学費高騰もなんのその - フリーのHarvardクラスはいかが?

アメリカ大学の学費の高騰は何も今にはじまった問題ではありませんが、しかしながら頭がヒジョーに痛い問題です。今までの記事をつかって振り返ってみると・・・

とにかくアメリカの大学は高い!

アメリカ大学の学費 - 大学別コスト一覧表  

高いのは、教育の質にコストがかかっているのか、それともぜんぜん関係ないところにかかっているのか、ちょっとばっかり疑問!

アメリカ大学 学費高騰のミステリーの裏には・・・

そして、その高い学費を払って大学にいけば、本当にモトがとれるのか・・・

大学に行ってモトがとれるか - 大学っていい投資?

いくなら、やっぱりアイビーリーグがいいわけ?(入れていただけるのなら!)

行く大学によって初任給どのくらい違う? 

そんで、何を勉強しましょうか?

大学で何を専攻するかで、給料ってどのくらい違う? 

カレッジ費用をためるのだって大変ですよ。

カレッジ費用を貯める(1) - Roth-IRA と 529

ファイナンシャル・エイドがもらえればいいけど・・・

ファイナンシャル・エイドを多くもらう - EFCの最小化

学生ローンは、将来への投資どころか、子ども将来をつぶしかねなかったり。。。

スチューデント・ローン - どのくらい借りてもOKなの?

 

あ~、頭が痛いですね~。。我が家にもあと数年すれば大学生になる予定の息子とその後を追う娘がいますので、大学選びと費用の準備は大きな問題です。

アメリカ大学について知れば知るほど、本当にそんなに高い授業料を払う価値があるのか・・・と疑問に思わざるを得ません。大学教育は意味のあることだと思いますが、なぜここまで高いのか。実質に見合った価値なら払うべきだが、価値がなければ払いたくないというのは、それがTシャツ一枚であろうが、大学教育であろうが同じことだと思うのです。しかしながら、私たちなどオンボロの小さな家がミリオンする南カリフォルニアに住んでいると、だんだん価値判断も狂ってきます。狂いたくないけど、狂わせないとサバイブできないともでいいましょうか。本当は、価値のない家に将来への投資だからという名目で、大枚をつぎこむ人々(というか自分たちも)を見ていると、年間4~5万ドル、ひどいと6万ドルの大学教育も、「将来への投資」を笠にきた盲目的狂信ではないかなんて疑ってみたくもなります。でも今日の話は高い話じゃありません、タダの話です!

 

ハーバードやMITの先生のクラスがタダでとれたら・・・

スタンフォードやプリンストン、ミシガンにバークレーもあります。みんなタダ!それに入学試験もありません。。。ウソでしょって?いや本当ですよ、今流行りのMassive Open Online Course(MOOC)というやつです。

MOOCとは、Webテクノロジーを使っての、大規模インタラクティブ・ベースでの教育者と学習者の参加型オンラインコースです。ビデオや音声での学習に加え、参加者のインタラクションを可能にするフォーラムが提供され、そこでは生徒、教授、TA(Teaching Assistant)などの間での活発なコミュニケーションが可能になっているそうです。

 

2012年はMOOC躍進の年だったそうで、現在はこんなのがあります。

Coursera

スタンフォード大の二人の教授が始める。スタンフォード大に加え、後にペンシルバニア大、プリンストン大、ミシガン大が加わる。工学、文化人類、医学、生物、社会科学、数学、ビジネス、コンピュータサイエンスなど多岐にわたる分野のコースをフリーでとれる。UCアーバインやデューク大などからは、大学のクレジットが得られるコースも提供されている。

edX

MITが始め、後でハーバード大がパートナーとして加わり、この2大学はedX(非営利プロジェクト)にそれぞれ$30ミリオンつぎ込んだ(大学に通う人の高い学費が、フリーのオンラインコースに回っているのかしら?)そう。後ほど、参加大学としてUCバークレーが加わる。その後も参加する大学が増えている。多岐にわたるエリアの大学レベルコースを無料で提供している。

Udacity

スタンフォード大で始まる。大学教授だけでなく、企業家によるコースなども提供。Googleやマイクロソフトなどの企業ともコラボレート。サンノゼ州立大とパートナーシップを組み、クレジット取得可能コースも提供する。

 

これ以外にも大学という枠組みを超えて、オンラインコースを提供する

Khan Academy
Peer-to-Peer University
Udemy

などがあり、これらはコースの開始時も自由で、個人のペースにあわせ学習をすすめることができるようになっています。

ふ~む。MITの通常のクラスをとろうと思えば、一クレジットあたり$650かかり、3クレジットのクラスなら、$1,950払わないといけません。これがハーバードだとちょっと理解に苦しむ、一クレジットあたりなんと$4,538、3クレジットのクラスで$13,614だそうです。法外な値段なので、いつくかのソースで何度か調べましたが、どうやらこれが正しい値段らしいです。やぱり大学の値段付けはどうも腑に落ちません。

だけど、edXなら、MITやハーバードの先生が教えてくれるコースがFREE! しかも入学願書用意して、合格しなくてもOK。わたしでもとれる!

しかしながら、キャッチもありまして・・・。それは、MOOCのフリーコースでは、一部を除いて大学のお墨付き、つまり、クレジットがもらえないこと。edXでは、コース名のあとにxがついていて、たとえばUCバークレーの統計のコースはStat2.2xと呼ばれています。このコースを最後まで完了するとCertificateがもらえ、Resumeに「UCバークレーのStat2.2x Certificate取得」と書けば見栄えはいいものの、「UCバークレー数学科卒業」とはちょっと格が違います。

 

$50,000と$0がマージするところ?

