お子さんへの簡単贈与 - Roth IRA

今回はお子さんのために親が主導で積み立てるRoth IRAについて考えてみます。たとえばこんなケース;子どもが夏のバイトでお金を稼ぐようになった・・全部使うのではなくて、今から少しずつ貯めることのたいせつさを教えたい。子どもが就職して給料をもらうようになった・・今から少しでも投資の経験をさせて、複利で増える力を経験させたい。ある程度子どもにお金を残したいので、今から少しずつお金を譲っていきたい・・などなど。Roth IRAの利用価値があるかもしれません。

積み立てる

まず積み立てをすることができるためには、お子さんにEarned Income(労働収入)があることが必要です。積み立て限度は、年に$6,000(2022年度)ですが、労働収入がそれより低い場合はその収入額になります。労働収入は、1099-NEC(part time job)やW2(salary)などのタックスフォームが出るものなら額がはっきりわかりますが、親のビジネスの手伝い、ベビーシッター、芝刈り、レモネードスタンドで稼ぐ・・などもきちんと記録管理をしていれば対象にすることも可能です(記録管理については会計士さんにご確認ください)。

積み立ては子どもがしてもいいし、子ども以外のだれかがすることもできます。お子さんが未成年(各州の定めるMajority年齢に達していない)の場合は、Custodial Roth IRAというのを開くことができます。Custodial Roth IRAの場合、お子さんはBeneficiary、親(あるいはそれ以外の人)がCustodianになり、お子さんがMajorityに達するまでは、口座の管理(積立、引き出し、投資内容など含む)をCustodianが行います。お子さんがMajorityに達した後は、お子さんに名義が移り全権を引き継ぎます。この点は確認が必要で、親がお子さんの長期的なベネフィットのためにRoth IRAにせっせと積み立てても、お子さんがMajorityに達した後に全額引き出してギャンブルに使いたいと言っても親はそれを法的に止める権限がありません。積み立てをしてあげるだけでなく、長期運用やお金の使い方については別途教育をしてあげる必要があります。

積立額は所得税控除にはなりませんが、積み立てたものは利回り非課税で運用されます。59歳半になればそれ以降ペナルティフリー、所得税フリーで引き出すことができます。もしも59歳半前にお金が必要になったときでも、積み立て元金部分はいつでもペナルティフリー、所得税フリーで引き出すことができます。

親が積み立てる額については、親から子へのギフト(譲渡)になります。ただ、ギフトについては、一人の親から一人の子に対し年間$16,000(2022年度)の控除がありIRA積み立て限度額を超えていますので、IRA以外に譲渡がないならば積み立てについては何の心配もすることはありません。タックスリターンでの申告も必要なければ、譲渡税が発生することもありません。

お子さんが自分の稼いだお金から少し積み立ててれば、それに合わせて2倍、3倍と親がマッチアップするというのもよいアイデアと思います。貯蓄・投資をすることの意味を理解したり、モチベーションを持つきっかけになるでしょう。ただし、この場合もトータルの積立額が、お子さんの収入以下である必要があるので気をつけます。

すでに社会人になっているお子さんならば、自分で401(k)をはじめるかもしれません。401(k)とIRAは併用が可能です(ただし、年収制限あり。2022年の場合は、$129,000までの収入でRoth IRA限度額まで積み立て可能、それ以降は積立額が減額され、年収$144,000で積み立て不可になります。シングルであることが前提の数字です)。まだ若いうちは、それほど収入も多くないでしょうから、お子さんは401(k)に自分で積み立て、親はRoth IRAに積み立て・・ということは十分可能でしょう。ご自分のリタイヤメント準備はある程度十分だと判断されるご両親ならば、年々少しずつお子さんのRoth IRAに積み立てることで長期間での相続対策にもなります。子どもに早いうちから譲ることでより長期間のリスクをとった投資が可能になります。

投資する

お子さんのRoth IRAでは、もちろん何に投資しても自由ですが、100%株式投資が威力を発します。US株式市場インデックスや外国株式市場インデックスを組み合わせ、世界分散した株式投資で運用するのがよいかと思います。ドルコスト平均法で月々少しずつ積み立てるなら、ETFよりミューチュアルファンドのほうが向いていますが、ミューチュアルファンドだと金融会社によっては最低投資額が設定されていることもあり、少額から使うことができない場合もあります。たとえばですが、US株式市場に投資するFidelity ZERO Total Market Index Fund(FZROX)と外国株式市場に投資するFidelity ZERO International Index (FZILX)などなら、手数料ゼロのミューチュアルファンドで全世界分散が簡単にでき、少額から始められます。

株式100%投資はアップダウンが激しく、残高が急に伸びたり急に下がったりすることもあります。それもお子さんと共有しながら、投資のリスクについて話すのもよいでしょう。長期投資なら何もしないでほおっておけばそのうち元に戻るということも体験できるかもしれません。5年、10年とするうちに力強く伸びる複利の力も経験できることでしょう。お金を出してやるだけではなく、一生残るお金の勉強も残してやることが必要と思います。

6 comments

  1. こんにちは。私も子供にお金について学んで欲しいと思い、以前Custodial accountについて調べました。その時、大学でscholarshipを狙っている場合はCustodial accountが子供の財産の一部と考慮されscholarshipが下りない場合があると聞きましたが、それは本当でしょうか?

    あと上記の投資に関して、ETFとミューチュアルファンドの違いを詳しく教えて下さい。
    よろしくお願いします。

    1. Custodial Accountはお子さんの資産とカウントされるのでご両親の資産よりFAFSAに与える影響が大きく、その分ニードベースのスカラシップを減らす方向に働きます。FAFSAというキーワードでサイト内検索いただけると関連記事が出てきます。あmた、ETFとミューチュアルファンドについてでも、ETFというキーワードでサイト内検索いただくと関連記事があります。

  2. こんにちは。子供が20歳になるので、お祝いにROTH IRAの口座を作らせて入金しようと思いましたが、バイト先でSIMPLE IRAに入っているようです。月1のバイトのため、金額は年数百ドルです。この場合は、どうすればよいでしょうか?
    口座を作るのは可能ですか?教えてください。

      1. お返事ありがとうございます。
        その後よく調べた結果SIMPLE IRAではなく、403(a) であることがわかりました。その場合は、どうなるでしょうか? 度々申し訳ありません。

        1. 403(b)もSimple IRAと同じで「職場のリタイヤメントプラン」というくくりになります。
          前の回答内容は、変更ありません。

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