アメリカから日本にお金を送る

Last Updated on 2022年9月4日 by admin

「日米で送金したいのですが、いい方法を教えてください。」というご質問、案外頻繁に受けるのですが、私にはすっきりした回答がありません。数ある金融機関や送金サービスを全部把握しているわけではありませんし、自分自身それほど送金というものをしたことがないので、お答えするベース知識がないからです。ところが今回、ちょっとばかりまとまったお金が日本で必要となり、アメリカから送金をすることになりました。今回は、ファイナンシャルプラナーという立場というよりは、単に一度米日送金をしなければならなかった一個人としての経験談を書いてみます。経験のある方コメント欄で知識を共有していただけると助かります。

今回、$30,000をアメリカから日本に送金することになりました。自分たちから自分たちへの送金です。「口座を持っている銀行から送った」、「ペイパルがかんたんらしい」、「オンラインサービスもいいかも」などいろいろ聞いたことはありますが、どこからはじめていいかわからず、とりあえず‘International money transfer” でGoogle Search。検索結果をいろいろ読んでみた結果、分かったことは以下の通りです。

国際送金でかかる手数料(コスト)

まず、送金サービスを使うわけですから、そのサービスを提供する銀行なりサービス提供機関なりには何らかの手数料を支払う必要があります。大きくわけて4つあるようです。

Wire fee

これは送金を依頼された銀行がチャージするものです。普通、固定料金として提示されていて、一件につき$50程度までが目安ですが、かなりばらつきがあるようです。ばらつきは、1)銀行によって手数料が違う、2)送る額にもよる場合もあり、また3)通貨によっても変化する場合もあり、4)さらには受け取り国の通貨ではなくてUSドルで送金すると余分に手数料がかかることもあるということでした。

為替手数料

日々の為替レートに対して上乗せでとられる料金です。当日の為替レートに対してこの手数料(マージン)が上乗せされたレートで為替変換がされるので、間接的にその差額も送金コストとなります。上のWire Feeが固定費コストなら、こちらは送金する$1ドルごとにかかる変動費です。そしてこれは“送金に〇〇ドルかかります”と固定で示されないので、ある意味Hiddenといいましょうか、いくら払っているという意識が薄いものです。具体的には、それぞれの機関の提供している送金用(マージンが上乗せされた)為替レートを比較する必要があります。案外ばらつきが大きいです。

ところが、銀行の場合は比較がかなり難しくもあるように思います。ちなみに私のメインバンクはBank of Americaなのですが、Bank of Americaのサイトを見ても国際送金用の為替レートは見つけられませんでした。実際送金手続きを始めてやっと明かされるようです。しかも、送金上限が$1,000というような表示も見つけ、Bank of Americaは早々と候補から抜けました。

受け取り銀行側での手数料

送金先、つまり受け取り側での手数料です。銀行にもよりますが、国際送金による資金を受け取る時に、送金先銀行がチャージする手数料で、目安として$15から$30相当とのことです。たとえば、我が家の送金先みずほ銀行で海外送金を受け取る際には、受取手数料2,500円がかかるという情報を見つけました。

コルレス手数料

こちら見慣れない単語ですが、その意味するところはCorresponding Bank Feeでした。銀行が国際送金するとき、SWIFT systemという国際送金ネットワークを使うそうで、送金元の銀行から送金先の銀行までこの送金ネットワークの中継地点を介しつつお金が動いていくのだそうです。コルレス手数料というのは、これらの中継地点のCorresponding Bank が課す手数料のことで、中継地点が複数になればそれぞれの手数料が重ねてチャージされるようです。このコルレス手数料、あらかじめいくらかかるか特定することは不可能らしく、実際にお金が送金されて中継した銀行がそれぞれ任意の手数料を課すため、最後に送金先でお金を受け取るまでコルレス手数料トータルがいくらになるかはわからないとのこと。銀行送金の場合、ケースバイケースですが目安として$10から$100の範囲ということでした。できるだけ国際的な大手の銀行を使うことによって、経由する中継機関の必要性が減り、結果としてコルレス手数料は軽減されるとのことでした。

ということで、銀行からの送金はかなりコスト高というのが最終的に得たイメージです。

代替策:国際送金業者

銀行からの送金というのはどうやら“古くからあるシステム”を使っての送金サービスであるようです。そもそも銀行というのは、それぞれの国の中での業務に特化しており、送金元銀行、送金の中継銀行、送付先銀行が複数あり、それぞれで手数料が発生するというのがコストを上げる要素のようです。

そこでグローバル銀行として思いついたCitibankを調べてみましたが、シティバンク・グローバル・トランスファーという手数料無料の送金サービスがあるものの、対象国が決まっていて日本が入っていないようでした。

