日本の年金とアメリカのソーシャルセキュリティ年金を一緒に受け取ると、ソーシャルセキュリティ年金のほうが減らされる場合があります。このしくみを、WEP(Windfall Elimination Provision)制度といいます。また、このWEPが本来なら適用されなくてよいケースにまで誤って適用されていたという問題もありました。心ある方々のご尽力と働きかけにより、この問題は解決に至ったとのうれしい報告がありました。WEPと誤適用の解決ついては、わかりやすくまとめてくださっているサイトがありますので、詳しくはこちらをご覧ください。
カテゴリー: ソーシャル・セキュリティー
My Social Security 口座で確認してみる
18歳以上のソーシャルセキュリティ番号をお持ちの方なら、My Social Security口座を開くことができ、ご自分のソーシャルセキュリティBenefitの状況を確認できます。口座をつくるときには、本人確認のためパーソナル情報の入力が必要です。
セキュリティ上の心配?
パーソナル情報の入力が必要なため、セキュリティ上の問題を危惧して口座をつくりたくないと思われる方もいらっしゃるかもしれません。妥当な心配だと思います。
ソーシャルセキュリティ Retirement Benefits(老齢年金)
「ソーシャルセキュリティは決められたとおり、もらえればそれでよし」と安易に考えていませんか?受給についてのルールを把握し、受給するRetirement Benefits(老齢年金)の種類や受給開始のタイミングをうまくプラニングすることで、生涯に受けることができる受給額の合計には、何万ドルもの差がでてくる可能性があるのをご存知でしょうか?一生懸命働いて納めたソーシャルセキュリティ・タックスですから、Benefitsを受ける立場になったときには、正しい理解できちんと利用していきたいですね。
ソーシャルセキュリティを知る
アメリカの社会保障制度であるソーシャルセキュリティは、リタイヤした後の年金、障害や死亡が起こった時の、個人とその家族に対する金銭的サポートを提供します。私たちは収入のうちから一定額をソーシャルセキュリティ税として納めます。一方でサポートが必要になったときは、決められた資格を満たせば金銭的サポートが得られるしくみです。
ソーシャルセキュリティ税の徴収のされかた
雇用者のソーシャルセキュリティタックスは、FICA(Federal Insurance Contributions Act)に基づき、給料から天引きで徴収されています。FICAに基づき支払われるタックスは、ペイロールタックスとも呼ばれ、総収入に対するパーセンテージとして徴収されます。
ソーシャルセキュリティ 受給したら税金払うの?
多くの人で67歳がフルリタイヤメントエイジとなるソーシャルセキュリティ老齢年金。フルリタイヤメントエイジより前、早期受給開始は62歳から、反対に受給遅延は70歳まで可能です。受給開始が後になるほど受給額は増えるしくみです。受給額はこちらのサイトでチェック/シミュレーションができます。さてこのソーシャルセキュリティ年金に税金はかかるのでしょうか?
2022年 ソーシャルセキュリティ アップデート
2022年にソーシャルセキュリティ関係で新しくなることがらについて書いてみます。
インフレ対応で受給額上がる
毎年、ソーシャルセキュリティの年金額は消費者物価指数(CPI)に応じてインフレ調整されます(Cost-of-living adjustment。略してCOLA)。2021年には前年比率1.3%の調整がされました。昨年一年で、ご存じのとおりインフレ率は高騰し物価上昇も生活のあちこちで感じるほどですね。昨年の高いインフレ率に対応し、2022年のソーシャルセキュリティ年金は5.9%分上がります。この上昇率は過去40年近くの間の最高値だそうです。一番最近でこのレベルのCOLA調整があったのは2008年の5.8%でした。
ソーシャルセキュリティ口座(MySocialSecurity)で受給額をチェックしてみる
将来リタイヤしたときにソーシャルセキュリティの老齢年金額はいくらになるのか、自分にもしもの時があったら配偶者や子どもにいくらの手当てがでるのか・・・予想はついていますか?2011年までは郵送によるソーシャルセキュリティの通知があり、ベネフィットの内容が各人に報告されていました。それが廃止されて早10年。あれからオンラインサイト(my Social Security)が導入され、オンラインでベネフィットの内容確認ができるようになりましたが、昨年末このサイトが刷新され、より詳しいシミュレーションなども可能になりました。まだアカウントをつくっていらっしゃらない方は、ぜひおつくりになりご自分の情報を確認されるとよいかなと思います。
ソーシャルセキュリティの最適な開始年齢は?
