マネー管理で気をつけたい24のミステイク(1)

Last Updated on 2022年9月4日 by admin

パーソナルファイナンスでありがちな問題点をまとめた「マネー管理のミステイク」シリーズを、4回に分けてお届けします。今、収支がキリキリでうまくお金が回っていないという場合もあれば、今はなんとかなっているが将来これでいいのか不安ということもあるでしょう。また、お金はないことはないが、管理はこのままでいいのか疑問がある方もあるでしょう。マネー管理はなんとかできていると思っているが、いったい見落としている点はないのかという心配もあるかもしれません。全24項目のチェックポイントを4回に分けてお届けします。

「将来に向けて貯める」という観点を持たないこと

長い人生の間には、いろいろなフェーズがあります。家や車など大きな買い物が必要な時期もあります。一時的に収入がなくなったり、ダブルインカムだったのがシングルインカムになることもあるでしょう。すべて順調にいった人でさえ、いったんリタイヤすれば定期的な労働収入はなくなります。収入が増減したり、支出が増減したりを乗り越えつつ、基本的な生活を確保していかねばなりません。

ですから、いつも「そのときに入ってきたお金を、そのときの必要にすべて使う」というやりかたでは、長期的には立ち行かないわけです。「そのときに入ってきたお金のうち、たとえ少なくともいくらかは将来のために貯めておく」という考え方・習慣・心構えを、なるべく早いうちから身につけることが大切です。若いうちは、たとえ月に50ドルでもいいので貯めるということを習慣化しておくと、後々収入が増えたら200ドルに増やすことは案外簡単にできますが、もらったお金はすべて使ってしまうというのが習慣化していると、なかなか貯蓄が始められないということにもなります。将来に向けて貯めておくという観点を若いうちから養いたいものです。

バジェットをもたないこと

バジェットをもたないことは、支出の枠を持たないということで、とても危険なことです。バジェットがないというということは、月々、食費にどのくらい、ガソリンにどれくらい、習い事にどれくらいお金がかかっているかよく把握していないということです。バジェットがなければ、どこが使いすぎなので減らすべきか、どこから今度のバケーション費用を捻出すべきか、どうすれば負債の繰り上げ返済が可能か、リタイヤメント準備への積み立てをもう少し増やすことはできるか、生命保険はいくら必要か・・・などの吟味ができません。つまり、有意義なファイナンシャルプラニングは非常に困難になります。

月々の収入と支出のバランスをとること、支出項目内でのバランスをとりつつ月々の運営することのためにはバジェットが必要です。バジェットづくりには、1セント単位の家計簿をつけている必要はありません。クレジットカードの明細書、銀行のステイトメントなどから、大体の項目ごとの支出を把握できれば用を足します。項目ごとの大雑把な額が把握できており、今月は使いすぎているとか、なぜ今月はバジェットをオーバーしたのかが体感できれおればOKです。そのような体感はとても大切で何ヶ月も繰り返していると、具体的な数字を見なくとも、「今月はちょっとヤバイかな」と感じられるようになります。

エマージェンシーファンドをもたないこと

貯蓄の第一の行き先はエマージェンシーファンドといわれる、非常時のたくわえです。急な病気や怪我、車の故障、家の修理、一時的な収入減などに備えます。若くてシングルのうちは、エマージェンシーなどということはあまり考えない場合も多いでしょうが、若いからといって怪我をしないということはありません。すぐ頼れる親がいるのならですが、そうでないなら$1,000くらいのエマージェンシーファンドは持っておきたいもの。家族を持てば、月々の必要経費も大きくなり、アパートのレントや家のモーゲージなどの固定費用も嵩んでいきます。

何かあっても支障なく生活が続けられるように、月々の生活費の3ヶ月から6ヶ月分まで持つようにします。いろいろな投資をしている割にはエマージェンシーファンドがおろそかになっている場合も見られます。何かあったときに、すぐ現金化できるものがなく、結局クレジットカードローンに頼ってしまったということは避けたいもの。エマージェンシーファンドをきちんと準備しましょう。

