ハウジング・マーケット関連のちょっと明るいニュースを目にすることが多くなりました。ここ何年も底値をず~っと待っていた人が、超スーパー低金利という武器を片手に、市場に出てくる売り家を買う気マンマンで見つめている・・・そんな感じになりました。かといって売り家はそんなに数がなく、結局、人気マーケットではマルチプル・オファーが入り、当初のオファー価格より高い値がついて売れるなんてことも珍しくなくなりました。アメリカ不動産市場は、このまま回復が続き、また一時のような元気を取り戻すのでしょうか??
でも、アメリカ経済はどうでしょうね?元気でしょうか?そういう感じはあんまりしませんね。経済が元気でないのに、不動産市場だけ元気ということってあるんでしょうか?なんかどうも釈然としない感じがしませんか?二極化したニュースが混在しているような気もします。今日はちょっとその点を考えてみようと思いまして・・・
まずは、復活をにおわすニュースから・・・
- 住宅価格は、今年第一四半期に比べると、第二四半期(4月・5月・6月)で6.9%の伸びであった。
- 7月の新築販売実績は、前年に比べ25%増加。中古住宅の販売実績は、前年に比べ10%増加。
- 個人住宅の着工許可の申請は、前年に比べ30%増加。
- 7月のフォークロジャー件数(デフォルトからREOまでの総合アクティビティ件数)は、前月比3%、前年比10%低下。
- Non-distressed sales(フォークロージャーやショートセールなどの問題のない、「通常の」販売件数)は2008年8月以来、最高を記録
- フォークロージャー件数の低下と売りに出る家が少ないこととがあいまって、値段は上昇傾向。
- 以前より危惧されていたフォークロージャ物件が市場に一度に押し寄せるという危険は、低下している。
- モーゲージ・モディフィケーションなどにより、モーゲージの利率を下げる政策のおかげで、返済不能に陥る件数が減っていくのではないかと予想される。
でも、経済は復活から程遠そうというニュース・・・
- 新たにフォクロージャーに入る物件(初めて返済が滞ったむね申請があった物件)は前年7月に比べ6%上昇。これで、5月・6月・7月と3ヶ月連続で、前年より高い数字を示したことになる。
- 7月には163,000件の雇用があらたに加えられたものの、失業率は8.3%に微増した。
- Fed Reserveバーナンキ氏は、アメリカ労働市場は以前として”grave concern(深い憂慮を覚えるもの)”であると言及。
- アメリカの世帯年収のメジアン(中央値)は、2009年6月の$53,508に比べて、本年6月は$50,964となり4.8%の減少。
- アメリカの製造業の業績は、6月・7月・8月と3ヶ月連続で減少。
- 現在のリバンドは安定したものでなく、過去1年価格が上昇した10都市のうち8都市では、来る1年で値段が下がるであろう(Finserv予測)。
- 財政の崖(フィスカル・クリフ:、1)今年年末にブッシュ時代の税金優遇策が期限切れ+2)今年年末にペイロール税の優遇が期限切れ+3)来年度$100billion、今後10年で$1trillionの歳出削減へコミット済みという、トリプル・パンチで、急激な財政の引き締めが起こってしまう可能性があること)への警戒が高まっている。このままだと、米国経済は3.5%から5%縮小することが予想され、そうなると深刻なリセッション状態が舞い戻る可能性大。
- Fed Reserveバーナンキ氏いわく、「予算関連者が何らかのアクションを取らないとなると、フィスカル・クリフのアメリカ経済への影響度は、Federal Reserveがいかなる力も持ち得ないようなほど深刻なものであろう。」
う~ん、どうでしょうねえ。わたしは経済学者じゃないし、政治をよく知っているわけでもないので、たいしたことは言えませんけども、でも「安定した回復」はなんだかまだ遠いことのような気が個人的にはしています。
不動産市場は、やはりその家々に住む市民の家計の健全性に裏打ちされていなければならないような気がします。失業率も改善されていないし、世帯収入は低下。CPI(消費者物価指数)は低レベルの1.3%の伸び。つまり物価は年に1.3%の割合で上昇しているということですが、これに対し、不動産だけ冒頭の6.9%の伸び。5倍以上です。これはいったいどういうこと?
思うに、現在の不動産市場の好状況は、以下の二つの要素によるところが大きい気がしてなりません。
- ネガティブ・エクイティ(家の借入額のほうが家の市場価格より大きい)のため、売りたくても売れない人がいる + フォークロージャが減ってきている(ただし新たにフォークロージャに入る人は前述のように増えていますが)ことによって、売り家物件が不足している
- ありえないほどの超スーパー低金利と、依然としてして継続されている低ダウンペイメント・モーゲージにより、たとえ収入が伸びていなくても、家を購入することが可能になっている
つまり、「ホンモノの回復」ではなく、「人工的な回復もどき」のような気がするのですが。記事タイトルに戻って、「アメリカ不動産市場・回復?-底値をついたの?」への答えるとすれば・・・「底値をついたの?」といわれれば、「ついたかもしれません」ということでしょう。人工的だろうがなんだろうが、不動産価格を下げないように金融・モーゲージ施策をとり続ければ(それが経済的に継続可能なのかはわたしは知る由もなく・・)、価格を維持したり、さらには上げていくことも可能でしょう。
では、「回復したか?」といわれれば、「回復ではないでしょう」とこたえるでしょうね。風邪で大熱があるのに、タイラノールをガンガン飲んで熱が下がっているのを回復とは呼ばないように・・・あとは、アメリカのメディシン・キャビネットにストックしてあるタイラノールがどのくらい続くかという感じ?? どうでしょうねぇ。。
同感です。今は完全に低金利のせいですね。
私の予感は、日本のバブル後に近い展開になる。
みんなちょっとずつ貧乏になっていくんだけれど、金利は低いし、日用品の物価は下がるし(質悪化により)で、普通に暮らせてしまって、実感湧かず。
低金利とゆるい融資、下がらない家賃や新築価格、やっぱ買った方がいいかな~と微妙なところで価格が下げ止まる。
仕事を求め、都会に人は集まり続け、住宅需要は相変わらず高い。
一方、仕事のない地方はどんどん安くなる。千葉や埼玉の奥地が激安なように。
本当ですね~。。一生懸命働いて頑張っている人たちが希望を持てる世の中になって欲しいなあ。アメリカン・ドリームという言葉が死語にならないうちに・・・なんとかリカバーしてもらいたい、健全な経済。。。
アメリカ経済のリカバリーは相当時間がかかると思う。こと、住宅事情については、今の状態は「人工的な回復」、私も同感です。住宅価格が下がれば、低い金利の今、多くの人たちが「この値段なら購入できる!」と思い行動を起こしているのが現実だと思う。しかし、その市場をいいことに投資家が売値より安くキャッシュ買いをしている状態のため(買いあさっている)、普通の人たちは売値よりはるかに高い金額で購入するオファーをださないとチャンスはまずないでしょう。売り手からすれば現金をすぐにくれる買い手に決定することは目に見えてます。つまり、「この値段なら買える」といった普通の人々へのチャンスは、かなり低いでしょう。住宅購入者の多くは、投資家ではないでしょうか・・・。
Turtleさん、本当にそのとおりですね。住宅は人が住むためにあるもの。しかも、多くの人にとって人生一番大きな買い物です。それをインベストメント先行にしてしまってはいけませんよね。。何かが間違っているような。。。ちょっと前は、ダウンペイメントがゼロでも誰でも買えた時代、いまやキャッシュがないとマルチプル・オファーで負ける時代。。。どうにかならないもんでしょうか、この振り子の両極端だけの世界。。。
投資家が転売している物件なんて、この辺じゃあんまり見ませんけど、場所によってはそうかもしれませんね。
投資家さんたちのブログを見ていると、今は逆に住むために買いたい人が増えてきて、REOなどはそっちに優先して売られるし、転売して儲けられる価格で買えなくなったって聞きます。
今日のバーナンキニュース観てても、なんかこのユルユル状態は変わる気がしません。ますます日本と同じ展開の予感がしてきました。
うちのあたりではまたフリップが復活しました。1ヶ月、2ヶ月で転売されるものもチラホラ。それから、このあたりはお金持ちの中国人とかが多いみたいで、住むために買う人のなかにも、キャシュでボン!というのもチラホラ。その反面、ペンディング・ステイタスになってから、45日とか60日とかでまたマーケットに戻ってくるのも多く、そういうのはローンが降りなかったんだろうなあ。。と想像しているのですが。。。
うちのあたりでは、た~くさんフリップ物件あります。ペンディング・ステイタスになってから、その後マーケットに戻ってくる物件もかなりみますね。購入者のなかには、物件を見ずに値段とネット上の写真からオファーを出す人もいます。仮に、オファーが受け入れらても、一定期間中はオファーを取り下げることができるので、そういった物件も含め、ペンディング・ステイタスになっても、また物件がマーケットに戻ってきているとも考えられます。
へえ~、ふつうに家を買いたいと思っているふつうの人(我が家のように・・・)にとっては、やりにくい世の中ですね~。
今年初めからずっと気になっていたこのトピック。バケーションやら犬の緊急手術やらでじっくり取り組むことができなかったのですが、一通り落ち着き、腰の重い主人も説得してやっとハウスハンティングを始めました。
今の段階では、今住んでいる家をレンタルにして、もう一軒買う予定ですが、状況によっては売ることも考えています。ローンのPre-qualificationを取る際のブローカーの話によると、2000年初頭と違って、ローンのPre-qualificationを取るだけでも以前よりも多くの書類が必要になったし、オファーが出てから実際にクローズされるまでに3ヶ月位かかるのは普通ですから時間がかかることは覚悟してくださいねと念押しされました。最初の物件は15年ローンでしたが、今度はこちらのサイトで紹介されていたハイブリッド策にしようと思っていたので、Prepayment penalty(早期払い込みペナルティ)のないモーゲージにして欲しいと確認したところ、「そのようなモーゲージは今は存在しないから心配しないで。」とも言われ、なるほど、バブルの頃の失敗を繰り返さないためにいろいろ慎重になったのかしらねえと思っていました。さて、いざ、準備も整ったところ、早速、「これだっ。」て思えるフリップ物件(フォークロージャの価格に$159K上乗せ)に出くわしました。まだ市場に出てから2日しか経っていない物件だったのでどうしようかなあと考えていたところで、ペンディングになってしまい、バックアップオファーを出そうとエージェントに聞いてもらったところ、既に15件のマルチプル・オファーがあり、バックアップオファーも決まっているのでこれ以上バックアップオファーはいらないと。
うわー、先が思いやられそう。でも、急ぐ必要もないので、Bid Warに乗せられてOverpayしないように気をつけて、じっくり気長に探そうと思っています。
え~、わんちゃんの緊急手術??それは大変でしたね。しかし、15件のマルチプルオファーとは!そう、Bid Warに乗せられないようにしたいですよね。eBayなんか見ているとBid Warの威力がわかります。ほとんど同じような商品であっても、Bidがcloseする時間帯を週末の夜に設定して、うまくBid War効果を作り出せると、ずっと高い値段で終わっていたりしますもん。人間、「今しかない!」、「他の人も欲しいと思っている」と思うと、「どうしても手に入れなきゃ」となりますからね。ま、思い切りも大事だから、なんともいえないけど。。じっくり気長がいいですね! Good Luck!