ソーシャルセキュリティ年金は62歳から受給開始ができます。多くの方が67歳(1960年より前に生まれた方は66歳)でフルリタイヤメント年齢に達し、その後70歳が最も遅い開始時点となります。フルリタイヤメントでもらえる年金額は“一応の”基本となりますが、フルリタイヤメントで受給開始する代わりに、それより前に開始すれば(最早で62歳)受給金額は減り、それより後に開始すれば受給金額は増え70歳で最大になります。今日は、いつから受給開始をするのがよいのか・・という問題を見ていきます。
コロナ危機でソーシャルセキュリティ年金はどうなる?
2020年4月20日づけで、Center for Retirement Research(Boston College)がSocial Security’s Financial Outlook:The 2020 Update in Perspectiveというタイトルのレポートを発表しました。このレポートの分析内容は、コロナ危機以前のデータを基にしていますが、後付けでコロナ危機を考慮したコメントも付け加えられています。私は経済や年金の数理計算のことはよくわかりませんが、ソーシャルセキュリティ年金が今後ちゃんともらえるのか・・はファイナンシャルプラニングでも大切な要素ですので、今回はこのレポートの内容をわかる範囲でまとめてみます。
日本人として日本に住んだ場合の老後の課税
居住地で課税
まずここまでで何度も書いていますが、日本に帰国してもアメリカ市民権あるいはグリーンカードを維持していれば、全世界収入に対してタックスリターンを行いIRSに納税をする義務があります。外国税控除などのしくみがあるので、基本的には日米でダブル課税されることはありませんが、それでも両国にてタックスリターン・申告が必要になります(収入の額などによりその必要がない場合を除き)。
一方で、市民権、グリーンカードを放棄して日本に帰国したら、ソーシャルセキュリティなど公的年金をはじめ、民間のリタイヤメント口座からの引き出し額などは、居住地である日本のみで課税となります。アメリカ金融機関にはW8-BENというフォームを提出し、アメリカでの源泉徴収を免れることができます(注:できるはずですが、金融機関によっては、W8-BENを提出しても源泉徴収を免状をしてくれない機関もあるようです。たとえば、帰国者フレンドリーなCharles Schwabであっても、源泉徴収は免れず、タックスリターン時にリファンドを受ける申請をする必要があるという報告を受けています)
日本での課税法
日本では、アメリカから受け取る年金や引き出し額は、雑所得か一時所得かのどちらかに該当するようです。
- 雑所得:給与所得、不動産所得、利子所得など、他の名前のついている所得のどれにも分類することのできない所得。
- 一時所得:一時的に得た収入。臨時所得的なもの。
アメリカから受け取るリタイヤメント収入がどう課税されるかですが、私なりのリサーチの結果、こんな感じになるのではないかと思います。
ソーシャルセキュリティは公的年金として分類され、65歳以上と65歳未満、および、年金給付額の区分により、給付額の最高25%が公的年金等控除として差し引かれます。なお、市民権、永住権を放棄しても、放棄前受給資格のあったソーシャルセキュリティ年金は受け取れます。
401(k)やIRAなどからの受取額は、年金的に受け取るか、一時金として受け取るかにより課税のしかたが変わるようです。年金で受け取る場合、雑所得と分類され、自分で積み立てた元本は差し引いた額が課税対象となります。Employer Matchによる雇用主積み立て分は元本に含めることはできません。
微妙なのは、日本の確定拠出年金の受け取り方には、「年金」「一時金」「年金と一時金の組み合わせ」の3種類があるようですが、アメリカの401(k)やIRAの場合は、年金と一時金以外に、その都度その都度必要に応じて引き出す方法も認められているので、これがどうなるかはよくわかりません。
