リモデル - ビルディング・パーミットをとるかとらないか

家のリモデルや修理をするとき、パーミットをとるかとらないかで悩んだことはありませんか?家を建て直すとか、部屋を追加するなどという大掛かりな工事ならパーミットが必要なのは明らかですが、ちょっとしたリモデルだったらどうなんでしょう?パーミットなんて、市やカウンティに無駄なお金払うようなものだとか、パーミットをとらなければタックスの記録にリモデルの履歴が残らないからプロパティ・タックスが浮かせるとか、そんな話を聞くと家の中の小さなリモデルなら無しで済まそうと思ったりします。今日はそのパーミットの話。

 

そもそもパーミットって何?

パーミットは、建築物を建設したり変更したり修理したり解体したりすることを許可するもので、市やカウンティなどから発行されます。建築についての守られるべきルール(コード)が決められており、それにのっとることが要求されます。このコードは市やカウンティで若干の差がありますが、どこもInternational Building CodeやInternational Residential Codeというユニバーサルなコードブックに基づいています。

このコードというのは、建設工事において、基準に満たない部材を使ったり、きちんとした工事がなされないことで起こる危険から市民を守ることを目的にしています。パーミットをとるということは、工事をコントラクターにしてもらうにせよ、自分で家周りの修理やリモデルをするにせよ、適当な工事をすることで後々大変な安全上の問題を引き起こさないように、コードにのった工事であることの事前確認やコードにのっとって正しい工事がなされたという事後確認を専門家(市やカウンティからのインスペクター)がしてくれるということを意味します。

工事の内容によって、Building Permit, Plumbing Permit, Electrical Permit, Mechanical Permitなどの種類があります。

 

 

とる必要ってあるの?

我が家もこれまでいろいろなリモデルをしてきましたが、「家の外の目に付くものならパーミットがいるが、家の中ならいらないよ」とか、「すでにあるものを新しく取り替えるだけならいらないよ」とか、「かえってインスペクターが来ると面倒だからとらないほうがいいよ」などということをよく聞きました。

今回ランドリールームのリモデル(ガレージにあったランドリーをキッチン横のスペースに動かしランドリールームをつくった)をするので、コントラクター4社に見積もりをもらいましたが、そのうちの2社は、「パーミットをとるかとらないかは、あなた次第。パーミットをとれば$400~$500余分にかかりますよ。」と、いかにもとらないほうがお得だよ・・というような言い方をしました。残りの2社は、「パーミットは必要なのでとらねばなりません。」と言いました。

市やカウンティによってどんな場合にパーミットが必要かどうかが微妙に違いがあるようですが、照明器具、トイレの便座、シンク、配線や配管の変更をともなわない電化製品やその他器材の取替えはパーミットがいらないというのが目安のようです。市やカウンティのホームページで確認できる場合もあるでしょうし、よくわからなければパーミットを扱う部門に出向き、こうこうこういう工事をしようと思っています・・・と説明すると、パーミットがいるかどうか教えてくれます。

となると、我が家のランドリールームの工事は、水道、ガス、電気のすべての配線・配管が伴いますから当然パーミットが必要ということになります。ではなぜコントラクターは「とるかとらないかはあなた次第」なんて言うのでしょう。パーミットをとれば、度重なるインスペクションにパスすることが要求されます。市やカウンティによっては、インスペクションがかなり厳しかったりします。インスペクションは工程ごとに必要だったりするので、インスペクションを手配する面倒や、インスペクションにパスするまでは次の工程に進めないなどの面倒も発生します。インスペクションに合格しないとやり直しが必要となります。コードを良く知らない、あるいはコード通りに仕事ができないコントラクターにとってはパーミットはまさに頭痛の種なのでしょう。また、コントラクターが市やカウンティにパーミットをとりに出かけると、その市やカウンティのビジネスライセンスを持っているかを確認されます。持っていなければ、コントラクターは新しくビジネスラインセンス料を支払わねばなりません。私の住んでいるロサンゼルス群のように、カウンティーの中に数え切れないほどの市が存在する場所では、ビジネスライセンスなしで隣町のリモデルをしてしまうコントラクターもいるかもしれません。ビジネスライセンスも数百ドルほどすることもありますから、パーミットをとりたくないと思うのもうなずけます。そう考えると、「とらなくてよい」とか「あなた次第」というコントラクターは赤信号です。

 

 

自分たちの安全のため・・・

結局、我が家のランドリールーム工事では、Building Permit、Plumbing Permit,、Electrical Permit,、Mechanical Permitの4種類が必要で、合計$350ほどでした。何度も何度もインスペクションがあり、その度にこちらも緊張。何度か不合格で、コントラクターはやり直しを強いられました。やり直しのひとつは、水道管のストラップが正しくないというもの。ストラップの大きさや種類が間違っていると、後々水の流れる勢いで管が木材などに当たって破損の原因になるのですって。これって床の下の話ですから、破損しても当分は気づかないでしょうから、やっぱりコードがあってよかったと思いました。また、もうひとつは排水口の空気穴の管(空気抜きとして屋根の外にパイプが出ている)に水を入れて漏れがないか試したところ、漏れがありシールしなおしたというもの。空気穴の管は排水が流れるわけではありません(単なる空気抜きです)から、どうして水を入れてテストするのだろうと思いましたが、もし漏れがあると排水のにおいが壁の中に漏れくさいことがあるのだそうです。なるほど。本当にインスペクションは大変だったので、すべてのインスペクションに合格したときは本当にほっとしました。でも、これをパーミットをとらないでやっていたら・・・と思うとコワイです。いったい床や壁のなかでどんな工事がなされたかまるで知らずにいたと思うと。コードもパーミットもインスペクションもすべて安全のためと納得がいきました。

 

 

パーミットをとらないとどうなるか?

パーミットをとらないで工事を進めた場合、工事のクオリティ上あるいは安全上の問題が発生する可能性があるということは前述のとおりです。でも、たいした工事じゃないしきっと大きな問題も起こりにくいから、本当はパーミットが必要そうではあるが、なしでやってしまおうという意見もあります。その場合はどうなるのでしょう?

インスペクターは車でうろうろしていたりしますから、家の外から見てわかるような工事をしていた場合、「パーミットはありますか?」と聞かれることもあります。また、近所のひとが、「パーミットなしで工事している」と通報することもあります。この場合、ラッキーであれば工事を中止してパーミットをとることを要求されるくらいで(ただし通常の2倍のパーミット料金がかかったりする)すむかもしれませんが、アンラッキーであればできあがったものをすべて解体するよう要求されることもあります。せっかくつくったデッキなのに、近所の人に通報され解体を余儀なくされたり、裏庭に追加したベットルームを全部撤去しなければなくなったという話も聞きます。バスルームにいたっては、コードに沿っていない可能性のある配管は利用不可にする必要があるため、トイレにセメントを流し込むよう要求されたという悲しいケースもあります。
また、パーミットなしで行われた工事のために、火災などの被害があった場合、保険会社から補償がおりないという可能性もあります。パーミットをとらないで数百ドル節約することは、その後の危険性を鑑みるとちょっと採算に合いませんね。

 

パーミットは 誰がとるの?

 家の所有者か、工事をするコントラクターがパーミットをとります。家の所有者が自分の家の工事をするのが前者の場合。コントラクターを雇って工事してもらうなら後者の場合。パーミットをとった人が工事の責任者となります。コードの遵守、やり直し、カウンティやシティとのやりとりなど工事のさまざまな責任はパーミットをとった人にあります。その工事のせいで隣人がケガをしたとか隣人に迷惑がかかった場合も、パーミットをとった人の責任になります。

我が家は以前、デッキを拡張するのにデザイナーに図面を起こしてもらい、自分で材木を買い、大工さんをやとって建築してもらったことがありました。質のよいデッキを安くつくることができて満足でしたが、そのときは私がカウンティにパーミットをとりに行きました。家の所有者がパーミットをとった場合は、家のオーナーがジェネラルコントラクター扱いになり、雇う人はサブコントラクターという役割になります。大工さんは腕のいい二人組みだったので、何も問題は起きませんでしたが、このときの工事責任は私にあったのですね。問題があれば、それを指摘してコードに合うように大工さんを動かす責任は私にあったということです。工事の管理は自分たちの肩にあるということをそのときは、知りませんでしたけども。

またパーミット無しで工事したものについては、家を売るときに情報開示する必要があります。リモデルの内容や家の買い手によってケース・バイ・ケースですが、そのまま売買成立ということもあれば、パーミットを取り直しコードに遵守するようアップデートすることを要求されることもあります。もし情報開示しないで家を売り、後でパーミットが不取得であったことがわかった場合は、訴えられることもあります。いったん家を購入してしまえば、その家のコード遵守は新オーナーの責任(新オーナーは旧オーナーを訴えることはできますが、あくまでコード遵守は新オーナーの責任)になりますから買い手も気をつけねばなりません。

ということで、確かにパーミットは頭痛の種です。お金もかかるし合格するための労力もかかります。しかしながら、安全性を確保しその後の問題を回避するという意味では、パーミットが必要な工事については、ちゃんとパーミットをとって工事をするのが一番いいのかもしれませんね。

Print Friendly, PDF & Email

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください