お金と時間といのちのハナシ(2) - 時はいのちなり

今週・来週の2週間で、3回シリーズ「お金と時間といのちのハナシ」をお届けしています。実は、このシリーズは2012年夏に掲載したものです。

今回、「お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計」という本をダイヤモンド社から出版することになりました(3月24日発売予定です)。その本を書いていて「時間」というものについて考える機会があり、このシリーズを読み直していて再掲載を思いつきました。

この本は日本の読者の方向けですので、401(k)やIRAの代わりに、iDecoとかNISA(日本版の401(k)やIRAです)とかが登場します。ただ、お金が貯まる家計の設計のしかたという根幹は日米関係ありませんので、アメリカにいらっしゃる方も十分参考にしていただけると思います。見てみてくださいね!

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全3話でお届けしています「お金と時間といのちのハナシ」。今回は第2話。第1話はこちら。時は金なりというけれど、でも時はnot exactly金にあらず・・金はつくれるし、貯められるし、人にあげることができるが、時はそうはいかず。時は自分のからだと切り離して存在することはできず、私の「とき」はいつも私とともにある。じゃあ、急がしいあなたのため明日の3時間わたしの時間をわたしから切り取って差し上げましょう・・というわけにはいかないですね。ただし、その人のために3時間あなたが自分の時間を使うことはできます。そんなことを前回は考えてみました・・・

時はいのちなり

大ベストセラーとなった「Purpose Driven Life (人生を導く5つの目的―自分らしく生きるための40章)」の中で、著者のリック・ウォレンはこんなことを言っています:

あなたが誰かのために時間を差し出すとき、あなたはその時間を決して取り戻すことはないわけで、つまりあなたは自分の人生(いのち)の一部をその人のために差し出すのです。あなたの時間はあなたの人生(いのち)なのです。こういうわけで、人に与えることができる最もすばらしいギフトは、あなたの時間なのです。

また、数多くの著書で知られる聖路加国際病院の日野原重明氏は、小学生を対象におこなっている「いのちの授業」のなかで、その逆もまた真なりと言っておられるそうです。10歳くらの子供たちに「いのちってなんだと思う?」と問いかけると、必ず心臓に手を当てるといいます。先生は、「それは違います」とおっしゃるそうです。

心臓は”いのち”ではありません。心臓は単なるポンプです。”いのち”は目に見えないものです。確かにあるものだけれど、でも、目には見えない。

では、”いのち”とは何か。”いのち”とは、私たちが持っている時間の証なのです。

人間は限られた”いのち”を持つ生きものです。人のために使った時間と自分のために使った時間のバランスはどうなっていますか? 人のために使っていますか?

 

Love is spelled T-I-M-E.

自分の人生(いのち)の一部をその人のために差し出す・・・これはつまり「自分」を脇においておいて、人の益を中心におくこと・・・自分のしたいことを敢えてしないで、人の求めること人のしたいことをする・・・人のために自分の時間(自分の時間と自分のからだは切り離せませんから、自分の存在自体)をその限られた時間、その人のために使うということです。

前回書いた「結婚のペナルティ」と題されたウォール・ストリート・ジャーナルの記事では、結婚している人はシングルの人に比べると、一日に76分間、パーソナル・ケアや睡眠、レジャーに費やす時間が少ない・・家事やこどものケアが大きな差であると書いていましたが、当然といえば当然の結果です。ひとりでいれば人のために時間を費やすこともないけれど、二人以上なら人のために費やす時間もでて当然。

結婚しても相手によっては、シングルのときと同じような感覚で仕事したり遊んだり楽しんだりということが可能かもしれないけれど、子育てはそうはいきませんねえ。一人目のこどもを妊娠したとき、わたしはキャリア・ウーマンでした。最小限の時間で何でも効率よくやりたい・・などという考えに支配されていた私は、「なんで妊娠期間って10ヶ月もあるんでしょう。1ヶ月くらいでポンポンと大きくなってくれればいいのに」なんてもらしたら、職場の先輩パパが、諭してくれました: 「そうやってじっくりと母親になる準備をするのですよ。10ヶ月かけて、だんだんと母親になるのです。」

お腹にいるときは、母親と赤ちゃんは時間を共有できます。たしかに、母親は寝たいのにお腹で赤ちゃんはウンドウなんてこともありますが、でも一体ですからね。基本的には、同じ時間を過ごします。でも、10ヵ月後、お腹の外にでてきた瞬間、母親と赤ちゃんの時間は分かれます。夜中泣いたら、眠くても抱っこしてあやしてやらねばならない。ちょっと一休みと思っていても、お腹がすいたと泣けばおっぱいをあげなければならない。考えれば、自分の人生(いのち)の一部を削って、赤ちゃんのためにしてあげる・・・この繰り返しですねぇ。こんな大変なこと、10ヶ月の準備期間がなければ、すぐにはきっとできないでしょうね、今思うと・・・

また、リック・ウォレンのことば・・・

人との関係は重要であると言うだけでは十分ではありません。私たちは実際に人との関係に時間を投資し、そのことを証明しなければなりません。言葉だけでは意味がありません。「子供たちよ。私たちは単に言葉や口先だけでなく、行動によって真実な愛を示さなくてはなりません(聖書Iヨハネ3:18)。人間関係は時間と努力を要します。Love is spelled T-I-M-E.(愛を他の言葉に言い換えると「時間」となるのです。)

第3話につづく。

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2 comments

  1. いいお話ですね~。私はクリスチャンではありませんが、聖書は面白いと思っているので、また調べてみます。仏教も同じような教えをしますよね。
    母親になると、もう自分なんて無いですよね。。。これを思うと、自分の母や祖母の苦労に感謝です。私もまだ長男が小さい頃は、仕事に戻って云々って考えていましたが、今はとてもじゃないけれど無理そうです。長男は障害があるんです。
    もう貧乏まっしぐらですよ。笑
    でもこのことにより、夫婦共に自分の時間、体力、振り絞って、今までに無い一体感が生まれています。ある意味幸せ。

    1. そういう幸せって、自分で味わってみないとわからない幸せですよね~。一見、不幸せそうに見えるかもしれないことに、実は大きな幸せが隠されているみたいなね。。反対に幸せそうに見えることに、大きな不幸せが隠されていたり。。。わたしはクリスチャンなので、そういうこと自体が神の知恵だと思います。人間が謙虚であるように・・・見えたつもりで高ぶらないように・・・ 大体、「障害」というのは、大多数の人間と比べるとちょっと違うということであって、人間の基準ですものね。この世と歩調をあわせるのには苦労も多いでしょうが、すばらしい宝が隠されているのだと思います。うちは子どもの一人はGifted Student、もう一人はIEP Studentですが、それは人間がつけるラベルですし、長所は短所、短所は長所ですから、与えられた資質をどう(変えるかでなく)生かすかを一緒に考えていけたらと思っています。

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