アメリカのリタイヤメントプランのうち、401(k)やTraditional IRAなど所得税控除で積み立てたものからの出金に対しては、日本での課税は利点があると思います。というのは、もしも、これら口座からアメリカで引き出すなら、引き出す時に元本、利回りを合わせた全額が所得税の対象になります。ところが日本では、経費として投資元本(Employer Matchは含まず)を差し引けるようなので、つまり利回りの部分にしか所得税がかからないということになります。さらに、一時金で受け取った場合などは、なんとその半分しか所得税の対象にならない(ように私には理解できますが、違ったら教えてください!)となると、引き出し用によってはかなり節税が図れる可能性があるのかもしれません。
アメリカで長期で加入していた401(k)などなら、たとえば$800,000の一時引出額に対し、$400,000の投資元金というようなケースは十分に考えられ、そうすると利回り$400,000の半分の$200,000のみの所得税課税となれば、ちょっと夢のような話です。アメリカなら$800,000全額に所得税がかかります。もちろん受取金額が大きくなれば累進で税率も上がるので、トレードオフを計りながら金額とタイミング、年金と一時金受取を計画する必要があるかと思いますが、これは私のしゃしゃりでる場ではないのでコメントを控えます。ポイントは、アメリカの401(k)やTraditional IRAなら、日本で受け取ってアメリカより目減りする可能性はなさそうだとご理解くださればと思います。
実際、上については信頼のおける筋に確認をしたところ考え方としては正しいというお返事でした。ただ、これはあくまで日米の税法上の隙間的部分に存在する幸運であり、ある意味、Too-good-to-be-trueなことです。ですので、
節税対策として大手を振ってどんどん利用しよう!というよりは、大きな額が動くときには日本の税法に詳しい専門家に相談のうえ慎重にお進みください
ソーシャルセキュリティーの手はじめ(1) - アメリカ年金一体いくらもらえるのか?
ソーシャル・セキュリティー・タックスは働いている人なら誰もが納めている税金ですね。若くて元気なうちは、「とられるばかりで何の益になるのか」と厄介者扱いしそうな税金ですが、万が一のときには案外心強い助けとなったりします。自分にはどのような保障を受ける資格があるのか、ある程度は把握しておきたいものです。ソーシャル・セキュリティーというと年金のことを思い浮かべる人が多いのですが、...
アメリカの年金で日本生活と日本の年金でアメリカ生活の光と影
年金額にはインフレ調整が必須
年金は字のごとく、年々もらう老後の生活費です。65歳でリタイヤし95歳まで生きるとすると、30年という長い期間、固定収入としてこの年金に(全額でなかったとしても)頼りつつ生活していくことになります。健全な経済には適度なインフレ(消費者物価の上昇)があります。これは経済が成長し、生活が豊かになっていく指標でもあります。
物価が少しずつ上がっていくわけですから生活費も上がっていくわけで、それに見合った形で年金額も上がっていくというのがあるべき姿です。そうでないと、同じ年金額をもらっていても、物価がどんどん上がっていけば、去年買えたものが今年は同じ分だけ買えない、つまり購買力の低下が起こります。別の言い方をすれば、同じ額面の年金をもらっていても、その貨幣価値の低下により、もらったお金が実質上目減りしたのと同じということになります。
インフレは国ごとに違います。下が日米のインフレ率をグラプにしたものです(出典:経済のネタ帳)。
日本のインフレ率は常にアメリカよりも低く、ゼロのラインの上を行ったり、下になったりというレベルです。アメリカも一時的にゼロに近くなることもありますが、Federal Reserveが目標とする2%ラインをキープしようとがんばっているため、長期的にはそのあたりを維持しています。
それぞれの国の年金は、それぞれの国で生活することを前提に支給されます。日本の年金は、日本でもらい日本で使うことを前提にしているため、たとえ年金額が10年間同じであっても、インフレがほとんどなく物価がほとんどあがらないのなら大きな問題にはなりません。実際、日本のファイナンシャルプラニングの計算などを見ても、インフレを考慮していない計算が非常に多いです。これはインフレがないのなら、それはそれで問題がないといえます。
しかしながら、インフレがない前提で支給されている日本の年金を、アメリカに持ってきてアメリカで生活する場合は少々困ったことになります。アメリカでのファイナンシャルプラニングにはインフレは必ず考慮されます。現在私の使っているファイナンシャルプラニングのソフトウエアでの、将来的なインフレ率のでデフォルト値は2.25%です。上がっていかない日本の年金を使って、年々2.25%上がっていくアメリカの生活費をカバーすることは、1年後、2年後には大きな問題にならなくとも、10年後、20年後には大きな問題になります。
