“投資したら必ず減ることあります“を納得しておく(1)

“何もしない投資”、“ほったらかしで増やす”などはインデックスファンドを使ってのパッシブ投資を表している表現です。最近では投資には慎重な日本でさえもよく見かける言葉になりました。何もしないほったらかしでお金が増えるならば、そんなに楽なことはないけれど、でもこれ、案外やってみると難しいと感じる人も多いと思います。私たちは日々、“やる”ことに価値を置く忙しい日々を送っています。また、どこにいても24時間365日絶え間なく新しい情報が次から次へと入ってくる情報化社会に暮らしています。何か起こったらそれに反応して、早急に何かをやらねばならない・・そんな生き方に慣れてしまっています。

そんな中、何もしないで手放しでいられる自信、みなさんおありでしょうか?何かをやれる自信を持つのも大変だけれど、何もしない自信もなかなか難しいものです。いろいろ調べて自分で判断したいアクション型の人はとくに難しいと感じることもあるでしょう。いったん始めたインデックス投資、でも途中で何もしないことが難しくなり“何かをしてしまう”と、最初から投資をしなければよかった残念な結果になることもあります。本当に自分は何もしないでいられるか・・・今回はこのあたりのリアリティチェックをしていきたいと思います。

たとえば最近のこんなニュース

“ノーベル賞受賞の経済学者が、バブルだからこれから市場が暴落する“と言っているなんて聞いたら、誰でも今のうちに売っておいたほうがよさそうだ・・と思ってしまいます。しかしながら、長期投資においてはこのときこそが、”何もしない“ときです。

この点については、過去にも以下のような記事でご紹介しておりますが、今回はまた角度を少し変え、また最近の市場情報を使って同じことをお伝えいたします。

誰でもできる成功する株投資(1)

誰でもできる成功する株投資(2)

インデックス投資を理解する(5):リスクを怖がる必要なしの術!

基本のきほん

市場の暴落は、たまにひくひどい風邪のようなものです。ないに越したことはないけれど、あっても驚くほどのことでもありません。生きていたら、一度や二度大風邪で寝込むことはあるけど、だからといって生命の危機があるわけではない・・。しばらく静かに休んで、直って元気になれば、ご飯も食べられるようになるし、楽しいこともできるように回復します。なのでまずは、市場の暴落は必ず来ること、来ても驚かないこと・・これが基本のきほんになります。

例えば、1980年から現在にいたる40年の間に、

  • 市場がバブル状態になり、正常なレベルに戻るために10%以上値下がりしたことは12回
  • 20%以上値下げして、それが2か月以上戻らなかったことは8回
  • リセッション(景気後退)が2四半期以上続いたことは5回

あります。

これはかなりの頻度ですね。単純計算をするべきものではありませんが、敢えて単純計算させてもらうと、10年の期間で考えた場合、10%以上の値下がりが3回、20%以上下がったまま2か月以上続くのが2回、大きな景気後退が1回です。10年の間に6回も、比較的大規模な下落に遭遇することになります。

極端な話、投資しはじめたらすぐその後大きく値を下げた・・なんてことも珍しくありません。でも、ここで驚かない、“そんなの想定内”とクールな顔をしているのが“何もしない”のプロです。

最善策は何もしないで待つこと

何もしないでただ待つ・・これがベストです。

下は、2007年10月9日に$1,000を投資(あるいは貯蓄)。そのまま何もしないで2019年6月28日までの期間、持ち続けた場合の投資/貯蓄残高の推移です。以下の3つの形で投資なり預金なりをすると仮定します。

  • 60% Stock/40% Bond : 60% S&P 500 Index(US大型株インデックス): 40% Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond Index(US債券インデックス)の投資ポートフォリオ
  • 100% Bond : 100% Bloomberg Barclays U.S. Aggregate Bond Index(US債券インデックス)のみの投資ポートフォリオ
  • Cash : Bloomberg Barclays U.S. 3-Month Treasury Bellwether Index(US短期国債=銀行預金に近い)

この期間は、世界的な影響を与えた2008年の金融恐慌を含んでいます。あれほどの恐慌でしたから、60%の比率で株式を含む1)の投資ポートフォリオは大きく値を下げ、その後もかなり停滞が続きました。2010年くらいまでは、2)の債券投資や3)の現金のような形で持っていた方が残高は多かったわけですが、その後経済の状況がよくなるにつれ、株式が値を取り戻しさらに成長し、その後は1)の投資ポートフォリオはぐんぐんと成長しています。2)の債券ファンドはかなりゆっくりと成長、3)の預金に近い現金は実質値下がりしています。

長期投資においては、何もしないで待つ忍耐が報われるというわけです。

最初に納得あとは貫徹

何もしないでいられるためには、投資の最初に、これから何十年も何もしないでいられる頑強な投資戦略を造り(もちろん時に適った微調整は必要)、それに心から納得することです。市場の暴落や乱降下は私たち個人にはコントロールできないことですが、一方で最初に自分の投資に対する期待や目標を洗い出し、それに沿った投資ファンドを選び、長期投資について納得することは、自分のコントロール下です。自分の納得をしっかりしておくと、コントロールできないことがあっても、ただ待っていようと思い煩いなく乗り越えられるようになります。

多くの人にとっては、一つのファンドで高リスク分散されたインデックスファンドの中から、手数料のできるだけ低いものを選び、投資期間や目標実現に必要な利回り、許容リスクなどを考慮しながら最適な比率を組み合わせること、これが最初の納得に必要な要素です。これらについては以下の記事で取り扱っています。

インデックス投資を理解する(1):それってなに?

インデックス投資を理解する(2):分散投資で平均狙い!

インデックス投資を理解する(3):儲かりそうなものを見つけようとしない!

インデックス投資を理解する(4):どんな方法より強力で最もシンプルに利回りを上げる方法

インデックス投資を理解する(5):リスクを怖がる必要なしの術!

インデックス投資を理解する(6):時間を味方につける

Disclaimer:

もちろん、ここで書いたような傾向が今後も必ず実現するということは確約するものではありません。日々、世界のあちこちで予想だにしないことが起こっています。ただ、最初にセットアップした投資ポートフォリオが、世界中の株式を幅広く含んだうえ、大型株から小型株まで市場のすべてのセグメントを含んだ、全世界レベルでのリスク分散がされているのであれば、予想不可能なことが世界のどこかで起こっても、世界の他の部分ではある程度それを埋め合わせできて、全体の投資ポートフォリオとしては下がってもまた値戻しし、長期的に右肩上がりで成長できる可能性が大たということです。もしかしたら第三次世界大戦が起きたりしたら、これとは全く違う結果を生むことになる可能性はありますが、その場合は、株式でなく、現金で持っていても、他の形態で持っていても、それなりに打撃を受けることになるでしょう。過去のトレンドを見る限り、なにもしない長期投資が得策であるという可能性は非常に非常に大きいと言えるのではないかと思います。

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One comment

  1. 今回も大変に勉強になりました。
    ほったらかしにしておくことがとても大変で難しいとつくづく実感しました。401Kでインデックスで決めたと行動してもSMALL,LARGEなど配分は?思考覚悟で変えてました。Vanguard John Bogleの本(The little book of common send investing)ではStay the Course!と何度も書かれてました。本当に納得した頑強な投資戦略をつくりStay the course!が必要だと改めて感じました。メンタル的にも強くならないといけませんね。
    ありがとうございました。

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