トランプ税改革でうちの税金はどのくらい減る?

2018年度のタックスリターンから適用されるトランプ政権の税制改革法では、Tax Policy Centerの試算によると、おしなべてすべての所得レベルで減税効果があり、課税後所得は増えるということです。Lowest Quintile(所得レベルのボトム20%)では減税の結果0.3%の課税後所得の増加にとどまり、額にして$50。一方でTop Quintile(トップ20%)では課税後所得が2.2%の増加で、額にして$5,740。全体的に所得が多いほどパーセンテージでも絶対額でも減税効果が高いという傾向があります。ただこれは計算上の平均の話であり、個々のケースを見ればかなりのバリエーションがあることが予想されます。

 

減るか増えるかの分かれ目

バリエーションの中にはかえって増税になる世帯も隠れており、およそ4分の3の世帯では減税、残りは変化がないか増税という予想です。増税、変化なし、減税を分ける要因はさまざまなものがあり、単に所得の額だけではなく、その所得がどのように生まれたものなのか(労働収入かそれ以外か、あるいはW2での給与所得かビジネスオーナーとしての所得かなど)、現在Standard DeductionかItemized Deductionのどちらを選んでいるか、後者の場合はどのような控除項目を申請しているか、家族構成はどのようかなどが関わります。

一般的に減税に不利な要因と、有利な要因を書きだすと以下のようになります。

これまで貸家住まいでプロパティ税やモーゲージ利子控除もなく、州の所得税もないかあるいはあっても高くなく、Standard Deductionを選んでいた納税者は、今回の改定でStandard Deductionが2倍に拡大されたので、大きな減税が予想されます。Personal Exemptionが廃止されたのは、家族世帯には厳しい仕打ちですが、17歳以下の子どもが多いとたとえ所得がかなりあってもTax Creditを大きく利用できる可能性があります。また、何よりもSole proprietorships、Limited Liability Company、Partnershipの形態でビジネスを所有しそこから収入を得ている場合には、20%のDeductionが許されるようになるので非常に大きな減税効果があります。

 

メトロエリアのプロフェッショナル職が危ない

反対に、厳しい仕打ちを受けるのは、カリフォルニアやニューヨークなどの高所得税、高プロパティ税を課す州(以下でHigh Tax Stateと呼ぶ)に住む納税者で、所得が高く多額の所得税を払っている人や、高額の持ち家を持っており高額のプロパティ税を支払っている人です。今までは支払った州税(州所得税とプロパティ税)は、連邦税の計算において全額控除することができましたが(Itemized Deductionを選ぶことで)、新制度ではこれに$10,000というかなり低い控除限度が設定されます。

現在の全国平均データによると、世帯所得が$75,000から$100,000の家計では州税(下の表ではSALT= State and Local Taxと表示)の控除は$7,243であり、これは新制度での限度$10,000より低いので問題になりません(全額控除できる)。$100,000から$200,000の世帯では、州税控除は$11,099で、これは新制度限度を若干超えますが、喪失する控除は極小です。ところが所得が$200,000以上の世帯では、州税控除平均は$42,714であり、$10,000を超える部分は控除できなくなります。

前述のとおり、ビジネスオーナーの場合は、所得の20%の控除できるようになりこれが大きな減税効果を生みますので、州税控除を失っても効果は中和される傾向があります。一方でW2雇用者の場合は、このような所得控除がなく、そのうえ州税控除を失うのでダメージが大きい可能性があります。イメージとしては、カリフォルニアやニューヨークなどの西海岸・東海岸の高州税都市で働く、プロフェッショナル職につく給与所得者で、世帯収入が数十万ドルの、富裕層ではあるがスーパー富裕層ではない持ち家所有者・・・このような層がダメージを受ける可能性が高いと想像されます。

そのレベルを超えたスーパ富裕層では、控除額などはあまり関係がなく、一律に下げられた税率のせいで数万ドル以上の減税効果が期待されます。

 

自分で計算してみよう!