日本とアメリカの年金額調整
2019年のソーシャルセキュリティ年金額は、前年比2.8%上がりました。2020年はさらに1.6%上がります。一方で、2019年の日本の年金額は0.1%上がったにすぎず、これは4年ぶりの増加改定です。
下が、日本の物価変動率(インフレ率)と年金額改定率の表です(出典:All About マネー)。上で書いたように、日本はインフレ率自体がアメリカよりも小さい上に、年金額の改定率はその小さいインフレ率よりもさらに小さい(というかほぼ改定がゼロに近い)ことが分かると思います。
日本では、「マクロ経済スライド」というしくみがあって、これは「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」という、マクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整するしくみです。現代世代の人数は少子化でどんどん少なくなり、反対に受給する世代はどんどん増えるので、収支のバランスをとるために、たとえインフレで物価が上昇したとしても、その上昇分を全額カバーするほど年金額を増額することはせず、調整額を低いレベルに抑えるというものです。
一方でアメリカでは、前述のように2%レベルをうろうろするインフレ率に追随する形で、ソーシャルセキュリティ年金に調整がほどこされます。下は、アメリカのインフレ率と、ソーシャルセキュリティのCOLA率(Cost-of-living adjustment=生活費のためインフレ調整率)をグラプにしたものです。
光と影
この影響で、どんどん増えていくソーシャルセキュリティ年金をもらいながら、生活費がほとんど上がらない日本で老後を暮らすのは楽ちんです。毎年2%ずつ増額されるとすれば、、ソーシャルセキュリティ年金を日本円に交換した10万円は、10年後には12万1,800円、20年後には14万8,500円、30年後には18万1,100円までになり、物価があがらなかったとすれば実質上年金がどんどん増えたことになります。
反対に、なかなか上がらない日本の年金で、物価が着実に上がっていくアメリカで老後を暮らすのは大変です。日本からもらってドルに換金した$1,000の年金は、10年後には$820の価値、20年後には$672の価値、30年後には$552の価値しかありません。
もちろんこれに加えて、為替の変化による影響もあります。円とドルの力関係で、換金して受け取る年金は増えたり減ったりします。増えればラッキーですが、減れば泣き面にハチです。
日本の年金でアメリカでの老後を送る場合は、ある程度このあたりの点を考慮しつつ、不足分があるとすれば他に用意したリタイヤメント資金から補てんできるよう用意をしていくことが肝要です。
日本の年金をもらうとソーシャルセキュリティが減額される?
減らされるってどういうこと?
問題となっている現象は、日本の年金のようなソーシャルセキュリティ以外の年金と、ソーシャルセキュリティ年金とを同時に受けると、ソーシャルセキュリティ年金が減額されるというものです。具体的には、ソーシャルセキュリティ税を徴収されていない勤労所得に基づいてソーシャルセキュリティ以外の年金を得ると同時に、それとは別にソーシャルセキュリティ税の徴収対象となる(別の)収入も得たためソーシャルセキュリティ年金も受給をする状態にある場合が該当し、別の年金額によって、ソーシャルセキュリティ受給額が減らされるというものです。「ソーシャルセキュリティ税の徴収対象でない」ことを“non-covered”といい、non-coveredの勤労所得に基づく年金のことを“non-covered pension”と言います。“non-covered pension”は、たとえばアメリカの場合なら学校の先生などのように、ソーシャルセキュリティとは別の公的年金などがそれで、この別年金加入のため給料がソーシャルセキュリティ税の対象となってない場合などは、この減額に該当することになります。また、外国の年金も該当し、たとえば日本の年金も減額の対象になることがあります。
なぜ減額?