現金をたくさん持ちすぎること

なかなか貯金できない人、もしものときのためにエマージェンシーファンドを用意しておけない人の正反対の極端に位置するのが、現金を必要以上に持っている人です。何に投資していいかわからないから、ついつい銀行のセービング口座に必要以上の現金をそのまま放ってあるというケースは、貯蓄好きの日本人には案外あるパターンです。

頭には、「銀行に預けておけば、とりあえず大損で減ることはない」という考えがありますが、確かに大損をすることはないものの、銀行のインフレーション率にも満たない利子しか生まない口座では、預ければ預けるだけ実はインフレとともも貨幣価値が下がるので「お金の本当の価値」は目減りしています。現金は「ちょうどよい分」だけ持ち、あとは投資にまわすことが必要です。

リタイヤメント準備を先延ばしにすること

リタイヤメントは長期戦です。今25歳で、67歳でリタイヤし95歳まで生きるとすれば、リタイヤしたあとの28年間の生活を42年間で準備することになります。「なんとなくできそう!」と思いますね。これが、今45歳で同様にリタイヤすることを考えると、リタイヤしたあとの28年間を22年間で準備することになります。ちょっときついと思いませんか?

また、これは年数だけの問題ではありません。Time value of moneyとかPower of compoundingという言葉をお聞きになったことがありますか?これらはつまり、「複利で長年積み立てることの力」を指しています。今25歳で月々$100を67歳までかけ続けた場合、6%の利回りを仮定すると67歳で$227,000貯まります。これが、今45歳となると月々4倍の$400を67歳までかけたとしても、$218,000にまでしか達せず、月々の掛け金は$300も多いのに前者に満たないことになります。たった$100でも長くかけ続けることで、複利と時間(22年ではなく42年)というふたつの要素が大きく味方につくことがわかります。小額でもいいからできるだけ早くかけ始めることがお勧めです。

税優遇のあるプログラムを考慮しないこと

貯めるは貯めるでも、いろいろな方法があります。税優遇のあるプログラムをできる限り活用したいものです。税優遇のあうプログラムは、IRA、401(k)や403(b)、SEP IRA、529などがあります。これらのプログラムには、入れるときに所得税控除となるもの、ならないものの差がありますが、いずれにせよ積み立てた後の年々の利子配当やキャピタルゲインへの課税はすべて先送りにされ、引き出し時には課税なしで利用できるもの、課税されるものなどがあります。

通常は、税優遇のあるプログラムはできる限り最大限に活用し、それを超えてもまだ投資できる余裕がある場合に税優遇のない投資の仕方を考えるのがよいとされています。毎年税金を払わないで投資することは、その分投資元金部分が早く増えるということで、複利の力を大きく味方につけることができるからです。

分を超えた家や車を購入すること

「分を超えた」とは少しばかり抽象的な表現で、どこまでが分にあっていて、どこまでが超えているかは判断が難しいものです。非常に主観的な判断でもあります。

たとえば家をとってみましょう。それなりにモーゲージ市場が好調のときには、金融機関は収入の40%をモーゲージ返済に充ててもよしと計算し、「$500,000の家ならあなたは購入できます」と提示してきたとしましょう。これは単に、金融機関が自分たち独自のやりかたで計算したもので、必ずしも「あなたにとって$500,000の家を購入することがベスト」ということではありません。$500,000の家を買ったら、モーゲージの支払いに追われ、バケーションに行くお金がなくなったり、学費が出せなくてローンを組むことになっても、金融機関にとってはモーゲージを何とか払ってくれていればそれでいいわけです。

「買えるか、買えないか」という観点だけでなく、「必要か、必要でないか」、「買ったほうがいいか、よくないか」という観点も必要です。そのためには自分のファイナンシャルプランを全体的にとらえ、全体的な整合性を考えることが必要です。

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