所得補償保険(Disability Insurance)- 生命保険より大切な保険?

Last Updated on 2018年5月7日 by admin

生命保険に入っている人は多いけれど、所得補償保険(Disability Insurance)病気やけがで働けなくなる場合の保険)について考える人は少ないようです。所得補償保険はとても重要なのに、もっとも忘れられている保険とも言われています。20歳以上の勤労者が退職するまでの間に、一定期間Disabledとなる確率は10人に3人というデータもあります。どの年齢をとってみても、死亡する確率よりDisabledになる確率が高いのです。35歳だと、65歳になる以前に3ヶ月以上のDisabilityを経験する確率は50%、45歳だとこの確率は44%です。家のフォークロージャをとってみた場合、稼ぎ手の死亡が原因なのは全体の3%であるのに対し、Disabilityが原因なのは48%であるという報告もあります。

たとえば、あなたはどうでしょう。交通事故にあい長引くリハビリのため1年間仕事ができなくなっても、その間の家族の生活は守れますか?このような例もれっきとしたDisabilityです。幸いなことに、勤めている会社で所得補償保険が提供されている場合も多いので、この機会に確認されてはどうでしょうか。

 

所得補償保険って何?

Disabilityという言葉は、日本語では「障害」と訳され「一生続くもの」というイメージを持ちがちですが、ここでの意味はそうではありません。ここでいうDisabilityとは、「病気やケガなどで通常の仕事や生活ができなくなること」であり、わたしたちの誰もが経験しうることです。収入が途絶えても、家や車のローンは払い続ける必要がありますし、その他の費用の中にもすぐに節約して減らすことが難しいものも多いでしょう。リハビリやケアに付随して、今まで必要でなかった生活費も新たに発生するかもしれません。こうなると、生活が維持できず一家のファイナンシャル・プランが大きく狂ってしまうことになりかねません。

このような場合にも生活の維持ができるよう、失われた所得の一部を補償してくれる保険が所得補償保険です。被保険者が病気やケガで入院や通院、自宅療養を行うことで働くことができなくなった場合に、一定期間(6ヶ月、2年、5年、65歳までなどのように)、月額報酬の一部(60%~70%)を受け取ることができる保険です。

 

所得補償保険の必要度を知る

確率は

さて、自分がDisabledになる確率はいかほどでしょうか?こんなカリキュレータがあります。年齢や仕事のタイプを入れると確率がでてきます。あくまで統計を基にしたものですが、35歳のオフィス・ワーカーが3ヶ月以上Disabledになる確率は11%、45歳の外部労働者の場合はは35%だそうです。ただ、確率が低いからといって保険を買わなくていいということはありません。確率がたとえ5%であっても、起こるときには起こるもので、保険はまさにそのときのためのものだからです。ただ、確率が低い職業についている人は、会社や職業団体などのグループ・プランを買うことで効率のいい保険を見つけることができるかもしれません。

 

ダブル・インカム

夫婦共働きで、もし一方に何かあっても、もう一人の収入でなんとか生活費をカバーしていけるというのならラッキーなことです。その場合は、所得補償保険の必要度は下がります。また、労働収入以外にも投資の収入やレンタル物件からの収入がある場合なども、同様です。

 

Rainy Day Fund

非常時にすぐ使うことができる現金(Rainy Day Fund)が十分ある場合は、所得補償保険の必要性がなくなることはないにしろ、短期的なDisabilityについての心配は低くなります。長期的な所得補償ニーズだけを考慮すればよいことになります。あなたの場合、Rainy Day Fundの額÷月々の必要生活費は何ヶ月でしょうか。それが6ヶ月であるのなら、6ヶ月までのDisabilityがあっても生活は維持していくことが可能だということです。

 

補償を受ける道は3つ

Social Security Disability Benefit

ひとつはソーシャル・セキュリティーから支払われる所得補償です。 ただし、ソーシャル・セキュリティーの使う「Disability」の定義は非常にきびしいものです。申請の初期ステージで60~80%の申請が却下(Disabilityではないと判断)されるというデータもあります。また、申請自体にも時間がかかり、場合によると2年もの月日を要することもあるようです。そして、なんとか申請が通ったとしても、受けられるベネフィットの平均は月に$1,188ほどという結果ですから、ソーシャル・セキュリティーだけを頼りにするのは心もとないことです。

 

雇用主の提供するグループ保険

多くの企業や団体が、雇用者のために所得補償保険を提供しています。多くの場合、その一部は雇用主がベネフィットの一部として保険料を支払ってくれます。ただし、それだけでは不十分な場合も多く、個人がSupplemental Coverageとして追加で保険を購入することができるようになっている場合も多いでしょう。

これらはその企業に勤める人を対象にしたグループ・プランで、条件的にも有利である可能性が高いでしょう。もし企業が所得補償保険を提供していなければ、職場以外で所属しているプロフェッショナル団体やアソシエーションなどをあたってみましょう。

場合によっては、銀行やクレジット・ユニオンでローンを組むと、それと付随して所得補償保険に加入できる場合もあるようです。所得補償保険に関しては、車の保険や生命保険などに比べて普及率が少ないためか、個人で加入するプランはとても高いものもあるようで、できるだけ何らかのグループ・プランに入ることができないか調べてみる価値があります。

 

個人で入る所得補償保険

グループ保険がない場合、不十分な場合は、個人的に契約する保険を探します。比較的高収入のプロフェッショナル(医者や弁護士)、自営業者やスモール・ビジネス・オーナーなどを対象にしたプランがあります。保険会社の健全性(財務・経営状態やカスタマー・サービスなど)も含めて選択する必要があります。

 

どういう要素に注意すべきか?

