年末のマネー作戦!その2 – 税金対策ともろもろの13項目

Last Updated on 2016年12月13日 by admin

ファイナンシャル・プランイング年末バージョンとして、2012年が終わる前にできることリストをご紹介しています。前回は12項目のうち1から7までご紹介しました。今回は8から13までのご紹介。

 

8.1月のモーゲージを12月末に払う

家のモーゲージ・ローンを支払っている方は、1月分の支払いを年度内に行うことで、その分のローンの利子を2012年度のタックス・リターンで控除することができます。

 

9.経費を繰り上げて拠出する

スモール・ビジネスをお持ちの方なら、今後必ず必要となるビジネスの備品などを、年内に購入することで、2012年度の経費として計上できます。ビジネスの形態、会計の仕方にもよるので、会計士にご確認ください。

ただし、モーゲージや経費の早めの計上が必ずしもベストでない場合もあります。所得層によっては2013年度の税率が上がると予想される場合がありますから、その場合は、敢えて来年度にモーゲージや経費を計上して、2013年度の収入を減らしたほうが、総合的に有利な場合もあります。ケース・バイ・ケースでお考えください。

 

10.インカム・タックス(所得税)が低いうちに・・・

2013年のインカム・タックスはいったいどうなるのか?3つのシナリオが考えられるそうです。1) ブッシュ時代の減税政策をそのまま継続させる(現在の税制。Congress案)、2) ブッシュ時代の減税政策を高所得者(個人:$200,000、夫婦:$250,000以上)についてのみ廃止(オバマ案)、3) ブッシュ時代の減税政策を完全廃止(このまま1)あるいは2)の案が通らなかった場合はデフォルトこれになります)。それぞれの所得層で、最高税率(タックス・ブラケット)がどう変化するかまとめると、こんな感じになるようです。

 

taxable income

1)

2)

3)

$60,000

15%

15%

15%

$80,000

25%

25%

28%

$100,000

25%

25%

28%

$150,000

28%

28%

31%

$200,000

28%

28%

31%

$250,000

33%

36%

36%

 

所得層によっては、どう転んでも税率が変わらない場合もありますし、他の所得層ではどちらに事が運ぶかで税率(最高税率=ブラケット)が3%ほど税率が上がる場合もあります。ひとつ言えるのは、2013年は自分の所得自体が下がるのでない限り(つまり所得が現状とほぼ同じレベルであるなら)、税率は上がることはあっても下がることはないということです。

となると、収入のタイミングを自分で決められるものがあるとすれば、2012年のうちに得ておいて、2012年度の所得税を払ったほうが有利という場合もあるでしょう。また支出のタイミングも同様です。2012年から2013年にかけて、自分の所得自体がどう変化するかと税制の動きをみて、できるだけ税金が少なくなるようタイミングを見計らうとよいかもしれません。

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11.Roth IRAへコンバートする

Traditional IRAからRoth IRAへのコンバージョンが有利な場合もあるでしょう。コンバージョン額はその年の所得に数えられますので、なるべく、所得が少ない年、あるいは所得税が低い年に、コンバートするのが有利です。ゆくゆくする予定があるのなら、敢えて2012年にしたほうがよいかもしれません。

ただし、下に書きますFAFSA対策のためには、コンバートはするべきではないので、あくまでケース・バイ・ケースです。

 

12.エステート・プラニング

エステート(遺産)のExemption(非課税枠:エステート・タックスがかからない遺産限度額)は、2012年は$5,120,000でしたが、Congressが新たにアクションをとらない限り、2013年はこのExemptionが$1,000,000に引き下げられる予定です

1ミリオンというと大きな額のように思えますが、エステート(遺産)には家のエクイティや生命保険金なども含まれますから、今実際に銀行や投資口座にあるお金だけが対象ではありません。1ミリオンを超えるエステート(遺産)には最高で55%ものエステート・タックスがかかることになります。エステート・タックスを回避するため、トラスト(信託)をつくることを考えたほうがいい場合もあるかもしれません。

