モーゲージローンをどう見つける?

“You need to shop around for mortgage loans.” とよく言います。ショップ・アランドとはあちこちに問い合わせて、一番条件のよいところを見つけるということです。モーゲージローンも車を買うの一緒で、スペックを決めたらあちこちのディーラーから見積もりを集め、条件のよいものを選ぶ必要があるということです。家を買う/引越しするとなると、しなければならないことがローンを確保すること以外にもわんさかありますし、家の購入は車の購入ほど頻繁にあることではありませんし、その上車などのローンに比べるとモーゲージローン申請のために必要となる書類もたくさんあって、なかなか「どのモーゲージが自分たちにぴったりか」とか「どこのローン会社の商品が条件がよいか」という吟味はおろそかになりがちです。しかしながら、モーゲージローンは額も大きいですし、保持期間も長いですから、よい条件のローンを選ぶか選ばないかで、数千ドル、数万ドルのコストの違いになりがちです。いったいどうやってよい条件のものを選ぶか、そのステップを考えてみましょう。

自分でやるかプロに頼むか

まず、決めるべきことは、自分でいろいろなローン会社に問い合わせて情報を集めるか、あるいは自分でやるのはあきらめてプロを雇ってやってもらうかです。自分でやるというのは、どのようなモーゲージのタイプがあるかを把握し、自分たちにベストなタイプを選択したうえで、いくつかのローン会社や銀行からローン条件を聞き出し、最適な会社とモーゲージ商品を決定するということです。この場合は各機関のローンオフィサーと呼ばれるローン担当者と直接やりとりをします。一方、プロにやってもらうというのは、モーゲージ・ブローカーに手数料を支払い、最適なローン会社とモーゲージ商品の選択を自分に代わってやってもらうということです。ローン担当者と直接やりとりする必要はなく、間にブローカーが入ってくれます。

モーゲージローンの宣伝やオンラインでの金利表示などは、銀行やクレジットユニオンなどが出している場合もあれば、モーゲージブローカーが出している場合もあります。一見すると何の差もないように見えますが、自分が相手にするのはいったい誰なのかをきちんと把握しておくことが大切でしょう。

ローンオフィサーとは: ローンオフィサーは、銀行やクレジットユニオン、あるいはその他のローン会社の社員であり、その会社が発行するローンを売ったり、発行手続きをする役割を担った人です。ちなみにこれらの金融機関は自分で自らローンを貸し付けるという意味で「ダイレクトレンダー」と呼ばれます。ダイレクトレンダーの発行するモーゲージローンにはいろいろなタイプが存在しますので、ローンオフィサーはあなたにとってベストなタイプを見つけるのを手伝ってくれます。しかしながら、ローンオフィサーが扱うローンはすべてその特定の会社の発行するローンですので、ひとつの会社のローンオフィサーに問い合わせただけでは、巷にあるローンのうち最適なものが見つかる可能性は低いかもしれません。結果的に、数社に問い合わせをしてみて、一番よさそうなところを選ぶという作業が必要になります。

モーゲージブローカーとは: モーゲージブローカーとは、あなたとローン会社(ダイレクトレンダー)との間に入り、2者を結びつける役割をします。ブローカーは、数十、場合には数百ものローン会社のリストを持っており、顧客のクレジットスコアや収入の状況、負債返済能力なども吟味しつつ、プールの中から顧客にぴったりのモーゲージを見つけることができます。ブローカーは、顧客から申請のための情報を集め、申請書を複数のローン会社に送り、最終的にベストと思われるものについてローン発行までフォローする仕事をします。有能なブローカーであれば、厳しい財務・クレジット状況であっても、なんらかのローンを見つけることができる腕とネットワークを持っています。ブローカーは、この仕事に対して手数料を課します。ブローカーを使う場合には、ローン会社の条件を自分で見極める必要はありませんが、その代わりブローカーの能力と期待できるサービス、手数料の大きさについてはしっかり見極める必要があります。

ダイレクトレンダーの威力

自ら貸付をする会社をダイレクトレンダーと呼ぶわけですが、多くの場合、家のセラー側にとっては、バイヤーが(ブローカーではなくて)ダイレクトレンダーを相手にしているほうが安心である場合が多いようです。ローンオフィサーは、なんといってもそのローン会社の社員ですから、ローン発行手続き開始から完了にいたるまで、その発行プロセスにかかわる社内の各部署と直接的なコミュニケーションをとることができます。これに対し、ブローカーはあくまで仲介者であり、ローンを発行する会社とは直接的な関係のない立場にあり、それゆえローン会社とストレートなコミュニケーションが難しいケースも出てくるようです。最近では、Pre-approvalレターをオファーと一緒にセラー側に提出することは必要条件になりましたが、このPre-approvalレターも、ダイレクトレンダーが出しているもののほうが、ブローカーが出しているものより威力を持つこともしばしばのようです。ブローカーが出しているものは、ブローカー・レベルのPre-approvalであって、具体的なローン会社のPre-approvalではないからです。もちろん信頼のおけるブローカーからのPre-approvalレターなら信頼できるものでしょうが、適当な情報収集でPre-approvalを出すブローカーもいるということです。家のオファーがアクセプトされても、その後スムーズにローンがおりない物件が多い昨今、セラー側も神経質になっていますから、Pre-approvalレターに“Direct Lender”の一言があるかないかが、オファーの結果を左右する可能性もあるようです。

また、ローカル市場に強いダイレクトレンダーは他にもベネフィットがあります。不動産取引は各州での法律も違ううえ、そのエリアごとにかなり慣習に差があります。ローカルのダイレクトレンダーはその土地独自のやり方に精通しており、それがローン発行+クロージングにおいても有利に働くことも多いでしょう。

ひとつ付け加えますが、ダイレクトレンダーの中でも大手の銀行などになると、その組織の大きさゆえに、迅速なローン発行プロセスが困難になるケースもあるようです。大きな組織ですと、ひとつのローンは何百、何千のローンのうちの一ケースになってしまい、関わる担当者も増えスピーディーなコミュニケーションや処理の障害になる場合も増えているそうです。ダイレクトレンダーの中でもなるべくフラットな組織を持ち、有能なローンオフィサーがフットワークよく動けるような会社を選ぶこともポイントです。

ブローカーの威力

もっともシンプルでスムーズに行きそうなモーゲージとは、申請者が優秀なクレジットスコアを持ち、アメリカ市民かグリーンカード保持者であり、一家族で住む一軒家(single-family detached house)を、自分が住む家(primary residence)として買う人の場合です。リファイナンスの場合にはキャッシュアウト(リファイナンス額が現在のモーゲージ残高以上)をせず、クロージング時にセカンドモーゲージを持たず、プロパティタックスと持ち家保険はエスクロを通して支払い、モーゲージを借りる人は実際に住む人であり、頭金とクロージング費用のために十分な資金を持っており、十分な収入があり、収入と資産について文書での証明ができる人である場合です。このようなケースでは、だいたいどこのダイレクトレンダーをあたっても条件の差はあるにせよ、ローン発行は難しいものではないでしょう。

一方、クレジットスコアが低いとか、収入上の限界があるとか、購入する物件が通常のようなシンプルな条件のものではないとかのようなケースでは、ディレクトレンダーから却下される場合もでてきます。このようなケースでは、モーゲージブローカーがその威力を発揮します。このような特別なケースを「ニッチ」と呼びますが、それぞれのニッチに対して、それに対応したモーゲージローンを見つけてくるのがブローカーの得意とするところです。数多くの手持ちカードの中から、顧客のニーズにあったものを見つけるという技はブローカーならではです。

しかしながら、ブローカーが真に顧客にとってベストなソリューションを提供するかというと、必ずしもそうではないケースも見受けられるようです。ブローカーは仲介手数料により利潤を得ますが、手数料の高いローン会社やモーゲージ商品が顧客にはベストな選択肢ではない場合ももちろん存在し、そのような場合、顧客の利益を優先するか自分の利益を優先するかは、なかなか見えないそれぞれのブローカーに任されたところです。また、ブローカーを介せば、もっとも低コストのモーゲージが見つかるはずだと決めこむのも危険なことです。場合によっては、ダイレクトレンダーに直接問い合わせることでブローカーが見つけるローンより条件のよいものが見つかることもあるそうです。

さて、どちらがいいのか、どう選びましょうか。以下のような指標を使ってはどうかと思います。

ダイレクトレンダー派

  • クレジット良好で収入や頭金も十分。ローンは問題なくおりると想定される。
  • しくみを理解したり、質問したり、何かおかしいと思ったら疑問を指摘したりするのはいとわない。
  • モーゲージのように大きなお金が動くことに関しては、自分のコントロール内で物事を運びたい。
  • PCを使ったりオンラインでリサーチしたり書類を提出したりというのは苦ではない。

モーゲージブローカー派

  • クレジットや収入で問題がある、証明がしにくいなど、簡単にローンがおりない可能性が予想される。
  • お金のことやローンのことなど複雑なことは理解したくないので、少々高くついたとしてもノータッチでいたい。
  • 誰か信頼できそうな人を探して、自分の代わりに決めてくれるのを受け入れるほうが楽である。
  • 人を介してアナログ処理のほうが生にあっている(最近では、ブローカーとも顔を合わせずすべてオンラインですることも多いようですが)。

実際には、このふたつのタイプに明白に分かれることはないでしょうが、ご自分はどちらの派に近いか参考になさってください。

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4 comments

  1. レンタルとして貸している家のローンがあと数年程で終わるのですが、HARP(Home Affordable Refinance Program)でリファイナンスする価値はあるものなのでしょうか。(15年の5.5%から10年の3.625%になります。)

    現在ローンを組んでいる銀行を使えば、Appraisalも必要なしでNo Closing Costでリファイナンスできるみたいなので、今まで通りの額、月々支払って、バケーションなどちょっと他にお金が必要な時は最低金額だけ払えば、上の記事で説明されているようにフレキシブルになっていいように思えますが、これだとあまりに話がうますぎて、何か見落としているのかなあと心配になってしまいました。何かアドバイスがあれば、お願いします。

    1. HARPは一般にUnderwaterの人用のガバメント・プログラムのようにいわれますが、Underwaterでなくても利用できるらしいですね。リファイナンスの場合、クロージングコストと金利と年数の総合で、リファイナンスしたほうがいいかどうかを決めることになりますが、3つとも同時に今よりよくなるならしない手はないように思いますね。たしかに、What’s the catch?という感じですが、GFEなどのローン書類によく目を通して納得できればOKなのではないでしょうか?Catchがあったとすれば、必ずローン処理のどこかには開示されているはずですから、よく読めば大丈夫だと思います。

  2. そうなんですよねえ。しかも、得体の知れないローン会社からでなく、その業界では大手の、現在ローンを組んでいる会社から、そういうメールが送られてきたものですから、余計、かんぐってしまいました。。。。もうちょっといろいろ読んで調べてみます。コメント、ありがとうございました。

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