ソーシャルセキュリティーの手はじめ(1) - アメリカ年金一体いくらもらえるのか?

Last Updated on 2022年8月22日 by admin

ソーシャル・セキュリティー・タックスは働いている人なら誰もが納めている税金ですね。若くて元気なうちは、「とられるばかりで何の益になるのか」と厄介者扱いしそうな税金ですが、万が一のときには案外心強い助けとなったりします。自分にはどのような保障を受ける資格があるのか、ある程度は把握しておきたいものです。ソーシャル・セキュリティーというと年金のことを思い浮かべる人が多いのですが、その他にも、あなたが障害を負って働けなくなったときの保障あなたが死亡した場合の残された家族への保障などもも制定されています。

徴収のされかた

雇用者のソーシャル・セキュリティー・タックスは、FICA(Federal Insurance Contributions Act)に基づき、給料から天引きで徴収されています。FICAに基づき支払われるタックスは、ペイロール・タックスとも呼ばれ総収入に対するパーセンテージとして徴収されます。FICAタックスは、2つの要素に分けられます。ひとつは今回の話題のソーシャル・セキュリティー(12.4%)で、もうひとつは老後の医療をカバーするメディケア(2.9%)です。雇用主と雇用者が半分ずつ負担しますので、ソーシャル・セキュリティーについてはそれぞれが6.2%、メディケアについてはそれぞれが1.45%の負担となります。

2022年のソーシャル・セキュリティーの課税対象収入の限度額は$147,000で、これを超えた収入は課税の対象になりません。メディケアに関しては、限度額の設定がなく、すべての収入が課税対象になります。

自営の場合は、FICAの代わりにSECA( Self-Employment Contributions Act)に基づき納税の義務があり、2022年ではソーシャル・セキュリティー・タックスは12.4%、メディケア・タックスは2.9%です。

保障の内容

1.Retirement Benefits (老齢年金)

ソーシャル・セキュリティーの対象となる労働に、ある一定以上の年数携わることによって、62歳から年金を受け取る資格が与えられます。ある一定以上の年数とは、通常は10年です。

年金を受け取る最低年齢は62歳ですが、Full Retirement Age(生まれた年により決まり、65歳から67歳の間)まで受給を伸ばすことにより、受け取る年金の金額を増し加えることができます。別の言い方をすると、Full Retirement Age以前に受給を開始すると、本来もらえるはずである額より少ない年金になってしまうということです。

また、Full Retirement Ageを超えてさらに受給開始を遅らす(最高70歳まで)と、遅らした年数に応じてさらに受給額が増やされます。この減額、増額は、永久的(死ぬまで)なものですので、受給開始時期は慎重に決めたいものです。

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2.Disability Benefits(障害者となった場合の保障)

年金受給を開始する前に、肉体的・精神的な問題により”disabled“となった場合、この保障を得ることができる可能性があります。一定の期間、ソーシャル・セキュリティーの対象となる労働に携わっている必要がありあすが、年齢が低いほど条件が緩やかになっています。たとえば、24歳以下ですと最低で1年半働いていれば受給資格を得られる場合もあります。

ソーシャル・セキュリティーの“disabled”の定義はかなり限定的で厳しいものになっています。今までに携わっていた仕事をすることができず、肉体的・精神的な疾患のため他の仕事にも適応することができず、そのような状態が一年以上続くか死に至らしめると予期される場合というのが条件です。いったん保障を受ける資格を得ると、働けるようになるまでこの保障を受け続けることができます。もしも障害を負って働けなくなった場合は、すぐにこの保障の申請をしましょう。審査には数ヶ月以上かかり、また特別な診断テストを受けなければならないこともあるからです。

Disability Benefitsについてもっと読む。

3.Survivors Benefits(残された家族への保障)

ソーシャル・セキュリティーの保障の対象となっていた人が亡くなった場合、残された配偶者と子どもに対しこの保障が与えられます。ソーシャル・セキュリティーの一部として、このような保障があることを知らない人も多いようですが、学齢期の子どもやそのような子どもを養育している配偶者に対して保障が定められており、働き盛りの片親をなくした家族にとっては心強い制度です。こちらも、Disability Benefitsと同様、死亡した人の年齢が低いほど、受給資格を満たすための条件が緩やかになっています。受給できるかわからない場合は、むやみにあきらめず申請してみることがたいせつです。

Survivors Benefitsについてもっと読む。

いったいいくらもらえるの?

