2023年申請からFAFSAが新しくなります

FAFSA Simplification Actというの新しく施行されます。その名のごとく、主に州立大学のファイナンシャルエイドのための連邦ファイナンシャルエイド申請システム(FAFSA=Free Application for Federal Student Aid)を簡潔化するための法律です。もともとは2023-24のアカデミック年から有効化されるはずでしたが、一年先送りになり、2024-25のアカデミック年から(申請は2023年)分から実施されることになりました。以下、簡略化・変更ポイントを列記します。

FAFSA申請が簡素化

現FAFSAは答えねばならない項目が108項目ありますが、これが新FAFSAでは36項目に減ります。現在もタックスリターンの数字を申請ページに自動的に読み込む機能がありますが、これが拡充され、かなり簡単に申請が終わることになるようです。より多くの学生がFAFSAを簡単に申請できるようにすることが狙いです。

EFCからSAIへ

これまでのFAFSAではEFC(Expected Family Contribution)というインデックスが使われていました。

Cost of Attendance(カレッジ費用)― EFC = Financial Need

というように計算がされ、大学はFinancial Needの数字によってエイドを提供するという構図でした。このEFCはそのまま意をとれば、「各家庭が支払うべき学費」ととれますが、実際はちょっと違います。EFCぴったりを必ずしも支払う家庭ばかりではないからです。このEFCがねん出できなかったとしてもローンを組んで学費をカバーする家庭もあれば(つまりEFC以下しか払わない)、反対にFinancial Needで提供されるエイドパッケージの中に、返済不要なグラントやスカラシップではなく低金利ローンが含まれている場合に、あえてローンを組みたくないということでEFCを超えて費用を捻出する(つまりEFC以上に払う)こともありました。よって、EFCという名前は混乱のもとということもあり、このネーミングがまず廃止されることになりました。

代わりに使われるのがSAI(Student Aid Index)です。「EFC=各家庭が支払うべき学費」というように「家庭」という概念を持ち込まず、単に「政府や学校側が学生にエイドを出すための指標」という目的を端的に表す名前になりました。名前こそ新しくなったものの、EFCにせよSAIにせよ、若干の変更点以外は基本的には同じようなものと考えてよいと思います。

SAIは0以下になりえる

一点、EFCとSAIの大きな違いは、EFCの最小値はゼロでしたが、SAIの最小値はマイナス$1,500とゼロ以下になりえることです。SAIがマイナスの場合は、カレッジ費用を超えてエイドがでる(大学に直接関係する以外の生活費援助)可能性があることを意味し、ヘルプの必要な学生をより手厚く助けることができるようになるようです。

現在のシステムでは、自宅に住んで大学に通う学生は、自宅での費用がエイドの対象となりませんが、新しいシステムでは自宅での生活費や交通費もエイド対象に考慮されることになります。

複数の大学生がいるベネフィットなしに

現在は、同じ家庭に大学に通う子どもが複数人いると、考慮される収入などが格段に減り、エイド確保に大変有利でした。これが、新システムでは廃止されます。

たとえば現行システムでふつうならEFCが$40,000の家庭に、2人の大学生の子どもがいた場合、おおまかにいってEFCが2分割されEFC=$20,000となるため、それぞれ獲得できるエイドが大きく増えました。この考え方が廃止されるため、同時に何人大学生がいても、あるいは一人でもSAIは同じとなり、エイドへの権利は同じになります。これは高所得で複数の学生がいる家庭で威力を発揮していたベネフィットですが、これがなくなることはプラニングに大きな影響があります。

離婚している両親の場合

現在は、離婚あるいは別居の過程の場合、Custody(親権)のある親がFAFSAを申請することになっています。FAFSAでの親権があるとは、過去12か月でより多くの時間同居していた親です。もしも親権のある親が、もう一方の親よりぐんと収入/資産が低かった場合は、その低い年収/資産しか考慮されず、学生は多くのエイドを得ることができました。

これが、新システムにおいては、より多く学生のために費用を支出している親がFAFSA申請をすることになります。もしも費用支出が50/50だった場合は、より収入(Adjusted Gross Income)が多い親が申請をします。

Pell Grantの資格がすぐわかるように

低中所得家庭向けのPell Grantに資格の有無がわかりやすくなり、低所得家庭にはよりPell Grandが得やすくなります。

他にもいろいろ変更点はあるようですが、主要変更点について書きました。なお、これらはFAFSAに対しての改定であり、主に私立大学で使わるCSS/Profileは今のところ現行のままです。

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