タックス・リターン - プロに頼むとリファンドがたくさんくる?

毎年、専門家に数百ドル払ってタックス・リターンをお願いしている人も、ソフトウエアを買ってきて自分でやっている人も、「$50のソフトウエアと数百ドルの専門家・・・リファンドの額も違うのかしら」とたまには思ったりしませんか?プロに頼むにしても、必要な書類を整理したり情報をファイル化したりの手間は一緒。実は、情報さえ整っていれば、あとは、それをソフトウエアに入力すればいいだけのことで、情報の入力にプロはいらない・・という議論もあります。いやいや、だたの入力ではない、いかにリファンドを多くするか貴重なアドバイスがもらえるのだ・・という議論もあります。今日は、そのあたりのお話です。

タックスの専門家の種類

 

CPA(Certified Public Accountant): 財務記録を維持したり整理したりするプロですが、ビジネスあるいは個人のタックス・リターンを申請する手伝いもしてくれます。IRSに対して、あなたに代わって陳述を行うこともできます。タックス・リターンというと一年に一回の処理という感がありますが、本来は一年を通しての家庭の経済活動が税務上有利になるように計画的にコーディネートされることが大切です。これをタックス・プラニングといいます。CPA、は財務情報を扱うプロですから、今年のタックス・リターンでどう節税するかに限らず、来年以降どのように有利なタックス・プラニングをしていくかという部分まで提案してもらうことができるでしょう。

Enrolled Agent: 税法の専門家です。タックス・リターンを作成するだけでなく、税金の取立てや、調査、交渉、ペナルティの軽減などに関して、あなたに代わってIRSとやりとりする権限があります。税金で何か問題があったときには、Tax Attorneyの助けを借りるよりは安価に問題が解決できるかもしれません。

Tax Attorney: 税法を専門にする弁護士です。トラストやエステート・プラニング、IRSとの問題、ビジネス上の税法など複雑な問題を取り扱います。タックス・リターンの作成を扱うTax Attorneyもいれば、作成に対してコンサルは行うが、申請はしないというTax Attorneyもいます。ビジネス面での節税や、相続税まで含めた税金面でのプラニングが必要であれば、Tax Attorneyの高い時給も正当化できるでしょう。

Registered Tax Return Preparer: 税法の一定の知識を持つ専門家です。Enrolled Agent(EA)と似ていますが、EAがどんなケースでも納税者に代わって陳述を行う全面的な権限を持っているのに対し、Registered Tax Return Preparerの場合は、自分が作成したタックス・リターンに限り、納税者に代わって陳述を行えます。また、陳述できる内容も、計算ミス、入力ミス、申請し忘れなどのタックス・リターンに直接かかわる問題に限られます。

専門家にお願いすると、たくさん税金が戻ってくる?

これは誰もが知りたいことですね。たとえTurboTaxみたいなソフトウエアを使って自分でタックス・リターンができたとしても、専門家にお願いしてより大きな節税ができるなら、敢えて専門家に頼むという選択が意味をなします。

ニューヨークに住むあるフリー・ジャーナリストが、面白いリサーチをしました。自分たちのタックス・リターンをいくつかのタックス・ソフトを使って作成し、さらには実際のCPAにもお願いしてみて、どのくらいタックス・リファンドの額が違うかを比較しました。ちなみに、彼女は自宅で仕事をするフリー・ジャーナリスト、夫は商用不動産を扱うブローカー、子どもはひとりで、シンプルなタックス・リターンではないかもしれませんが、そんなに複雑すぎもしないレベルかと想像します。結果はこんな感じ。

TAX ACT(ソフト)

  • コスト: $17.95 for federal and state
  • リファンド: $3,421 ($2,742 federal, $679 state)
  • コスト差し引き後のプラス: $3,403.05

TurboTax(ソフト)

  • コスト: $111.90 for federal and state
  • リファンド: $3,491 ($2,751 federal, $740 state)
  • コスト差し引き後のプラス: $3,379.10

CPA

  • コスト: $400 for federal and state
  • リファンド: $3,831 ($3,016 federal, $815 state)
  • コスト差し引き後のプラス: $3,431