では、自分にこのような保障を受ける資格があるのか、あるいはいくらくらいの保障が受けられるかを知るにはどうしたらいいでしょうか。大きく分けて2つの方法があります。

MySocialSecurityでの確認(より正確)

以前は紙ベースで”Your Social Security Statement”が個人のところに送られてきた時代がありましたが、今は基本的にオンラインでの確認となっています。MySocialScurityのページでアカウントを作って確認できます。個人の給与による納税額の履歴が確認でき、そのうえで個人ごとに計算された受給額が確認できます。

カリキュレータによる概算

一方で、個人的なアカウントを作りたくないという場合は、以下の方法でこちらのページで予想額を割り出す方法もあります。Enter your date of birthには、あなたの生年月日を、  Enter  in the current year には今年の年収を、 Future retirement date optionにはリタイヤする予想年月日(年金受給開始の予定日)を入れます。また、下のほうのトグルボタンでは  today’s dollars を選びます(これを選ぶと、将来受け取る年金が、現在のドルでいくらか表示されます。 inflated (future) dollarsを選ぶと、将来受け取る年金が、将来のドル(今から将来までの年々のインフレーションを考慮にいれたドル)で表示されますが、特別な目的に使うのでない限り、こちらの表示はお勧めしません)。Submit Requestを押すと、Benefitの予想額が計算されます。上段がRetirement Benefit、下段がDisabilityとSurvivor’s Benefitです。ただし、上段にSee the earnings we usedというボタンがありますね。これを押して、表示される収入履歴が、ご自分の実際の収入履歴に近いかどうか確認してください。

このカリュキュレータは、入力された「今年の年収」に基づいて、過去の収入履歴を遡って「推測」します。「推測」された収入履歴が実際の収入履歴に近い場合は、上記のBenefitの予想額も比較的正確ですが、そうでない場合は、Benefitの予想額がかなり現実からかけ離れたものになります。できる限り正確な数字を得たい場合は、上述のオンラインサイトMySocialScurityの利用をお勧めします。

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6 comments

  1. 大変参考になりました。
    将来、アメリカ人の夫と離婚して日本に帰国予定です。その際、夫の半分を日本で受け取りたいのですが、可能ですか?

  2. こんにちは。
    現在、日本に在住しています。元の夫とは14年前に離婚をしました。※10年以上の婚姻歴あり。
    その場合も、ソーシャルセキュリティの配偶者としてbenifitは申請可能でしょうか?

    また子供が1人います。日本の戸籍は元の夫に入っていますが、万が一の事があった時に
    子供に遺族年金の手続きをする資格はありますか? またそれは何歳まででしょうか?

    1. ソーシャルセキュリティのサイトに下記の通りの記載があります。条件に合致していればベネフィットがもらえます。ただ、個々のケースで、もらえるかもれないか、もらえるならいくらもらえるかは、やはりソーシャルセキュリティオフィスに直接確認するよりないようです。
      Certain family members may be eligible to receive monthly benefits, including:

      A widow or widower age 60 or older (age 50 or older if disabled);
      A surviving divorced spouse, under certain circumstances;
      A widow or widower at any age who is caring for the deceased’s child who is under age 16 or disabled and receiving benefits on their record;
      An unmarried child of the deceased who is:
      Younger than age 18 (or up to age 19 if he or she is a full-time student in an elementary or secondary school); or
      Age 18 or older with a disability that began before age 22.

      https://www.ssa.gov/planners/survivors/ifyou.html

  3. こんにちは

    はじめてメールを出させていただきました。
    8年前にアメリカで妻を亡くし現在はアメリカ国籍で日本で暮らしています。
    30年間ソーシャルセキュリティを収めてきて、来年がフルリタイアメントで受給出来る年齢に達します。
    ここのところの円安で、日本で貰うと結構な金額になってくれるので助かります。
    一つよく分からなかったことがあるので、質問させて下さい。
    例えば、フルリタイアメントした時に$2,000のベーシックソーシャルセキュリティが貰えたら、
    次年度には物価指数に合わせて支給額も必ず上がっていくものなんですか?

    よろしくお願いします

    1. 物価指数に合わせて上昇していきますが、公表の物価指数そのままで上昇するとは限りません。物価指数の伸びを参考に決定される率で上昇するという感じでしょうか。

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