Last Updated on 2016年3月31日 by admin
前回はOriginal Medicareと呼ばれるMedicare Part AとPart Bについて調べました。今回は、Original Medicareの代替プランであるPart Cと、処方箋をカバーするPart Dについて見てみます。
Part C(Medicare Advantage Plan)
Part Cと呼ばれるMedicare Advantage Planは、Medicareと提携した保険会社が提供する、Medicare Original(Part AとPart B)の代替プランです。Medicare Advantage Planは最低限Medicare Originalのカバーするアイテムはカバーし、多くの場合それに加えて追加アイテムをカバーします。また、処方箋もカバーするプランもありますが、カバー範囲はプランによって大きな差があります。今日では、Medicare対象者の7人にひとりがMedicare Advantage Planにサインアップしています。
Medicare Advantage Planには、サービス・エリアの指定があり、サービス・エリアはカウンティ、州、その他の地域で、そのエリアに住む人だけがそのエリアのプランに参加でき、そのエリアで医療サービスを受けることになります。ただし、非常時(Emergency CareとUrgent Care)については、全米でサービスが受けられます。
Original Medicareの代替プランというと、Original Medicareに入る代わりにMedicare Advantage Planに入るというイメージがありますが、そうではありません。Medicare Advantageに入るためには、Original Medicareに入っている必要があります。Original MedicareのPart Aにはふつう保険料がありませんが、Part Bには保険料があります。このPart Bの保険料を支払った上で、さらにMedicare Advantageの保険料を払ってはじめて、Medicare Advantage Planに加入することができます。保険会社によって、Medicare Advantageのカバー内容には違いがあり、自己負担や医療サービスの受け方もまちまちです。また、保険料もさまざまです。
加入者はMedicare Part Bの保険料は支払いますが、加入しているMedicare Advantage は第三者である保険会社がMedicareとの提携をもとに提供する健康保険です。Medicareがこれらの保険会社に支払いをし、これらの保険会社が加入者にMedicareのルールに沿った保険サービスを提供します。
Medicare Advantage Planには、HMO、PPO、PFFS、MMSA、SNPプランなどがあります。
Health Maintenance Organization (HMO)
ネットワーク内の医師と病院で医療サービスを受ける。Primary care医師が、医療サービスをコーディネートする。
Point-of-Service (POS)
HMOの変形版で、ネットワーク外の医師や病院でも、高めの費用を負担すれば利用できる。
Preferred Provider Organization (PPO)
安めの費用でネットワーク内から医療サービスを受けるか、高めの費用でネットワーク外からサービスを受けるか選択できる。医療サービスにアクセスするのにPrimary care医師が必要なく、自分の選択で専門医にアクセスできる。
Private Fee-for-Service (PFFS)
プランの値段設定や条件を受け入れる医師や病院であれば、どこからでも医療サービスを受けられる。ただし、医療費の自己負担分が必要となるケースもある。医師ネットワークの設定があるプランと、ないプランがある。
Medicare Medical Savings Account(MMSA)
MedicareのHSA(Health Savings Account)バージョン。High Deductibleプランを選択した場合に、Medicareが一定額をSavings Accountに入れてくれる。患者は、自己負担額などをここから捻出できる。
Special Needs Plan(SNP)
MedicareとMedicaidとの両方に加入している人向け。特別施設などでの医療サービスをコーディネートするためのプラン。
提供されているMedicare Advantage Planの数はかなりの地域差があるようで、選択できるプランが少ない地域は、ニーズにあったプランが見つからない可能性もあるようです。Medicare Advantage Planの多くはHMOで、これまでPPOなどに慣れた人には、使いにくい可能性もあるかもしれません。
Plan D(Medicare Prescription Drug - 処方箋)
処方箋をカバーします。Plan DはMedicareに認定された第三者の保険会社が提供します。Plan Dは、Original Medicareに追加したり、あるいはMedicare Advantage Planの中でも処方箋をカバーしないプラン追加したりして、処方箋に対するカバーを補足します。
Plan Dは、スタンダード・プラン、スタンダード・プランと同価の代替プラン、拡張プランなどの形で提供され、地域によって多種のプランが提供されています。
以下は、スタンダード・プランのカバーのしくみです。カバーは4段階に分かれており、1段階目では$310までのコストは100%自己負担(Deductible)です。2段階目では、$310を超えて$2,850までの費用のうち25%を自己負担し(Coinsurance)、最高で$635までの負担になります。3段階目では、$2,850を超えて$6,455までの費用のうち、47.5%を自己負担し(Coinsurance)、最高で$1,712 までの負担になります。3段階目は、2段階目に比べ自己負担比率が高まるため、Donut HoleとかCoverage Gap(カバーの穴という意味)と呼ばれています。4段階目の$6,455を超えた部分では、多くの場合5%ほどの自己負担となります。
上はスタンダード・プランですが、このままの形でベネフィットを提供しているプランは少数で、$310のDeductibleがなかったり、あるいはDonut Holeが存在しないようにプランが構成されていたり、あるいはカバーされる薬品が異なったり(カバーされる薬品リストをFormularyと呼びます)、保険料もまちまちであったりします。
Update:オバマケアの導入で、上記Donut Holeでの個人負担分が減少することになりました。Donut Holeのフェーズで、PlanDでカバーされるブランド薬を購入する場合には50%ディスカウントが自動的に適用されることになりました。このディスカウント%は2020年までの間、毎年増加し、2020年には個人負担分は25%となり、これはStage TWOの負担率を同じです。つまり、2020年にはこのDonut Holeと呼ばれる穴部分は完全にふさがれ、Stage THREEは消滅することになります。
Medigap(Medicare Supplement Insurance – Medicare補足保険)
Medigapは第三者保険会社によって提供され、Original MedicareでカバーされないDeductible、Copayments、Coinsuranceを補足カバーするために用いられます。プランによっては、米国外の滞在中の医療サービスをカバーするようなものもあります。Medigapは、あくまでOriginal Medicareを補足するためのプランであり、Original Medicareの代替プランであるMedical Advantage Planを補足することはできません。Medigapの加入にあたっては、Original Medicare であるPart AとPart Bに加入していることが条件となります。
Medigapは、英文字AからNで表わされるプランの種類があり、それぞれのプランでは内容が標準化されています。Medigapプランを比較するときは、同じプラン内容同士で比較せねばなりません。また、同じプラン内容であっても保険会社によって保険料に差があることも多いので、比較検討が必要です。Medigapは個人ごとの契約になり、夫婦で加入する場合は、夫と妻とで別個のMedigapプランを購入することになります。
州によってはMedicare SELECTと呼ばれるMedigapポリシーを購入することが可能な場合もあります。Medicare SELECTはフルに特典を受けるためには、特定の医師、病院を利用することが指定されているプランです。
前回と今回で、Original Medicare(Part A と Part B)、Medicare Advantage(Part C)、Medicare Prescription Drug(Part D)、Medigapの内容をざっと見てきました。次回は、Medicareの各パーツの組み合わせ方、申請の仕方などについて見ていきます。