月々の支出を見直す - キャッシュフローの改善

「毎月、赤字がでています」、「そこそこ収入もあるのに、月々カツカツでなかなかやりくりが大変です」、「カードローンがなかなか減りません」、「将来のためにもっと貯めたいのになかなか難しい」などのご意見をいただきます。月々のキャッシュフロー(収支バランス)分析をすると、それほど収入が多くはなくても月々黒字がちゃんと出ている家庭もあります。そんな家庭では、黒字を将来のために貯蓄することで、負債は全くないか、あるいはたとえあってもそれを大きく上回る資産があります。反対に、かなりの額の収入があるのにもかかわらず、月々はなんとか支出がカバーできているレベルで、それゆえなかなか資産がたまらず、純資産(資産から負債を差し引いたもの)があまりないという家庭もあります。月々の収支結果(キャッシュフロー)は、毎月毎月確実に繰り返されて蓄積され、それが資産と負債のバランス(バランスシート)として目に見える形となって現れます。収入はかんたんには増やせないことが多いので、結果的に私たちは支出をコントロールすることで改善をみようと試みます。今日は、支出をコントロールするためのお話。。

Smart & Responsibleでファイナンシャルプラニングをご利用いただく場合、かならずキャッシュフローシートにご記入いただくことになっていますが、これは月々の支出を項目ごとに洗い出し、無駄な部分がないか、改善できることろはないかを見るものです。ご自分の支出項目をリストアップして分析してみるとよいでしょう。以下は、すべての方に当てはまるわけではありませんが節約や収支改善のために考えてみるとよいことです。

車は必要かを見直す

車の費用はばかになりません。固定資産税、ガス代、維持修理代、それに保険料。アメリカは車社会なので、車がなければ生活が成り立たない地域も多いですが、もしニューヨークなどのように電車や地下鉄網が発達たところにお住まいであれば、車を持たないという選択もありでしょう。たまに車が必要なときはzipcarをはじめとするcar sharingサービスも都市部では簡単に利用できるはず。自分の車はたしかにあれば便利ですが、たまの不便と大きな節約、どちらをとるかは人生それぞれのフェーズで何を優先させるかによります。そのときそのときのプライオリティを考えて選択するとよいでしょう。うまくいけば、月々数百ドルレベルの節約が可能なうえ、不要な車を売ることで一時収入がありますので、それをローン返済や貯蓄に回すことができます。

ローン返済を見直す

負債には「よい負債」と「よくない負債」がありますが、「よくない負債」をなるべく早く返すこと、これはファイナンシャルプラニングの基本です。ただ、返すといっても支払うお金がなければ返せませんが、そこであきらめないこと。返済に充てるお金は限られていても返済を早める方法もあります。「よくない負債」の最たるものはクレジットカード負債。家や車など担保のあるローンに比べると利子が非常に高いので、なるべく早くなくすことが必要です。リタイヤメントなどのために投資にまわしている資金がもしあるなら、たとえこれをテンポラリーにやめたとしてもカード負債を返済したほうがよい場合も多いです。

また、ある程度の期間きちんと返済してきており、それによってクレジットスコアも上がってきているのであれば、クレジットカード会社に電話して、返済履歴とクレジットスコア上昇を理由に利子を減額してもらえないか尋ねてみるのもよい方法です。それから、スチューデントローンやクレジットカード負債がいくつかの金融機関にばらばらあるのなら、ひとつにまとめる(Consolidate)も考慮します。状況が許せばエクイティーラインなどに乗り換えたり、あるいはひとつのカード会社にバランストランスファーすることで、できるだけ低い利率で借りなおします。ただし、このとききちんと返済計画も一緒に立てておくこと。月々いくらずつ返済し、何ヶ月で返済し終わるかのロードマップを持ち、そのとおりに行動することが必要です。あくまでも、ローンをある場所から他の場所に移しただけ・・という結果には終わらないようにプラニングを重視します。

 

リファイナンスする

「よい負債」の例は家のモーゲージです。家という担保があるので利率もよく、頭金や月々の返済額のバランスをきちんと考えて借りたモーゲージローンならば、「よい負債」といえます。ただし、払っている利子が現在の利子に対して高い場合(目安は1%以上。ただしこれはあくまで目安でケースバイケースです)は、リファイナンスを考えます。また、リファイナンスでキャッシュアウトすることで、一度にカード負債や車のローンを返済してしまうという手もあるかもしれません。リファイナンスについては、利子が低いだけでなくクロージングコストなどもできるだけ最小化することを心がけます。利子は低くなったが、クロージングであまりにコストがかかるのは好ましくありません。あくまで全体でとらえ、月々の返済額の減額と、今後何年で返済ができるのかについても考えたうえで選択します。

 

外食・娯楽費を削る

スポーツジムのメンバーシップ費など月々徴収される費用を見直します。Netflixとか、TV Japanなどのプログラム費用や、購読雑誌の代金も見直すとよいでしょう。どのくらい使っているかを考えて、ついつい毎月支払っているけどあまり必要がないものについては、思い切ってやめます。また、外食費は、家庭によっては大きな見直しのポイントです。食事は外で食べても家で食べてもどうせかかるものではありますが、コストには大きな違いがあります。たまの外食は楽しみのためにとっておくとして、「ついつい時間がないから」「手早くすませたいから」の利便性のための外食は改善の余地があります。家でも簡単に準備できる食事を工夫することで、なるべく外食を抑えることはコスト削減にも健康管理にも役立ちます。楽しみのための外食は月々$100とか$200とか予算を決めて、その範囲内で済ませるようにするとよいでしょう。

 

通信費を削る

携帯電話サービス、インターネット料金などに代表される通信費は、どの家庭でも案外ばかにならない金額です。うまく工夫すれば、$100単位のコスト削減が可能なことも多くあります。携帯電話は、最近ではアップグレードを頻繁にせず、ある程度同じ電話を使い続けることで、サービス料金を削減できるプランもできています。携帯電話サービスやインターネット料金は、いったん契約してずっとそのままほうっておくのは、節約という意味からするとよくありません。多少面倒ですが、たまに見直しをかけること。たとえ、同じキャリアを使い続けるとしても、たまにキャリアに電話をしてもっと安くならないかと聞いてみるだけでも、かなりの節約ができる場合が多いです。契約してそのまま払い続ける顧客と、つねによいディールがないか検討する顧客を、キャリア各社は分けて考えています。前者の顧客層は「簡単な利益源」、後者の顧客層は「常に引き止める努力が必要なグループ」であり、後者のほうが前者に比べ節約にありつけるケースが多いのです。たまの見なおしをお勧めします。また、いまさらのことですが、あまり見ないケーブル料金、あまり使わない家の固定電話は必要がなければやめるのがよいでしょう。必要であればインターネットの契約スピードを多少上げて、TVプログラムや固定電話もインターネットを介してのサービスに変更してしまう家庭は増えてきているようです。

 

見積もりを集める

スーパーでシリアルを買うのに見積もりを集める必要はありません(最近では近辺のセール価格が簡単に調べられるappがありますが、それでも数ドルの節約をするためにわざわざ他のスーパーに行く人も多くはないでしょう)。しかし、数百ドル以上するものを買う、あるいはサービスを受けるのであれば、見積もりをとることが節約の秘訣です。家の改装、車の修理、庭掃除、大きな買い物など、競争と比較のないところには往々にして「払いすぎ」の可能性があります。額が大きくなるもの、たとえば車の購入や、ひいては家のモーゲージなどに至っては、ひとつで済まさず、いくつか見積もりを集めることが数百ドルから数千ドルの節約が可能です。見積もりを集めるのは、電話一本で住む場合もありますが、往々にして面倒なことです。面倒くささと節約できる可能性のある金額を比べて、たとえ多少節約できても見積もりを集める時間がもったいないので、あえて見積もりはとらないというならそれはひとつの立派な選択。反対に、たとえかなり時間がかかったとしても、数千ドル単位の節約ならやってみようというのも、もちろんよい選択。問題は、その中間で、ついつい面倒なのでよく考えず簡単なほうに流れることです(書いている私も人のことは言えませんが。。)。

 

保険料を見直す

保険は必要のないものは削除すること、必要なものはしっかりかけることが基本。まずは必要のない保険がないか見直します。不要な生命保険、Accidental Death & Dismemberment Insurance 、家や車ローン返済だけをターゲットにした生命保険など、もし必要でないものがあれば解約を考えます。ただし、ただ解約をすればいいだけのものと、解約をするのには多少の注意が必要なものがありますので注意します。持ち家保険、レンターズ保険、自動車保険、アンブレラ保険などをひとつの会社にまとめるというのは、最もよく知られた保険料の節約法ですが、同時に各保険の保険料節約のためのディスカウントをなるべく利用することも大切です。とくにディスカウントの方策が多いのが自動車保険。特定ノトレーニングを受けることで受けられるディスカウントや、マイレージが一定以下だと受けられるディスカウント、職業の種類によっても受けられるディスカウントもあります。また、ディダクタブルを上げることを考慮するのも有効です。

 

源泉徴収を調整する

タックスリターンのとき、たくさんリファンドが戻ってくるとうれしいですよね。追加で税金を払えといわれるのに比べると、戻ってくるお金はなんだかボーナスのようで得した気分になるものです。しかしながら、実のところは損をしているのです。毎月、余分に源泉徴収をされているわけで、そのお金はもちろん月々の必要な生活費に使うこともできなければ、将来のために貯蓄に回すこともできません。しかも、源泉徴収されたお金にはもちろん利子もつきません。ですから、あまりにタックスリファンドが多かったという方は、ぜひ源泉徴収の額を見直されることをお勧めします。会社にお勤めの場合は、人事を通してW-4フォームを提出します。ただ、源泉徴収は少なすぎてもいけません。源泉徴収が少なすぎると、アンダーペイメントペナルティの対象になりますから、適切な額を決めることが必要です。こちらのカリキュレーターを使うとよいでしょう。
他にも、節約の仕方はいろいろあるでしょうが、ここでは大項目として8つをあげてみました。

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