超スーパー・エクスペンシブな通学コースと、一銭もかからないオンラインコース(MOOC)。このふたつの将来はいかに!MOOCは、大学教育市場における破壊的イノベーションとよばれるものなんだそうです。この破壊的イノベーションというのは、「確立された技術やビジネスモデルによって形成された、既存市場の秩序を乱し、業界構造を劇的に変化させてしまうイノベーションのこと」というものらしいのですが、つまりMOOCは、ゆくゆくは現在の大学教育モデルを破壊し、劇的に変化させるということなわけですね。専門家の予想によると、現在の大学が負っている機能には、リサーチ、カリキュラム開発、教育コンテンツ開発、ティーチング、評価、学位授与、就職サポートなどがありますが、これらは将来的にアンバンドルされ独立して提供されるようになるそうです。Specializationというやつでしょうか。MOOCが将来的に担う部分は、ティーチング、評価、就職サポートだそうです。

上でご紹介したMOOCサイトのいくつかでは、オンラインコースを優秀な成績で終了した学生と人材を探している企業とをつなげ、そこから収益をえるようなモデルを導入しつつあるところもあります。また、カリキュラム教材を売るので収益を得たり、フリーで導入コースを取った学生に対し、有料の後継コースへとアップ・セルするようなしくみを作っているところもあるようです。いろいろな収益化努力が試みられているようです。

将来的には、オンラインコースを終了することで、大学の学位が得られるようなシステムも導入されるだろうという予想(現在もUniversity of Phoenixなどのオンライン大学でなら学位がもらえますが、ここでの意味は、従来の著名大学が学位を発行するという意味です)もあります。これが実現された段階で、現在の大学教育モデルは劇的に変わらざるを得ないと予期されています。

そして、現在平気で5万ドル、6万ドルというお金を徴収している大学にとって、この変化は決して望ましいものではないのでしょうが、おそらく将来を真剣に見通そうとしている大学は、これが避けられない変化であることも予期しているのでしょう。だからこそ、アメリカを代表する著名大学が我先にとMOOCマーケットに参入しているのだと思われます。

ということで、現段階ではMOOCはベータ版のフリーウエアという段階なのかもしれません。でも、いつか5万ドルの通学コースモデルを破壊し、タダでなくてもいいですから、せめて(0+5万ドル)÷2=2万5千ドルくらいで学位が取れるようになると、ファイナンシャル・プラニング上も助かるわ~と思っているのですが、でもうちの子どもが大学に行くころには間に合わないでしょうか。。。早く破壊が起こらないものかと心待ちにしております。

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6 comments

  1. 素晴らしい情報です。アメリカで勉強したことのない私にはちょうど良さそうです。
    ボケ防止に。

    1. あらあ、Cheeさん。Cheeさんにボケ防止はまだ早いんじゃないでしょうか??お互い精進いたしましょう!

  2. いつも楽しく(勉強にもなってます!)読ませていただいています。

    考えさせられますね!たしかにアメリカの学費はうなぎのぼりですよね!

    わたしもアメリカの大学にカナリお金をつぎ込みました!日本の奨学金(というなの学生ローン)を使っていたので、全部返さなきゃいけないのでカナリ大変です。笑

    別に有名ではない州立大学でしたが、留学生だったので、結構お金はかかりました。そのうえ、学費を払っていたころは円安で、今ドルで稼ぐようになったら、円高っていうのは、これはただのアンラッキーでしょうか。

    インターネット上でフリーで学びたいだけ学べるというのは本当に素晴らしいと思います。アメリカの貧富の差には教育の差もあるとおもっているので、こういう形で、知識の差が埋まっていけばよいですよね。

    それに、実はわたしは学生の頃勉強が本当に楽しくて、もしも、お金さえあれば、もっともっと取りたい授業が沢山沢山ありました。確かに学位のため、っていうのもあるかもしれないですけど、授業そのものの内容の重要さ。それこそが、やっぱり、教育そのものですものね。学位をとっても、頭に何にも詰まっていなかったら、どうしようもないわけですし。ただ、やっぱり、学位がResumeにあると強いのも事実。どうにか質の良い教育をリーズナブルに受けられる時代が来るといいですね。

    とはいっても、オンラインで公開されているというのは、すごい一歩ですね。教育の質の中身だけは誰でも、受けられるという。

    1. Maruさん、コメントありがとうございます!そうですか、学費を払っていたころは円安で、返すときには円高とは、きついですね。「勉強するのが楽しい」というのはいいですね。それが一番ですね。そう、この世の中にはまだまだ知らないことだらけですものね。お金がないから勉強できない・・というのは残念すぎます。そうオンラインコースは、そういう意味で貧富の差を解消するかも。お金がなくても、やる気さえあればがんばっていけるアメリカであってほしいと願います。やっぱ、夢がないと!

  3. これは良い情報!教育の提供は平等であるべきですよね。お金がなかったから勉強できなかった・・・というのは悲しいです。いがいに、そういう人の中には頭の良い人がいたりするものです。優秀な人材と企業を結ぶ上でも、限られた人しか学べないという枠組みを取っ払って、もっと広くチャンスを与えるスタンスに変わってほしいですね。

    1. そうですね!みなさんのコメントを読んでいて、なんだかアメリカの将来は明るい気がしてきました:)

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