大学に行ってモトがとれるか - 大学っていい投資? 

今日は、アメリカ大学のROIをくらべてみようと思います。ROIとはReturn on Investment、日本語では投資利益率と訳します。そう、カレッジは投資です。将来への投資。高い授業料を払ったからには、やっぱりそれを回収できないとちょっと哀しいですからねぇ。「どの大学に行くのが利益率がいいか」なんて、いかにもアメリカ的でちょっとうんざりする方もいらっしゃると思いますけど、ま、余興と思ってごらんください。

アメリカって何でも調べればデータがあるもので、大学ごとのROIデータを見つけました。

ちょっと説明が必要ですね。下に、項目ごとの意味を書きます。

  • 2011COST : 2011年時点での卒業までの4年間に必要な総コスト。
  • 30YEAR NET ROI : 「卒業後30年間で、高卒に比べて余分に稼ぐことができる給料」 から、「4年間の必要総コスト」 を差し引いたもの
  • ANNUAL ROI : 「2011COST」分を投資し、30年かけて「30YEAR NET ROI」を回収したときの投資利益率。1年あたりのリターン。この数字は株や債権、銀行口座などの利まわりなどと比較できる数字です。
  • %AID : ファイナンシャル・エイドをもらっている学生の%
  • AVG AID AMOUNT : 平均ファイナンシャル・エイド額
  • 30YEAR ROI WITH AID : 「卒業後30年間で、高卒に比べて余分に稼ぐことができる給料」 から、「ファイナンシャル・エイド後の4年間の必要総コスト」 を差し引いたもの
  • ANNUAL ROI WITH AID : 上のANNUAL ROIと同じだが、もらえるファイナシャル・エイドを反映させた数字。

 

ポイントは、できるだけ4年間のコストが安く、できるだけファイナンシャル・エイドがもらえて、だけれどその後30年の給料がいい大学はどこだ!ということです。

一番右のANNUAL ROI WITH AIDの高い順にソートしたのが上の表です。

一位はUniversity of Virginiaの15.1%でした。この大学、実はうちの主人が3年前まで勤めていた大学で、この大学街に9年住んでいたので感慨深いものがあります。トーマス・ジェファーソンのつくった美しい大学です。大学職員の家族が同じ大学にいく場合に、大学によっては授業料がタダになったりするのですが、Univ. of Virginiaはそのような措置がなく、当時はブーブー言っていたのですが、でもこんな優秀なROIならフルにお金払ってもいいじゃないの!(でも入るの案外大変です。。。)

二位のGeorgia Techも案外意外でした。上位はすべて私立で埋め尽くされるのかなんて思っていたのですが、一位・二位は州立大学でした。ROI WITH AIDの14.9%は優秀です。しかもこの大学は76%がAidをもらっています。ただし額はそんなに多くないので、みんながひろくまんべんなくもらっている感じですね。

それ以降は強力私立が並びます。そうかあ、学費は高いけどやっぱりROIはいいのね~。Harvard、Princeton、MIT、Stanford、Cal Tech、Dartmouthは、学費も高いけど30年間の給料もそれなりに高い。しかもFinancial Aidもどこも$30,000代で懐の深さを感じさせます。やっぱお金持ち私立大学は、巨大なEndowment Fund(寄付金基金)を持っているので、ぼ~んとお金をだせるのですよ。桁が違いますね。

ただ、これらのデータは大学をひとくくりにして専攻の違いは考慮にいれていないので注意が必要でしょうね。Harvardに4年間で$210,400払って(Aidなしの場合)Historyを専攻し初任給が$34,000の場合と、State University of New York Maritimeに4年間で$89,010払って(Aidなしの場合)Engineeringを専攻し初任給が$70,000の場合との比較は、やっぱり個別にしないといけません。ちなみに、このふたつの大学のROIはAidなしで10.4%(Harvard)と11.4%(SUNY)、Aidありだとどちらも12.4%ですが、何を専攻するか、実際に自分がもらえるAidはどのくらいで個人的なROIは随分と差がでるでしょう。

 

じゃあ、ちょっと悲しいけど逆を見てみましょう。ROIの低い順でソート。

大学 アメリカ 費用 ファイナンシャル・エイド

「カレッジ卒は高卒に比べて、年収にして$20,000以上多く得ることができる」というデータはあります。でも、それはあくまで平均値。ROIが最悪の大学はROI(Aidを入れて)がマイナス15%以下(以下ってとこがミソ。それって実際いくつなんだろう?)。よく見てみれば、30YEAR NET ROI WITH AIDはマイナス$160,000。この学校のエイド後の4年間のカレッジ総コストは$166,500(176,900-10,400)。つまり、高卒と生涯給料はほぼ同じ(30年間で$6,500しか多く稼がない)ということ。

悲しいことにこのネガティブROIの大学はかなり数があるのです。このROI調査、アメリカ国内の850のカレッジを対象に行われましたが(州立大学は州内授業料と州外授業料の場合で2校と数えられるので、学校数は実際には850以下です)、そのうち127校がネガティブROIをマークしています。お金だけがカレッジに行く目的ではないものの、ちょっと考えてしまいませんか?