ご自分の家計にはどのような影響があるかを予想するためのツールをご紹介します。

まずはNew York Timesのインタラクティブツールです。条件を入力すると、増税・減税のイメージ図分布をみることができます。

https://www.nytimes.com/interactive/2017/12/17/upshot/tax-calculator.html

上の図は単に分布のイメージだけになりますが、具体的に自分の家計の税金を計算してみたいという方にはこちらをご紹介します。

まずは2017年の税金予想で、これは改定前の税制で計算される連邦税です(2018年4月18日までに申請する2017年のタックスリターンに適用)

https://www.moneyhelpcenter.com/taxes/calculate/2017-federal-income-tax-calculator/#results

次に改定後の税金予想で、これは2019年に申請する2018年のタックスリターンでの額です。

https://www.calcxml.com/calculators/trump-tax-reform-calculator

 

上の二つのカリキュレータを使って、下のいくつかのシナリオで改定前(2017年額)と改定後(2018年額)を計算してみました。Married, filing jointly、子どもふたりのケースを想定し、IRAや401(k)などへの積立控除は考慮していません。これまでStandard Deductionを使っていた家計、ビジネス収入がある家計では減税効果が大きく、High Tax Stateに住む持ち家を持つ高額所得者には減税効果が少ないことがわかります。ご自分のケースで計算してみてください。

 

Married, filing jointly、子どもふたり

改革前 改革後 変化のポイント
連邦税額 実効税率(税額÷Gross Income 連邦税額 実効税率(税額÷Gross Income)
$50,000、W2雇用者 $232 0.5% $0 0%

 

Standard Deductionの増額のため控除額が増加。
$100,000、W2雇用者、Low  Tax State、持ち家 $7,732 7.7% $4,739 4.7%
$100,000、ビジネスオーナー、Low Tax State、持ち家 $7,732 7.7% $2,339 2.3% Standard Deductionの増額に加え、ビジネスインカムの20%控除設定のため大幅に節税。
$150,000、W2雇用者、High Tax State、貸家 $21,752 14.5% $15,599 10.4% Standard Deductionの増額のため控除額が増加。
$150,000、W2雇用者、High Tax State、持ち家 $19,178 12.8% $15,599 10.4% 改革前はItemized DeductionでState Taxをフルに控除。改革後は、増額されたStandard Deductionを利用。
$200,000、W2雇用者、持ち家、High Tax State $27,428 13.7% $26,099 13.0% 改革前、全額控除されていたState Taxが$10,000までになり、大幅に控除額は減ったが、税率の低下でなんとか増額を免れる。
$200,000、ビジネスオーナー、持ち家、Low Tax State $34,148 17.1% $17,139 8.6% Standard Deductionの増額に加え、ビジネスインカムの20%控除設定のため大幅に節税。
$300,000、W2雇用者、持ち家、High Tax State $52,821 17.6% $48,149 16.0% 改革前、全額控除されていたState Taxが$10,000までになり、大幅に控除額は減ったが、税率の低下でなんとか増額を免れる。
$300,000、ビジネスオーナー、貸家、High Tax State $59,421 19.8% $35,429 11.8% Standard Deductionの増額に加え、ビジネスインカムの20%控除設定のため大幅に節税。
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3 comments

  1. こんばんは。度々の質問失礼致します。Itemized deductionに含まれるものは、州税、Property tax, mortgage のinterest やmortgage rateに対するポイントなどすべてを含め、上限が10000ドルになったという理解で間違いないでしょうか?high tax stateで、近々住宅購入予定であり、この上限設定はとても厳しく、私の理解が間違っているといいのですが。宜しくお願い致します。

    1. 州の所得税、消費税、Property taxなどの州税が合計$10,000まで控除できるという上限が設定され、加えて別に、Mortgage Interestは$750,000までのローンに対する利子が控除できるという条件が設定されました。

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