店頭での3秒決断 – エクステンデッド・ワランティ 買う、買わない?

ミドルスクールの息子はただ今スノボーに夢中。とうとう自分のボードを買うというので、先日40%オフのセールをしていたSports Chaletに行きました。レジに行くと、“Would you like to buy an extended warranty on this?”ときた。いつもなら必ず、”No”と答えるのに、このときの私の返事は”Yes”。すると今度は、”Would you like to apply for Sports Chalet credit card, so that you can save 10% right away?”  こっちの質問には、いつも通り“No”と答える。お金を払い車に乗り込んでから、新しいボードでほくほくしている息子を横目に、私は「もしかして、いま超おバカなことした?」と後悔モード。

そもそもエクステンデッド・ワランティはいつも買わないことにしています。ほとんどの場合、値段分の価値がないと思うので。でもなぜこの日は、”Yes“と答えてしまったか。それはですね、ティーンエイジャーの息子の手前、見栄をはったというか、格好つけたかったというか、そういうことだと思うのです・・・自分で察するに。私は日々無駄遣いをせずお金を大切に使っているつもりなのですが、息子の視点からすると「ママはケチ」。「ケチで結構!」といつもは言っているものの、きっとここで息子のおニューのボードにワランティーを買わなければ(店員さん曰く“strongly recommended”)、「やっぱりママはケチだ」と言われるに決まっている。。。。そういう不安が心をよぎり、つい唇が”Yes”と言ってしまったのにちがいない。

そんな自分を無意識のうちに感じ取り、少々自己嫌悪気味のところに、今度は10%オフのストア・カードの話が来たので、もうその手にはのらない!といわんばかりに“No”と答えたわけだけど、でもさぁ、ボードとビンディングで$500の10%って$50。たしかにもう一枚新しいクレジット・カードはいらないが、だけどみすみす$50を見過ごすことは果たして賢い選択だったのか。。。ということで、この悩みをそのままブログにすることにしました。2回に分けてお届けします。1回目はエクステンデッド・ワランティー編、2回目はストア・カード編。では、さっそく1回目の始まりです。。。

だいたい、ワランティにしろストア・カードにしろ、こういう質問、やっとお目当てが定まり「はぁ~、決まってよかった~あとはお金を払うだけ~」という精神状態のときに、それにつけ込むかのように聞かれるわけで、しかもキャッシュ・レジスターを前に3秒で決断しなければなりませんよね。後ろには待ち行列。「ちょっと、考えさせて」という暇もない。最善ではない決断をしてしまっても仕方がないですね。

 

エクステンデッド・ワランティは買うべきではない?

消費者のための情報発信をしているConsumer Reportsは、エクステンデッド・ワランティは買うべきではないというスタンスを表明しています。その理由は下記のとおり。

  • 電気製品などはふつうワランティ期間には壊れることがない。
  • たとえ壊れたとしても、実際にかかる修理費用とエスクテンデッド・ワランティのコストはそんなに違いがない。
  • エクステンデッド・ワランティは、多くの場合、磨耗・消耗が原因の問題はカバーしないなど除外項目があり、使いたくても使えない場合もある。

Consumer Reports は最近になって「買うべきではない」というスタンスを少し軟化させ、「モノによっては買ったほうがいい場合もある(とくにコンピュータなど)」と発表しました。

 

お店 対 あなた 3秒後の勝負

実際、エクステンデッド・ワランティは消費者のためのもの、というよりはお店のためのものと言っても過言ではない気がします。電気製品を例にとってみれば、ほとんどの製品はお店にとっての利益率が数%から多くても10%(製品価格の数%から10%がお店にとっての利益)であるのに対し、エクステンデッド・ワランティのお店にとっての利益率はなんと50%から60%。これはすごい数字ですよね。あなたが$2,000の薄型テレビをBest Buyで買ったとしましょう。4年ワランティはだいたい$200だそうですから、あなたがもし3秒考えたあとで“Yes”と答えたとすると$100から$120はそのままBest Buyのもの。残りの$100から$80がワランティ会社に行き、そのうちのほんの一部が、実際の修理の費用になるという計算です。

Best Buyは店員の“Would you like to purchase an extended warranty today?”の一言で$100儲け、消費者である私たちは何を得るのでしょう。安心?そう、多くの人は安心のためにワランティを買うのでしょう。ワランティは保険ですからね。でも、本当に壊れたときにちゃんとカバーしてもらえるのか、そもそも壊れることはありそうなのか、実は考えなければならない課題は多いのです。私のような「3秒後の後悔」をせず、自信を持って”Yes“は”Yes“、”No“は”No“と言えるために、どんなことを気に留めておくといいのでしょう。

 

あらかじめ知っておく

レジで聞かれると、なんだかその場で買わなければいけないもののように思いますよね。そんなことはないのです。その場で買うワランティだけが唯一の選択肢ではありません。。

  • クレジット・カードで購入すれば、エクステンデッド・ワランティがついてくるかも: American Expressは、メーカー・ワランティにエクステンデッドを1年追加。Visa Signatureは、1年までを限度にメーカー・ワランティを2倍に延長するとともに、追加で購入する有料ワランティも提供しています(お店などで買うよりは安いとのこと)。Master Cardも同様、1年までを限度にメーカー・ワランティを2倍に延長。詳細はご自分のカード会社の契約書かWebサイトでご確認ください。メーカーワランティは1年という場合が多く、最近ではさらに短縮されて3ヶ月とか6ヶ月とかいう場合もあるようです。もしAMEXを持っていらっしゃるなら、AMEXで買うのがこの意味では一番安全です。
  • その場でなくても後でも買える: 実は、レジで聞かれて3秒で決める必要はないのです。迷ったら、”I will think about it.  How many days do I have to purchase the extended warranty?”と聞いてみましょう。通常、30日以内ならお店に戻ってエクステンデッド・ワランティを買えることが多いようです。それから、最近ではオンラインでも買えます。Amazonでも、ワランティだけ買えますよ。だから、「今買わなきゃ!」とあせる必要はなし!

 

あらかじめ考えておく

電気製品、家電、その他消耗品でない商品を買うと、必ずエスクテンデッド・ワランティを買うかと聞かれるに決まっているわけですから、あらかじめ心の準備をしておくことです。どのメーカーのどういう商品にしようかと考えを巡らす段階で、エクステンデッド・ワランティのことも考えにいれておくといいでしょう。たとえば、「今度買う冷蔵庫は○○のような製品が欲しい。値段を調べてみたら$xxxくらい。信頼性が高いメーカーだが壊れることはあるだろうか。。メーカーワランティはおそらく1年だろうが、エクステンデッド・ワランティは買うべきか。」と考えを巡らしておけば、3秒でおバカな決断をすることを避けられるでしょう。具体的にはこんなかんじで。。。

  • メーカーの信頼性: JD PowerConsumer Reports(レポートによっては有料)が、消費者向けにメーカーや製品に対する格付けを行っています。そもそも信頼できるメーカーの優良商品を選ぶことが大切です。
  • 製品の値段: そもそも$100以下のものなら、最悪$100払えばその製品をリプレイスすることができるわけですから、わざわざエクステンデッド・ワランティを買う必要はないように思います。反対に、値段のはる物であれば買った方がいいかもしれません。
  • テクノロジーの新旧: 何十年も存在するテクノロジーであれば、成熟期に入っている商品でしょうから、問題が起こる可能性も低いといえましょう。ディッシュ・ウォッシャーが壊れることがあるかといえばあるでしょうが、それが最初の3年に起こるかというと可能性は低いでしょう。反対に、新テクノロジーの場合は「履歴」が浅いわけですから、何が起こるか分からない部分もあるのでエクステンデッド・ワランティの購入は理にかなうかもしれません。
  • テクノロジーの発達スピード: 発展段階にあるテクノロジー商品の場合、どんどん新しい製品が出てきて、3年もすれば壊れなくても「時代遅れ」になるということもあるかもしれません。どうせ、買い換えることになるのなら、エクステンデッド・ワランティはいらないかもしれません。
  • アクシデントの可能性: 持ち歩いたり、よく動かしたりするもの、たとえば携帯電話やラップトップパソコンなどは、落としたり、水がかかったり、その他のアクシデントで壊れる可能性も高いでしょう。反対に動かさないものは、天災でもない限りアクシデントの可能性は低いでしょう。
  • 将来の値段: 電気製品のなかには、18ヶ月で45%ずつ値段が下がっていくものもあるそうです。単純計算すれば、$600で買ったipadが、3年後には$180。Best Buyで2年のエクステンデッド・ワランティを買えば$200。どうします?いずれにせよ、これから値下がりが見込まれる製品であるなら、エクステンデッド・ワランティの必要性をよく吟味することが賢明です。
  • 修理のコスト: 物理的な破損を簡単に交換できる場合などはコストは小さいでしょう。反対に複雑なしくみ、ソフト的な問題、内部の破損などの修理はコストが高くなります。その商品がどのような故障を起こしそうか考えてみるとよいですね。

3年以内でどのくらいの割合で修理が必要となるかの製品ごとの成績を参考までに記します(Consumer Reports調べ)。

Desktop PC 37%
Laptop PC 33%
Refrigerator 28%
Washing Machine 22%
Projection TV 16%
Vacuum Cleaner 13%
Dishwasher 13%
Clothes Dryer 13%
Microwave Oven 12%
Camcorder 8%
Digital Camera 8%

はい、ここまでは「あらかじめ」の事前知識です。このくらい準備しておけば、レジであわてることも少なくなるはず?

 

そして店頭で・・・

店頭提供されるエクステンデッド・ワランティはあらかじめ調べておかない限り、いったいどういう会社のどういった内容のものかはわかりませんね。できれば、レジに行ってはじめて情報をもらうというのではなくて、商品を選んでいる最中からワランティのパンフレットをもらうなどして情報集めをしておくとよいでしょう。また、メーカー・ワランティがどれだけつくかも確認しておきましょうね。エクステンデッド・ワランティについてチェックするポイントは:

  • 値段: 目安としては、商品自体の値段の10%以内であればリーソナブル。20%を超えるのはちょっと危険信号。このインターネット時代、店舗間の競争は激しく、商品自体の値段はどこで買ってもそんなに大差はなくなってきています。ところがエクステンデッド・ワランティについては、あちこち比較して購入するという消費者自体が少なく、また比較するための情報も出回っていないので、リーゾナブルなものからぼったくりのものまで値段はまちまちのようです。高すぎると思ったら、やめておくこと。後からでも買えます!
  • サービスの場所: 店頭に持ち込めばオンサイトで修理してくれるのか、人が家まで来てくれるのか、どこかに送らねばならないのか、シッピング・コストはかかるのかなど。上でも書きましたが、値段もまちまちならサービスの内容もまちまちです。
  • カバーされるもの: どのような故障や不具合をどのような条件でカバーするのか。通常の消耗・磨耗から発展した不具合はカバーされるか。水がかかったら?水の中に落ちたら?落としたら?などなど、具体的に起こりえる状況を想像して、それがカバーされるかどうか確認するとよいでしょう。
  • いつから有効になるか: エクステンデッド・ワランティといっても、実はよく読んでみたらメーカー・ワランティとオーバーラップして合計2年だった・・・などというものもあるそうです。
  • ワランティ会社: ワランティは保険です。保険金を払ったのに、実際に補償してもらう必要ができたときには会社がなかったというのでは意味がありません。少し前に、車のエクステンデッド・ワランティ会社、US Fidelisが財政難になり会社更生法を申請しました。購入前に、ワランティ会社が信頼できる会社か、Better Business Bureau(bbb)などのビジネス・チェック・サイトでチェックすべきです。実際、US Fidelisについては 更正法申請前3年にさかのぼって、bbbサイトにものすごい数の苦情がファイルされており、グレードはF(最悪)だったそうです。

 

・・・とうことで、私の失敗に戻りますが、$250のスノボー・ビンディグが40%オフで$150になっていたものに対して、2年エクステンデッド・ワランティを$29.99(商品の20%)で買ったのでした。しかも、1年で無料エクステンデッド・ワランティがつくAMEXで支払って(これも知っていたはずななんだけど)。おバカでしょ。

息子にはこの母の失敗を言っておこうと思い、「ママはバカな失敗をしました。お前の新品のビンディングにワランティを買わないと言えば、まだブーブー言われるだろうと恐れて・・・」と恥をしのんで「告白」したらば、「そんなの気にするわけないじゃん。壊れたら、また新しいの買ってもらうもん。」 ひえ~、そうとは知らなかった!子どもにとっては、親がエクステンデッド・ワランティということか!「息子の前で見栄をはらないこと」が今日の教訓であります。

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