Federal Reserveの低金利政策による間接的な影響で、モーゲージ金利も低金利が続いています。本年度は、モーゲージ低金利記録が更新され続け、30年固定利子ローンは2.88%、15年固定金利なら2.44%という数字まで出ています(2020年8月上旬)。そんなわけで、コロナの中でも不動産市場は意外と活気があり、ロケーションによりますがマルティプルオファーが入るコンペティティブな物件も出ているようです。同様に、リファイナンスもさかんで、この機に低金利ローンを確保しようとする消費者も多いようです。リファイナンスは賢く使えばいろいろな形で家計改善に役立ちます。今日はどんな使い方があるのか見てみましょう。
まずはモーゲージのしくみから
固定金利モーゲージの月々の支払額は常に一定です。たとえば30年の固定金利モーゲージであれば、30年間月々の支払額が一定でありながら、30年きっかりで借入元金が返済しきれるように計算します。
月々の支払額と金利と返済期間の関係をかんたんに図式化してみると下記のようになります。
月々の支払金額(大)= ローン借入金(大) x 金利(大) x 返済期間(小)
借入金が大きければ大きいほど、金利が大きければ大きいほど、返済期間が短ければ短いほど、月々の支払額は大きくなります。
金利が低くなったことでリファイナンスする場合、上の「金利」部分が低くなりますから、他の要素が一定なら月々の支払金額は少なくなるという寸法です。場合によっては、「ローン借入金(つまりそのときのローン残高)や「返済期間」を変更することで、月々の支払金額が変わることもあります。つまるところ、4つの要素は関連しあっていますから、その時に一番大切な要素にフォーカスすることで、他の要素を調整するというようにイメージしていただけるとよいでしょう。
リファイナンスのいろいろな使い方には以下のようなものがあります。それぞれ、4つの要素のどれにフォーカスを当てるかが違います。
月々の返済額を減らす
上の式の金利を下げることで、月々の支払額を減らすことができます。ダブルインカムだったのがシングルインカムになってしまった、収入が減ってしまった、子どもにお金がかかるので月々の支払い義務を下げたいなどの場合には有効な手段です。月々の支払額を下げることがフォーカスです。
ひとつ注意したいのは、たとえば30年固定金利モーゲージ3.75%を5年間支払ってきて、ここで金利が下がったので2.75%に下げるというような場合、確かに月々の支払額は減りますが、ただ30年固定金利ローンで組みなおすと、現時点からさらに30年間の返済が始まることになります。本来ならあと25年で完済となるところ、また30年返済に振り戻すことになるわけです。
たとえば、5年前に組んだ30年3.75%モーゲージの月々の支払は$1,575、ローン残高が$305,000とすると、30年2.75%モーゲージに乗り換えれば、月々の返済義務は$1,225に下がります。$350の支払額の削減です。ただ、2045年に完済だったものが2050年完済に期間も伸びました。つまり、上の公式で、金利が下がり、返済期間が上がったというダブル効果で、月々の返済額が下がったわけです。
これは収入が減ったなどで、とりあえず月々の支払額を減らすことに重点がある場合は、たとえ期間が延びても有効な策です。また、その家にずっと住み続けるわけではなく、15年後に売却するつもりであるというなら、その時点で売って手元に残る額(その時の時価からローン残高を引いたもの)が少し違うだけで大きな問題にならないかもしれません。
反対に、この家で老後も過ごしずっと住み続けるというような場合には、完済がどの時点であるかは大きな問題となることもあります。たとえば、67歳でリタイヤするので、その時点では家は完全に完済していたいという場合には、あらたに今から30年の返済が始まり、2050年に完済では都合が悪いかもしれません。
その場合は、30年ではなくて25年固定2.75%モーゲージを組むことも可能な場合があります(利子は多少異なるかも。期間調整についてはローン担当者にご相談ください)。その場合は、月々の返済額は少しあがって$1,407となります。これは、上の公式の、金利だけ下げ、後の要素は一定に保ったケースです。これだと、$168程度の返済額の縮小に留まりますので、どのくらい家計改善への効果があるかは少し考える必要があると思います。リファイナンスをすればクロージングコストなどもかかりますから、それらとの兼ね合いも考えることになります。
あるいは、今とにかくお金の工面が大変という場合には、とりあえず30年固定金利で組んでおいて、月々の返済額をなるべく縮小させることで現在の窮地を乗り越え、また5年10年たって家計に余裕がでたら元金を上乗せで払い続けることで、結局は30年かけないで完済することもできます。家計の現状と将来的な計画をバランスしながら、最適な解を探っていくことになります。
まとまった現金を手にしたい
リファイナンスで、現在のローン残高以上の金額を新たに借り入れる方法です。現在のローン残高に加えて、いくらかの余分な現金を刈り入れる(キャッシュアウトする)のでキャッシュアウト・リファイナンスとも呼ばれます。
月々の支払金額(大)= ローン借入金(大) x 金利(大) x 返済期間(小)
の公式のうち、ローン借入金が上がります。金利が十分低ければ、それほど月々の支払金額を上げないで、キャッシュアウトできる可能性があります。
上で例にあげた30年3.75%モーゲージの月々の支払は$1,542で現在のローン残高は$305,000でした。現金が必要なので$30,000をキャッシュアウトしたいとします。この場合、リファイナンスで$335,000のモーゲージを組むことになります。30年2.75%モーゲージを組むと、月々の支払額は$1,368となります。返済期限はあらたに30年となりますが、今$30,000を手にすることができ、さらに月々の支払額を$207削減できます。
