ファイナンシャルエイドと学費ローンの現状

CollegeBoardがTrends in Student Aidというリサーチを発表しています。これからカレッジに子どもを送り出す親にとって、どのくらいのファイナンシャルエイドが得られるのかは非常に知りたいところですね。今回は、同リサーチから一部抜粋してご報告します。

まずは、もっとも関心があるともいってよい、「我が家の収入レベルでファイナンシャルエイドは受けられるのか」という点についてのデータです。もちろん、学費の額や受けられるエイドの内容、それぞれの大学によって、それぞれの学生によってかなり差があります。簡単に、「はい、あなたの収入ならエイドはいくらになります」というモデルはありません。以下はあくまで平均値ですが、ある程度の参考にはなるかと思います。

 

financial aid break down
ファイナンシャルエイド(グラント)需給状況

 

上が州立4年制大学、下が私立4年制(Nonprofit)大学で、それぞれ家庭の収入ごとにどのようなグラントが受けられているかをまとめたものです。学生がDependentとして親にサポートされているケースは左側の4つのグラフに示されており、それぞれ年収$30,000未満、$30,000~$64,999まで、$65,000~$104,999まで、$106,000超ごとに表示されています(カッコ内は全体における、そのカテゴリーに属する家庭のパーセンテージ)。一番右は、Independent Studentとして自分自身をサポートしている学生です。グラントの出所は3種類に分類され、ライトブルーはFederal/Stateのグラントです。もっとも大きいFederalのPell Grantなどや、それぞれの州の出すグラントがここに分類され、これらはNeed Basedのものです(Grant の種類の詳細はこちらで)。オレンジは、各大学の出すNeed Basedでない(つまりMerit Based)のグラントです。そしてダークブルーが、各大学の出すNeed Basedのグラントです。

年収$30,000未満なら、州立で$9,000弱、私立で$20,000強がグラントマネーでカバーされるということです。年収$30,000~$64,999になると、私立で$6,000弱、私立で$18,000強がカバーされます。年収$65,000を超えると、Need BasedのFederalグラントはガクンと下がりますが、大学の提供するNeed BasedおよびMerit Basedのグラントが引き続き存在するので、州立で$2,000前後、私立で$10,000~$13,000のフグラントが得られるという結果でした。このことは、ある程度の所得があってもすぐにファイナンシャルエイドは得られないだろうと決め付けず、エイド申請をすることの大切さを物語っています。また、特に私立では、ファイナンシャルニーズはまったく関係のないMerit Basedのグラント(オレンジ)の比率がどの層でも高く、これは年収$106,000以上では提供されたグラントの63%に上ります。高いから私立はターゲットに入れないと簡単に排除せず、Merit Basedのスカラシップを提供している私立も受験校に入れるというのもひとつの考慮点です。

返済の必要のないグラントでまかないきれない学費については、自己負担かあるいはローン(その他一部はWork プログラムの収入)でカバーすることになります。Bachelorをとった段階で、学生たちはどれほどの負債をかかえて卒業するのかが以下のグラフです。

 

Bachelor’s Degree取得者の平均負債額
Bachelor’s Degree取得者の平均負債額
(州立大学)

 

州立4年制大学での卒業時の負債残高は2000年あたりの$20,000強からじりじりと増加傾向にあり、2012年では$25,000まで増えています。ローンをつかったのは全体の57%で、57%の中の一人あたりの平均が$25,000、一方ローンをつかわず負債残高のない人も含めた一人あたりの平均が$14,300ということでした。

 

Bachelor’s Degree取得者の平均負債額  (私立4年制大学)
Bachelor’s Degree取得者の平均負債額
(私立4年制大学)

 

同様なグラフの私立4年制大学バージョンがこちら。全体の65%の学生がローンをつかっており、2012年の残高は$29,900でした。ローンを組まなかった学生も含めたひとりあたりの平均は、$19,500でした。

こう見るとローンをぜんぜん組まないで卒業する人とローンを組む人と二分される傾向がある(私立のほうがローン派が大目)のがわかります。ではみんな一人あたりどのくらいのローンを抱えているのかというのがこちら。

 

2012第四四半期のローン保持者の負債残高
2012第四四半期のローン保持者の負債残高

 

$10,000以下が40%でこれは返済のめどが十分見える額です。$10,000~$24,999の30%も、少々時間はかかるかもしれないが、仕事さえあれば十分返済できる額。$25,000~$49,999が18%で、このあたりから返済が少々苦しくなりだすかもしれません。$50,000以上はもちろん年収や返済能力によりますが、返済の長期化が危惧されます。

 

カレッジ資金の捻出は本当に大変な作業ですが、まずはグラントマネーを最大限にもらえるようにすること、できる限りで貯蓄をしておくこと、そしてローンは卒業してから十分返済ができる範囲で利用することに心を留めながら、バランスの取れた資金計画をすることが大切でしょう。

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