この減額は、ソーシャルセキュリティ税の徴収対象となる勤労所得だけを得てソーシャルセキュリティ税を納めてきた年金受給者との公平をはかるためのものです。
たとえば、アメリカで働く高校の先生Aさんの例で考えて見ましょう。Aさんは、先生として働いている間は、州の先生用の年金制度に加入しており、本人と学校とがこの年金制度に払込をしました。この制度に加入している間は、給料はソーシャルセキュリティ税の徴収対象とはならず、Aさんは州の年金制度だけに払込をしました(Non-covered pension)。Aさんは、先生として働いていた間もパートタイムで他の仕事をしたり、あるいは何年かの休職中は学校とは全く別の仕事をしていたことがあります。これらの仕事で得る所得はソーシャルセキュリティ税の対象となり、雇用主もAさん自身もソーシャルセキュリティ税を納めていました。さて、Aさんが退職して年金生活に入った時、州の年金制度とソーシャルセキュリティ年金のどちらからも年金収入をもらえることになりました。
問題は、ソーシャルセキュリティの「収入の低い人にはより手厚く」年金を分配していくシステムです。ソーシャルセキュリティ側からだけ見ると、Aさんの州の年金の情報は簡単には見えず、ソーシャルセキュリティ対象の収入履歴だけ見ると非常に低収入に見えるため、「収入の低い人にはより手厚く」年金が分配されることになります。
ソーシャルセキュリティの年金額の計算式では、収入が高くたくさんソーシャルセキュリティ税を納めた人が年金として受け取る額の戻り率と、収入が低く少しだけソーシャルセキュリティ税を納めた人が年金として受け取る額の戻り率を比較すると、後者のほうが高くなるように設定されています。収入が高かったひとに比較して、収入が低かったひとは、より高い還元率で年金を受け取れるようになっています。これは社会保障システムの核ともいえる考え方かと思います。
ただ、前述のAさんは、先生としての収入履歴も合わせれば実はそれほど低収入であったわけではないのです。Aさんの先生としての収入とその他の収入を合わせたトータル収入と同額を、全額ソーシャルセキュリティ税の徴収対象として税を納めていた人(Bさんとする)に比べると、(収入も納めていた税金もほぼ同じなのに)Aさんのトータル年金(州の年金とソーシャルセキュリティ年金を合わせた額)のほうが、Bさんのソーシャルセキュリティ年金と比べて多くなってしまうという不公平さが存在することになります。
この不公平さを解消するために、AさんのNon-covered pensionである州の年金制度からの年金額を鑑みながら、ソーシャルセキュリティ年金を減額するというのがWindfall Elimination Provision(WEP)と呼ばれるものです。Windfallというのは棚からぼた餅の「棚ぼた」のことで、Aさんにとってみては、年金を二つにまたげただけでソーシャルセキュリティ年金が他の人より大きくなる・・というのがこの「棚ぼた」です。公平のため「棚ぼた」分を減額するのが、Windfall Elimination(棚ぼたの削除)です。
なんでアメリカ以外の年金も?
Aさんの場合は、アメリカの中のふたつの年金システムにまたがっていたわけですが、日本の年金に加入していた人もこのWEPの対象になってしまうことになります。
このWEPは1985年から制定されているルールなので何も新しいものではありませんが、多くの人が知っているというものでもなく、年金受給を開始してみて初めてわかったというケースも多く問題になりがちです。ソーシャルセキュリティ・オフィスに行って受給の手続きをすると、「日本で年金をもらっていますか」と聞かれ、「はい」と答えて金額を申告すると、後で減額の通知を受け取ることになり狼狽する方もいらっしゃるようです。
減額される額は、誕生年と受給額によって計算されることになりますが、目安としては月に数百ドルレベルになることが多いようです。ただし、減額には上限が設定してあって、ソーシャルセキュリティ以外の年金額(日本の年金額)の半額です。最大で、日本の年金の半額がソーシャルセキュリティ年金から減額されるということです。
WEP対象外となる場合は?