返済期限が伸びてしまうことは上で書いたのと同じですが、現在資金繰りに困っていてとにかくまとまった現金を手にする必要がある場合には、有効な方法です。そして、伸びた期限は、上と同じように、家計に余裕ができたときに元金を余分に払い込むことで巻き返しも可能です。
キャッシュアウトできる額は限度があり、家のエクイティ(市場価値―ローン残高)が十分ないとキャッシュアウトできません。
まとまった現金を手にする方法にはホーム・エクイティ・ローンというのがあります。モーゲージをリファイナンスするのではなく、必要な額だけを家のエクイティを担保に借ります。モーゲージを組むのに比べれば申請手続きなどは面倒が少ないかもしれませんが、利子は高めで現在5%台が多いようです。今、まとまった現金が必要だが、借りた後はかなり早期に返済が可能と見込める場合には、申請が大変でクロージングコストもかかるモーゲージのリファイナンスではなくて、エクイティ・ローンで対応しておくというのもよいでしょう。比較的早く返済するなら、金利が少し高くても何年もにわたってかかる利子額ほど心配する必要がありません。
ローン返済期間を短くする
月々の支払金額(大)= ローン借入金(大) x 金利(大) x 返済期間(小)
のうちの、支払金額、ローン借入金をそのままに保ち、低くなった金利を利用して返済期間を短くするという方法もあります。上で例にあげた現在$305,000残高の3.75%30年モーゲージをもう一度考えます。現在の月々の返済額は$1,575でした。この返済額をキープして、2.75%のローンにリファイナンスすると残存25年期間だったところを21年強に減らすことができます。
21年というのは中途半端なので、たとえばキリのいいところで20年ローンに組み替えたとすると、現在の返済額より少しだけ多くなりますが$1,600超の額で、今より5年短い20年間で完済となり、利子はトータルで$22,000程度削減できることになります。
この方法は、その家に長期間住む予定があるときに特に有効です。とくに、その家でリタイヤ後も住み続けるなどの場合には、利子が削減される期間をフルに利用できます。一方で5年で引越し予定がある場合には、組みなおしたローンの低利子期間をフルに利用できる前にローンを終了(物件売却で返済)することになります。5年で売却の場合は、リファイナンスによる利子削減はトータルで$4,000強くらいになってしまいますから、リファイナンスにかかるクロージングコストなどを考えるとリファイナンスしないほうがよいという判断にもなります。リファイナンスは長期的な計画とあわせて行う必要があります。
FHAのモーゲージ保険をなくす
頭金が小さい場合、モーゲージ保険(Mortgage Insurance)の加入が義務付けられ、月々の返済額にモーゲージ保険料(Mortgage Insurance Premium)が加算されます。通常Conventional Loan(以下FHAなどのような政府機関のバックアップのないいわゆる普通のモーゲージ)の場合はエクイティが20%に達したところで、保険が不要になり保険料はなくなります。一方で、低中所得者向けのFHAローン(政府機関Federal Housing Administrationのバックアップあり)の場合は、このモーゲージ保険はエクイティが20%に達してもなくなることはなく、長期間(頭金が10%以上であれば11年以降適宜解除可能。10%以下ならローン期限の全期間。2020年1月現在の情報)払い続ける必要があります。
もしもFHAをお持ちで、エクイティが順調に伸びてきて20%を超え、Conventional Loanを組めるようになったら、リファイナスをすることでモーゲージ保険を排除し、また金利を下げることで月々の返済額の大きな軽減を図ることができます。
はじめまして。いつも勉強させて頂いております。
今回の課題は自分でも注目していたのでとても参考になります。只、上記の計算方法がよく分からない為、困っています。例えば上記の:「30年3.75%モーゲージの月々の支払は$1,575」と明記されていますが、この計算方法が分かりません。(上記の現在残高$305,000 x 3.75% x 30年間)➗ ??? = $1575
この???に何があてはまるのでしょうか?計算方式がございましたら教えてください。
よろしくお願い致します。
こちらでどうそ。
https://www.bankrate.com/calculators/mortgages/amortization-calculator.aspx
低金利でリファイナンスを考えていますが、昨日ローンエージェントの方に質問したのですが、主人はコロナの影響で失業しまして、再就職まで5か月かかりました。またエンジニアから職種の違う会社に職が変わり、年収もかなりの減収となりましたことをお話しましたら、ローンが組めない、低金利は組めないと言われてしまいました。株や貯蓄は余裕があるので、できれば年収が減った分ローンの返済を少なく、もしくは利息分をSaveしたいと思っていたのですが。実際そうなのでしょうか?
月々の収入に対してローン返済額が何パーセントかなどの指標があるので、それにひっかかるということなのでしょうか?ローンを組めない理由を確認するとよいと思います。ローン会社はいくつかあたってみるといいと思います。他では大丈夫ということもあると思います。とくに腕の良いブローカーなら何らかのローンを見つけてきてくれる可能背もあります。ただ、利子がどこまで下がるかという問題はありますが。とにかくいくつか利子見積もりをとってはどうでしょうか。