働けなくなったときの保険 - 所得補償保険

もしも大きなけがや病気で働けなくなったらどうするか・・・考えたことはありますか?生命保険は死なないと補償金が出ませんから、生きている間はあてにできません。ソーシャルセキュリティのDisability Incomeは審査が厳しく通るかわかりません。Worker’s Compというのもありますが、こちらは職場で、あるいは仕事の遂行中に負った障がいでなくては、補償への資格がもらえません。働けなくなって収入が途絶えても、モーゲージローンや生活費はかかります。このリスクを補償するのが所得補償保険です。

 

所得補償保険がどういうものかについてはこちら:

所得補償保険(Disability Insurance)- 生命保険より大切な保険?

所得補償保険には、短期のリスクをカバーするものと、長期のリスクをカバーするもののふたつがあります。この二つをどのような考え方で持つべきなのか、今日はそのあたりを探ってみます。

 

短期所得補償保険(Short-term Disability Insurance)

短期所得補償保険は、疾病やけがなどで短期間働くことができなくなった場合、所得の一部を補償してくれるものです。通常、3か月から6か月、長くても1年までの期間を補償します。通常、Sick Leaveの有給を使い果たしてから補償開始になることが多く、また短期所得補償が終わった後は、長期所得補償保険へと橋渡しすることになります。長期所得補償保険のWaiting期間(Elimination Periodとも呼ぶ)は180日から360日までの幅がありますが、その空白期間をうまくカバーするように加入することになります。

短期所得補償保険は雇用主からベネフィットの一部として無償で提供されることも多いです。無償でなくとも、コストの一部を雇用主が負担、一部を雇用者が負担するようになっている場合もあります。いずれにせよ、無料か安い価格で利用できるのであれば、利用します。

反対に個人的に入ろうとするとかなり高額になる場合が多いでしょう。個人的に加入した場合、月の保険料が$50くらいから$150まで幅があります。この場合は、加入に少しシビアになる必要があります。

 

短期所得補償保険は買うべきか?

短期所得補償保険は、前述のとおり個人で入ると高額であり、場合によっては長期所得補償保険とほぼ同じくらいのコストになることもあります。一方で、受けられるベネフィットは短期間で限定的です。期間限定でサイズ的にも予想のつく金額的リスクならば、自分で非常時の蓄えとして現金を持つことで備えておくという方法が有効です。優先順位としては、期間もどのくらいか予想がつかず、巨額な金銭的リスクをカバーする長期所得補償保険のほうが、短期所得補償保険より高いことになります。

雇用主が低コストで提供してくれていればぜひ利用しますが、そうでなければ、保険料を支払う代わりに、余剰金を非常時の蓄えとして蓄積することを優先し、非常時の蓄えが底をついても所得が得られなかったときのために、長期的な所得補償にお金をかける方が理にかないます。

また、ダブルインカム、あるいはレンタル収入などの不労収入がある場合も、心強い支えになります。一人の収入が途絶えても、ある程度の期間なら、もうひとりの収入でやっていけるのであれば、高いお金を払っての短期所得補償は必要ありません。

 

長期所得補償保険(Long-term Disability Insurance)

長期所得補償保険は短期所得補償保険より優先順位が高く、できるだけ購入した方がよい保険です。短期的な所得の喪失は期間が限定されているため、前述のとおり、非常時の蓄えを持つことでカバーができる可能性が高いですが、長期的な所得の喪失は、長期になればなるほど家計へのダメージが大きくなります。たとえ学資やリタイヤメント準備が順調にいっていた家庭であっても、急にはじまり長期化した所得の喪失は、すべての歯車を狂わせかねません。

個人で保険料を負担した所得補償保険は、雇用主経由で加入したものも、個人的に加入したものでも、受け取った補償金は所得税がかかりません。所得補償保険では月の収入の何パーセントまで補償するかを選んで加入することになりますが、最大でも補償は60%どまりです。それでも、非課税での収入の60%ですから、生活に必要なコストをかなり効率よくカバーすることができるでしょう。保険内容にもよりますが、リタイヤメント年齢まで補償してくれる保険もあり、長期化した場合も安心です。所得喪失の期間の長さによって、人生設計の変更はある程度免れませんが、大きく家計が転覆することはありません。

 

長期所得補償保険をどう買うか?

