Federal Reserveは3月に政策金利の利上げを行いましたが、今後5月以降複数回にわたって利上げを継続するだろうとの予想です。40年ぶりの高いインフレーション率と好調な労働市場を背景に、アグレッシブな利上げが予想されています。
政策金利とは、Federal Reserveが金融機関に貸し付ける際の金利のことです。この金利は、大手金融機関同士が貸付を行う再の金利に影響を及ぼし、それが今度はプライム金利(銀行が、最も信用の高い顧客に貸し付ける際の金利)に影響を及ぼします。この意味で、Federal Reserveの政策金利はUS経済全体に影響を及ぼす重要な金利ベンチマークです。では、政策金利の上昇は、わたしたち消費者の目線で考えるとどんな影響があるのでしょうか?
借りる金利が高くなる
さまざまな変動金利ローンの金利が高くなります。30年固定金利モーゲージや固定金利の5年間固定金利の自動車ローンなどは、発行されたときに30年なり5年なりの間、金利が固定されますから影響がびません。一方で変動金利ローンは発行されたあとも市場金利によってローン金利が書き換えられるので、市場金利が上がれば払う金利も高くなります。また新しく発行されるローンなら、固定金利だろうが変動金利だろうが金利は高くなります。エクイティローンやクレジットカードなどの金利も上がります。
上は、カリフォルニアの4/13現在の平均モーゲージ金利ですが、2021年後半には2.50%程度まで下がった金利ですが、現在は4.695%以上と急激な上昇がわかります。
借りる額によりますが金利の上昇で月々の支払いが数百ドル単位で上がりますから、それが払えないなら家の購入を見送ることになります。リファイナンスやエクイティローンも同様で、リモデルや増築などのプロジェクトも見送られます。パンデミックの間、高騰した家の値段も、ここにきて頭打ちかあるいは下落する可能性もあります。市場に出回る現金の量が抑制され、インフレ状況が緩和されるとともに経済活動も抑制されます。現金を潤沢に持っている人にとっては、よりいいディールを得ることができる可能性ができるかもしれません。
預金金利が上がる
借りる金利も上がりますが、同時に預ける金利も上がります(上がるはずです)。預金口座の金利は変動金利で、市場金利があがればそれに応じて上がることになります。チェキング口座、セービング口座、マネーマーケット口座、CDなどの金利が対象です。ただ、大手銀行の場合は、市場金利が上がったからといってすぐに預金者に還元するかというと、そうでもないケースも多いようです。セオリー的には金利があがるはずだが、すぐに市場に反映されるとは限らないということでしょうか。預金金利の競争はオーソドックスな大手銀行間でよりも、オンラインバンク間でのほうが激しく、金利が上がるとすればまずオンラインバンク口座から上がっていくようです。
上はオンラインバンクのHigh Yield Savings口座の金利ですが、パンデミックの最中は0.50%程度で推移していたのが、4/13現在で最高0.80%まで上がりました。今後も政策金利上昇が重なれば、パンデミック以前のように2.0%というような数字を見ることもあるかもしれません。
債券は・・
新しく発行される債券の金利が上がります。すでに発行されている債券は、固定金利が設定されていますが、その固定金利が新しい市場金利に比べて低いので、その金利の差を補うために債券の取引価格は下がります。すでに債券や債券ファンドを持っている場合は、価格低下を経験することになります。金利の上昇は直接的に債券価格に負の影響を与え、とくに期間の長い債券でより大きな下落を見ます。
株式は・・
金利上昇の株価への影響は、債券への影響と比べるとより間接的です。市場金利上昇により、企業が資金調達をする金利があがり、企業活動にネガティブな影響を与えることが予想されます。また、消費者活動に頼る企業、たとえば消費者がクレジットカードやローンなどを使って購入するような商品は、金利上昇で消費が抑えられるので、企業成績にネガティブな影響が出ます。つまり、企業にとってみればビジネスをするための資金調達コストが上がる一方で、売り上げが下がるというダブルパンチを受けかねず、それが株価低下につながる可能性があります。ここまで好調な労働市場にも影響を与え、リセッションを懸念する声も出ています。
また、預金金利が上がれば、株式投資の魅力が比較的に下がり、安全的に預金で増やそうとする人々も増えます。さらには、政策金利上昇が市場心理に影響を与え、売りが増加してしまうようなケースもありえます。金利上昇は株式市場には負の影響を与えるでしょう。
ドルが上がる
アメリカ市場の金利が全体的に上がるにつれ、US国債やその他ドルでの安全運用資産がより魅力的になるため、資金が海外からUSドルへと流れ、結果ドル価が上がります。
4/13現在で、1ドル=125.40。一時は126円までになったそうで、20年ぶりの円安ドル高だそうです。
まあ、そういうことで、経済というのはつながっていて、2021年株価が上がって喜んだかと思えば、今度はすごいインフレで(ロサンゼルスではガソリン1ガロン$6.70まで上がりました!)アップアップし、そうかと思えば金利があがって、High Yield Savingsの率が高くなるのはいいが、株価も下がり債券も下がるとなれば投資ポートフォリオ的にはちょっと悲しい・・・全部都合がいいようにはいきませんね。まあ、これが市場のサイクルということなのでしょう。労働市場もずっと好調でしたら、リセッションになるとすればまた少し気を引き締めねばなりません。
今後、どう転ぶかは誰にもわかりません。株が下がるの債券が下がるの‥といいますが、全世界分散のインデックス長期投資をしているのならこれも長期的に想定内ですから、あれこれあがいて墓穴を掘るより、そのまま何もしないでいるほうがよいと思います。
ドル高は、日本帰国にはうれしいですね。ちょっとふんぱつして親孝行してみるのもいいかもしれません。海外への募金などもよいと思います。