ただし、おそらくExemptionは$3,500,000から$5,000,000の間で落ち着き、エステート・タックスは45%あたりで落ち着くのではないかと見る専門家も多いので、多くの人にとってパニックは不要です。エステート・タックスの計算は、市民か非市民かによっても変わってきますし、夫婦間か親から子供への相続かでも変わってきます。エステート・プラニングの専門家に相談してください。

エステート・タックス以外にも、まだWill(遺書)やHealthcare Directive、Power of Attorneyなどの書類を作成されていない場合には、まとめて準備をするとよいでしょう。これらのエステート・プラニングは年末までにと急ぐ必要はありませんが、近々一度お考えになったほうがいいかもしれません。

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13.FAFSA対策をする

もしも、来年度、大学のファイナンシャル・エイドに申し込む予定がおありなら、ファイナンシャル・エイド申請のためのFAFSA対策を年度内にしておくといでしょう。もらえるエイドを最大化するためには、ベース・イヤー(FAFSA申請の前年度。変更になり、申請の2年前がベース・イヤーになりました)の収入が小さいほうが有利です。

上述の項目では、上がると予想される所得税率のために、できるだけ2012年に所得をシフトしたほうがいいと書きましたが、FAFSA対策のためにはそれとまるで反対のことをする必要があります。タイミングが動かせる収入は2013年1月以降にもらう、2012年にキャピタル・ロスを計上するなどで、収入をなるべく小さくします。(ここでの年度も上記で書いたように、現在は申請の2年前の収入情報を使うことに変更になりました。)

収入と同時に、資産も整理します。できるだけ現金やリタイヤメント以外の投資アカウントを減らし、リタイヤメントや家のエクイティーなどFAFSAでは「カウントされない資産」に「形を変える」のがよいでしょう。具体的には、401(k)やRoth IRAへ積み立てをしたり、モーゲージなどローンの繰上げ返済をしたり、車などゆくゆく買う予定のあるものや予定されている出費は繰り上げて支払います。

 

以上、13つのファイナンシャル・プラニング年末バージョンでした。

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4 comments

  1. 税率が上がることはあっても、下がることはないですものね。Active incomeの税率のほかに、たとえば株やファンドなの収入、要は不労所得に対する税率も、オバマ案では引き上げる方向ですよね?今は15%でしたっけ?それが20%くらいまでになるとか、記事を読んだ記憶があります。でもこれは、いろいろ反対者も多く(多くは、それらで多くの収入を得ている投資家だと思いますが)、まだ可決されていないんですよね・・・?間違っていたらごめんなさい。

    1. キャピタル・ゲイン税のことですね。20%になる予定みたいですん。あと、高所得者の投資収入に3.8%の追徴課税というのもあるみたいです。また可決されていないようです。投資収入がたくさんあるひとは、いろいろと策をめぐらさねばならない今日この頃のようですねえ。

  2. FAFSA対策ですが、EFTのFormulaは、課税対象所得に退職金積み立てなど非課税だった所得を足しこむようになっているので、401Kに入れる分をRothIRAに入れると、払う所得税分のトータル収入が減る。ということですよね。 ただ、RothIRAに入れた分には、AGIを下げる効果はないので、American Opportunity Tax Credit にQualifyするためには、AGI自体にも注意をはらっておいて、基準を満たすようにしないといけませんよね。

    この辺をクリアするためには、401K以外にRothIRAとTraditional IRAをもっておいて、Income Taxの計算をしながら、どちらにいくら入れるのがいいかを決めるということになるでしょうか?

    1. 申訳ありません。本文中に間違いがありました。「2012年のためにIRAはRothを選ぶなどで、収入をなるべく小さくします。」とありましたが、Roth IRAに積み立てからといって課税収入が減ることはありません。401(k)、Traditional IRAへの積み立てはAGIを下げますが、EFCの計算ではその分をAGIに足しこまれます。Roth IRAはそもそもAGIを下げません。リタイヤメント関連口座はFAFSAではAssetとしてカウントされませんが、これらへの積み立ては所得を下げません。たしかにタックスクレジットなどの資格を得るためにAGIを下げたい場合は、401(k)、Traditional IRAへの積み立ては有効です。

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