ということで、銀行送金の代替策として、国際送金サービスをビジネスにしている会社を使うというのを考えてみましょう。いくつかの会社がサービスを提供していますが、これらの会社は銀行ではなく、ただ国際送金だけに焦点を当ててビジネスをしていますから、効率的なネットワークを構築しているため送金にかかる日数的にも料金的にも効率的というのが売りです。銀行のSWIFT systemを使う代わりに独自の国際ネットワークを使うため、コルレス手数料がかからず送金コストの削減が可能ということです。

また、銀行、Paypal、昔からあった送金サービス(Western UnionとかMoneyGram)は国際送金用為替レートが悪い傾向があるのに比し、国際送金サービス会社の為替レートはかなりよい傾向があるということもわかりました。

国際送金サービス会社を使う場合は、銀行口座から送金することに加え、クレジットカードやデビットカードを資金源としての送金も可能なようです(その場合手数料は0.5% to 3.9%あたりがかかる)。受け取り側では、銀行口座に入金、現金で受け取りなどいくつかのオプションがあるようです。

ということで、$30,000をアメリカの銀行口座から日本の銀行口座に送ることについて、いくつか見積もりを集めてみました。Transfer feesというのが銀行が課すWire feeに当たるものなのでしょうか、固定でかかる費用です。Wiseには$162.28のTransfer feesがかかるものの、Exchange rateが非常に良いため、日本で受け取れる額は3,285,878円と最高です。XeとOFXはTransfer feesはゼロですが、Exchange rateが劣るため受取額はこれには勝てません。

ちなみに、これはいつも必ずこのパターンとは限らないと思います。通貨や額にもよると思います。また、一つ気づいたのですが、この結果を見て各サービス会社のHPに飛び再度見積もりをすると微妙に結果が異なることもあります。よって、いくつかこのような計算を繰り返し、最も結果の良いところを選ぶのがいいと思います。

ちなみに、上でも書いたように銀行だとこういうカリキュレータみたいなものが提供されていない(少なくともBank of Americaはなく、送金為替レートもさえ探せない)ので比較ができませんが、Paypalの場合は計算ができました。下が結果です。

なんとあまりにもExchange rateが悪く、たったの3,185,868円にしかなりません。10万円の差は大きいですね。 ということで、我が家は今回はWiseを使うことにしました。みなさんも経験談などシェアいただければ幸いです。

マネー管理で気をつけたい24のミステイク(1)

マネー管理で気をつけたい24のミステイク(2)

マネー管理で気をつけたい24のミステイク(3)

マネー管理で気をつけたい24のミステイク(4)

*後日談: 結局この件、送金前に送金受取先のみずほ銀行に問い合わせてみたところ、「非居住者である場合はいろいろ報告が面倒なので、しないほうがいい」という返事のようでした。ようでした・・というのは、主人が日本のみずほ銀行の支店に赴いて直接質問したのですが、主人からのまた聞きで、主人自身もよく的を得ず、その話をまた聞きする私も的を得ずで、よくつかみとれていません。

かいつまんで書くと、「海外からの送金が銀行にとどいた場合、受取人口座の本人確認のため登録の電話番号(日本の実家)に連絡をするが、その時非居住者であるとわかった場合、問題になることがあるのでやらないほうがいい」という内容だったようです。みずほ銀行の場合、海外駐在など非居住者の口座維持は一応認めているようなのですが(ホームページで確認済み)、ただ外国永住組の口座維持は本当は好ましくないというニュアンスがあるのかもしれません。

まあ、みずほ銀行にしてみれば、受取手数料の数千円をもらっても、外為法準拠のための書類整理、情報確認で全く利益にならないでしょうし、常日頃からバンキングで利益になっている顧客ならまだしも、うちのように海外送金でした使わないような顧客は面倒なだけでしょうね。なので、絶対だめというわけではないけど、できればやめてほしいということだったのかもしれません。

みずほ銀行だけでなく、ローカルの地銀(群馬銀行)にも口座があったらしく聞いてみましたが、同じような反応だったそうです。違法というわけではないので、前もって聞かずに送金してしまえばよかったのかも・・と思いますが、今となってはよくわかりません。また、金額がある程度大きかったことも問題だったように思います。

ということで、日本居住の家族当てに送金するということになりそうです。$30,000なので、$10,000ずつ。日米の贈与税の控除範囲以下になるように。このお金は実家のお墓を買うというものだったので、受け取った家族からそれぞれ支払いをしてもらうことになりそうです。

