タックス・リターンをどうするか(3) - 自分でするのは思っているほどコワくない

タックス・リターン、自分でやってみようかな~・・・ ちょっとコワいかな~・・・なんて思ったりしませんか。この「タックス・リターンをどうするか」は全4回シリーズでお届けしています。1回目は、自分でするといいところ、人に頼むといいところを考えてみました。2回目は自分でするか、人に頼むかをどう選ぶか、またどの選択肢を選ぶにせよ気に留めたいポイントについて考えました。第3回目の今回は、自分でやってみたいけど、ちょっとコワイと思っている人のためにお届けします。なんとなくできそうな気もするけど、もしも何か間違えてしまったらいったいどうなってしまうのか・・・人間、どうなるか結末が見えないと不安になりますよね。今回は、そのどうなるかの結末を調べてみることで、不必要な不安を解消してみようと思います。

まず、心に留めておきたいのは、「タックス・リターンでミスをしてもこの世の終わりではない」ということ。

もちろん、ミスのないようにやらねばなりません。でも、ミスは起こります。そもそも、ここはアメリカ。ビジネスにせよ役所にせよ、事務処理がカンペキにスムーズにいったぁ~と感じることのほうが少ないですよね。そのアメリカ人がみんなタックス・リターンをやっているわけなんだから、私たち日本人はもう少し肩の力を抜いてもいいのかもしれませんよ。

では、ミスしたらどうなるか?IRAから手紙や電話が来ちゃったりしたら、やっぱりビビりますよね。でも、そんなにパニックすることもないんです。どんなパターンがあるかを調べてみましょうか。

 

パターン1:Rejection

e-fileの送信ボタンを押したあとの、最初の関門はIRAに無事acceptされること。ミスがあってacceptされないと、”Your e-filed return is rejected”というメールが届きます。”rejected”と言われると何だかいや~な気分になりますが、パニックすることはありません。大体の場合、名前やアドレスなどのタイプ間違いとか、ファイリング・ステイタスがおかしいとか、扶養の子どもがすでに他の人の扶養に入っているなど簡単なミスです。使ったタックス・ソフトやオンラインサイトを開き、エラーの内容を確認し指示に従って訂正し、再度e-fileします。追加料金はかかりません。

 

パターン2:Amendment(修正

ファイルがacceptされた後で、「あっ、間違い発見!」となった場合も、パニックすることはありません。収入を申告し忘れた、控除をし忘れた、必要なスケジュールを記入し忘れたなど、間違いを正すためには、1040Xというフォームを使ってAmendment(修正)をします。これも使ったソフトウエアあるいはサイトを開き、1040Xをファイルするという項目を選んで指示にしたがって入力していきます。1040Xはe-fileすることができないので、フォームをプリントして郵送で送ります。追加料金はかかりません(郵送料のみかかります)。

 

パターン3:IRSからの通知

ファイルがacceptされた後で、IRSが間違いを見つけた場合、IRSから手紙が届くことがあります。IRSの名前がプリントされた封筒を見るとドキドキしてしまいそうですが、これもパニックすることはありません。多くの場合、ちょっと計算が違うとか、必要な書類が抜けているとか、追加事項に答えてもらう必要があるなど、比較的簡単に済むことが多いようです。

何をしなければならないかは通知に明記してあるはずですから、その指示にそって必要な情報なり書類を提出します。場合によっては、IRSが「このように訂正します」と伝えてくる場合もあるので、自分のファイルしたタックス・リターンと照らし合わせどこがどう違ったのかを確認し、agreeするのであればサインして書類を返送すればOKです。

 

パターン4:Audit(監査)

全タックス・リターンのうち約1.1%がIRSからAuditを受けるそうです。Auditはランダム検査ですが、ただし個々のタックス・リターンの特徴によってランダム検査に選ばれる確率が上がったり下がったりします。そのような特徴のなかのひとつはAGIです。AGIが、$25,000から$99,999の間だとAuditに選ばれる確率ははぼ0.7%と最低です。一般的にAGIが低いほうがAuditの確率も低いのですが、逆にAGIがゼロの場合は特別で2.15%。$100,000から$199,999だと0.98%、$200,000から$499,999だと1.92%、以降AGIが増加するにつれAuditの確率も上がっていきます(いずれも2009年データ)。

AGI以外の特徴でAuditの確率を上げるものは、チャリティーへの寄付が多すぎる、その他の控除額が大きい、あるいはビジネスを持っていることです。特に、ビジネスで利益がないこと、利益率が低いこと、マイレージなど車の経費が高いこと、トラベルやエンターテインメント経費が多いことなどは、Auditに選ばれる確率を上げるようです。

Auditは誰でもされたくないものですが、Auditに選ばれたからといって、IRAが鬼のように襲ってくるわけではありませんから、パニックしないようにしましょう(でもAudit通知がきたらイヤですけど・・・)。きちんと証拠書類があり整理されていれば、怖がることではありません。

書類の提出だけで済むものから、実際に出向いていったり訪問されたりするものまであるようです。Auditの結果、証拠書類がきちんと存在し、間違いなくタックス・リターンがされていることが確認されれば、それでOK。間違いがあり、追加で税を納めなければならない場合は納める手続きをします(下記参照)。

自分でタックス・リターンはしたものの、Auditが入ってしまってちょっと自分では手に負えないとなった場合も、この段階で専門家に依頼をすることは十分可能です。

 

パターン5:ペナルティ

重いペナルティが課せられる場合は、1) 支払うタックスがあるのに、期日までにタックス・リターンをしない、2) 過度の脱税(過度とは・・・正しい税額の10%以上あるいは$5,000(個人)以上のどちらか大きいほう)、3) 過失、不注意により故意にIRSルールを無視したと思われる場合、4) 詐欺 の場合です。

ちゃんと期日までにタックス・リターンをしたが、間違いなどのために正しい税額を払わなかった場合、払わねばならないバランスに対して1) 0.5%/月のペナルティと、2) 4%/年ほどの利子 がかかります。たとえば$1,000を6ヶ月滞納してしまった場合、$1,000x0.005×5+$1,000x0.04/12×6=$45(概算です)となり、追加で支払う税金プラス$45を納めることになります。

気に留めたいのは、比較的容易なリターンで済む個人納税者が、期日を守ってベストを尽くし正直な気持ちでタックス・リターンをしたのであれば、たとえ間違いを犯してしまっても、法外なペナルティに陥る可能性はそれほど大きくないということです(ここでは、故意に脱税しようというようなケースは前提に入れません)。。もし、「間違いをしたらどうしよう」という恐れで、タックス・リターンを自分ですることを躊躇しているのであれば、考え直してみるのもいいかもしれません。

第4回目は、やっぱりプロに頼もうと思っている人のために、「タックス・リターンをどうするか(4) -人に頼んでも、無くならないあなたの責任」をお届けします。

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