「もうリタイヤも視野に入る年齢だし、金利も安いから、思い切って15年ローンを組みたい」、「借金はできるだけ早く返したいから、がんばって15年ローンで払いきりたい」など、15年ローンを選ぶ人も多いでしょう。歴史的な低金利の今、15年ローンだとさらに金利がお得になります。15年と30年との差は0.5%ほどでしょうか。ローン期間に支払う金利の額を比べてみると、随分と差があります。なんとか払えるならば15年で払いきってしまおうと考えるのもうなずけます。どちらがいいか・・これは、それぞれの家庭の長期的なファイナンシャル・プランのなかで決めるべきことで、誰にも当てはまる答えはありませんが、今回はこの問題を考えて見ましょう。
15年ローン 対 30年ローン
$300,000を借りるとします。30年固定金利ローンの金利は3.25%、15年固定金利ローンの金利は2.75%とします。この二つを比べてみると下のようになります。
月々の返済額は、30年が$1,306であるのに対し、15年は$2,036で、約$700多くなります。そのおかげで、15年のほうは15年早い、2027年にローン完済となります。ローンの最初から最後までで払うトータルの利子額をみると、30年は$170,023であり、15年ローンのそれの2.6倍もになります。これだけ見ると、もしちょっとキツくても$2,036払える力があるのなら、15年ローンでいこうと決めるのも無理はありません。15年で完済できれば、老後はローンのことは心配しなくてもいいという計算ならば、なおさらのことです。ただし、15年ローンのために必要な月々の返済額が、15年間、つまり全部で180回、滞りなく支払えることを確認することが大切です。
子どもが大学に行くようになったら家計がキツくなった、急な事故で2ヶ月働けなくて収入が減ったなどという状況になってもローン返済は待ってくれません。非常時のための十分な蓄えがあり、またもしものときのために所得保障保険などの備えがあることも大切です。また、15年ローンにしたため、老後の資金がちゃんとためる余裕がなかったなどということでは、リタイヤしたときに本末転倒の結果になってしまいます。15年ローンにするからには、返済額が、学資やリタイヤメントなど他の準備を犠牲にすることなく、また何かアクシデントがあっても継続して、きちんと返済していけることを確認せねばなりません。
しかし裏返せば、このことは長所にもなります。たとえば、お金に余裕があった場合、ついつい浪費してしまいがちな人にとっては、毎月の高額の返済に対してコミットすることは、お金を無駄なく使う、資産を貯めるという意味で好ましいことです。家庭のファイナンスの状況とご自分のタイプを考えて、決めるのがよいでしょう。
ハイブリッド策はいかが?
15年か30年か決めかねるという方には、30年ローンを使いつつも、早期返済、利子節約などの15年ローンの利点を実現するようなハイブリッド策をご紹介します。
ハイブリッド策は、30年の固定金利ローンを借り入れ、月々の返済額は15年固定金利と同じ額だけ返済していくという方法です。下の例でいきますと、30年ローンを借りた場合、月々の必要返済額は$1,306ですが、それに$730分だけ上乗せして合計$2,036(15年ローンの必要返済額と同額)を返済するわけです。
余分に払い込む$730は、どんどんローン借り入れ元金を減らしていきますので、結果的に30年よりずっと早くローン返済が可能です。金利は3.25%のままですが、元金が早く減らされローンの寿命が短くなるため、トータル利子額はもとの$170,023から$83,387に大幅に減額できます。
ハイブリッド策の利点(上のケースの場合)
* 金利が2.75%の15年ローンと比較すると、完済時期は9ヶ月遅れるのみ、払い込むトータル利子額は$16,930多いだけです。
* 月々の必要返済額はあくまで$1,306ですので、「今月はちょっとキツいな」という月は$1,306払えばOK。反対に、「今月は臨時収入があった」という月は、$1,000でも$2,000でも余分に払い込むことができます。
そう考えると、最初から15年ローンを組んだ場合より余分にかかる利子$16,930(これは月々$2,036コンスタントに払い込んだ場合の数字ですので、払い込み方によってこの数字は上下します)は、「保険」にようなものと考えられます。払えるときにはどんどん払うが、払えないときには払わなくていいというフレキシビリティを買っていると考えれば、決して高いものではないような気がします。
また、30年もかけて支払うと考えると気が遠くなりますが、30年間も3.25%という歴史的低金利で借り続ける権利を得ると考えると、ちょっと得した気分になりませんか?15年後、金利がどうなっているかは知る由もありませんが、ただ今が歴史的低金利であることを考えると、15年後もたまたま歴史的低金利でない限り、おそらく今より金利は上がっているでしょう。30年固定で借り入れていれば、その時の金利がどうであれ、歴史的低金利で借り続けられるのです。払ってしまいたければ払ってしまい、他にお金が入用で少し長く借り続けたければ借り続けられるというのは、うれしいフレキシビリティです。
ふたつ注意点。。。
ひとつめは、このハイブリッド策は、Prepayment penalty(早期払い込みペナルティ)があるモーゲージには使えません。Prepayment penaltyは、予定された返済時期より早く返済すると、規定のペナルティがかかるというものです。Prepayment penaltyがあるかないかは、見積もりをよく読むときちんと書いてあるはずですので、早い時期に確認しておきましょう。
もうひとつは、ポイントや手数料の違いはここでは考慮にいれていません。最近では、ポイントなし、ネガティブ手数料(手数料を払う代わりにインセンティブがもらえる)というようなローンもあるそうですから、30年ローンと15年ローンで大きな違いがあれば、それも考慮に入れてくださいね。
みなさんは、どういう選択をされたのでしょう。経験などをお聞かせください。
いつも色々な情報を参考にさせていただいています。リアルエステイトやモーゲージのことは私のお客様にも紹介したいと思います。読んだほうが納得してもらえることって多いですものね。家を買うのも人と出会うのと同じですから、グッドディールがあるといいですね。
ありがとうございます。よい出会いがあると本当にいいと願っています。ブログ仲間ですね。これからもよろしくお願いいたします。