ペット保険をどう考える?

動物好きの娘は、以前から犬が飼いたくて仕方がありません。なかなか実行に移せずにいたのですが、犬を飼っている人は、犬が家族の一員のようになって本当に愛おしくてたまらないと薦めてくれるので、この夏、犬ゲット作戦を本格的に稼動。ただし、まずはゲットの前に、パパを説得せねばなりません。そもそも面倒が見られないだろうという理由で反対している上、どうせ動物を飼うならネコのほうがいいというパパなので、なかなか説得は大変。そのうえ、コストが問題。お友達の家のワンちゃんが病気になって、ERに行ったら$3,000の請求が来たなどというホラストーリーもよく耳にしているので、そのあたり慎重派のパパがなんと言うかは容易に想像がつく。このもっとも“予期できない”コストである医療費をどうパパに説明するか・・・。やはりペット保険を考えるべきなのか・・・。そこで今回はペット保険の話。

 

ペット医療の世界も人間のそれと同様に、新しい治療方法が開発され続け、一昔前なら安楽死させるしかなかった動物を治癒することが可能になっているようです。ただし、そこにはエスカレートする治療費という問題も隠れているようです。たとえば、以前は人間にしか行われていなかったような放射線治療や腎臓移植も、現在ではペットに対して行われるそうです。また、最近の動物病院では、MRIなどの高度なテストをするところも増えており、それらによりいろいろな問題が発見できるのはいいものの、結果的に高いテスト料金と問題が発見された場合は高額の治療費発生ということになります。これらの状況が合わさって、ペット医療の世界でも治療費インフレーションが発生しているようです。たとえば、犬の歯を一本抜くのは$829、犬の関節カートリッジを治療するのは$2,667だそうで。。。

数百ドルレベルなら何とか吸収できるところでも、数千ドルといわれるとちょっと困りませんか?そこで登場するのがペット保険です。ただし、ペット保険には賛否両論。買ったほうがいいという人もいれば、元がとれないから買ったら損という方まで。さてどう考えますか?

 

以前にConsumer Reportsがペット保険についてリサーチをしました。実在する健康な10歳のビーグル(名前はRoxy)を例にとり、ペット保険の保険料と保険からの補償額について調べました。Roxyの生涯で、実際にかかった治療費は$7,026だったそうです。そして対象として調べたペット保険会社9社のRoxyの生涯保険料合計は、どの保険会社の場合でもこの$7,026を上回るものだったそうです。また、Roxyが実際の$7,026ではなく、治療に$12,685かかるような病気をしたと想定し保険を使った場合の補償額をしらべましたが、9社中5社のペット保険のみで保険料合計よりも多い補償額が得られただけで、他4社は保険料合計のほうが多いという結果でした。Consumer Reportsは、健康なペットの場合、概してペット保険はコストに見合うベネフィットを得られないと結論付けました。

ただ、だからペット保険は買わないほうがいいと決め付けるのはちょっと性急な気がします。そもそも保険は元をとるものではないからです。そんなことをいい始めれば、ふつうの人の健康保険だってぜんぜん元が取れない場合が多いでしょう。生涯支払う健康保険料と、実際に使った補償額を比べたら、保険料の方がずっと多いという方が大多数だと思います。そしてそれが保険のあるべき姿ですよね。いろいろな保険がありますから一概には言えませんが、もともとの保険の意味は、「ほとんどないかもしれないが、もし万が一のことがあったら、あまりに大きなダメージが予想されるようなケースに対して備える」というものですから、本来は元はとれなくて当然。言い換えるなら、保険の「元」というのは、「万が一でもプロテクトされているという安心感」にあるはずです。

 

ペット保険を自分はどうとらえるか・・・が買うか買わないかの決め手となるでしょう。「金銭的に収支があうような元をとる」ことを目的にしているのなら、ペット保険は買わない方がいいでしょう。毎月保険料相当の金額をペット医療費として積み立てておくことをお勧めします。何かあればそこから支払い、大きな医療費が発生しないままですめば、余剰金は他の目的に使えます。確率は高くないかもしれないけれど、積み立てではまかないきれない医療費が発生することはありえますからそこは覚悟のうえ。

反対に、ペット保険も自動車保険や家の保険と同じように、元をとるよりは安心を買うものとしてとらえるならば、良質のペット保険は力強い味方になるでしょう。月々数十ドル払って、その安心感を買うという考え方です。このやり方の利点は、いざ愛するペットが病気になって非常に高額の処置が必要になったとき、金銭的なことで心を悩ます必要がないということでしょうか。ポケットからそのお金が出るのなら、払うべきか、もう少し様子を見るべきかというように迷うかもしれません。保険があれば、やるべきことなら迷わず進めばいいでしょうから。

 

ペット保険を買う場合に知っておきたいこと:

まだ買ったことがない私が書くのは非常に身の程知らずですが、下記は一応いろいろなところで指摘されているポイントをまとめたものです。

 

