アメリカ大学の学費 - 大学別コスト一覧表  

アメリカの大学に行くにはいったいいくらかかるのか?これは誰もが知りたいことですが、ストレートな答えがない問題でもあります。大学によって費用はちがうというだけでなく、同じ大学にいくにも学生によって費用は違うからです。といっていても、だいたいどのくらいよ・・・という人のために、こんな表を見つけました。

一番右の欄が、スティッカー・プライスと呼ばれるフル価格(なんのエイドもディスカウントもない価格)です。その左がネット・プライス(学費、教科書代、寮費、食費、交通費、雑費などを含むカレッジ費用から、受けられるファイナンシャル・エイドやグラントを引いたもの)が一覧表になっています。Family Income(世帯年収)によって得られるファイナンシャル・エイドなどが異なってきますので、Incomeごとのネット・プライス予想額が列記されています。

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最近は、カレッジ費用の高騰とともに学生ローンの大きな負担が問題になっています。それを受けて、一部の大学がFinancial Aid Pledgesという声明を出しました。これは学生ローンをなるべく制限し、学生の将来の負担を軽減しようという声明で、この声明を出した大学は、ファイナンシャル・エイド・パッケージの中に学生ローンをまったく入れないか、あるいはほんの限られた額しか入れないという意向を表明したのです。上の表にある大学は、このFinancial Aid Pledgesに参加表明した大学、つまり学生ローンをなるべく少なくしようと努めている大学です(2012年10月現在の参加大学)。

 

これまではFAFSAやCSS/ProfileなどでEFC(Expected Family Contribution)を計算し、EFCを超える学費はファイナンシャル・エイドがもらえるかと期待していても、エイド・パッケージが届いてみて中身をみたら、実は学生ローンやワーク・スタディばかりで、手放しでもらえるお金はほとんどないということもよくありました(Financial Aid Pledgesに参加していない大学なら、まだあるでしょう)。このリストにある大学なら、一応、この表にある額に近い額さえ家庭で負担すれば、残りはフェデラルや大学からのエイドやグラント(ただでもらえるお金)でほぼカバーされるであろうということになります。

 

注意点ふたつ・・・

これ以外の大学は・・

この表に載っている大学以外のネット・プライスは一覧表になっているものが見つけられませんでしたが、個々の大学のデータはCollege Navigatorのサイトで、各学校名を入力し検索しNet Priceというタブをクリックすると、年収ごとのネット・プライス平均値がまとめられています。

自分のネット・プライスは自分のデータで算出する

収入ごとのネット・プライスはあくまで目安です。家族構成、他にカレッジに通う家族の有無、資産、両親の収入の内訳、学生の収入などによって変化します。ここにある数字は平均的なケースの数字です。自分のネット・プライスが知りたい場合は、それぞれの大学のサイトに行って(上記College Navigatorの各大学のページに、それぞれの大学のネット・プライス・サイトに直接行けるリンクあり)Net Price Calculatorに実際のデータを入力して計算します。実際の自分のデータを入力して、算出したネット・プライスがもっとも正確なものです(といっても予想値ですが)。

州立より安い私立

私立大に行くより州立大に行ったほうが安いと思い込んではならないということを以前のブログで書きましたが、上の表からもそれがわかりますね。アイビー・リーグなどのトップ・スクールはメリット・ベース(成績・業績ベース)のグラントは出しませんが、ただしその分、ニード・ベース(経済的な大変なのでエイドが必要)のエイドで懐の深さをあらわしています。HarvardやYaleを見てみてください。年収が$160,000だったとしたら、University of Californiaに行けば$27,000かかるところ、Harvardなら$20,000でOK。Yaleにいたっては、年収が$200,000以上でも$23,800だけ払えばあとはエイドがカバーするというのだからすごいです。このデータには現れていませんが、別ソースによると、Princetonも、年収$180,000から$200,000レベルで、ニード・ベースのエイドの平均額は$23,750だったというデータもあります。「ファイナンシャル・ニーズ」の定義は学校それぞれなので、学校によっては年収がかなり低くないとニーズありとは判断されないのに対し、こういうリッチな大学だと年収が$200,000でも「ニーズあり」と判断されるのですね。

 

メリット・ベースのエイドは本人次第

家の経済は大変だけど、子どもは非常に優秀というのであれば、アイビー・リーグにいけばニード・ベースのエイドがたくさんもらえるでしょう。でも、アイビーはちょっとムリ・・・というのであれば、どうしましょう。