 

これ、カレッジ費用を財力のある親やおじいちゃん・おばあちゃんがぽ~んと払ってくれたのならまだマシだけど、この費用を払うのにStudent Loanを借りちゃったなんていったら最悪です。卒業したらローンを返さねばならないのに、それに見合う収入がないと苦しいでしょう。さらに超赤字のリターンになります。言葉は悪いけれど、借りたお金を元手に株を買ったが会社がつぶれてしまった・・・みたいなかんじです。

ま、お金だけじゃないですからね。そのカレッジ在学中に、Soul Mateと出会ってすばらしい家庭を築いたというのなら、それはすごいROIですよ。でもやっぱちょっと考えちゃいますね。カレッジ、カレッジとメディアなどにあおられたりしないで、本当にそれは自分にとって価値あることか考えるという姿勢が大切なような気がします。カレッジだけが道じゃない!

このデータをもっと見てみてみたい方は、どうぞこちらへ

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6 comments

  1. あと私思うんですけれど、卒業した後にどこにどうやって住むかっての大きいですよね。

    職業によっては、生活費の高い都市に集中しがちなのもありますし、身なりやら車やら交際費やらにお金をかける傾向のある職業もあります。

    まあまあ給料が良くても、出て行く方も大きかったら、とっととローン返せませんから。

    あと、今は良くても将来はムンバイに仕事を取られる可能性があるなんてのもダメですね。ホント今は多いですよ。
    会社はそれで質がめちゃくちゃ落ちるのわかっているのに、そっち選ぶんですからね。
    ひどいもんです。

    なので地方でも需要が安定していて、金持ちぶらないでも良くてっていう職業がいいです。
    となると、実際にアメリカの現場にいないといけない職業です。
    やはりプラマーは悪くないかも。^^

    1. ははは、ムンバイね。。笑っちゃいましたが、いやいや、笑いごとではありません。ほんと、「現場がアメリカにある仕事」って、かなりキーですね。簡単にエキスポートできない仕事、簡単にオンラインで調達できない仕事、Up・Downが少ない仕事、そして景気にあまり左右されない仕事・・Plumberってかなりポイント高いです!

  2. 確かにそうですよね。プラマーの仕事は外に依頼できないですものね。そう考えると、高速道路でよくお目見えする大型のトラックのドライバーなんかもそうですね。あれも外に依頼できないですね。仕事無くなることはないと思います。アメリカでは特に。あの大型のトラックを運転する人がいなくなると、スーパーやショッピングモールで買い物できなくなりすよ、アメリカは。アメリカは本当に電車の路線が発達してないですから、全部トラックで運んでますものね。飲料水、食べ物、衣類、電化製品など、と~にかくすべてトラック輸送です。

    1. ほんとだ!面白いですね、そういう角度から仕事を見ると、あとは、美容師、フィジカル・セラピスト、看護士、セキュリティー・ガードなんかもいいかも。。景気がよくても悪くてもいつも恒常的に必要で、流行りすたれが少ないものですねぇ。。フィジカル・セラピストや看護士はOkだけど、外科医なんかはダメかも。待てる手術であるのなら、最近は東南アジアやヨーロッパにツアー組んで手術受けに行きますよね。だけど、フィジカル・セラピーや看護士は、ずっと恒常的に必要なのでそうはいかない。。

      1. そうなんですよ。角度変えてみると、以外に学歴云々だけではない、ということが見えてくるんです。。。。私の夫の友達の兄弟が、刑務所のセキュリーティーガードしていますが、給料がいいです(驚)。彼は、大学は出てないですよ。医師は、学費を返済するのが本当に大変ですよね。かなりの借金を背負って社会に出てきますが、病院、あるいはクリニックも、患者がいて初めて経営が成り立ちますから、それなりに患者数を確保する必要があります。そうしないと人件費が払えない事体が発生します。ナースも同様です。以前、40歳過ぎたナースですら、大学の借金を返済できていない、という記事を拝見しました。しかし、アメリカは保険会社が医療機関に支払う医療費がものすごく高いというのが問題になっています。つまり、健康な人が少ないっていうことでしょうか。オバマ大統領が進める、「すべての人が医療保険を持つ」ということは、いざというときに医療施設に行く選択肢を患者に与えるかもしれないですが、医療費が桁違いに高いアメリカで、ダイレクトにそれが良い方向に働くとは考え難いです。そもそも、医療費が高すぎるので、「健康診断しよう」とか、「悪くならないうちに早くクリニックでみてもらおう」というように、医療機関を身近に感じる土壌がそもそもないです。基本的に自宅療養が多いアメリカでは、医師に比べると、ナースのほうが仕事を恒常的に確保しやすいかもですね。この前、WEBサイトで、(どこのサイトか忘れました、すみません)今後10年以内に給料が上がると考えられている職業が2つ書かれていました。それは、トラックのドライバーと、車の整備士でした。

        1. ふむふむ、turtleさん。これは今の社会の盲点ですね。「大学に行けばなんとかなる」、「大学に行かなければなんともならない」というのは妄信ですね。もっともらしいのでそう思い込みがちですが、大学出てもstruggleしている人が多い今、ちょっと見方を変えると、今まで見えなかったものが見えてくるかもしれません。

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