16 comments

  1. 私はFidelityから新生銀行に送金してますが、これはWiseより手数料が安くなります。

    まずFidelityは資産残高に関わらず、無料で送金してくれます。

    新生銀行はヒラ口座なら被仕向送金手数料を取られますが、ゴールド以上だと無料になります。

    為替レートはWiseの方が若干良いですが、送金手数料がかかり、最終的にはFidelityから新生銀行の方が安くつきます。ちなみに現在の適用為替レートはWiseが109.55、新生銀行のゴールドが109.44です。1万ドル送金した場合、Wiseだと1,087,564円、Fidelity-新生だと1,094,400円になります。

  2. いつも為になる情報ありがとうございます。
    知識の共有では無く、単に誤字の確認です。
    記事中に、$3,285,878 や $3,185,868 という数字があり、すぐに円の間違いと気付きましたが、念の為のご連絡です。

    これからも記事を楽しみにしています。
    コロナ禍ですが、どうぞご自愛ください。

  3. いろいろな情報ありがとうございました。
    やはりFX・証券口座が一番いいようですね。私もWiseを使ったことがありますが高額になるほど割高になって必ずしも一番ではない印象で証券口座経由を検討していました。参考までにこちらにもBroker accountを使った方法がありました。https://gfmasset.com/2018/09/better-than-transferwise-saving-thousands-on-international-transfers-with-an-interactive-brokers-account/

    1. ありがとうございます。この 添付くださったInteractive Brokers というのは、アメリカ非居住者になってもアメリカでの投資を継続させてくれる数少ない(Schwabなどと並ぶ)機関のひとつでもあり、クロスボーダー派の送金には心強い味方かかもしれませんね!

  4. 初めてコメントさせて頂きます。

    いつも有益な情報ありがとうございます。私もアメリカから日本への海外送金にはWiseを使っています。手数料の件ですが、$7000/月以上海外送金をすると翌月の手数料が無料(Up to $1300)になるサービスが先月から始まったと思います。私の勘違いかもしれませんが、もしよければ調べてみて下さい。

  5. 私もここ数年はWiseです。渡米15年過ぎて、日本に残してきた貯金がかなり減ってきたので、帰省時の滞在費のために、為替の様子を見て年に何回か送金してます。一度に送る額は$2000ぐらいです。銀行間送金よりは安いですが、それほど安いかと言えば、そんなに変わらない気がします。。為替のレートの方が影響力大きい気もします。

    Wiseの手数料にくわえ、アメリカの銀行からWiseに送金する際にも$20かかりますので、一度に大きい金額を送る方が良いのかな、と思いました。

    お墓を日本で買うということは、リタイア後はあちらの予定ですか?今後のお墓のメンテなどを考えると、私の代以降はみんなアメリカで暮らすのではないかと思うので、どうしたものかと悩み中です。孫ができたときに日本語話せるか分からないし💦無縁仏になるのかな、とぼんやり考えてます。

    1. 情報ありがとうございます!
      私たちは日本に帰る具体的予定はないのですが、両親の思いがあってやっぱりお墓が必要ということになり買うことになりました。私たちが管理することはちょっと無理そうなので、親戚のうちやはりお墓が必要でゆくゆくは立てねばならない人に引き継いでもらい、その人も一緒に入ることができるようなExtended Familyのお墓みたいなものになるようです。

  6. 私の親が留学した私のためにお金を送るのに郵便局を使っていました。1980年代後半のことです。
    確か一番手数料がかからないからだったと思います。
    私自身も5~6年前に妹宛に2,000ドル送金しましたが、手数料は大したことがなかったのか記憶にないくらいです。
    為替や送金の上限、手数料の情報がなくて申し訳ありませんが、ご興味のある方は調べてみるといいかと思います。

  7. 質問があります。アメリカから日本の知人に$1000 の Cashier ‘s Check を作ってその人の住所に送ろうとしています。それをその人が、自分の銀行に持ち込んだら問題なく現金化できるでしょうか。その場で現金化できなくても数日後とかでもいいのですが。数年前まで、この方法で日本に住む人に送って現金化に問題はなかったのですが、最近日本の銀行システムが大きくかわってるようで、もしかして、もうできなくなっているのでは?なんて心配になりました。もしご存じでしたら教えていただけませんか? よろしくお願いします。

  8. なにも考えず、いきなり質問してしまい申し訳ありませんでした。ネットで調べましたらやはり3年くらい前から、米国の小切手の現金化は日本の銀行ではできなくなってしまったようです。ですから、日本の人にお金を送る方法は(口座番号を知らない限り)不可能ということで困りました。最終的に、お金ではなく、ギフト券にしました。

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