日本からもらう年金すべてがWEPを引き起こすかというとそういうわけではなく、労働者あるいは雇用主がMandatory(強制的に)加入する年金システムが対象になります。よって厚生年金や共済年金は対象となりますが、個人が払い込んだ国民年金は対象外となります(が、残念ながら、誤った適用によって国民年金もWEP対象になるケースもでているそうです。https://www.sandiegoyuyu.com/index.php/news-2/286-town-news/14538-social-security190801-8)
また、受給資格を満たすのに日米社会保障協定を適用して加入期間を通算した場合も、通常の計算方式が適用されないという理由からWEP対象外となります。たとえば、日本の受給資格を満たすため、カラ期間やアメリカの労働期間を通算して10年の受給資格期間をクリアした場合や、反対にアメリカの受給資格を満たすため、日本の労働期間も加えて通算して10年の受給資格をクリアした場合などは、WEP対象外です。
さらに、ある一定以上の収入で30年以上ソーシャルセキュリティを納めていた場合は、対象外になります。ある一定以上という年収額は年々設定されていて異なる数字ですが、たとえば2018年の収入では$23,850ですので、それほど大きな額ではありません。たとえ収入は少なくとも30年以上ソーシャルセキュリティを払い込んでいればWEPは適用されません。また、30年に満たなくとも21年以上ならWEPが適用されるものの、減額が小さくなります。
WEPが適用になるかどうかについては、下のForeign Pensions Screening Toolで判断ができます。
https://www.ssa.gov/international/wep_disclaimer.html
問題は・・・
確かに不公平を是正するための減額というのであればそれは仕方がない気もしますが、それならばそれで皆が理解できるように教育・説明の努力が必要かと思います。日本人からしてみれば、日本で一生懸命働いて納めたおかげでもらえる年金があるからといって、他国アメリカのソーシャルセキュリティが減らされるというのは理不尽に感じるところも多いでしょう。また、個人的に掛ける国民年金の受給はWEPを引き起こさないはずなのにもかかわらず、実際はWEP対象になってしまっているケースもあるそうです。
ソーシャルセキュリティのWebサイトでは自分の口座を作って、将来受けることができる年金額を調べることができますが、そこではWEP対象になること、なるならいくら減額されるかについては何の明示もないため、Webサイトに出てくる額がもらえると見積もっていたのに、ふたを開けたら減らされたというようなリタイヤメント・プラニング上の問題も引き起こしているようです。
WEPについての説明、WEBについての問題点については、下記のサイトに詳しく書かれていますので参考にするとともに、私たち自身、言われるままに減額に甘んじるのではなく、自分の権利は自分で守る、納得できるよう説明を求めるなどプロアクティブな姿勢を持つことが必要だと思わされました。
ソーシャルセキュリティ口座で受給額をチェックする
将来リタイヤしたときにソーシャルセキュリティの年金額はいくらになるのか、自分にもしもの時があったら配偶者や子どもにいくらの手当てがでるのか・・・予想はついていますか?以前はソーシャルセキュリティオフィスから、受給額についての詳しい書類が定期的に送られてきていました。残念ながらコスト削減のため、この通知は2011年に廃止されました。しかしながら現在では、オンラインでこのような情報を自分で確認することができるようになっています。
ソーシャルセキュリティ改定の影響
2015年11月に、オバマ大統領がBipartisan Budget Actにサインしたことを受け、ソーシャルセキュリティのリタイヤメントベネフィット(年金)の受給法に変更が加えられました。これまで許されていたFile and SuspendとRestricted Applicationというふたつの受給申請のやりかたが今後は許されなくなることになりました。このブログでも、このふたつの方法にのっとったリタイヤメントベネフィットの最大化についてご紹介してきましたが、今後はこの方法は使うことができなくなります。
これからどうなる、私たちのソーシャルセキュリティー?