  • ペット保険も人間の健康保険と同じように、月々の保険料、ディダクタブル、Copay、除外ケースなどが設定されており、またネットワーク動物医を指定しているものもあれば、ないものもある。
  • 人間の健康保険は、既往症を理由に加入拒否したり、ライフタイムの補償限度額を設定することが違法となったが、ペット保険にはこれらが存在する。
  • 保険料が住む場所で違うポリシーや、ペットの年齢とともに上昇していくポリシーがあるので、よく研究すること。
  • 通常は医療費を立て替え、保険会社から後日支払いを受ける形になるが、支払いはCopayのパーセンテージベースのものもあれば、処置ごとに「適切と判断される額」を支払うものもあり、後者は実際に立て替えた額よりかなり少ない場合もあるので、よく研究すること。
  • ライフタイム限度額に加え、疾病・傷害ごとの最大補償限度を設定しているポリシーもあるので、よく研究すること。
  • ある疾病で保険を使うと、次の年からその疾病が保険対象外とされたり、あるいは反対に保険料があがったりする場合がある。

家の保険や自動車保険と同様、いくつか見積もりを集めて、保険料と内容を比較することと、その会社の健全性などをBBB.org、yelp、Angie’s Listなどでチェックすることも大切のようです。

 

ペット保険、買う買わないはそれぞれの決断ですが、とにかくEnjoy your pet!

Print Friendly, PDF & Email

8 comments

  1. いつもすごく参考にさせてもらっています~。今回のペット保険も興味深く読まさせて頂きました!
    私は不動産投資をしているのですが、物件の火災保険の更新をしながらいつも思うのは、「保険料、損してるわ~。もったいないかも?!」なんて考えてるうちが一番幸せだなってことです。掛け金よりも元を取れるぐらい保険金をもらうってことは、所有物件に万が一の何かがあったってこと。その何かがないほうがいいに決まっています。

    ペット保険、ペットを飼うときになって真剣に考えたいと思います^^

    1. Noaさん、こんにちは。楽しいブログをお持ちですね!不動産投資、私はやってみたいのですが、今のところあまり縁がないので、人の経験を楽しく読ませてもらっています。そう、保険は何もないのが一番しあわせですね。。

  2. いつも興味深い話題をありがとうございます。保険を考えながらも、加入してなかった3年前に、愛犬にガンがみつかりました。大事な家族の一員には、出来る限りのことをしたかったので、苦しい家計費と新しいクレジットカードを開設したりで、治療をすすめました。およそ2万ドル掛かりましたが、なんとか無事払い終えました。出来る限りのことをする、と言いながらも、次々と掛かる治療代に不安になる自分が、愛犬にとてもすまなくて自責の念ばかりでした、、、。その後彼女は虹の橋を渡りましたが、今でも、保険に入っていたら、、、と思うときがあります。現在、2匹のわんこは保険に入っています。一匹は薬代が月に100ドルちょっと掛かりますが、20%のCopayなので、とても助かっています。私のように貯蓄が無いものには、なにかあってからでは遅い、ということを学びました。

    1. 亡くなったわんちゃんには、esさんの愛情がしっかりと伝わったと思います。次々とかかる治療代は、たとえそれが家族や自分など人間にとってのためでも不安になります。だから不安になって当然だと思います。誠意いっぱいを尽くしたesさんに拍手を送ります。

  3. ペット保険を買う場合の考慮する点として、私の経験から、もうひとつ追加させてください。その犬の習性/性格です。

    うちの犬の場合、食べ物大好きで、2年前に桃の種、去年はトウモロコシを芯まで食べて、ERにお世話になり、合計でおよそ一万五千ドルかかりました。2年前の桃の種事件以降、ずっとペット保険を探していたんですが、なかなか決断がつかず、やっと入った3日後にトウモロコシで具合が悪くなりERへ。せっかくペット保険に入ったものの、15日間のWaiting Period中だっため、保険はおりず、その時も自腹でした!!保険会社によって、異物を食べた場合の補償限度額が$600から実際にかかった医療費全額とまったく違うので、そのあたりも注意して選んだ方がよいと思います。

    1. ほほう、異物を食べた場合ですね。。よくチェックします。それって、案外ありえることですよね~。桃の種といいトウモロコシの芯といい、Hannahさんのわんちゃんはチャレンジ精神旺盛ですね~。おいしかったかなあ。。でも桃の種もトウモロコシの芯もオーガニックなものだから、そのまま分解されないのでしょうか??

      1. どうも分解されないようです。手術前にX線を見せてもらいましたが、小腸に何か異物があるというのがはっきり写っていました。桃の種の時は頼んでもいないのに手術後に出てきたものを見せてくれましたが、ほとんどそのままでしたね。トウモロコシの時は、その3週間前にKitchen Counterから盗んで食べられたのを覚えていましたが、まさかそれが出てくるとは思っていませんでした。(今はKitchenにDog Gateを置いています。)

        まったく、食い意地が張ったスマートな犬も困り者です。先日も旅行でケンネルに預けていましたが、夜に自分の檻をなんとかオープンしたらしく、同室で寝ていた他の犬の檻も全部オープンして他の犬の檻に食べ物が残っていないかチェックしていたと聞いて呆れました。それ以降は特別に鍵がつけられたようです。

        1. ひえ~、みどころありますね!!なんかディズニー映画に出てくるようなわんちゃんじゃないですか! オーディション受けてみたら?

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください