Medigapのプランを選ぶ

Medigapのプランは標準化されており、提供されているプランにはAからNまでがあります。どのプランがよいかは、自分の望むベネフィッとのカバーと保険料との兼ね合いになりますが、ここではとくによく選ばれるプランをいくつか見てみましょう。

Medigap市場を見るともっともシェアが高いのはプランFで55%、次いでプランCで11%、この二つで3分の2を獲得しています。そのあとは、プランGの6%、プランNの6%と続きます(2013年データ America’s Health Insurance Plans)。

Plan F:とにかくしっかりカバー

 

Medigapプランのうち、プラン Fが最も保険料が高く、もっとも広範囲のベネフィットをカバーしています。プラン Fは、医療費に関しては(薬以外)、自己負担費がほとんどない状態にすることができます。よって多くの人がプランFに好んで加入します。

健康保険プランでは、CopayやDeductibleというのは一定の固定額であるのに対し、パーセンテージであるCoinsuranceは、医療費がかさむにつれて額が大きくなるので、負担リスクが大きくなる可能性がありますが、このCoinsuranceについてはどのMedigapプランも、Skilled Nursing Facility CareのCoinsuranceを除いてその他はカバーしており、大きな差がありません。同時にポイントとなるのがPlan B Excess Chargeのカバーです。プランFはこのExcess Chargeもしっかりカバーしており、もっとも安心できるカバーを得たいひとには人気です。

Plan B Excess Chargとは何でしょうか。Medicareをアクセプトする医師は、Medicare Assignmentをアクセプトする医師と、MedicareはアクセプトするもののMedicare Assignmentはアクセプトしない医師に分類することができます。Medicare Assignmentとは、それぞれの医療サービスに対してMedicareが設定している定価のようなものです。たとえば、ある医療サービスに対してのMedicare Assignmentが$500であれば、Medicare Assignmentをアクセプトする医師は$500しかチャージできません。しかしながら、医師はMedicare Assignmentを必ずしもアクセプトする必要はなく、それを超えてチャージすることが許されています。これがPlan B Excess Chargeと呼ばれるものです。ただ、法律で、このExcess ChargeはMedicare Assignmentの15%を限度とすると定められています。$500の例であれば、Excess Chargeは$75までということになります。注意すべきは、医療サービスが複雑になればなるほど、この15%も多額になるということです。このリスクをきちんとカバーしたい人には、プランFが人気です。

 

Plan C:Part B Excess Chargeのカバーがなくても・・・

 

プランFからPart B Excess Chargeのカバーを差し引いたプランがプランCです。

前述のExcess Chargeは、過大に恐れる必要はないかもしれません。あるリサーチでは、Medicare AssignmentをアクセプトせずExcess Chargeを課す医師や医療機関は全体の4%に過ぎず、Part B Excess Chargeのクレームの平均額は$20~$40であり、75%の場合、Excress Chargeのクレーム額は年間合計で$50以下、90%の場合、年間合計で$150ということです。ただ、1%は$1,000以上のクレーム額であり、大きなリスクをしっかりカバーしたいと考えるなら、Part B Excess Chargeをカバーしたものがよいですが、あくまで保険料をよく吟味して考える必要があるでしょう。

このExcess Chargeは、医師にかかる前に、「Medicare Assignmentをアクセプトしますか?」と質問することで回避することは可能です。答えがYesであれば、Excessはゼロです。答えばNoであれば、Medicare Assignmentをアクセプトする医師を探せばOKです。しかしながら、緊急の場合などこのような確認をしていられない場合や、だんだんと年齢が上がっていきこのようなチェックが億劫になることも大いにあるわけで、その意味ではExcess Chargeをカバーしているもののほうがケアフリーで安心とはいえます。

カバーありかなしか、どちらを選ぶかは個人的な見解によるでしょう。プランFとプランCとの保険料を比較するとともに、Part B Excess Chargeの危険性をどうとらえるかを鑑みて、どちらかを選ぶことになります。