私たちがリタイヤするとき、ソーシャルセキュリティーは頼りになるのでしょうか?約束されたベネフィット額はそのままもらえるのでしょうか?ソーシャルセキュリティーの将来については、いろいろな見方があり、さまざまな人がさまざまなことを言っています。悲観的なものもあれば、楽観的なものもあり。将来予測はたくさんの前提を基になされるので、前提がそのまま実現するか誰にもわからず、結局本当のところどうなるかは神のみぞ知るです。2014年のSocial Security Trustees Report(ソーシャルセキュリティー基金の管財人によるレポート)というのが発表されました。Bad NewsとGood Newsをまとめてみました。
ぜったい避けたい ソーシャル・セキュリティ6つのミス
リタイヤメントというと401(k)だのIRAだのに議論が行きがちで、「ソーシャル・セキュリティ年金をどう戦略的に活用するか」なんて記事はあまり目にもしませんが、しかしながら、このソーシャル・セキュリティ、ばかにしてはなりません。あまりよく知らないまま老後に突入し「もらえる分だけもらえばいいや」なんて態度だと、何千ドル、いや何万ドルもの損になることもあります。そこで、今回は「こんなミスは避けたい」という点を6つリストアップしてみました。
ソーシャル・セキュリティー – なるべく多くもらうには…
「ソーシャル・セキュリティーは決められたとおり、もらえればそれでよし」と安易に考えていませんか?受給についてのルールを把握し、受給するBenefitsの種類や受給開始のタイミングをうまくプラニングすることで、生涯に受けることができる受給額の合計には何万ドルもの差がでてくる可能性があるのをご存知でしょうか?一生懸命働いて納めたソーシャル・セキュリティー・タックスですから、Benefitsを受ける立場になったときには、正しい理解できちんと利用していきたいですね。
ソーシャル・セキュリティー - 配偶者として受けられるBenefitsを知る
あなたが一度も働いたことがなく、自分でソーシャル・セキュリティー・タックスを払ったことがなくても、ソーシャル・セキュリティーからBenefitsを受けることはできるのでしょうか。答えはYESです。離婚していても、前の夫や妻の収入に基づいてなんらかのBenefitsは受けられるでしょうか。これも条件を満たせばYESです。今回は、配偶者として受けられるソーシャル・セキュリティーBenefitsに焦点を当ててまとめます。
ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(4) - Survivors Benefits
ソーシャルセキュリティーは生命保険でもあることをご存知でしょうか。ソーシャル・セキュリティーというと、Retirement Benefits(年金)を思い浮かべる人が多いのですが、家庭の経済を支える勤労者が亡くなったとき、残された家族の生活を守る補償、Survivors Benefitsも規定されています。子どもふたりの平均的な勤労者世帯にとっては、ソーシャル・セキュリティーの補償は$500,000の生命保険にも匹敵するという計算もあります...
ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(3) – Disability Benefits
生命保険に入っている人は多いけれど、Disability保険(病気やけがで働けなくなる場合の保険)について考える人は少ないようです。しかしながら、20歳以上の勤労者が60台半ばで退職するまでの間に、一定期間disabledとなる確率は10人に3人というデータもあります。ソーシャル・セキュリティーにはこのような場合の保障が定められています。ソーシャル・セキュリティーの1) Retirement Benefits、 2) Disability Benefits...
ソーシャル・セキュリティーの手はじめ(2) - Retirement Benefit
最近のニュースで、「アメリカのミドルクラスの25%は、リタイヤメントの目標準備資金が$350,000であるのに対し、実際にはそのわずか7%の$25,000しか貯蓄しておらず、そのためリタイヤメントを先延ばしにし80歳まで働き続けると考えている」...というのを読みました。「80歳というのは、平均的なアメリカ人の寿命78歳より2年も長い!」などと皮肉る記事もあり、その深刻さが伺えます。今回はリタイヤメントの準備に知っておきたい知識...



