家計のバランスシートをつくる 資産と負債を把握して純資産を知る

こんな疑問はありませんか?

  • うちはいったいお金があるのかないのかよくわからない
  • 今の暮らし方を続けていけばいいのかな
  • 節約してきたつもりだけど効果はあったのかしら

これらの質問の答えを見つかられるのが、バランスシートです。バランスシートは、いわば家計の成績表のようなものです。今までやってきたことがその成績の中に表わされています。

家計を全体的に診断するためには、このバランスシートと、もう一つ家計簿(英語ではマンスリーキャッシュフローともいう)という情報のふたつが必要です。家計簿についてはまた別に作り方を考えていきます。ひとつ心に留めておいていただきたいのは、バランスシートと家計簿・マンスリーキャッシュフローが二つそろってはじめて家計の診断や見直しが可能になるということです。

バランスシート  =今の家計の状態の把握

家計簿 (マンスリーキャッシュフロー) =日ごろのお金の行動パターンの把握

それでは、これからバランスシートを一緒に作ってみましょう。

家庭のバランスシートを作ってみる 資産管理表であり負債管理表

バランスシートは、私たちの家計が今どんな状態にあるのかを把握するためのツールです。なぜバランスシートという名称かというと、このシートは左側と右側の2つに分かれていて、この2つがバランスする、つまり同額になるように作られているからです。 2つの部分には何が入るかといいますと、左側には持っているもの、つまり資産がリストアップされます。そして、右側には借りているもの、つまり負債がリストアップされます。

自分の持っている資産と負債のすべがリストアップされるので、バランスシートは資産管理表であり負債管理表です。

まずは資産管理表からつくるー左側

持っている資産をリストアップしていきます。バランスシートの左側に記入していきます。まずは銀行口座とか投資口座などの明細表、ステイトメントと呼ばれるものをお手元に集めてください。最新のものが必要です。紙ベースのものでもいいですし、あるいはオンラインステイトメントならば画面上の確認で結構です。

作成する際、あとで見やすいようにリストアップの順番にルールがあります。一番現金に近いものが上のほうに記入され、反対に現金に遠いものが下のほうに記入されます。現金に一番近いのはまさに現金で、現金に一番遠いものはたとえば骨董品など(価値はあるがなかなか売るのが困難なもの)です。項目ごとに見ていきましょう。

Smart&Responsibleで使っているバランスシートのテンプレートを下に置きますので、よかったらダウンロードして使ってみてください。項目名などは自由に変更いただけます。

なお、バランスシートに記入していくとき、あまりこわがならいでください。たとえ記入法が少しぐらい間違っていても、あとで簡単に直せます。分類法がおかしくても、簡単に修正がかけられます。一番大切なのは、

  • 持っている口座は忘れないで全部把握すること
  • 残高ができる限り最近のもので、それをまちがえないで入力すること

です。それでは始めます。

1.銀行口座

銀行のチェキング口座、セービング口座、マネーマーケット口座、CD(Certificate of Deposit)などの口座の種別と残高をリストしていきます。これらは現金そのもので、必要であれば、すぐに(CDなどは満期がありますが)おろして使うことができるものです。

2. インベストメント口座

こちらはある程度以上の期間持ち続け、投資運用することを目的にしている口座です。勤め先の401(k)口座、403(b)口座、個人で貯めるIRA口座、学資を貯める529口座、その他の投資口座などの口座種別と残高をリストしていきます。

これらの口座に入っているお金は株式や債券や投資ファンドなどの形で投資されていることが多いでしょう。よって、銀行口座に比べると「すぐ出して使える現金」ではないことが多いです。よって、銀行口座とは別にカテゴライズしてリストします。

3. 不動産

持ち家や別荘(セカンドハウス)が入ります。賃貸目的のレンタルプロパティをお持ちの場合は、こちらにリストしてもいいですし、場合によっては「投資」としてインベストメント口座に入れても問題はありません。物件の別と時価総額でリストします。時価総額は、zillow.comなどのツールを使って調べます。

4. その他 

その他に入れることの多いものは、自家用車でしょうか。車の買い替え時期などを考えるためには、自家用車のモデル名や年度などとだいたいの時価総額(予想で大丈夫)を入れておくと便利です。

その他、家財、コレクション、美術品や宝石なども厳密にはバランスシートに含めてもよい項目ですが。ただ、直接家計診断やファイナンシャルプラニングに関係ないのであれば、とくに含めなくても問題はありません。

つぎに負債管理表をつくるー右側

持っている資産のリストアップが終わりましたので、今度は負債のリストアップです。資産と同様、負債の明細表やステイトメントを用意してください。これらはバランスシートの右側に記入していきます。

5. 長期・短期ローン

スチューデントローン、家のモーゲージローン、車のローンを含む、すべてのローンが入ります。ローンの種類ごとに名称と残高をリストします。金利、何年払いか、完済予定年などの情報もあると便利です。

金融機関からのローンではなくて、親や親戚から借りて今後返していく必要があるようなものも入れておきましょう。

6. クレジットカードの繰り越し返済分

クレジットカードの残高のうち、月ごとに全額返済しないで翌月に繰り越すもの(リボ払い)も負債になります。その残高もここに入れます。クレジットカードの種類ごとに名称と残高をリストし、さらにはそれぞれの金利も書いておくと大変参考になります.

さいごに純資産を計算する

左側の資産の総合計から右側の負債の総合計を引いてみます。その額が純資産です。

ポジティブの純資産

純資産がプラスならば、あなたの持っている資産はあなたの負債より多いことを示しています。下の表がそれです。これがあるべきバランスシートの形です。純資産というのは英語ではNet Worthと呼ばれます。

ネガティブの純資産

一方で、資産より負債のほうが大きいようなケースもあります。たとえば、スチューデントローンを組んで大学に行き、卒業したところ・・というような場合です。スチューデントローンを抱えていて、貯蓄はわずか、これから働いてローンを返済していくステージです。こんなケースでは、資産よりローンのほうが多いので純資産がマイナスになります。マイナスの純資産は右側にあるとバランスがとれないので、左側に入ってバランスをとります。英語では、Negative Net Worth(ネガティブ純資産)と呼ばれたりします。

バランスシートはどんどん改善できる!

バランスシートはこんなふうに、今の家計の状態を映し出してくれる成績表です。今までの成果で満足した状態になっているかがわかります。不足しているところがあるかもわかります。今後このままのパターンでいけば、将来どんなふうになっているかの予測もある程度たてられます。

また、バランスシートは変えていくことができるものでもあります。純資産が少なかったり、純資産がネガティブでも大丈夫。なぜなら把握することが改善の第一歩であり、バランスシートはどんどん改善できるからです。

今のバランスシートは、これまでの行動パターンが積み重なってができています。バランスシートを作って家計把握をした今、こんどは新しいゴールをつくって歩き始めることができます。ゴール達成のために、新しい行動、つまり新しいお金の使い方を考えることができます。これから先はこの新しい行動パターンで生活をし始めると、将来は新しいバランスシートに生まれ変わるのです。

新しく歩み始めるためには家計簿もつくろう

バランスシートを改善するには、新しい行動パターンが必要です。この新しい行動パターンをつくるには、まずは今の行動パターンを認識することが必要です。この今の行動パターンを反映するものが家計簿です。バランスシートを作って大切な第一歩を踏み出したら、今度は家計簿をつくってみましょう。

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