補償額

いくらの補償を得ることができるかです。典型的なプランは収入の60%までとなっています。また、収入の中にはボーナスやコミッションが含まれないことも多いので、実際にいくら得ることができるのか確かめます。

 

課税されるか

企業などの雇用主が保険料を支払う所得補償保険の補償額には、所得税がかかります。一定額の補償が得られても、それがまるまる生活費に当てられないということですので注意します。たとえば、$3,000の補償額を得ても、所得税率が15%であれば、手元には$2,550しか残らないということです。

一方、個人で加入する保険はもとより、企業のグループ・プランであっても自分で保険料を支払う(所得税課税後の収入から)ものの場合は、補償額には所得税がかかりません。

 

Waiting Period

Disabilityになって働けなくなってから所得補償が得られるようになるまでの待ち期間です。たとえ一時的に収入が途絶えても、この期間中に働けるようになれば、補償はありません。Waiting Periodが短いほど保険料は高く、長いほど保険料は安くなります。Waiting Periodが、Rainy Day Fundで生活維持ができる範囲内であることを確認します。

 

Own Occupation vs. Any Occupation

Own Occupationポリシーは、「自分自身の仕事」ができなくなったときに、Disabledと判断されます。社会の先生が、怪我のため教壇に立つことができなくなれば、それはDisabledです。また、いったんDisabledになって、他の仕事に就くことができたとしても、補償を受け続けることができる可能性もあります。怪我が少しよくなった社会の先生が、自宅でチューターのアルバイトをしてたとしても、まだ補償を受けることができるというような例です。

一方Any Occupationポリシーのほうは、その人の学歴や経験をベースに妥当と思われる「どんな仕事」もすることができなくなったときに、Disabledと判断されます。上の社会の先生の場合だと、チューターを始めた時点で、Disabledでないと判断される可能性もあるということです。学歴や経験上妥当な仕事というのは、収入面で同等の仕事と解釈されるわけではなく、収入は激減しても「働くことができる」=Not Disabledと判断されることがあるということです。

このようにOwn OccupationとAny Occupationは大きな差です。Own Occupationのほうが好ましく、保険料も高いですが、専門的で高度な仕事についているようなひとは、このポリシーを考慮したほうがよい場合もあるでしょう。

Own Occupationポリシーは高いのでちょっと苦しいという場合は、保険料を削減するために、最初の1、2年をカバーするためにOwn Occupationポリシーを購入しておき、それ以上の期間はAny Occupationポリシーでカバーするというのも手です。1、2年の猶予期間があれば、仕事探しの面でも、生活スタイルの転換の面でも、余裕をもってアジャストすることができるでしょう。

 

期間

所得補償はDisabilityが存在する限り、2年とか5年とかいうようにあらかじめ決められた年数を上限に継続するという場合もありますし、65歳までというようにあからじめ決められた年齢まで継続するというものもあります。もちろん長期の補償のほうが好ましいですが、90日以上のDisabledになった場合でも、2年から3年で復帰できる場合が多いというデータもありますので参考にするとよいでしょう。コストが高くなりすぎる場合は、上の例のように、数年の間に生活費のアジャストをすることを念頭に、その間だけでも手厚い補償が受けられるような保険に入るという策がよいでしょう。

 

Non-cancellable

Non-cancellableなポリシーとは、保険料が上がることがなく、最初の保険料がずっと継続されるポリティーです。

Guaranteed renewable

保険料を払い続ける限り自動更新され、一方的にキャンセルされることのないポリシーです。

Future purchase option

将来所得が上がって補償額を上げたい場合、Medical Examなしに行えるオプションです。若いうちに加入し、将来所得が上がることが予想される場合は意味があるオプションです。

Accidents AND Illness

Disabledになった原因が事故の場合はカバーするが、病気の場合はカバーしない(Accidents only)という所得補償保険も存在します。実際、長期Disabilityのほとんどは病気に起因している場合が多く、慢性疾患や疾病などのパーセンテージが高いので、かならず両方をカバーしているものを選びます。

Residual Benefits

Disabledになった後、新しい、しかし給料の少ない、仕事についた場合に、収入の減少分を補うものです。あったほうが好ましいですが、保険料との兼ね合いで決めてください。

Inflation Protection

補償額が将来のインフレーションに応じて上方修正されれるものです。あったほうが好ましいですが、保険料との兼ね合いで決めてください。

 

コストはいかほど?

コストの目安は雇用主を通じて入るグループ・プランで年収の1%~2%、個人プランでは2%~3.5%ほどとのことですが、Waiting Periodや補償期間、その他の条件によって保険料は異なってきます。まずは雇用主が無料で提供してくれるベネフィットを確認し、それに加えて足りない分を追加できるグループ・プランがあるかを確認しましょう。

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