ホームオーナーズ保険がカバーする額

家を持っている方なら、みなさんホームオーナーズ保険に入っておられると思います。もしも家が火災に遭って被害を受けたとき、いくらまで補償を受けることができるのか、すぐ答えられますか?生命保険の補償額はなんとなく覚えていても、家の保険については補償額がいくらかわからない・・というのは案外多い話です。いつもいつも気にする必要はありませんが、何年に一回かはホームオーナーズ保険の補償内容も再確認したいものです。

Replacement Costとは

通常、ホームオーナーズ保険で補償される家の本体構造部分の補償額は、Replacement Costです。Replacement Costというのは、たとえばもし火事で家が全焼してしまった場合、同等な家を建てるために必要なコストのことです。Replacement Costは、被害に遭った後に同等な家を建て直す費用をその時の市場価格で補償してくれます。家は建てられてから経年とともに劣化しますから、建てられて20年経った家であれば、その分価値は下がり建物自体の額はオリジナルのコストより低くなります。しかし、家を建て直すときには新しい材料を使うことになり減価した家の価値では再建はできません。さらには、インフレの影響などもあり、同じ材料を使ったとしてもコストがすいぶん異なります。Replacement Costは、そのような時間経過による家のコストや材料代の変化には影響されないで、被害に遭った時点で同等な家を建て直す(Replace)するときに必要な現在コストを補償してくれるものです。

どのようにReplacement Costは決められるのでしょう?よく、Appraised Cost(査定価格)を思い浮かべる人がいます。家を買ったときのAppraisalや、プロパティタックスを計算するときに使われる査定額のようなもののことです。これらを保険の補償額のベースとして考えがちですが、それはふさわしくありません。家の売り買いのAppraisalは、売り買いのマーケットにおいていくらの販売市場価値があるかの予想額であり、またプロパティタックスの査定額の場合は、あくまで課税計算のための適正額を割り出すためのものです。どちらも家を建て直す時にかかるコストとは乖離している場合がほとんどです。

保険会社はそのためのソフトウエアを有していて、家についての各種情報を入力することでReplacement Costを査定することができます。入力に使われているのは、住所、家の構造情報、大きさ、グレード、ファウンデーション、外壁や屋根の素材や状態、壁や床などの素材や状態、キッチンやバスルームのグレードや素材、空調、暖冷房、暖炉などの有無やグレードなどまでかなり細かい情報です。これらによって、取り壊し・整地にかかるコスト、材料費と人件費、設計料や許可書(Permit)などの費用、税金、オーバーヘッドなどまで割り出し、トータルのReplacement Costが計算されます。保険会社のやり方にもよると思いますが、いったん決めたReplacement Costは建設費のインフレーション率によって自動的に上方修正されていったり、定期的に上のようなソフトウエアを走らせることで再査定されたりします。

もしもリノベーションやリモデルでキッチンやバスルームをグレードアップした場合や増築などをした場合には、その旨保険会社に連絡することが必要です。多少保険料も上がるかもしれませんが、もしものときに同等レベルの建て直しを確保するためには、保険情報のアップデートが必須です。目安として、コストが$5,000以上のリノベーションなどを行った場合には、保険エージェントに一報するのが賢明でしょう。

ある程度古い家の場合、その家の建て方や造り方が、現在の新しいConstruction Code(建築の法律)に準拠しておらず、以前に造られたままの状態で暮らしているということはよくあります。それが火事などで破壊された場合、新しく修理・再建する時点ではその時のConstruction Codeに準拠する必要があり、これに余分なコストがかかることがあります。この余分なコストは厳密にはReplaceのための建設費ではありませんから、通常のReplacement Costではカバーされないことになります。こんな場合Ordinance of law rider(法準拠のための特約)をつけておくと、この費用もカバーされます。古い家の場合は考慮します。

いろんなタイプのReplacement Cost

Replacement Costはあくまで予想額ですから、それでは実際のコストがカバーしきれないという可能性もあります。そこでエクストラの補償として提供されるのがExtended Replacement Costです。もしも建設費がReplacement Costを超えた場合を想定して、Replacement Costの25%から50%の額を追加で補償するというものです。たとえばReplacement Costが$400,000と査定され場合、30%のExtended 補償を付け加えるなら最大$520,000までの再建費用がカバーされるということになります。小さなリモデルなどの例でさえコストが予想以上にかかることはよくあり、ましてや家一軒レベルになるとその可能性は否めません。Extended 補償をつけることでいくらくらい保険料が上がるかにもよりますが、通常Extended Replacement Costを選んでおくことの方が賢明だと言われています。

さらにその上を行くのがGuaranteed Replacement Costです。提供している保険会社は限られますが、上限の設定なしに再建費を補償するものです。たとえば広域の火災や市場の動向で建築材料が高騰してしまったような場合には、予想だにしない再建費の高騰ということもあるかもしれません。このような場合も、Guaranteed Replacement Costであれば上限なしに、同等の家の建設が確保されることになります。なお、アップグレードなどによる費用上昇はカバーされません。

たまに確認してみよう

自分の保険が、どのタイプのReplacement Costのカバーを提供しているのかは、保険の契約書やオンラインでの契約内容を見れば確認できます。Replacement Costはいくらなのか、Extended Replacement CostならReplacement Costに対して何パーセントが上乗せされているのか、あるいはGuaranteed Replacement Costカバレッジなのかが確認できます。定期的にReplacement Costがどうアップデートされるのかなどはエージェントに問い合わせないとわかりませんが、聞いてみるのもよいと思います。

Replacement Costでカバーされる建物の構造部分はDwellingとよばれ、屋根、外壁などを含みます。対して、塀やガレージなど敷地内にある住居以外のものはOther StructureとかExtended Dwellingなどと呼ばれ、DwellingのReplacement Costの10%がデフォルトでカバーされることが多いですが、これは必要に応じ上げることもできます。

家の中にある家具、家電、洋服などは、Personal Itemと呼ばれ、DwellingやOther Structureとは別枠での補償になります。Personal ItemはReplacement Costではなく、Actual Costでのカバーが多く、補償額はDwellingのカバーの50~75%の額の設定がほとんどです。Actual Costは、被害を受けたものをもとの状態に修理するためのコストか、あるいはその時のその状態のものを購入するときの市場価格です。ダイニングセットを5年前に$1,000で購入したとしたら、5年間の使用分だけ減価した現在の市場価値での補償になり、上のReplacement Cost(同等な新品を購入する費用)より低いものになります。保険会社によりますが、Personal ItemについてもReplacement Costに変更できる場合もありますから、必要に応じそのようにするとよいでしょう。

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