ターゲット・デイト・ファンドをうまく使う - 我が家の場合

ターゲット・デイト・ファンドの長所も短所もそのシンプルさにあることを前回の記事でご紹介しました。そのシンプルさをうまく活用するため、それぞれのターゲット・デイト・ファンドについて、1)アロケーション、2)投資媒体、3)リバランスの頻度、4)手数料について把握することが必要であることについても考えてみました。同じ退職年をターゲットにしているファンドでも、投資会社によって1)から4)の内容にかなりのばらつきがあることについても確認しました。今回は、これを踏まえて、実際に我が家のターゲット・デイト・ファンドのケースを調べてみます。

 

主人が3年前に転職したのですが、以前の雇用者のリタイヤメント・アカウントはそのまま残してあります。それとは別に現在の雇用者のアカウントは新しく開き、現在ふたつのリタイヤメント・アカウントを持っているわけですが、どちらのアカウントもこれまでの通常の投資媒体に加えて、ターゲット・デイト・ファンドを新たに提供するようになりました。このふたつの会社のファンドを比べて見ます。我が家がリタイヤするのはおそらく2035年くらいになるので、ふたつの会社の2035年ファンドを比較することにしました。結果はこの通り。

アロケーションと投資媒体は・・・

どちらも2035年のターゲット・デイト・ファンドですが、A社の方はすでに債券の比率が株の比率を超えておりかなりコンサーバティブ(低リスク・低リターン)なアロケーションになっています。低リスクはいいのですが、ここまでコンサーバティブだとリタイヤする時点で老後の生活に必要な資金がちゃんとたまるのか少し不安になります。個人的には我が家の場合、株比率は65%でもOKだと考えていますので、このターゲット・デイト・ファンドは私たちには少し低リスク・低リターンすぎるように思います。

これに比べてB社の方は株に90%近く投資されており、かなりアグレッシブ(高リスク・高リターン)なアロケーションになっています。ここまでアグレッシブだと、ちょっと不安になります。同じ2035年ファンドでもここまで大きな開きがあるのには驚きです。やはりターゲット・デイトの年号だけを見るのではなく、実際のアロケーションをきちんと確認することはとても大切ですね。

2035年にリタイヤする時点でのアロケーションを見てみると、A社の方は、株は14%、債券79%とスーパー・コンサーバティブになっています。実際2035年あたりにリタイヤしても、健康さえ維持できればそこから20年、25年は生きるつもりですから、その間もこのリタイヤメント・アカウントは投資し続け存続させなければなりません。そう考えると、2035年の時点で株が14%である必要があるかどうかは少し疑問です。あくまでこれは我が家の場合で、たとえばリタイヤメント時点で、アカウントからまとまったお金を引き出しアニュイティ(年金のように月々一定額がもらえるしくみ)などを購入するというのであれば、2035年時点でかなりコンサーバティブなアロケーションになっていたほうがいいでしょう。これが、リスク・リターンとアロケーションはあくまで個人ベースで決めるべきといわれるゆえんです。

一方B社の方を見てみると、2035年のアロケーションは株と債券で半々。これは、我が家の望むアロケーションよりは少しアグレッシブすぎる気がします。

A社だとコンサーバティブすぎる、B社だとアグレッシブすぎる・・・こんな場合はどうしたらいいのでしょう。A社の場合でしたら、リタイヤメント年どおりにファンドを選ぶとコンサーバティブすぎるわけですから、2040年とか2045年ファンドなど、少しリタイヤメントが先に設定してあるファンドを敢えて選ぶことにより、自分の望むリスク・リターンに近づけることができます。反対に、B社の場合でしたら、リタイヤメント年どおりにファンドを選ぶとアグレッシブすぎるわけですから、2030年とか2025年など、少しリタイヤメントを近くに設定あるファンドを選ぶことにより、自分の望むリスク・リターンに近づけることができます。

リバランスは・・・

リバランスは、どちらのファンドも1年に1回されるということで、合格基準に達していました。

手数料は・・・

また、手数料については、A社は0.15%とターゲット・デイト・ファンドのなかでは最低基準でありこれは満足です。B社も決して高くはない0.45%なので合格のレベルでしょう。たった0.30%の差ですが、リタイヤメントまでの二十数年までの間この差は蓄積されますから、どのくらいの差になるのか計算してみました。現在A社とB社に貯まっているお金を元に、たとえば平均年利回りが7%だったとして、手数料0.45%と0.15%の差を見てみると、リタイヤする時点ではなんと$100,000もの差がでてくることがわかりました。しかもこれにはこれから貯めるお金は勘定に入っていません。繰り返しますが、本当に手数料はばかになりません。

では、どうする?

自分たちに選択肢として与えられているターゲット・デイト・ファンドを吟味した結果、それが自分たちのニーズには合わない場合、ターゲットデイト・ファンド以外の従来のファンドを組み合わせて投資するほうがよい場合もあるでしょう。アロケーションが自分たちのニーズと違う場合は、先に書いたとおり、ターゲット・デイトの年を遅らせたり早めたりすることで、ある程度リスク・リターン・レベルの調整ができますが、たとえば、ターゲット・デイト・ファンドの手数料がものすごく高い場合などは、回避のしようがありませんから、ターゲット・デイト・ファンド以外のファンドを使うしかありません。

我が家の場合は、リバランスと手数料は2社ともそこそこ合格点。アロケーションは少し調整が要ということでした。手数料は0.30%の違いですが、長期にすると大きな影響があるので、B社(以前の雇用主でのアカウント)からA社(現在の雇用主のアカウント)にロール・オーバー(お金を移す)して手数料を下げることは有効でしょう。A社は少しコンサーバティブすぎるので、アロケーションを少しアグレッシブに調整するために、ターゲット・デイトを遅らせて2040年、2045年などのファンドに投資するというのが得策というところでしょうか。

わたしは、どちらかというとオーソドックスにBUY&HOLD(買ったものは長く持ち続ける)派で、いったんアロケーションを決めたら頻繁には変えないし、リバランスは面倒なので自動でやってもらったほうがいいタイプでして、それを低手数料でやってもらえるならば、ターゲット・デイト・ファンドにしてしまおうと思っています(というか、実際このレポートを書いた後で、そうしてしまいました)。みなさんはどうでしょうか?ご意見などお聞かせください。

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3 comments

  1. ニュージャージーに住むジュリヲといいます。このウエブサイト全体、すごく気に入りました。しばらく通わせていただき、勉強させてもらいます。ところで、TDFの弱点って何なのでしょう。かのファイナンシャル・グル、スージーオーマン女史はTDFがお好きではないようです。理由の一つに定年間近のアロケーションのあり方を挙げていたと思うのですが、いまいち理解できませんでした。素人に近い私、TDFは便利です。でも反対意見を聞くと、もう少しきちんと調べてみたくなりますね。ところで、このA,B社とは、T社とV社のこと? 

    1. そうですかスージーオーマン氏はTDFがお嫌いと・・・・ひとくちにTDFといっても、千差万別ですので、いいTDFも悪いTDFもあるのでしょうが、問題は401などの場合だと雇用主によってTDFは限定されてしまい自分では自由に選べないことですねえ。。長所・短所はこちらにまとめました。A社はF社、B社はT社です。

      1. 返信ありがとうございます。確かに401(k)は、転職後のはIRAにロールオーバーして有効に運用した方が賢いですよね。でも、結局何を選んでいいのか分からず、TDFに落ち着いています。ああ、もっと詳しくなりたいです。

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