ということで、$400のコストは少々割高感があるものの、総合的にみるとCPAを使うことで、リファンドは最大化されたそうです。ただし、オーバーオールで見ると、数十ドルの差ですが。

彼女によると、ソフトウエアで見過ごしたのに、CPAが見つけてくれた控除があり、それは以下のようでした。

  1. チャリティーへの献品の適正価格を控除するとき、ソフトウエアで申請していた適正価格が保守的過ぎると指摘を受け、額を増やした。
  2. ホーム・オフィス(自宅の一部をビジネスに利用している場合)に関連する控除で、仕事関係の書類やファイルが保存してあるストレージの面積を含めていなかったので、含めるよう指摘された。
  3. タックス・リターン作成でCPAに払う料金のうち、自分のビジネスにかかわる部分(半分)をビジネス関連のコストとして控除できることを指摘された。
  4. 娘のためにニューヨーク州の529プランに投資することを薦められた。入金した額は、ニューヨーク州のタックス・リターンで控除できる。

 

1.に関しては、ソフトウエアでもある程度の対応はできます。たとえば、TurboTaxであればItsDeductibleというプログラムがついてきて(もっともベーシックなものには入っておらず)、献品する物の種類や状態を指定すると、自動的に適正価格をふってくれます。

2.に関しては、ソフトウエアを使っている限り、気づかなければ控除しないものです。ただ、一度指摘を受ければ、来年からは自分で含めればいいだけのものでもあります。

3.に関しては、やはりソフトウエアを使っている限り、気づかなければ控除しないものです。タックス・リターンの作成費用が控除できる可能性があることはソフトウエアが提示してくれるはずですが、この人の場合は夫婦のジョイント・リターンで、彼女のビジネスのタックス・リターン作成部分(半額)は、彼女のビジネス・コストとして控除し、夫の部分は個人の費用として数えられる・・・という詳細まではなかなかソフトでははっきりと指摘できないことでしょう。ただし、これも一度指摘を受ければ、来年以降は自分で対応できることです。

4.に関しては、おそらく今年のタックス・リターンには関与せず、来年以降の節税への提案です。TurboTaxなどは、タックス・リターンを終えた後で、来年以降へのタックス・プラニングのためにどのような節税策があるかを探るセグメントがあります。IRAへの投資や529への投資など、どのくらいすればどのくらい節税になるかという試算をしてくれたりします。ある程度の基礎知識があれば便利な機能ですが、まるで何の知識もない場合は、専門家に説明してもらうほうがセーフでベターでしょう。

ソフトウエアはかなりの情報を満載しており、わからない事項があればポップ・アップが出て説明を読むことができたり、さまざまなケースをシュミレーション計算して、リファンドを最大化することができたりします。ひとつの事項に関して二つ以上の控除のしかたやタックス・クレジットの受け方が存在する場合や、Itemized Deductionを使ったほうがいいか使わないほうがいいかなどわからない場合に、シュミレーションで有利な方法を提示してもらえるのは便利です。しかし上のような個別ケースでの詳細を判断したり、わからないところを説明してくれたりという部分は、ソフトウエアでは対応しきれないという欠点もあります。

たてとよこの糸

たいせつなことは、自分のタックス・リターンですから、人に頼むにしてもソフトウエアを使ってやるにしてもペーパーベースで申請するにしても、キーポイントと大きな流れは理解しておくということです。

タックス・リターンは一年に一度済ませればそれでいいというものではありません。自分のタックス・リターンを理解しておくことは意外とたいせつなことなのです。

タックス・リターンの知識は、年に一度リファンドをもらうという「事後報告」だけでなく、これからどうするかという「事前プラニング」に有益なのです。しかも、その知識は、何も税金面での課題に使われるだけではなく、以外と他の多くのエリアでも使われているのです。時間を越えたたての糸として、エリアを越えたよこの糸として、タックス・リターンの知識は、パーソナル・ファイナンスの長く広い部分を縫い合わせるものです。

タックス・リターンを理解しておくと、これから先のマネー・プラニングに展望が開けます。どのようなお金の使い方をすれば、来年のタックス・リターンでどのような効果が期待できるかがわかります。日常のファイナンシャル上の決断や行動が、どう関わりあっているかが見えてきます。たとえば、自分のタックス・ブラケット(最高税率)を知っておけば、モーゲージ利子を払うことの、税金面でのベネフィットはどのくらいかがすぐに計算できます。Traditional IRAをRothIRAに今年コンバートするべきか、来年コンバートすべきかもわかります。タックス・リターンのAGI(Adjusted Gross Income)という概念はIRAなどへの投資資格の判断に使います。大学に行く場合のファイナンシャル・エイドの申請などは、タックス・リターンの情報を使います。これらの知識があるかないかは、お金の使い方を大きく左右します。より賢くお金を使う、ためる、増やすことができるようになります。

自分に合ったやり方を見つけることです。人に頼みっぱなしになっていたというのなら、ちょっと勇気をしぼって(?)ソフトウエアを使ってみるのもよいでしょう。ずっとソフトウエアを使ってきたというのであれあば、たまにはCPAに頼んでみて見落としがないかをチェックしてもらうのもよいでしょう。そして1年1年、少しずつ知識を増やしていければ最高ですね。

さてさて、2月、3月は本格的タックス・シーズンです。Happy Tax Return!

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7 comments

  1. この例では自営業ってのが大きいですね。
    自宅の一部をオフィスとする場合って、本当に完全にオフィス化している必要があるって聞きますし、auditされやすい対象だってどこかで読んだような。。。
    うちは、ソフトも、H&Rも、会社が用意してくれた大手の経験もありますが、一番間違いや節税にならないのは大手でしたよ。
    私が大体を調べて鉛筆で書き込み、夫が目を通して、最後にもう一度、2人で気になるところをひとつひとつ調べってパターンが、今のところ一番成功しています。
    手書きって、面倒ですが、一生懸命考えるので、いいです。

    1. そうですね、exlcusiveにビジネス用に使っていることが必要ですが、この場合は書類かなにかをずっと置いていたんでしょうね。それにしても、大手が一番ひどいのですか!「鉛筆リターン」賛成です。ほら、どこか旅行に行ったときに、ツアーに乗っちゃうと、後からいったいどこにどうやって行ったのか思い出そうとしてもちんぷんかんぷんだけど、自分でいろいろ調べて地図見ながら(今はGPSか)行くと、地理関係とか細かい状況までよく覚えていたりするじゃないですか。あれと一緒ですね!「鉛筆リターン」は、1年間の生活を支えてくれる!

  2. 主人は随分前から専門家にお願いしていますが、かつてお願いした専門家の中には使えないCPAもいて今のCPAが何年分か遡って修正してくれたりまた色々アドバイスしてくれたので主人は今のところ変える様子は無い様ですが、私とは多分性格が合わないと思うので使わないですね。

  3. タックスリターンをプロに頼む場合、何を渡せば良いのでしょうか?
    毎年主人だけの場合、会社や銀行から来た書類をそのまま渡しているだけなのですが、
    最近主婦の小遣い稼ぎでネット上で稼いだり、個人からお仕事を貰ったしています。
    その場合、バラバラにあるインボイスや、ネット上の記録をバラバラと何枚も出すことになるのでしょうか?それとも自分で合計を出してそれを伝えるだけなのでしょうか?
    頭の悪い初心者でして、非常に大人としてお恥ずかしいのですが、
    ご回答頂けますと幸いです。

    1. ぴくとさん、こんにちは。趣味かビジネスかでも扱いは違ってきますし、それぞれのプロでやり方も違うかもしれません。具体的にどういう情報を提出する必要があるのか問い合わせれば教えてくれるでしょう。もし合計情報だけ渡すにしても、証拠書類はとっておく必要はあります。

      1. お返事ありがとうございました。
        やはりはじめはまず、プロに聞くのが一番ですね。
        ペナルティーが怖いですから。
        書類はこまめに取って置きます。

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