クレジットヒストリーとクレジットスコア - アメリカの生活での役割

Last Updated on 2023年2月6日 by admin

アメリカで暮していくには、避けて通れないのがクレジットヒストリーとクレジットスコアです。いわば、お金のマネージメントに関する履歴書のようなもので、生活の多くの場面で使われます。

クレジットとは「信用」である

「クレジット」とは結局、お金を「借り」て買うことですから、日本人本来の「貯蓄優先・お金は貯めてから使う」という哲学には相反するもののように思いますね。「クレジットカード負債」、「クレジット破産」などネガティブな意味合いで使われることも多いことばです。

しかしながら、「クレジット」ということばのもともとの意味は「信用」です。この「信用」があるゆえに、貸す方は「お金が支払われる・返済される」と信用して貸すわけであり、借りるほうはその信用にこたえるべく「約束どおりに支払う・返済する」わけです。Creditworthinessという派生語がありますが、これは人のお金に対する信用度・信用力とも訳されます。こう考えると、「クレジット」があることはいいことのように思えますね。

借金がないと成績がつかない

事実、私たちはクレジット社会に生きています。人によっては、借金はいやだし、ローンも組まないからクレジットヒストリもいらない・・・なんて人もいるかもしれません。しかし、このクレジットという概念、そしてそれを量る指標であるクレジットヒストリやクレジットスコアという概念は、借金とかローンという狭い意味だけではなく、わたしたちの生活の非常に広い範囲で影響を与えるものになっています。そしてこのクレジットヒストリーやスコアは、「借り」をしてきちんと支払う・返すということでつくられていくものです。ですから、全く「借り」をしなければ、たとえそのひとがどんなに信頼のおける人でも「クレジットの成績はなし」ということになるのです。

クレジットヒストリーとクレジットスコアの違い

クレジットヒストリー

クレジットヒストリーというのは、その名のごとくクレジットについての履歴がまとめられているものです。クレジットヒストリーはクレジットレポートという名前でも呼ばれます。その人が、どんなローンを借りていて、ちゃんと決められた額を予定通り返しているか、どんなクレジットカードも持っていて毎月いくらの残高があり、返済状況はどうかなどについて、細かな報告がされているものです。過去に持っていたローンやクレジットカードもリストされており、完済したもの、口座が返済になったものなどについて履歴が報告されています。

クレジットヒストリーは、私たちが好む好まないにかかわらず、自動的に集められています。クレジットヒストリーを集めて管理している会社には主要3社があり、Equifax、Experian、TransuUionです。

クレジットスコア

クレジットスコアは、クレジットヒストリーの内容を一定の計算モデルに入力し、数値化したクレジットの数値成績です。クレジットスコアの計算モデルはいくつかのバリエーションがあります。よく使われているものは、FICOスコアとVantageScoreです。

堅実なクレジットヒストリーを築き、優秀なクレジットスコアを維持しているとどんないいことがあるのでしょうか?クレジット成績が実際どんなふうに使われるのかを見てみましょう。

クレジットヒストリーの使われる時

1.ローンを借りる

クレジットスコアは、ローン会社がお金を貸すか貸さないか、貸すなら何パーセントの金利で貸すかを決める指標です。モーゲージ、車のローン、リファイナンスなど、お金を借りねばならないとき、優秀なクレジットスコアを持っていれば、それだけ貸す側の回収リスクが低いので、その分安く有利な条件で借り入れることができます。

たとえば、30年固定金利モーゲージで考えてみましょう。クレジットスコアが最高レベルの場合と、ローンが何とかおりる最低レベルの場合とを比べると、その時の市場にもよりますが1~1.5%もの金利の差があることもしばしばです。同じ$250,000を借りるのでも、月々の支払額が数百ドルレベルで異なってきます。

2.銀行口座を開く

口座開設を申し込むと、銀行がクレジットヒストリをチェックすることがあります。クレジットに問題があると、口座残高以上に引き出しをしたり、口座をそのまま放棄したりという問題行動が多くなるからです。

3.アパートなどを借りる

物を貸すのもお金を貸すのと同様、借りる人がちゃんと信用のおける人か、大事につかってくれそうか、支払いをちゃんとしてくれそうかが大切な指標となります。家やアパートの賃貸では、家主がクレジットスコアをチェックすることは常ですし、レンタカーやバケーションレンタル(貸し別荘)を借りる場合にも、デビットカードや現金ではだめ、クレジットカードが必要ということも少なくありません。クレジットカードをもっていないひと、あるいはクレジットスコアが低い人は、物を貸すにはリスキーと判断されがちです。

4. 保険に入る

自動車保険やホームオーナーズ保険などでは、クレジットスコアがよいほど、条件のよい保険に入れたり、保険料が安かったりします。クレジットスコアがよいことと、責任ある運転や責任あるメンテナンスをすることと相関関係があるからだそうです。また、生命保険にもクレジットヒストリやスコアが関係します。クレジットスコアが十分によければ、保険料が低下します。よいクレジットは、Wellness(健全なライフスタイル)を意味するそうで、低クレジットであるほど、金銭的ストレスがひいては肉体的ストレスとなり高血圧などさまざまな病気にもなりやすいというリサーチ結果も出ています。

5.仕事を探す

雇う側の会社が求職者のバックグラウンドチェックをすることはよく行われていますが、その一環としてクレジットヒストリーが見られることもあります。クレジットヒストリーをチェックすることで、その人の信用度や責任感を判断したり、また金銭的に問題がある人か、ヒストリーに「問題となりそうなパターン」がないかを判断するようです。会社によっては、現社員に対しても定期的なクレジットチェックやバックグラウンドチェックを行うところも存在します。会社が見ることができるのは、クレジットヒストリーだけ(クレジットスコアではない)です。また、本人の書面での同意がない限りチェックをすることはできません。

6.公共サービスを使う

その他、ガス、電気、水道などのユーティリティ会社と契約をするとき、携帯電話やインターネットサービスに申し込んだ時にも、クレジットヒストリがチェックされることがあります。クレジットが低いと、デポジットを要求されることがあります。

7. クレジットカードを申し込む

クレジットカードは一種のローンです。よって、クレジットスコアがよければ、より低い金利のカードに申し込めます。また、クレジットスコアがよければ、より特典の多いカードに申し込めます。クレジット・カードといっても、低クレジット層をターゲットにしているものから、高クレジット層をターゲットにしているものまでさまざまです。優秀なクレジットを有する人は、キャッシュバック、ポイント、ギフトなどのより魅力的なリワードが得られるクレジット・カードを持つことができるのです。クレジットをどんどん高くしていけば、クレジット限度額もどんどん高くなり、クレジット限度額が高くなればさらにクレジットスコアが上げていける(利用額÷クレジット限度額が低いほどよいので)という良循環にはいります。

本末転倒にならない

こうやってみると、クレジットヒストリーを作り、クレジットスコアを上げることは大変重要なのがわかります。クレジットが悪ければ、思うような仕事が得られない、思うところに住めない、何をするにも余分なお金がかかるということにもなりかねないからです。一方で、クレジットが高ければ、よりよい条件でよい安くいろいろなサービスを受けることができます。

ただ、だからといってクレジットスコアを上げることだけに一生懸命になるのは、少しばかり的外れです。分相応な生活をして、決められた支払いをきちんとしていれば、クレジットヒストリーは自ずからできていくものです。責任があり信用のおける生活をしていれば、結果は後からついてくるのです。

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