銀行に利用されない。選ぶのはあなた - 銀行か、インターネットバンクか、クレジットユニオンか

Last Updated on 2011年12月16日 by admin

わたしが留学のためアメリカにやってきた1990年代の初めには、銀行口座を選ぶのはとてもシンプルなことでした。まだインターネットも普及していませんでしたから、googleサーチするというオプションもなく、学校の近くのローカルバンクに出向いていって、チェッキング口座とセービング口座を開きました。そのころは、チェッキングもセービングもそれぞれ1種類ずつしかありませんでしたし、ATMの利用も24時間無料、たしかマンスリーフィーなどというものもなかったと記憶しています。ところが今や、どこの銀行にいっても数種類のチェッキングの口座があり、いろんな条件とさまざまな手数料が課せられており、なんと複雑なことでしょう。顧客のニーズに合わせて多様な口座があるといえば聞こえはいいですが、結局は銀行の利益のためにこんなに複雑な商品体系になっているのではないかと思ってしまいます。

銀行の貯金は、インフレリスクのために、実質上預けたお金が目減りする可能性を持ち合わせているとことについては以前のブログで書きました。インフレリクス以外にも、貯金に対する大きなリスクがあります。それは前述の手数料です。Bankrate.comによると、平均的なマンスリーフィーは利子がつかない口座で$4.37、利子のつく口座では$14.05。これらの手数料は過去数年、上昇傾向にあります。マンスリーフィーを免除されるためのミニマムバランスも引き上げられる傾向にあり、現在平均で$5,587です。これに加え、平均的なATM手数料は$3.00、ネットワーク外のATMを使えばさらに$1.00から$2.00増しです。さらに、もしうっかりして残高が足りないのにチェックを書いてしまい、そのチェックが戻ってきた場合のNSF手数料(Non Sufficient Fundsの略、Bounced Check Feeともいう)にいたっては$30.00です。

計算してみましょう。利子0.08%で、ミニマムの$5,587を維持したとして月々もらえる利子は$5,587×0.0008/12=$0.37。たったの37セントです。ATMをちょっと使ったり、うっかりNSFチェックを書いてしまったら、完全にマイナスです。わたしたちは銀行に対する発想の転換が必要ではないでしょうか。銀行は、お金を預けると利子がもらえるところではもはやなくなりつつあるのです。代わりに、銀行は、手数料を払ってお金を預かってもらいチェックの処理やオンラインでの請求書処理、送金処理をしてくれるところと考えるべきです。

銀行は手数料を払ってサービスを受けるところと考えると、もう少し厳しく銀行を吟味する気持ちがでてきませんか?携帯電話のサービスや習い事の学校などなら、提供されるサービスの内容に対して料金はどうなのか比較検討するでしょう。銀行も同様です。銀行同士を比較することも必要ですが、クレジットユニオンやインターネットバンクも調べてみるといいですね。でもちょっと待って。いきなりリサーチを始めるのではなく、まず自分のニーズをまとめましょう。

  • 必要なタイプの口座は何ですか。
  • 将来、ローンを組んだりする必要はありますか。
  • オンラインバンキングへの期待度はどのくらいですか。
  • CD、High Yield Savingなどが必要ですか。
  • 証券や株式ファンドへの投資が必要ですか。
  • 出張や旅行をよくしますか。
  • 外国為替などの取引を希望しますか。
  • ビジネスをお持ちですか。(ビジネスオーナー向けの商品やサポートが必要ですか)。

自分のニーズがわかったら、どのタイプの金融機関が自分には合っているかを吟味していくことになります。下の表に、それぞれの大まかな利点・欠点をまとめてみました。(窓口を持つ従来の銀行を「銀行」と呼んで、インターネットバンクと区別しています。)