ただでもらえるお金には、ニード・ベース以外にもメリット・ベースといって、学業・スポーツ・芸術などに秀でた学生に対して付与されるギフト・エイド(メリット・エイド)があります。これはグラントとよばれたりスカラシップと呼ばれたりするもので、カレッジにアプライし成績や業績の審査を受けなければ、実際どのくらいもらえるものかわからないものです。ニード・ベースのファイナンシャル・エイドのように、年収や資産を入れて公式で簡単に計算できるというものではないからです。ということで、たとえあなたの家の収入が$200,000以上で上の表のネット・プライスには$50,000と書いてあっても、その大学がその学生をどうしても欲しいと思えば全額スカラシップでコスト・ゼロということもありえます(可能性としては、トップ・スクール以外の私立に多いでしょう)。

この表に名前がないカレッジ(学生ローン軽減の声明を出していない大学)でも、メリット・エイドをたくさん出しているところもあります。(そういう大学では、ちょっとエグい話ですが、そんなに優秀でない学生には学生ローンがたくさんのエイド・パッケージ、優秀な学生にはメリット・エイドがたくさんのエイド・パッケージをだしているのかもしれません。)

たとえば、University of Miamiは25%以上のフレッシュマンに平均$23,000を超えるメリット・エイドを出しているそうです。Tulaneはフレシュマンの1/3以上に平均$20,500のメリット・エイドをオファーするそうです。University of Southern Californiaは、授業料ゼロのスカラシップを100席、授業料半額のスカラシップを200席以上、授業料75%のスカラシップを250席以上、用意しているそうです。University of Chicagoはフレッシュマンの16%に平均$10,600のスカラシップを出すそうです。これらの大学は私立で、私立のほうがメリット・エイドが多いでしょうが、州立大でもメリット・エイドを出しているところはあります。University of Alabamaなどでは、授業料ゼロのスカラシップを提供しています。

 

カレッジへの入学は、アプリケーションのほうに焦点があたりがちで、「お金のことは受かってから」となりがちですが、カレッジにアプリケーションを出す時点で、ある程度お金のことも考えて見通しを立てておくのがいいのだと思います。値段を確認してから、ものを買うように、大体のコストを見極めて大学選びをするのがいいのではないでしょうか。能力とお金のこととをペアにして戦略的にアプリケーションを出すというのがベストのアプローチかと思われます。

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4 comments

  1. 貴重な情報をありがとうございます。
    子どもはまだ、小学校すら行っておりませんが、今後の教育プラン及び戦略として助かります。
    ありがとうございます。

    1. N Creekさん、お役に立てたようでよかったです。まだお子さんはお小さいのに、将来のことを考えていらっしゃること、ご立派です。

  2. 以前に、ハーバードは意外と貧乏人にはお金はかからないと聞いたことはありましたが、こう比較してみると面白いですね。 うちもまだ子供が小さいので、それまでにどうなるかはわかりませんが、”自宅”という資産の割合が大きくなってしまってもいいかな、という理由のひとつは、これなんですよね。前にどこかで、高校1年生くらいまでに対策しておけば、ファイナンシャルエイド申請の時に、資産対象にならない、みたいなのを読みました。
    税金も、保険も、メディケイドのspend downなんかもそうですけれど、今のアメリカのシステム、小金があれば取られる、無いところからは取らない、うんと金がある人はまた取られない、もしくは取られても平気、って性質じゃないですか?
    ほとんどの人たちは、小金を取られるところ以上になかなか行けず、最終的にうんと貧乏とそんなに変わらなくなってしまう。
    納得いきません。
    でもなぜか、自宅、は色々保護される感じがあります。それも不思議。

    1. たしかに、Cheeさん!アメリカはミドルクラスには暮らしにくいところになってしまいましたね。大金持ちなら悠々としていられるし、極貧ならいろいろな手当てが受けられるけど、その真ん中は税金は取られるものの見返りは少ないなんてかんじありますねえ。カレッジもそうだし。たしかにファイナンシャル・エイドは計画的に収入や資産の整理をしておくと、かなり有効にもらえるみたいです。「自宅」はほとんどの州立ではファインシャル・エイド決定の計算には考慮されないようですが、逆に私立では考慮されることが多いようですけども。でも、同感です。アメリカは持ち家を優遇する措置がたくさんありますよね。モーゲージ利子のtax deductionなんかも、今のところ上限がないじゃないですか。あれって、たとえば5ミリオンの家を2ミリオンのモーゲージ組んで買うと、一年目の利子はだいたい$70,000弱。35%の税率とすると「自宅を買った」というだけで$24,500の節税。大金持ち+自宅は最強のコンビネーションなり!(いやいや、大金持ちなら他にもいっぱい特典があるのでしょうが・・)

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