雇用主負担:

雇用主がベネフィットの一部として提供している場合もあります。無償(保険料が雇用主負担)で提供されている場合もありますが、この場合は受け取る補償額は所得税の課税対象となります。しかも、無償提供の補償額はそれほど大きくないことも多く、雇用主負担の保険だけでは不十分なことも多いでしょう。

雇用主経由:

雇用主のベネフィットとして、雇用者が必要に応じて所得補償保険に入れるように、グループ所得補償保険が提供されていることも多いでしょう。この場合は、保険加入を個人が決め、保険料も個人が負担することになります。受け取る補償額は所得税の対象とはなりません。グループ保険ですので、加入に審査がない場合も多く、簡単に入れます。多くの場合で、保険料も個人で入る所得補償保険よりも安い場合もあります。しかし、雇用主経由で入るグループ保険は、もしも仕事をやめた場合は、その時点で契約が終わりになるか、あるいは継続できたとしても大きく保険料が上がる可能性もあります。仕事を頻繁に変わる可能性のある人は、たとえ雇用主のベネフィットを通して加入ができたとしても、敢えて個人的に加入を検討したほうがよいかもしれません。

職業関連団体経由:

もしプロフェッショナル団体や学会、職業アソシエーションなどに加入されていたら、それらの団体でグループ保険が提供されているかもしれません。働く会社が変わったとしても、仕事内容や専門が変わらず、同じ団体に属し続けるのであれば、こちらのグループ保険の方が適切ともいえます。雇用主と職業団体経由とを比較して、よいほうに加入するというのもよい方法です。

個人で:

完全に個人として加入する所得補償保険は、コスト的に割高なことも多いです。また、職業歴が短かったり、収入が安定していなかったり、危険を伴う職業であったり、ある程度年齢が高い、あるいは健康上の問題がある場合は、加入が難しい場合もあります。ただ、保険会社によって判断基準はまちまちで、また保険内容も保険料もかなりバリエーションがありますから、一つの会社で加入できなかったからといってあきらめず、必要に応じて十分Shop around(見積もりを複数とる)して、できるだけの補償を購入するとよいでしょう。

生命保険のRider:

代替案として、生命保険にRider(特約)としてつける所得補償(Monthly Disability Income Riderなどと呼ばれる)で所得補償を補うこともできます。個人では所得補償に入れない、あるいは入れてもコストが高すぎる場合は、このRiderである程度のカバーをしておくことも有効です。このRiderは各社内容がまちまちで、Accident(事故)でdisableになった場合しか補償がおりないものもあれば、病気などもを含めてどんなdisabilityでもカバーするものもありますから、内容をよく確認しましょう。ただ、保証期間は通常最長2年までとなっているものが多いようです。長期化したdisabilityには対応できません。ゆくゆくは長期所得補償を購入することを念頭に置きながら、当面の補償を買っておくという意味では、このRiderはよい選択でしょう。

もうひとつ、生命保険のRider(特約)で、Accelerated Death Benefit Rider というのもあり、こちらは、Terminally Ill(余命宣告を受けた状態)の場合、実際の死の前に、死亡保証金を前倒しして支払ってくれるRiderです。こちらは、Disableの状態でも、死にはつながらない状態であれば、補償は出ません。一定の条件がそろわないと補償が受けられませんので、所得補償保険に代わるものではありませんが、ただこちらも所得補償保険が加入しにくい場合などは、せめてもの補償が受けられるように特約を付けておくことは有効でしょう。

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One comment

  1. プルデンシャルのBenefit Access Riderは、余命宣告された場合だけでなく、死に繋がらなくても、日常動作6つの内2つが不能となった場合や、アルツハイマーなどの治る見込みがない症状になった場合など、生前に死亡保障を受け取れる特約です。他社のライダーも常に変化しているので、一考の価値はあると思います。

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