ですが、便利といえば便利、つまらないといえばつまらないかもしれません。

1位、2位の英国とカナダは前述のとおりコスト的にはアメリカと大差でのベネフィットがないためコスト意識の高い層が行くというよりは、それ以外の理由を重視する人が行くのかもしれません。反対に上の表で$17,000という数字の入っているフランスや、あるいは上の表にはありませんがドイツなどでは、かなりコスト削減が期待できます。詳しくは次回見ていきます。

 

みんな何を勉強しに行っているの?

では、アメリカの国外への留学生は、どんな専門分野を勉強しているのでしょうか?あくまでアメリカをベースにして一定期間に限って留学に行く場合(一時留学)には、Business and Management、Humanities 、Social Studiesが人気がある一方で、学位を取得するための(つまり、アメリカの大学に行く代わりに国外の大学に進学する)留学では、Humanitiesが一時留学でのレベルをはるかに超えて人気です。その他、Social StudiesやBusiness and Managementが人気があります。Physical Science、Math and Computer ScienceやHealth Professionsなどでも数は少ないものの、一時留学を超えるレベルで学位取得目的の留学があるのは興味深いことです。

study aborad by field

今回はこれくらいにして、次回は各国のコスト事情をしらべてみます。

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