なお、法律でこのPart B Excess Chargeを禁止している州もあり、それらの州ではこのExcess Chargeを心配する必要はありません。コネチカット、マサチューセッツ、ミネソタ、ニューヨーク、オハイオ、ペンシルバニア、ロードアイランドとバーモントです。これらの州で医療を受ける場合は、プランCとプランFは差がないことになります。ただ、もし他州に出て医療を受ける必要がある場合は、Excess Chargeを課される危険性は残っており、プランFでないとExcess Chargeをカバーしないことになります。

 

Plan G:Part B Deductibleは自分で払います・・・

 

プランGは、プランFからPart BのDeductibleのベネフィットをなくしたものです。Plan BのDeductibleは$166(2016)です。つまり、どんなに医療費がかかっても、受けるベネフィットの違いは最大で$166ということですが、不思議なことに、プランFとプランGの保険料の差がこの$166以上ということは多いようです。

なぜなら、保険会社は、このDeductibleを本人に代わって支払うことが一種の「サービス提供」というように捉えているようで、このサービスに対し、実際の$166の医療費負担に加えてサービス料を加えて徴収しているというイメージです。ある意味で保険会社にとってプランFのこの「サービス」は利ざやであり、よく吟味しないで購入する消費者は知らずに高い保険料を払わさされていることにもなっています。場合には、プランFはプランGと比べ年間$300~$600も高い場合もあるようなので、このような場合には最高で$166(2016)のPart B Deductibleの自己負担は覚悟のうえ、プランGを選ぶことも理に適うといえます。

 

消えるPlan FとPlan C

最近の法改正で、2020年からはMedigapポリシーはPart B Deudctibleをカバーすることが許されなくなります。これにより、2020年からはプランFとプランCがなくなることになります。ただし、この時点ですでにプランFやプランCに加入していた場合は、引き続きそのまま加入し続けることができます。しかしながら、ここで危惧が叫ばれているのは、2020年を境に新加入者がなくなるプランFとプランCは、それまで既加入者の年齢が高くなるにつれ全体的な医療費のコスト高が進み、結果として残る既加入者の保険料負担が増加するのではないかということです。プランFやプランC加入者がこの時点で他のプランに乗り換えることができれば問題は解消しますが、その時点でメディカルスクリーニングなしに加入保証が受けられるかどうかはCongressの意向によるところで、現時点でははっきりしません(ただし、Birthday Rule/Anniversary RuleやGuaranteed Issue Anytimeを試行している州ではこの心配はありません)。この意味でも、前述の理由からすでにコスト的にも優れているプランGを選ぶほうがベターだという専門家もいます。

Plan N:Copay払って保険料カット

 

プランNは、とくに最近シェアが伸びており、2012年から2013年にかけては加入者が60%の伸び、2013年から2014年にかけては33%の伸びでした。

プランNとプランFとの違いは、前述のPart B Excess ChargeとPart B Deductibleと医師/ERでのCopayです。最初の2つについてはすでに書いた通りですが、最後のCopayは、医師にかかるたびに$20、ERに行くたびに$50のCopayを負担することになります。ただし、ERに行ってそのまま入院となった場合は、Original MedicareのPart Aでカバーされることになりますので、Copayの$50は負担する必要はありません。

プランNはプランFに比較して保険料が安く、65歳から70歳でプランFの約60~70%ほど、年間にして$600~$700の保険料の節約が可能というデータもあります。月に2度医師にかかるとして、$20x2回/月x12か月=$480ですから、Copayを負担してもプランNのほうがよいと判断する人もいるでしょう。

ただし、病気が慢性化してより頻繁に医師にかかる必要ができたり、ERに行く機会が増えた場合には、自己負担がかさみます。年齢を重ねれば、このような状態になる可能性は高まるので、そのあたりのリスクはよく覚悟しておく必要があります。

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