バブルの法則:クリプトカレンシーの場合

私はビットコインもそのほかの仮想通貨も買ったことがないので全くの素人ですが、でも常に話題になっていますから関連記事を読んだりしています。値段の上がり下がりの激しさ、最近ではコインの種類の多さにもいつもすごいな~と思っています。昨今では仮想通貨という言い方より、クリプトカレンシーと呼ばれることが多いですね。種類が増え、取引が大きくなり、ものすごい規模の市場に成長しているのは驚くばかりです。

$1トリリオンの市場

ちょっとGoogle検索してみたら、2021年9月時点で6,500種類のクリプトカレンシーが存在するそうで、市場規模の大きいほうから並べると以下のようになるようです。

最も市場が大きいのが、元祖ビットコイン。この時点では1コインが$40,750です。Google検索してみたところ、最初にビットコインが登場したのは2010年7月、1コインは$0.0008から$0.08 あたりで取引されていたそうです。ビットコインで大金持ちになった人が出るのも納得の数字です。

その6,500種類あるクリプトカレンシー全部の市場価値をトータルすると、$1トリリオンにもなるそうで、まあすごい数字だとびっくりする反面、その価値はいったいどこから生まれてきたのか、本当はバブルではないか、ずっと存続できる価値なのか・・といろんな質問が出てくるものです。

バブルとは

バブルというのは、「いかにそれが価値があるものかのストーリー」をつくりだすカタリストから始まるのだそうです。カタリスト、つまりアイデアを語りマーケティングできるカリスマ的存在が、そのモノの価値を語り、信じさせ、浸透させていき、賛同者を増やしていくのだそうです。

そのモノが売り買いされる価格が、そのモノの実質的価値を大きく上回るようになったときをバブルというのだそうです。バブルは、人々の非現実的な予想や期待、自分だけ取り残されたくない・参加しなければという焦りなどによってどんどん大きくなります。そのモノの実質的価値が測りやすい場合には、バブルがどんどん大きくなることは少ないですが、反対に実質的価値が測りにくく、それぞれの人が置く価値が主観的であり不透明なときにどんどん助長される傾向があるのだそうです。

このバブルが発生する様子を、UCLAの名誉教授Bradford Cornellが端的に説明したものがあります。こんなかんじです。

ある国に、A、B、Cという3人がいました。みんなひとり$10ずつを持っていました。Aが、デジタルコインというものを考え付きました。Aはデジタルコインがどんなによいものか説明し人々に納得させるストーリーをつくりだしました。AはさっそくBにそのストーリーを語りました。それに感動したBは、ぜひデジタルコインが欲しくなり、Aから1コインを$1で買いました。

この時点でAは$11を持ち、Bは$9と「$1の価値があるはずの1コイン」を持ち、そしてCは相変わらず$10を持っています。3人が持つ価値の合計は$31になりました。

ここで話を聞きつけたCが、自分もそのデジタルコインをぜひ欲しいと思い、Bにお願いして1コインを$2で売ってもらいます。この時点では、Aはあいかわらず$11を持っており、新しく$2をもらったBは合計$11持っており、そしてCは$8と「$2の価値があるはずの1コイン」を持っています。3人の持つ価値の合計は$32になりました。

最初に$30だった合計価値が、$32になったわけです。この増えた$2が実質的価値なのかどうかが問題です。

もしも、AもBもその「価値あるデジタルコイン」のストーリーを信じなくなったら、Cは$2の価値があると思って買ったが今やだれも買ってくれない無価値の1コインをもったまま泣き寝入りです。そうなると最終的に落ち着く先は、Aは$11、Bは$11、Cは$8を持つ状態で、3人の持つ価値の合計は最初の$30に戻ります。言い出しっぺのAと、途中買ってすぐ売ったBはより裕福になり、最後にコインを持っていたCが$2分を失ったことになります。

この話のポイントは、モノのバブルはバブルである限り永遠に続くものではないこと。ソーシャルメディアのMeme(人から人へと、通常は模倣として拡がっていく行動・コンセプト・メディア)の風向きが変わり、そのモノの価値を皆が信じなくなれば、バブルは消滅するのです。最終的には、最後にそのモノを持っていた人が最も大きな打撃を受け、最初に始めた人や途中で買ったけどバブルがはじけるまえに転売した人は、利益を得るか、すくなくとも大打撃は免れるということです。Memeが順風なときは、みんながリッチになった気分だったでしょうが、最後にリッチになるのはAとBだけであり、Cは以前より貧しくなってしまいました。

ということで、長期パッシブ・インデックス投資を推奨している本ブログでは、クリプトカレンシーは投資ではなく投機であるという理由から、ポートフォリオの一部として持つことはお勧めしていません。

持っていなかったら、クリプトだのMemeだの私たちの投資生活にはあんまり関係ないだろう・・と思いきや、実はそんなこともないという記事を読んだので、次回はそれをシェアします。

2 comments

  1. いつも読ませて頂いる愛読者です。

    クリプトカレンシーやることはないなとは思っていても、よく耳にするのでどういうしくみになっているか以前から興味がありました。
    例を出しながらわかりやすいご説明で理解出来ました。ありがとうございました。

    私はやっぱりindexのmutual fund でbuy &holdで頑張っていきたいと思います。

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