        利点       欠点
銀行-多種多様の金融商品が期待できる
-担当者やマネージャーと直接的関係を持てる
-大銀行はオンライン・バンキングが充実している
-利子が比較的低い
-手数料が高い
-ミニマム・バランスが高い
インターネット・バンク-利子が比較的高い
-手数料がほとんどないか、あるいは低い
-ミニマム・バランスが要求されないことが多い
-インターネット接続さえあれば、いつでもどこからでもお金をマネージできる
-金融商品が限られる(モーゲージ・ローンは提供されないなど)
-カスタマーサービスと面と向かって話せない
-デポジットや送金に時間がかかる場合がある
-キャシャーズ・チェックがもらえない
-ATMがない(他社のATMを利用した場合、ATM手数料を返金するところもあり
クレジット・ユニオン-利子が比較的高い
-手数料が低い
-ミニマム・バランスが要求されないことが多い
-カスタマー(正しくはメンバー)がオーナー
-非営利(組合利益への課税がない)
-ある程度の範囲の金融商品が期待できる(モーゲージ・ローン、エクイティー・ローン、オート・ローン、デビット・カード、スモールビジネス対象サービスなど)
-オンライン・バンキングの機能が最先端でないことがある
-ローカル・ベースなので、広範囲でのATM利用が期待できない(他社のATMを利用した場合、ATM手数料を返金するところもあり)
-入会には条件がある

クレジットユニオンについて少し説明いたしますと、これは金融協同組合とでも訳しましょうか、各種預金口座やローンなどのサービスを提供する金融機関ですが、銀行との大きな違いは、「メンバー」によって所有され運営されている点です。各クレジットユニオンには、メンバーになるための入会の条件があり、たとえば、勤務先、住んでいる地域、通っている教会などがその例です。条件をクリアしてメンバーになると、晴れていろいろなサービスを受けることができるわけですが、それと同時に、そのクレジットユニオンの所有者・運営者の一部となるというものです。多くの場合、クレジットユニオンは非営利です。

さてさて、どのタイプの金融機関を選ぶかに戻りますが、このプロセスは人それぞれですが、大まかにまとめてみると。。。

ニーズが広範囲あるいは複雑になればなるほど、また金融機関から直接コンサルテーションを受けたり交渉したりする必要があればあるほど、銀行向き。チェッキング、セービングなどの比較的シンプルなものだけが必要ならインターネットバンキング向き。その中間で、ある程度の金融サービスを必要とするが、あまり高い手数料は払いたくないというのであればクレジットユニオン向きというところでしょうか。

実際にはこの3つのどれかを選ぶというのではなく、これらをうまく組み合わせて自分のニーズを満たすというのが現実的でしょう。たとえば、インターネットバンクでHigh Yield Savingアカウントとオンラインでの請求書処理用のチェッキング・アカウントを開き、クレジットユニオンでチェックブック用のチェッキング口座を開くなどといった使い方です。

金融機関を選ぶにあたってはこんなやり方はいかがでしょう。

まずbankrate.comで銀行とオンラインバンクをリサーチします。

Checking・Savingというタブを選び、銀行かオンラインバンクかを選び、口座のタイプや地域などを指定すると、利子、ミニマムバランス、各種手数料の比較表がでます。残念なことにクレジットユニオンはこのツールでは比較できません。ですので、ある程度上記の比較ツールで自分のニーズに合いそうな銀行あるいはオンラインバンクの目星をつけておきます。

次にfindacreditunion.comでクレジットユニオンをリサーチします

前出の表にも書きましたが、クレジットユニオンは入会の条件があります。ただしその条件はそれほど限定的でない場合が多いですし、また誰でも大体何らかのクレジットユニオンへの入会条件を満たしているのがふつうです。findacreditunion.comでは、自分の住所やあるいは自分の関係している団体(学校、会社、教会などなど)で入会できるクレジットユニオンを検索することができます。実際にそのクレジットユニオンのサイトに行ってみて、先ほど目星をつけた銀行やインターネットバンクの商品との比較をします。少々面倒でも、細かい条件をきちんと読むように心がけ、最終的に機関とアカウントを絞り込みます。

は~、ちょっと疲れましたね。でも、これを一度しっかりやっておけば、今後のより健全なマネー・マネジメントが実現しますよ。わたしも実は取り組み中…

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